相続時精算課税選択届出書の書き方・入手方法・提出期限などを解説

相続時精算課税制度を使って贈与を受けることを決めたら、まず提出しなければならないのが「相続時精算課税選択届出書」です。
この届出書は、原則として所定の期限内に提出する必要があり、期限を過ぎると相続時精算課税制度を選択できません。
この記事では、届出書をどこで入手するか、どのように記入するか、いつまでに・どこへ提出するかを、令和5年度税制改正(令和6年1月1日施行)による変更点も踏まえながら、一つひとつ丁寧に解説します。
税理士に頼まず自分で手続きを進めようとしている方でも、この記事を読みながら作業を進められるよう、書類の記載方法なども分かるようになっています。
目次
相続時精算課税制度の意味と手続きの流れ
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度とは、生前に財産をまとまった金額で贈与しやすくする仕組みです。
相続時精算課税制度を使うと、年110万円の基礎控除に加えて、総額2,500万円の特別控除を受けることができ、贈与時にかかる贈与税負担を抑えながら財産を移すことができます。
ただし、贈与税の課税を免除する制度ではありません。2,500万円の特別控除を適用した部分を含め、年110万円の基礎控除を超えた贈与財産は、相続が発生した際に相続税の課税価格に加算され、相続税として精算されます。
相続時精算課税制度は、贈与時と相続時を通じて税額を精算する制度です。すでに贈与税を納めている場合は、その税額を相続税額から控除します。
相続時精算課税制度の概要やメリット・デメリットなどについて知りたい方は『相続時精算課税制度をわかりやすく解説!改正の変更点などもわかる』の記事をご覧ください。
相続時精算課税選択届出書はいつ必要?手続きの流れ
「相続時精算課税選択届出書」は、相続時精算課税制度を利用することを税務署に届け出るための書類です。
この届出書は、最初の贈与を受けた翌年の贈与税申告期間(2月1日~3月15日)に一度提出すれば、翌年以降も同じ贈与者(親・祖父母など)からの贈与に相続時精算課税制度が適用されます。
相続時精算課税制度を初めて利用する際の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 贈与を受ける
- 相続時精算課税選択届出書を作成
- 贈与税の申告が必要な場合は、贈与税申告書(第一表・第二表)を作成
- 添付書類をそろえて提出
2回目以降の贈与では届出書の提出は不要です。
一度選択すると取り消せないため、制度の特性を理解したうえで利用を判断してください。
年間110万円以下なら贈与税申告は原則不要
令和6年1月1日以後の贈与で、相続時精算課税の対象となる年間贈与額が110万円以下の場合は、原則として贈与税申告書の提出は不要です。
ただし、複数の特定贈与者から贈与を受けた場合も、基礎控除は受贈者1人につき年間110万円です。各特定贈与者からの贈与額の合計が110万円を超える場合は、贈与税の申告が必要になることがあります。
届出書は贈与者ごとに行う
複数人から贈与を受けている場合は、贈与者ごとに届け出を行います。
相続時精算課税制度を利用するかどうかは、贈与者ごとに判断することが可能です。
そのため、複数人から贈与があった場合には、相続時精算課税制度を利用する贈与について、贈与者ごとに別々の届け出が必要となります。
相続時精算課税選択届出書はどこでもらえるのか
相続時精算課税選択届出書の入手方法は大きく2つあります。
(1)国税庁ウェブサイトからダウンロードする(推奨)
最も手軽な方法です。国税庁のウェブサイトで入手できます。
ダウンロードするための手順は、以下の通りです。
- 国税庁ウェブサイトにアクセス
- 検索欄に「相続時精算課税選択届出書」と入力
- 「相続時精算課税選択届出書(様式)」のページを開く
- PDFファイルをダウンロードして印刷する
国税庁サイトでは「相続時精算課税選択届出書」として掲載されている様式を使用します(年度により様式番号・様式名の表記が異なることがあります)。
検索の際は「相続時精算課税選択届出書」というキーワードをそのまま入力すると見つけやすくなります。
また、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面上で直接入力・印刷することも可能です。
ただし、確定申告書等作成コーナーでは、相続時精算課税選択届出書のみの作成・提出を行うことはできない点に注意してください。
(2)税務署の窓口でもらう
最寄りの税務署の窓口に行けば、用紙をもらうことができます。
窓口での受け取り自体に予約は不要ですが、書き方の相談をしたい場合は、申告期間中(2~3月)は混雑するため、事前に電話で確認するとスムーズです。
最寄りの税務署について知りたい方は、国税庁ウェブサイトの「税務署の所在地などを知りたい方」から検索できます。
