残業60時間がきつい!残業代や違法となるケースについて解説

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残業60時間

「月の残業時間が60時間を超えており、家族との時間が取れない」
「60時間以上残業しており、健康面の心配がある」

毎月のように60時間以上残業している方の中には、プライベートの時間もとれず、肉体的にも精神的にも疲弊してしまうという方も多いのではないでしょうか。

労働基準法では、法定労働時間を原則1日8時間、1週40時間と定めています(労働基準法32条)。

この法定労働時間を超えて残業がおこなわれた場合は、基本的に25%以上の割増率で計算した割増賃金が支払われることになります。

今回は、月に60時間以上残業している場合に支払われる残業代や、残業自体が違法となるケースについて解説します。

月60時間以上残業した場合のポイント

1か月に60時間以上残業したときのポイントとして、以下のようなものが挙げられます。

月60時間以上残業した場合

  • 割増賃金の割増率は50%以上になる
  • 代わりに休暇を与えられることもある

月60時間以上の残業は50%以上の割増率

月に60時間を超える残業をした場合には、50%以上の割増率で計算した割増賃金が支払われます。

この規則は、かつて大企業のみに適用されており、中小企業は割増率が25%となっていました。

2023年4月からは、中小企業や大企業といった企業の規模にかかわらずこの規則が適用されているので、残業代の計算に注意が必要です。

月60時間以上の残業では代替休暇も可能

月60時間以上の残業については、50%以上の割増率で計算した割増賃金を支払う必要がありますが、割増賃金を支払う代わりに、半日や1日単位で休暇を与えること(代替休暇)も認められています。

しかし、割増賃金率が50%に満たない場合は代替休暇は適用されません。

また、労働者が代替休暇を受け取るかどうかについても、個々の判断にゆだねられています。

月45時間を超える残業が続くと違法のおそれも

原則として、月45時間以上の残業が何か月も続く場合、違法とみなされるおそれがあります。

36協定の締結と届け出が必要

1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて労働者が働くときには、労使協定(いわゆる36協定)を結ぶ必要があります。

36協定を結んだだけで、労働基準監督署長に届け出ていない場合や、そもそも36協定を結んでいないという場合には、法定時間を超える残業は違法となります。

36協定があっても月45時間・年360時間を超える残業は違法

36協定を結んでいても、「月45時間・年360時間」を超える残業は、原則として違法となります。

臨時的な特別の事情がある場合は、特別条項付きの36協定を結ぶことで上限を超えた残業をさせられることがありますが、その場合でも残業時間は以下の範囲内で定められていなければなりません。

特別条項付き36協定の残業時間の上限

  • 時間外労働が年720時間以内である
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満である
  • 2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のいずれの期間においても、時間外労働と休日労働を合わせて平均80時間以内にしなければならない
  • 月45時間を超える時間外労働は、年6か月まで(1年に6回まで)

したがって、月45時間を超える残業が何か月も続いている場合は、違法と判断されることもあります。

そのほかに残業が違法になるケース

36協定に関する規制以外で、違法な残業とみなされるケースもいくつか存在します。

そのほかに残業が違法となるケース

  • 残業代が正しく計算されていない
  • みなし残業制度が守られていない
  • いわゆる「名ばかり管理職」になっている

残業代が正しく計算されていない

従業員が月60時間を超える残業をおこなった場合は、企業の規模にかかわらず50%以上の割増率で計算された割増賃金が支払われなければなりません。

適切な残業代が支払われていない場合は、違法な残業といえるでしょう。

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残業代の正しい計算方法とは?基本から応用的な計算まで徹底解説!

みなし残業制度が守られていない

みなし残業(固定残業)とは、実際の残業時間にかからわず、あらかじめ決められた一定時間の残業代を給与に含めて支払う制度です。

一定時間を超えて残業しているのにもかかわらず、超過分の残業代が支払われていないケースは違法といえます。

こちらの内容について詳しく知りたい方は『みなし残業(固定残業)とは?違法になるケースや違法な残業への対処法』の記事をご覧ください。

いわゆる「名ばかり管理職」になっている

労働基準法では、管理監督者に該当する管理職であれば、労働時間、休憩および休日に関する規定は適用されないと定められています(労働基準法41条2号)。

しかし、すべての管理職が管理監督者に該当するわけではありません。

労働基準法上の「管理監督者」に該当するかどうかは、「責任や権限」「職務内容」「待遇面」などによって判断されることになります。

いわゆる「名ばかり管理職」に該当しており、残業代が支払われない場合は、違法といえます。

こちらの内容について詳しく知りたい方は『管理職は残業代が出ない?残業代がもらえるケースや基準を解説』の記事をご覧ください。

長時間の残業や未払い残業代の対処法

60時間におよぶ残業や、残業代が未払いになっているということでお悩みの方は、すぐに以下のような対処法をとることをおすすめします。

長時間の残業や未払い残業代の対処法

  • 退職・転職する
  • 労働組合や労働基準監督署に相談する
  • 弁護士に相談する

退職・転職する

長時間におよぶ残業が常態化している状況では、過労死のリスクが非常に高くなり、命の危険があります。

もちろん、「残業が60時間を超えたのは先月だけ」という場合でも、今後より長い時間残業を強いられるおそれもあるでしょう。

残業時間が80時間を超えると、過労死のリスクが高まります。

80時間残業した場合の過労死のリスクについて詳しく知りたい方は『残業80時間は過労死ライン!過労死ラインや違法となるケースについて解説』の記事をご覧ください。

会社側が長時間の残業を命令してくるという場合には、健康なうちに会社を退職したり、転職したりすることをおすすめします。

未払いの残業代が残っているというケースでも、退職後に残業代を請求することはできるので安心してください。

退職後のの残業代請求のポイントについて詳しく知りたい方は『残業代請求は退職後でも可能!注意点や退職後の証拠の集め方を解説』の記事をご覧ください。

労働組合や労働基準監督署に相談する

個人で対処することが難しいという場合には、労働組合や労働基準監督署に相談することで、状況の改善が見込めることもあります。

残業によって健康被害が生じているという際には、労災が認められることもあるので、労働基準監督署に相談してみることをおすすめします。

弁護士に相談する

「残業代が未払いのままで困っている」という場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、代理で会社と交渉を進められます。

健康被害を受けているという場合には、労災保険の申請について、弁護士がアドバイスをしてくれるというメリットもあります。

月60時間以上の残業時間や残業代については弁護士に相談

原則的には、残業時間の上限は、月45時間・年360時間です。

そのため、月60時間も残業をしているという場合には、残業時間の上限規制に違反していることになります。

残業時間や残業代について疑問点やお悩みがある方は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、「未払い残業代があるかどうか判断してもらえる」「会社に対して未払い残業代を代理でおこなってくれる」「労働審判などの法的対応をスムーズに任せられる」といったメリットがあります。

無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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