給料未払いのおすすめ相談先5選と注意点!
「給料未払いはどこに相談すべき?」
「相談するときに必要な準備は?」
頑張った労働に対してその賃金が支払われないのは理不尽ですよね。
給料の未払いは違法です。従業員は会社に対して未払い給料を請求する権利がありますが、会社が支払わないときは第三者に相談するのも解決策の1つです。
給料の未払いに悩む方に向けて、今回の記事では、給料未払いの相談窓口や、相談する際の注意点、弁護士に相談する場合の流れなどについて詳しく紹介します。
目次
給料未払いの相談先5選!悩みはすぐに解決しよう!
給料未払いの相談先①労働組合
1つ目の相談先は労働組合です。労働組合は、職場におけるさまざまな問題や労働条件(賃金、働く時間、勤務制度など)の改善について会社と交渉・協議する権利を持っています。
給料の未払いも、交渉・協議する事項の1つです。
労働組合によっては、従業員に代わって組合が未払給与の支払いを会社に請求してくれることもあります。
また、労働組合には労働問題に詳しい人がいて相談に乗ってくれることもあります。
ただし、勤務先に労働組合がなかったり、個別案件では会社と交渉・協議してくれない労働組合もあるため、解決手段にならないケースもあります。
また労働組合は「業界」「職種」「性別」「地域」にそれぞれ専門分野や特化領域があるので、自分の属性にあったユニオンを選ぶことも重要です。
ユニオンによっては、会費の支払いや組合活動への参加が求められる場合もあります。
給料未払いの相談先②無料の相談窓口
2つ目の相談先は公的な無料相談窓口です。労働問題などで悩む人のために、国ではさまざまな無料の相談窓口を設けています。主な相談窓口は次の通りです。
総合労働相談コーナー
労働基準監督署や労働局に設置されている総合労働相談コーナーは、職場のトラブルに関する相談や解決のための情報提供をワンストップで行っています。
解雇やセクハラ・パワハラなど労働問題に関するあらゆる分野について電話や面談で相談できます。
また、状況に応じて適切な相談先や解決策も案内してくれるので、どこに相談していいのかわからない場合も気軽に相談できます。
最寄りの労働相談コーナーは下記リンクで確認できます。
労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは、違法な時間外労働や給料の未払いなどの労働基準関係法令に関する電話相談窓口です。
相談員が、法律や裁判例をふまえた相談対応や相談先の紹介などをしてくれます。
土曜・日曜を含めて全国どこからでも無料のフリーダイヤルで電話相談できるため、まず最初に電話相談してみるのもいいでしょう。
参考:厚生労働省「労働条件相談「ほっとライン」に相談してみよう」
法テラス
法テラスは、労働問題を含む各種法的トラブルの解決に向けた情報やサービスを行うために設けられた国民向けの法的支援機関です。
法テラスでは、電話や面談で弁護士などの専門家に無料で相談できます。
最寄りの相談窓口は下記リンクで確認できます。
参考:日本司法支援センター法テラス「お近くの法テラス(地方事務所一覧)」
ただし、法テラスは経済的に余裕のない人のために無料法律相談を行っているため、収入要件に該当しないと無料では利用できません。
給料未払いの相談先③社会保険労務士
3つ目の相談先は社会保険労務士です。社会保険労務士は、労働基準関係法令の専門家です。
相談だけでなく、従業員に代わって会社に支払いを促してくれるケースもあります。
ただし、社会保険労務士の主な顧客は会社であり、逆の立場にある従業員からの依頼は受けていないケースもあります。
また、訴訟などで会社と争う場合は、一般的には弁護士へ依頼することになります。
給料未払いの相談先④労働基準監督署
4つ目の相談先は労働基準監督署です。労働基準監督署は、会社が労働基準法を遵守しているかを管理・監督し、法令に違反している会社に対し指導や勧告を行います。
労働基準監督署は電話、メールのほか、来所して窓口で相談することが可能です。相談料は無料です。
なお対応する労働基準監督署は自宅の最寄りの労働基準監督署ではなく、勤務先の事業所(工場、支店)を管轄する労働基準監督署になるので、その点には十分に注意してください。
労働基準監督署に相談する場合は、会社が労働基準法に違反している証拠を可能な限り集めることが重要です。
証拠が不十分だと直接的な会社対応をしてもらえないケースもあります。
また、労働基準監督署の指導や勧告には強制力がないため、会社が指導や勧告を無視すれば問題は解決しません。
給料未払いの相談先⑤弁護士
5つ目の相談先は弁護士です。弁護士は法律の専門家で、中には労働問題を得意にしている弁護士もいます。
依頼者の希望に応じて、相談対応や会社との直接交渉、訴訟対応などをしてもらえます。
無料相談に対応している弁護士であれば、相談段階ではお金はかかりません。依頼した場合は交渉や請求、裁判などを依頼できるので、未払い給料の獲得が見込めるでしょう。
専門家がさまざまな場面で個別に対応してくれるので安心ですが、公的な機関というわけではないので一定額の弁護士費用はかかります。
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給料未払いの相談先:警察は詐欺など犯罪にあたる場合のみ
給料の未払いは「基本的には民事事件」であるため、警察が対応するのは難しいでしょう。
警察は民事不介入の原則を守ります。警察が介入できるのは、刑法など刑罰の定められた法律に違反した事件だけなのです。
万が一、給料未払いを経営者に問い合わせて、殴られたり脅迫されたりした場合には、警察に相談しましょう。
未払い給料を相談するときの注意点①時効
給料未払いの請求の時効は3年
現在の給料未払いの請求の時効は「3年」です。
労働基準法115条では賃金の請求権は5年間で時効消滅すると定められていますが、急激な変化を避けるために当面は時効を3年間とする暫定措置(労働基準法附則143条3項)があります。
ただし、上記の規定は2020年4月に改正された民法第166条(債権等の消滅時効)に合わせて改定されたもので、2020年3月末日以前の時効は「2年」です。
時効を止める方法はある?