相続時精算課税選択届出書の記入例・書き方
ここでは、届出書の各記入欄について、説明を行います。
相続時精算課税選択届出書の各欄の書き方
【日付・提出する税務署】
提出年月日と、提出する税務署について記載します。
提出する税務署とは、受贈者の納税地を所轄する税務署です。通常は住所地が納税地となります。
【届出者(受贈者)の情報】
届け出を行う受贈者について、以下の情報を記入します。
| 欄名 | 記入内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住所又は居所 | 受贈者の住所・居所 | マンション名・部屋番号まで正確に |
| 氏名 | 受贈者の氏名 | フリガナも必要 |
| 生年月日 | 受贈者の生年月日 | 元号表記で記入 |
| 個人番号 | 受贈者のマイナンバー(12桁) | 贈与税申告書に添付して提出する場合は記載不要 |
| 特定贈与者との続柄 | 受贈者の立場を記載 | 例:子、孫 |
届出書のみを単独で提出する場合は個人番号の記入が必要ですが、贈与税申告書に添付して提出する場合は、届出書への個人番号の記載は不要です。
【贈与者の情報】
財産の贈与を行う贈与者について、以下の情報を記入します。
| 欄名 | 記入内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住所又は居所 | 贈与者の住所・居所 | マンション名・部屋番号まで正確に |
| 氏名 | 贈与者の氏名 | フリガナも必要 |
| 生年月日 | 贈与者の生年月日 | 元号表記で記入 |
【最初に贈与を受けた年】
相続時精算課税制度を初めて適用しようとする贈与を受けた年を記入します。
- 記入例:「令和6年」
【年の途中で贈与をした人(特定贈与者)の推定相続人または孫となった場合】
年の途中で贈与した人(特定贈与者)の推定相続人または孫となった場合とは、養子縁組など、贈与者との法的な親族関係の変動により、新たに推定相続人または孫という地位を得たケースをいいます。
推定相続人または孫となった理由と、その年月日を記入してください。該当しない場合なら記載は不要となります。
【相続時精算課税選択届出書の提出方法】
贈与税の申告書を提出せず、相続時精算課税選択届出書のみを単独で提出する場合(例:年間贈与額が基礎控除額110万円以下の場合など)にチェックします。
相続時精算課税選択届出書の記入時の注意点
相続時精算課税選択届出書の記入時には、次の点に注意してください。
- 黒のボールペンまたは黒いインクで記入する(消せるボールペンは不可)
- 訂正する場合は二重線を引く
- 受贈者(贈与を受けた人)が届出者となる
ただし、e-Taxで提出する場合はこの限りではありません。
あわせて、贈与税申告書に、相続時精算課税の特別控除を適用する財産を正しく記載できているか確認してください。
国税不服審判所の裁決では、土地と建物の贈与を受けたにもかかわらず、期限内申告書に土地しか記載しなかったケースについて、建物には相続時精算課税の特別控除を適用できないと判断されています(令和7年2月14日裁決)。
相続税法21条の12第3項では、特別控除を適用するためには期限内申告書への記載が必要とされています。記載がなかった場合に例外が認められるのは、「やむを得ない事情」がある場合に限られます。
同裁決では、税務署で申告相談を受けられなかったことや、確定申告書等作成コーナーの表示についても、「やむを得ない事情」には当たらないと判断されました。
相続時精算課税制度に必要な添付書類
相続時精算課税制度を利用するために必要となる書類(届出書及び添付書類)は、以下の通りです。
必要書類の一覧(令和6年以後の贈与)
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 相続時精算課税選択届出書 | 税務署・国税庁サイトで入手 |
| 贈与税申告書(第一表・第二表) | 年間110万円以下なら原則不要 |
| 受贈者の氏名、生年月日を証する書面 | 戸籍謄本等(続柄まで証明できるもの) ※マイナンバーカード単体は不可 |
| 受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人または孫であることを証する書面 | 同上 |
※受贈者の氏名・生年月日と、贈与者の推定相続人または孫であることを証明できる戸籍謄本・抄本などの書類が必要です。マイナンバーカードだけでは、贈与者との続柄を証明できません。
受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人または孫であることを証する書面については、贈与を受けた日以降に作成された書類の提出が必要です。
戸籍謄本の入手方法
戸籍謄本については、本籍地がある市区町村の窓口で直接請求したり、郵送を行ってもらうことで入手可能です。
