給料の未払いは弁護士に相談!依頼するメリットと費用を徹底解説
「給料未払いは弁護士に依頼すべき?」
「弁護士費用はどれくらいかかる?」
給料の未払いは違法です。労働に対して適切に給料が支払われないと、未払い給与を会社に請求したいと考えるでしょう。
給料の未払いでお悩みの方は、弁護士に相談することが重要です。
しかし、弁護士を依頼するメリットや依頼する手続きに関してよく分からないと、弁護士に相談すべき内容なのか不安になってしまうでしょう。
この記事では、未払い給料の請求手順や弁護士に依頼するメリット、弁護士費用相場を詳しく解説していきます。
目次
未払い給料の請求手順
そもそも給料未払いが発生する原因を知りたい方は『給料の未払いを請求したい!給料未払いが生じる原因と6つの対処法』の記事もご覧ください。
ここでは、未払い給料の請求手順を詳しく解説していきます。
未払い給料の金額を確定させる
会社から給料が予定通り振り込まれない場合、最初にすべきことは未払い給料の金額を確定させることです。
未払い給料の金額を確定させるためには、未払いであることを証明するもの、支払われる賃金を証明するものである2種類の証拠が必要です。
給料が未払いであることを証明する証拠として、給与明細や源泉徴収票などが挙げられます。
また、支払われる賃金を証明する証拠としては、雇用契約書や労働条件通知書を用意するといいでしょう。
勤務したことを証明する証拠を集める
次に、ご自身が会社にどれくらいの時間勤務していたかを証明する証拠も併せて集める必要があります。
勤務したことを証明する証拠は下記のものなどが当てはまります。
勤務していたことを証明する証拠
- タイムカード
- 業務日誌
- 月報
- シフト表
- 運転日報
しかし、タイムカードなどは会社が改ざんしてしまう可能性がありますので、併せて以下の証拠を集めると良いでしょう。
未払い給料の請求で有効となる証拠
- 勤務時間と業務内容を記録したメモ
- 電話やメール、FAXの履歴
- パソコンのログ
特に勤務時間や業務内容を記録したメモは、細かいほど信ぴょう性が増します。
出退勤時間は1分単位で記入だけでなく、何時から何時までどんな作業していたかまで細かくメモをしておくと、法的に有利な証拠になる可能性が高くなります。
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・給料未払いの証拠がない!対処法や請求をする際の手順を解説!
内容証明郵便を送る
上記の給料が未払いである証拠を集めたら、内容証明郵便で会社に未払い給料を請求しましょう。
内容証明郵便とは、文書の内容と誰から誰に差し出されたかを郵便局が証明してくれる郵便のことです。
参考:日本郵便「内容証明」
さらに、配達証明書つきの内容証明郵便で送れば配達記録も残るので、会社側からそのような郵便は届いてないと言われるのを防ぐことができます。
また、内容証明郵便を送ることにより、催告といって時効を6か月間止めることができます。
未払い給料の消滅時効は3年です(令和2年4月1日以降に支払い期日が到来した賃金の場合)。
時効期間が過ぎてしまうと会社から「時効期間が経過しているから払わない」と言われてしまえば、回収することができなくなってしまいます。
時効が迫っている未払い給料がある場合は、早急に内容証明郵便を送って時効の完成を止めましょう。
内容証明郵便は、ご自身で書くことも可能ですが、不安であれば費用はかかりますがこの段階で弁護士に代筆を依頼することもできます。
労働基準監督署へ通報する
内容証明を送っても会社が応じない場合は、労働基準監督署(労基署)に通報しましょう。
この時、上記で説明した会社が給料未払いだという証拠があれば、労基署が動いてくれる可能性が高くなります。
労基署が会社を立ち入り調査した結果、給料未払いの事実が発覚すれば給料を払うように是正指導・勧告をします。
ただし、労基署からの是正指導・勧告には強制力はないので会社が対応しない可能性もある点に注意が必要です。
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労働審判を申し立てる
労基署に通報しても労基署が動いてくれなかったり、会社に是正指導・勧告をしても、会社からの無視されるなどして解決に至らなかった場合は、労働審判を申し立てることをおすすめします。
労働審判の制度の内容について詳しく知りたい方は、『労働審判とは?制度の内容や手続きの流れを弁護士がわかりやすく解説』の記事をご覧ください。
労働審判のメリットは、原則3回以内の期日で終了するため、平均2〜3か月程度で解決できるところです。
原則3回以内の期日で話し合いがまとまらず、解決できない場合は審判が行われることになります。
また、調停での決定や審判内容は、裁判上の和解と同じ効力があり会社側が応じない場合は強制執行する事も可能です。