時効を止めるためには、「時効の更新」または「時効の完成猶予」を行います。
「時効の更新」と「時効の完成猶予」
- 時効の更新:時効の起算日を更新すること(時効のリセット)
- 時効の完成猶予:所定の手続きから6か月経過するまで時効を完成させないこと(時効の延長)
裁判で給与未払いが確定したり、会社が給与未払いがあることを認めた場合、時効は更新されます。
また、従業員が会社に催告(未払い給料の請求)をした場合、時効は完成猶予され催告から6か月経過するまで時効は完成しません。
催告方法は口頭でも可能ですが、催告した証拠を明確に残すため、会社に内容証明郵便を送付することをおすすめします。
未払い給料を相談するときの注意点②事前準備
給料未払いの証拠を収集
事前準備で最も重要なことは、給料未払いの証拠を集めることです。訴訟での証拠になるだけではなく、会社と直接交渉するときにも役に立ちます。
収集しておきたい証拠は主に次の3つです。
収集しておきたい証拠
- 本来支払うべき賃金を証明する証拠(労働契約書、就業規則 など)
- 実際に支払われた賃金を証明する証拠(給与明細書、賃金台帳、給与が振り込まれた通帳 など)
- 実際の勤務時間を証明する証拠(タイムカード、勤務記録表、業務日報 など)
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内容証明郵便を送り会社と交渉
給与が支払われない場合、会社の上司や担当部署に相談して穏便に解決できれば理想的です。支払われなければ、無料の相談窓口に相談するのもいいでしょう。
しかし、弁護士など有料の相談を検討する場合、まずは自分で会社と交渉してみるのも選択肢の1つです。
交渉の第一段階としておすすめするのが内容証明郵便を使った請求です。
口頭で相談したときは相手にしてもらえなかったのに、内容証明郵便を送付したら会社側から話し合いを提案してくることもあります。
内容証明郵便によって会社が訴訟リスクを意識するなど、一定の牽制効果が期待できます。
内容証明の主な記載内容は次の通りです。
内容証明の主な記載内容
- 請求者(従業員)と請求相手(会社)の名前・住所
- 請求日
- 請求内容(◯月◯日の残業代◯円を請求する、など)
- 支払期限 など
参考:日本郵便「内容証明」
時系列や質問の整理
相談前には給与未払いの経緯を時系列に整理しておきましょう。質問したい内容なども同様です。
相談先によりますが、相談時間に制約がある場合、事前に経緯や質問内容を整理しておくと効率的に相談できます。
状況などを正しく伝えることも出来るので、より的確なアドバイスが期待できます。
弁護士相談後の流れ・手続き
会社と交渉
弁護士に相談すると、弁護士に会社と直接交渉してもらえます。法律に詳しくない従業員に対しては高圧的であった会社が、専門家である弁護士を相手にすると態度を一変させることもあります。
一般的に、従業員個人が会社と交渉するより、弁護士を通じてするほうが交渉は有利に進みます。
支払い督促
支払い督促とは、簡易裁判所に会社に対する請求内容を記載した支払督促申立書を提出すると、裁判所が内容を確認して支払督促書面を会社に送付してくれる制度です。
会社が2週間以内に異議を唱えなければ、支払督促の内容が法的に確定します。
法的拘束力を持った方法ですが、会社が異議を申し立てれば最終的には訴訟となります。
労働審判
労働審判は、裁判官と労働審判員により3回以内の話し合いで問題解決を図る制度です。
当事者間で和解するか、裁判所による審判に当事者が異議申し立てをしなければ問題は解決します。
裁判と比較して費用と時間は少なくて済みますが、異議申し立てがあれば問題は解決されないまま労働審判は終わります。
参考:労働審判手続
民事訴訟
支払督促や労働審判は民事訴訟より簡単に問題解決を図る方法ですが、会社の異議申し立てにより民事訴訟、いわゆる裁判に移行し、その後公判、判決と進みます。
基本的には、弁護士のアドバイスに従って訴訟を行います。
原告・被告の控訴がなければ、裁判所の判決が最終的な問題解決となります。詳細に検討した結果である判決を得られますが、訴訟には時間と費用がかかります。
給料未払いは弁護士にすぐ相談しよう
会社と直接交渉しても問題解決しない場合、給料未払いの相談は弁護士がおすすめです。
弁護士であれば、相談者の希望に合わせた対応が期待できるからです。会社との直接交渉から法律的な手続きまで対応可能で、専門知識も豊富です。
また、未払い給料の請求には時効があるため、弁護士へ依頼するなら、今すぐ相談しましょう。
初回相談は無料の弁護士事務所もあるので、検討してみましょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了