交通事故による肩甲骨骨折で後遺症が残った!後遺障害認定できる?
交通事故により肩に強い衝撃を受けると、肩甲骨骨折となってしまうことがあります。
骨折の程度がひどければ後遺症が残ってしまい、高額の慰謝料や損害賠償金が生じることもあるのです。
ただし、後遺症に関する慰謝料や損害賠償を行うには、後遺障害等級認定の申請が必要となります。
本記事では、肩甲骨骨折の症状や治療法、後遺症が残った場合の慰謝料や損害賠償金の請求を行うためにすべきことなどを解説しています。
目次
肩甲骨骨折とは?~症状・原因・治療法~
肩甲骨骨折とは?症状や原因
肩甲骨骨折は、背中の上部にある三角形の骨である肩甲骨が損傷する重症の外傷です。
交通事故による肩への強い衝撃や転倒により発生することが多いでしょう。
主な症状として、肩の後方部分への激しい痛み、腕を動かす際の著しい痛み、肩周辺の変色、そして肩関節の可動域制限が挙げられます。
また、鎖骨骨折や肋骨骨折などを併発していることが多いでしょう。
診断については、レントゲンやCT検査によりなされます。
鎖骨骨折の症状や後遺障害等級について詳しく知りたい方は『鎖骨骨折の後遺症は後遺障害認定される?認定のポイントを解説』の記事をご覧ください。
肩甲骨骨折の治療法
肩甲骨骨折の治療は主に保存療法となり、症状がひどい場合には手術療法になることがあります。
保存療法では、三角巾やバストバンドを使用して肩を固定し、安静を保ちながら骨の自然な治癒を促すのです。
通常、3週間程度の固定期間が必要とされ、その間は慎重な経過観察が行われます。
その後は温熱療法やリハビリにより、肩の動きが元に戻るよう治療を行っていくのです。
一方、骨片のずれが大きい場合や、複雑骨折の場合には手術療法が選択されます。
手術では、プレートやスクリューを用いて骨片を固定し、より確実な治癒を目指します。
手術後は、リハビリテーションを行いながら、段階的に肩の機能回復を図ることが重要です。
肩甲骨骨折による後遺症と後遺障害等級
後遺症の症状が後遺障害に該当するという認定を受けることで、後遺障害に関する慰謝料や損害を請求することが可能となります。
肩甲骨骨折の後遺症としては、肩回りの動きの制限、肩甲骨周りの変形、肩回りの痛みが消えないといったものが挙げられるでしょう。
肩甲骨骨折の後遺症
- 肩から肘にかけて動かしづらい(機能障害)
- 肩甲骨が変形している(変形障害)
- 肩の後ろの方が痛い(神経症状)
こうした症状がどんな後遺障害に認定されうるのかをみていきましょう。
肩甲骨骨折による機能障害
肩甲骨骨折による機能障害は、後遺障害8級6号、10級10号、12級6号と認定される可能性があります。
等級 | 認定要件 |
---|---|
8級6号 | 肩関節の用を廃したもの |
10級10号 | ケガをしていない側の肩関節と比べて2分の1以下に制限されているもの |
12級6号 | ケガをしていない側の肩関節と比べて4分の3以下に制限されているもの |
肩の動く範囲は「可動域」といい、動かしづらい状態は「可動域制限」といいます。
肩甲骨骨折によりどの程度まで可動域制限がかかったのかで、認定される後遺障害等級が異なる点に注意してください。
「用を廃したもの」とは、完全な麻痺や、ケガをしていない側の肩関節と比べて可動域が10分の1以下に制限されているものをいいます。
可動域制限の後遺障害認定について詳しくは、『交通事故の可動域制限とは?後遺障害認定の要件と慰謝料相場』をお読みください。
肩甲骨骨折による変形障害
折れてしまった肩甲骨が交通事故前のようにはくっつかず、変形が残っていると変形障害として後遺障害12級5号に認定される可能性があります。
等級 | 認定要件 |
---|---|
12級5号 | 肩甲骨に著しい変形が認められる |
「著しい変形」とは裸体になった場合に目視で変形が明らかな場合のことで、レントゲン上でのみ分かる変形は該当しません。
肩甲骨骨折による神経障害
痛みやしびれといった神経症状は、後遺障害12級13号または後遺障害14級9号に認定される可能性があります。
等級 | 認定要件 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
痛みやしびれなどの神経症状で後遺障害等級認定を受けるためには、自覚症状を主張するだけでは難しいものです。
具体的にはレントゲンなどの画像検査で神経症状の原因が証明できれば、12級13号に認定される可能性があります。
一方で、画像検査ではわからずとも症状の一貫性や治療の頻度、事故態様などから判断して、神経症状の存在が説明できれば14級9号認定の可能性があるのです。
肩甲骨骨折が後遺障害と認定されるための手続き
肩甲骨骨折による後遺症の症状が後遺障害であるとの認定を受けるためには、以下のような手続きが必要です。
症状固定の診断
症状固定とは、これ以上の治療効果が期待できない状態を指します。
この時点での障害の程度が、後遺障害等級の判断基準となるのです。
後遺障害診断書の作成
