M&Aの売却価格・買取価格を算定する方法は?M&Aの値段について解説

M&Aで会社を譲渡しようと考えている経営者の方の中には、自分の会社の売却価格や買取価格がどのくらいになるのか、疑問に思っている方もいるでしょう。
M&Aの価格は、上場企業であれば公開されている株価を基に、大体の予測をつけることが可能です。しかし、日本の会社のうち99%以上を占める非上場企業では、自社の価格を簡単に計算することはできません。
M&A・会社売却を検討する場合には、専門家に相談して、最適な方法で会社の売却価格・買取価格を算定するようにしてください。
目次
M&Aの価格とは
M&Aの価格とは
M&Aの価格とは、売り手側と買い手側の交渉により決定された会社売却・会社買取の価格のことです。
最も簡易的にM&Aの価格を算定する方法としては、時価純資産に営業利益3~5年分を加算する手法が挙げられます。しかし、M&Aの価格算定の方法は、他にもDCF法や類似会社比準法などがあります。
会社の資産に注目するのか、将来の収益性に注目するのかなど、価格算定の指標に応じて、採用される計算方法が異なります。
関連記事
M&Aの価格相場
M&Aの価格には、一定の相場が存在するわけではありません。業種や企業規模、財務状況などによって、M&Aの価格は大きく異なります。
一般的には、以下の要素が価格に影響を与えます。
M&Aの価格に影響する要素
- 売上高
- 利益
- 資産
- 成長性
- 市場シェア
- 競争力
- 従業員や役員
これらの要素を総合的に評価し、買収企業と売却企業が合意できる価格を決定します。
近年は、M&A市場の活発化により、価格相場は上昇傾向にあります。特に、IT企業などの成長性の高い企業は高値で買収される傾向があるでしょう。
M&Aの価格算定方法
時価純資産法
会社の資産価値に基づいて企業価値を算定する手法です。
貸借対照表に記載されている資産と負債を、それぞれ時価に換算して企業価値を算出します。
この時価純資産に数年分の営業利益を加算することで、大まかな企業価値が算定可能です(年買法)。
なお、何年分の営業利益を加算するのかによって、交渉する価格は変わります。
例えば、5年分の営業利益を加算する場合には、なぜ5年分なのか、買い手を納得させるよう交渉しなければなりません。
関連記事
DCF法
DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)とは、将来のキャッシュフローを現在価値に換算して、企業価値を算定する方法です。
将来の収益や伸びしろなどを価格に含めることができる点がメリットです。
具体的な計算方法については、以下の関連記事をご覧ください。
関連記事
類似会社比準法
類似企業の各種指標を参考に算定する手法です。
同種の事業を営む複数の上場企業を選び出し、それらの企業の株価などを基にして評価倍率(マルチプル)を導き出します。
これによって、評価対象企業の株価を計算します。
マルチプルとして採用される指標としては、EV/EBITDA倍率やPER、PBRなどがあります。
関連記事
M&A価格算定のタイミング
M&A検討の初期段階
M&Aの価格は、第一に初期段階で大まかな算定を行います。
この算定により、M&Aの費用対効果を判断でき、買い手候補となる企業の絞り込みに役立ちます。
この段階では、DCF法や類似会社比準法などを用いて算定します。
最終交渉前
最終交渉に入る前に、改めて価格算定を行い、交渉の参考資料とします。この段階では、買収後のシナジー効果などを考慮した価格算定を行うことも重要です。
M&A価格算定は、M&A検討の初期段階、最終交渉前のタイミングで行うことが重要です。
それぞれのタイミングで適切な方法を用いることで、より精度の高い価格算定を行い、円滑なM&Aを実現することができます。

M&A価格算定の注意点
算定方法の偏り
M&A価格算定には、DCF法、類似会社比準法、時価純資産法など、いくつかの方法があります。しかし、どの方法にもメリットとデメリットがあり、偏った方法で算定すると、適正な価格算定が難しくなります。
複数の方法を組み合わせ、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、総合的に判断することが重要です。
将来の見通しの不確実性
M&A価格算定には、将来の業績や市場環境などの予測が不可欠です。しかし、将来は不確実であり、予測が外れる可能性もあります。
将来の見通しの不確実性を考慮し、リスクを織り込んだ価格算定を行わなければなりません。
バイアスの影響
M&A価格算定は、買い手と売り手の双方が行います。しかし、それぞれ立場によってバイアスがかかり、客観的な価格算定が難しい場合があります。
専門家などの第三者に意見を求め、バイアスを排除した価格算定を行いましょう。