ただし、ここで会社側との話し合いがまとまらずに、出された審判に会社側が納得せず異議を申し立てた場合は訴訟手続きに発展します。
労働審判は会社を相手にとり、話し合いとなります。提出する書面や審判の手続きには法的な知識や経験が要求される場面もありますので、不安な方は弁護士に依頼するのがおすすめです。
裁判を起こす
労働審判でも解決しない場合、訴訟をして未払い給料の請求をすることになります。
裁判になると、労働審判とは異なり手続きも厳格で、専門的な知識が必要です。
労働審判では弁護士に依頼していなかった方も、裁判まで発展したら労働問題に強い弁護士に依頼して対応を任せることをおすすめします。
弁護士にはなるべく早く相談すべき
未払い賃金のトラブルについては、なるべく早く弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士は会社に対して直接賃金を支払うよう交渉することができ、会社との交渉がうまくいかない場合は、スムーズに労働審判、裁判に手続きを移行することができます。
会社としても裁判のリスクがあるという点で、労働者が弁護士に依頼したという事実は非常に大きなプレッシャーとして機能します。
なるべく早くから弁護士に相談することで、早急にトラブルを解決できる可能性が高まるわけです。
未払い給料の請求を弁護士に依頼するメリット
支払いが遅れた分の遅延損害金も併せて請求可能
ご自身で未払い給料を請求されても、会社からうまくごまかされたりするなどしてしまう可能性があります。
交渉のプロの弁護士に依頼することによって、会社からしっかりと未払い分の給料を回収できる可能性が格段に高くなります。
また、「遅延損害金」といって給料の支払いを遅延した日数分請求することができます。
遅延損害金は、在職中は年3%、退職後は年14.6%です。
ご自身では、なかなか遅延損害金を正確に計算して請求することは難しいですが、弁護士であれば正確に計算して、遅延損害金も含めて全額請求して回収できる可能性が高まります。
証拠がない場合でも開示請求が可能
未払い給料の請求は、上記した通り証拠が必要です。
しかし、雇用契約書や労働条件通知書、給与明細などはなくしてしまって手元にない可能性もあります。
また、タイムカードなどは通常、会社が管理しています。
これらの書類は、会社が再発行しなくてはならないという法律がないので「再発行してください」と申し出ても、取り合ってもらえないことも少なくありません。
そのような場合は、「証拠保全」や「文書提出命令」といった強制的な開示手続きをすることによって、未払い給料の証拠を入手することが可能です。
証拠保全や文書提出命令は裁判所を通すことになるので、厳格な手続きが必要です。弁護士に依頼することによって、このような手続きも任せることができます。
裁判以外による解決も目指せる
弁護士といえば、裁判を思い浮かべる方も多いかと思いますが、弁護士は裁判以外にも話し合いで解決することも多くあります。
特に、ご本人では会社に未払い給料の請求をしても会社に無視されていた場合でも、弁護士が代理人としてでてきたらすんなりと解決したという事例も少なくありません。
未払い給料の請求で弁護士にかかる費用は?
最初の相談は無料のところが多い
まず、弁護士の法律相談は、初回は無料で行っているところも多いです。
そこで、初回相談では未払い賃金の回収の見込みや弁護士費用との兼ね合い、今後どうするかの方向性などを最初に相談して見通しを立てるのが良いでしょう。
有料相談の場合、相談費用の相場は30分5000円程度となります。
着手金、成功報酬金などが主な弁護士費用
正式に依頼するとなれば、着手金がかかります。
着手金は事務所やどのような方法を選択するかによってばらつきが大きい費用です。おおよそ10万~20万円程度が多いと思われますが、着手金も無料としている事務所もあります。
もう1つの代表的な費用として、成功報酬があります。これは、未払いの給料を会社から回収できた場合に、その回収額に応じて支払うものです。その額は、相談料や着手金額の設定とも関係しますが、大体回収額の20%程度が相場と考えられます。
その他、解決手段を講じるための実費も発生します。会社との交渉だけで終われば1万円以内で収まることも多いですが、労働審判や訴訟となれば数万円以上かかってきます。
弁護士に依頼する場合、時間と費用の発生はデメリットの最たるものです。事前に十分確認しておきましょう。
完全成功報酬型のところもある
完全成功報酬型を採用している弁護士事務所もあります。
そのような弁護士事務所は、着手金を一切とらないで和解や裁判で勝訴して得られた未払い給料や遅延損害金から成功報酬をとるため、未払い給料を回収できなかった場合、お金はかかりません。
ただし、通常の完全成功報酬型ではない弁護士事務所に比べて、解決したときの成果報酬は高めになっている場合が多いので注意が必要です。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了