また、マイナンバーカードを利用してコンビニで取得できる場合もあります。
2024年3月1日からは広域交付制度が導入されたため、本籍地以外の市区町村の窓口からでも取得が可能となっています。
ただし、利用できるのは本人・配偶者と、父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などの直系卑属に限定されており、委任状による請求や第三者による請求は対象外となっている点に注意が必要です。
贈与税申告書(年間110万円を超える贈与があるなら)
相続時精算課税の基礎控除額110万円を超える贈与がある場合には、贈与税申告書(第一表・第二表)を一緒に提出します。
| 書類 | 役割 |
|---|---|
| 第一表 | 贈与税の計算・納税額を申告する書類 |
| 第二表 | 相続時精算課税制度の適用に関する明細を記載する書類 |
第二表は「相続時精算課税の計算明細書」とも呼ばれ、累積贈与額・基礎控除・特別控除の計算を記載します。第一表と第二表はセットで提出します。
届出書と同様に、国税庁のウェブサイトからダウンロードしたり、税務署の窓口で交付してもらったりできます。
また、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額を入力することで、申告書の作成やe-Taxによる送信ができます。
不動産や株式などを贈与された場合は、財産の種類に応じて評価明細書などの添付が必要になることがあります。添付が不要な資料についても、評価額の根拠を確認できるよう手元に保管しておきましょう。
令和5年度税制改正による変更|届出書や添付書類の要否について
令和6年(2024年)1月1日以後の贈与から、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除が新設されました。
相続時精算課税の対象となる年間贈与額が110万円以下であれば、原則として贈与税の申告は不要です。ただし、制度を初めて選択する年は、相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。
複数の特定贈与者から贈与を受けた場合も、基礎控除は受贈者1人につき年間110万円です。この場合は、各特定贈与者からの贈与額に応じて110万円を按分します。
相続時精算課税の添付書類は税制改正で簡素化
相続時精算課税選択届出書の添付書類は、税制改正により簡素化されています。
令和元年度税制改正により、令和2年分以後の贈与については、受贈者の戸籍の附票や贈与者の住民票などの添付が不要となりました。現在は、多くの場合、受贈者の氏名・生年月日と、贈与者の推定相続人または孫であることを確認できる戸籍謄本または抄本などを添付します。
ただし、必要書類は受贈者の状況などによって異なる場合があります。不明な点がある場合は、国税庁の案内を確認するか、管轄の税務署や税理士に確認するとよいでしょう。
また、令和5年度税制改正により、令和6年(2024年)1月1日以後の贈与から、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されました。相続時精算課税の対象となる年間贈与額が110万円以下であれば、原則として贈与税申告書の提出は不要です。ただし、制度を初めて選択する際は、相続時精算課税選択届出書と必要な添付書類を提出します。
添付書類の取扱いは個別の状況によって異なる場合があるため、提出前に最新の国税庁の案内を確認してください。
相続時精算課税選択届出書の提出期限
提出期限は「贈与を受けた年の翌年3月15日」
相続時精算課税選択届出書の提出期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで(贈与税申告書の提出期限と同じ)です。
| 贈与を受けた年 | 提出期限 |
|---|---|
| 令和7年(2025年)中 | 令和8年(2026年)3月16日(月) ※3月15日が日曜のため |
| 令和8年(2026年)中 | 令和9年(2027年)3月15日(月) |
3月15日が土日・祝日の場合は、翌平日が期限になります。
提出期限を過ぎると原則として相続時精算課税制度が利用できない
届出書の提出期限は厳格です。通常のケースで期限を過ぎると、その年の贈与については相続時精算課税制度を適用できなくなり、通常の暦年課税として贈与税が計算されます(後述する、受贈者が死亡した場合の特則など一部の例外を除く)。
多額の贈与を受けた場合、暦年課税では高い税率が適用されることがあります。期限を絶対に守ることが手続き上の最重要ポイントです。
実際に、国税不服審判所の裁決では、戸籍の附票の写しを窓口で受け取れなかったため、届出書の提出が期限から2日遅れたケースについて、相続時精算課税制度の適用は認められないと判断されています(平成27年11月20日裁決)。