後遺症の症状や治療経過について記載した診断書となります。関節可動域の具体的な数値や、筋力低下の程度、神経症状の有無など、客観的な所見を医師に詳細に記載してもらいましょう。
後遺障害等級認定の申請
後遺障害診断書やそのほかの資料を提出し、後遺障害等級認定の申請を行います。
画像検査の結果や、日常生活における具体的な支障の程度を明確に示す医療記録といった資料が必要となってくるでしょう。
審査機関による審査がなされて結果が通知される
審査機関である損害保険料率算出機構において、後遺障害の有無や後遺障害の程度について審査がなされます。
審査結果は書面で通知され、審査結果に不服がある場合は異議申し立てが可能です。
後遺障害等級の認定申請を行う際には、専門知識が必要となってきます。
そのため、収集すべき資料の内容や、手続きの方法などについては弁護士に相談すると良いでしょう。
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『交通事故の後遺障害等級が認定されなかった理由と防止法|結果は変えられる?』
肩甲骨骨折の後遺症と慰謝料
肩甲骨骨折により後遺症が生じた場合の慰謝料
後遺障害等級認定を受けると、後遺障害慰謝料を請求することが可能となります。
肩甲骨骨折において等級認定を受ける可能性がある8級、10級、12級、14級の後遺障害慰謝料相場は以下の通りです。
後遺障害等級ごとにおおよその相場があります。
等級 | 慰謝料相場 |
---|---|
8級 | 830万円 |
10級 | 550万円 |
12級 | 290万円 |
14級 | 110万円 |
上表に記載の慰謝料額は、相場の金額となっています。
一方、加害者側は相場よりも低い金額で示談するよう交渉してくる可能性が高いことに注意してください。
後遺障害等級によって慰謝料額が決まることからも、適切な等級認定を受けることもポイントといえます。後遺障害申請から慰謝料の増額交渉まで、弁護士であれば任せることが可能です。
慰謝料以外に請求できる損害
交通事故により肩甲骨骨折となり、後遺障害が生じた場合には、後遺障害慰謝料以外にも以下のような損害を請求することが可能です。
- 治療費:治療にかかった投薬代、手術代、入院費用等
- 休業損害:治療のために仕事を休んだことで生じる減収
- 入通院慰謝料:入院や通院したことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料
- その他:入通院の際に生じた交通費、入院中の雑費等
- 逸失利益:後遺障害により生じる将来の収入の減収分
- 修理費:車や自転車の修理代。代車費用などの他の物的損害も請求可能
交通事故による肩甲骨骨折の損害賠償請求は弁護士に相談
弁護士に相談するメリット
交通事故で肩甲骨骨折を負った場合の損害賠償請求については、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
交通事故による損害賠償請求に関して弁護士に相談・依頼する主なメリットは以下の通りです。
- 相手の任意保険会社が提示する賠償金額が妥当かどうかを確認できる
- 依頼することで相手の任意保険会社とのやり取りをすべて任せられる
- 適切な後遺障害等級の認定を受けられるようサポートしてもらえる
- 相場の賠償金額で示談するよう適切に交渉してもらえる
相手方の保険会社との示談交渉を弁護士が代わりに行うことで、慰謝料をはじめとした賠償金の増額がする可能性が高まります。
その他にも、後遺障害等級の申請手続きや、慰謝料以外の損害を請求するために必要となる証拠の収集なども手伝ってもらうことで、被害者自身の負担を軽減することができるのです。
弁護士に相談・依頼する費用の負担は軽減できる
弁護士に相談や依頼する際の費用について気になっている方は、弁護士費用特約を利用できないかどうか確認してください。
弁護士費用特約とは、弁護士に相談・依頼することで生じる費用を保険会社に負担してもらえるという特約のことです。
負担額には上限がありますが、多くのケースで上限額内の負担に収まるため、弁護士費用特約を利用することで金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。
弁護士費用特約は自動車保険だけでなく、火災保険やクレジットカードに付帯されている場合があり、家族名義の保険であっても利用可能なケースもあります。
アトムなら無料の法律相談が可能
アトム法律事務所では、弁護士による無料の法律相談を行っています。
金銭的な負担なく、交通事故案件の経験が豊富な弁護士に相談が可能です。
また、相談後に依頼となった場合でも、依頼の際に生じる着手金は原則として無料となっています。
そのため、弁護士費用特約を利用できなかったり、お手元のお金に不安がある方でも安心して依頼することが可能です。
予約受付は24時間365日いつでも対応中なので、いつでもご連絡ください。
無料相談
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了