当時は現在と添付書類の取扱いが異なりますが、相続時精算課税選択届出書を所定の申告期間内に提出する必要がある点は同様です。期限後提出について、やむを得ない事情があれば認める宥恕規定は設けられていないため、必要書類の取得にかかる時間も見込んで、余裕をもって準備を進めてください。
相続時精算課税選択届出書の提出方法
相続時精算課税選択届出書の提出方法は以下の3つです。
- 税務署の窓口に持参する
- 郵送で提出する
- e-Tax(電子申告)で提出する
上記の手段について、税理士に依頼するという方法も考えられます。
いずれも提出期限内であれば有効です。
(1)税務署の窓口に持参する
最も確実な方法です。
受贈者の納税地を所轄する税務署の窓口に、届出書・贈与税申告書・添付書類をまとめて持参します。
- メリット
その場で記載内容を確認してもらえる。書類の不備をその場で指摘してもらえることも - デメリット
2~3月の申告期間中は混雑しやすく、税務署の窓口は原則として平日のみの受付
(2)郵送で提出する
税務署窓口に行けない場合は、郵送での提出も可能です。
郵送する際のポイント
- 送付先は「受贈者の納税地を所轄する税務署」
- 簡易書留や特定記録郵便など、記録が残る方法で送ることを強くお勧めします
- 日本郵便での提出は通信日付印(消印)により期限内かどうか判定されるのが原則です。期限間際の場合は、郵便局の窓口で差し出して通信日付印が付く形で送付するか、不安な場合は窓口持参またはe-Taxを推奨します
書面で提出する場合は、所轄税務署ではなく業務センターが郵送先となることがあります。郵送前に、国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」で送付先を確認してください。
なお、2025年1月から申告書・届出書等の控えへの収受日付印の押なつは廃止されています。ただし、返信用封筒(切手を貼り、自分の宛先を書いたもの)を同封すると、当分の間、日付・税務署名を記載したリーフレットが返送されます。提出事実を書面で確認したい場合は同封するとよいでしょう。
(3)e-Tax(電子申告)で提出する
インターネットを使ってオンラインで提出する方法です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、必要な情報を入力することで提出が可能です。
e-Taxを使う手順(贈与税申告書と同時に提出する場合)
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- 「贈与税の申告書」を選択する
- 相続時精算課税制度を選択し、届出書の情報を入力
- マイナンバーカードを使って本人確認・電子署名を行う
- 送信して完了
メリット:税務署に行く必要がない。24時間(システムメンテナンス時間を除く)手続き可能。書類の郵送も不要。
準備するもの:マイナンバーカード、ICカードリーダーまたはスマートフォン(マイナポータルアプリ対応機種)
贈与税申告書と一緒に提出する場合は、上記の手順のとおり確定申告書等作成コーナーを利用します。相続時精算課税選択届出書のみを単独でe-Tax提出する場合は、ダウンロード型の「e-Taxソフト」をご利用ください(確定申告書等作成コーナーでは届出書単独の作成・送信はできません)。
書面提出も可能です。
(4)税理士に依頼する
「書類の収集や作成を行っている時間がない」「贈与財産の計算を適切に行えているか不安」といった場合には、専門家である税理士に相談・依頼を行いましょう。
税理士に依頼すれば、贈与財産の計算や書類の収集・作成を適切かつスムーズに行ってくれます。
また、相続時精算課税制度を利用することで贈与税や相続税の節税となるのか、ほかに利用できる制度がないかどうかを確認することも可能でしょう。
相続時精算課税制度を利用すると、その選択をした贈与者からの贈与については、その後一生、暦年贈与の方法に戻すことができなくなることからも、専門家に相談して慎重に判断することをおすすめします。
依頼の費用が気になる方は、相談の際に見積りを聞いておきましょう。
届出書の作成や申告は自分でできる?判断のポイント
相続時精算課税選択届出書の提出による相続時精算課税制度の利用手続きは、税理士に相談・依頼せずに可能かどうかの判断基準について紹介します。
自分で手続きしやすいケース
以下のような場合は、届出書の作成・提出を自分で行いやすいです。
- 贈与財産が現金のみである
- 贈与者が1人(父または母、祖父母の1人)だけである
- 贈与者・受贈者ともに日本国内に住所がある
- 他に相続・贈与に関する複雑な事情がない
税理士への相談を検討すべきケース
一方、以下のような場合は、税理士への相談を検討することをお勧めします。
- 贈与財産に不動産や株式・非上場株式が含まれる(評価額の計算が複雑)
- 贈与者が複数いる、または相続時精算課税と暦年贈与を組み合わせて使いたい
- 将来の相続税も含めた全体的な節税計画を立てたい
- 期限を過ぎたなど、通常とは異なる状況になっている
- 贈与者・受贈者のどちらかが海外在住である
税理士への依頼費用は状況により異なりますが、手続きミスによるペナルティや税負担の増加を防ぐ意味でも、複雑なケースでは専門家のサポートを受けることが安心です。
相続時精算課税選択届出書に関する疑問
Q. 相続時精算課税選択届出書は誰が提出するのですか?
届出書を提出するのは、贈与を受けた人(受贈者)です。
贈与をした人(特定贈与者)ではない点に注意してください。
提出先は受贈者の納税地を所轄する税務署です。相続時精算課税は贈与者ごとに選択できる制度のため、この制度を選択する贈与者について届出書を提出すれば足り、贈与を受けたすべての贈与者について提出する必要はありません。
Q.郵送で提出した場合、控えを受け取る方法はありますか?
郵送で切手を貼った返信用封筒を同封した場合は、日付・税務署名を記載したリーフレットが返送されます(2025年1月以後、控えへの収受日付印の押なつは廃止されています)。
提出事実の確認が必要な場合は、税務署での閲覧サービスや保有個人情報の開示請求をご利用ください
Q.住所が変わった場合、届出書にいつの住所を記載すればよいですか?
届出書には住所又は居所を記入しますが、贈与を受けた時点と提出時点とで住所が変わっている場合など、どちらの住所を記載すべきか迷うケースでは、提出先の税務署に確認することをお勧めします。
Q.届け出の前に受贈者が死亡した場合はどうなりますか?
受贈者が贈与を受けた年の翌年3月15日以前に死亡し、相続時精算課税選択届出書を提出していない場合は、受贈者が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に同届出書を提出することで、相続時精算課税制度の適用を受けられます。
このようなケースで相続人が2人以上いる場合は、受贈者の相続人(包括受遺者を含み、贈与をした特定贈与者を除く)全員が「相続時精算課税選択届出書付表」に連署します。届出書と付表は、亡くなった受贈者の納税地を管轄する税務署に提出します。
また、添付書類として、受贈者のすべての相続人を明らかにする書類も必要です。
Q.「確定申告」の際に申告を行えばよいのか?
「相続時精算課税制度 確定申告」で検索する方も多いですが、贈与税の申告は、毎年2~3月に行う所得税の確定申告とは全く別の手続きです。
| 項目 | 贈与税申告 | 所得税の確定申告 |
|---|---|---|
| 対象 | 贈与を受けた財産 | 1年間の所得(給与・事業収益など) |
| 提出書類 | 贈与税申告書(第一表・第二表) | 確定申告書(第一表・第二表) |
| 提出期限 | 翌年2月1日~3月15日 | 翌年2月16日~3月15日 |
| 提出先 | 受贈者の住所地を所轄する税務署 | 納税者の納税地を所轄する税務署 |
提出時期が重なるため混同しやすいですが、手続きは全く別です。
会社員で給与所得のみの方は、通常、所得税の確定申告は不要です。贈与を受けた場合でも、相続時精算課税の基礎控除額(110万円)以下であれば贈与税申告書の提出は原則不要ですが、これを超える場合や他の事情がある場合は別途、贈与税申告書の提出が必要になります。
まとめ|不安な点は税理士に相談
相続時精算課税選択届出書の手続きについて、重要なポイントをまとめます。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 入手方法 | 国税庁ウェブサイトからPDFをダウンロード、または税務署窓口でもらう |
| 提出期限 | 贈与を受けた年の翌年3月15日 |
| 提出先 | 受贈者(もらった側)の納税地を所轄する税務署 |
| 提出方法 | 窓口持参・郵送(記録が残る方法で)・e-Tax |
| 添付書類 | 提出方法・状況により異なる。最新の国税庁案内を確認 |
| 申告書との関係 | 贈与額が年110万円を超える場合は、贈与税申告書と同時に提出 |
| 確定申告との違い | 贈与税申告は所得税の確定申告とは別の手続き |
| 毎年提出の必要性 | 初回のみ。同一贈与者からの贈与は2年目以降不要 |
相続時精算課税制度を活用するための最初の一歩は、届出書を期限内に正確に提出することです。
この記事を参考に、余裕をもって手続きを進めてください。
不安な点がある場合は、早めに税務署や税理士に相談することをお勧めします。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士
