うつ病で退職する前にすべきこと5選!退職までの流れも解説!

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うつ病で退職

「うつ病で退職を検討している」
「うつ病で退職しても問題ない?」

仕事によるうつ病で退職を検討している方の中には、退職後の生活の不安や退職後の手続きなどが分からない方は多いのではないでしょうか。

この記事では、うつ病で退職を検討されている方に向けて、退職前にすべきこと5選と退職後の流れを紹介します。

退職後の手続きや受け取れるお金についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

うつ病で退職する前にすべきこと

うつ病は、心身の健康を著しく損なう病気です。

退職は大きな決断ですが、うつ病の状態だと判断力が鈍っている可能性もあります。大きな決断は、うつの症状が落ち着いてから取ることが得策です。

後悔のない選択をするために、以下の点は確認しておくべきでしょう。

うつ病の退職前にすべきこと5選

  1. 医師に相談する
  2. 家族に相談する
  3. 退職後のもらえる手当を確認する
  4. 労災の申請を検討する
  5. 会社に相談する

医師に相談する

まず、医師に相談し、現在の症状や治療状況を把握することが重要です。

医師に相談すれば、病状に基づいて、退職が適切かどうかを判断してもらうことができるでしょう。

もっとも、医師の診断を受けておらず、「うつ状態」とご自身で判断している場合には、一度心療内科・精神科に行き、診断を受けましょう。

会社への提出や必要な手当てを受けるために、診断書が必要な場合もあります。診断書をもらうためにも、医療機関の受診は必要です。

家族に相談する

医師からも「退職したほうがいい」といったアドバイスを受けた場合には、家族に相談しましょう。

退職は、本人だけでなく、家族にも大きな影響を与えます。

経済的な問題や家事分担など、退職後の生活について家族とよく話し合い、理解を得ることが大切です。

退職後にもらえる手当を確認する

退職すると収入が減り、生活が困窮する可能性があります。

退職後にもらえる手当には、失業手当や傷病手当金などがあります。

失業保険や傷病手当金などの制度を活用できるかどうか、事前に確認しておきましょう。

労災の申請を検討する

長時間労働や仕事の過度なストレスが原因でうつ病になった場合には、労災の申請を検討しましょう。

うつ病が労災認定されれば、労災保険によって補償を受けることが可能です。しかし、労災認定を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 労災認定基準の対象となる精神疾患を患うこと
  2. 発病前の約6か月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外、もしくは個体要因による発病ではないこと

1月あたり100時間を超える長時間労働や暴言・暴力といったパワハラ、身体接触を含むセクハラを繰り返し受けた場合などは、労災認定される可能性が高まります。

労災の申請に関してお悩みの方は、労働基準監督署に相談しましょう。

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会社に相談する

会社に相談することで、退職以外にも休職や配置転換などの選択肢を取れる場合があります。

時短勤務や配置転換で業務の負担を軽減できれば、働き続けることができるかもしれません。

退職しか頭にないときには、「会社に言ってもどうせ無理だ」と考えてしまいますが、一度会社に相談してみるといいでしょう。

また、会社に休職制度があれば休職をおすすめします。

休職をすることによって時間を確保できるため、後悔のない選択を取れる可能性が高まります。

退職ではなく休職をおすすめする理由

うつ病を患った際に、退職ではなく休職をおすすめする理由は、下記の3つです。

うつ病で休職をおすすめする理由

  • 生活費に困らない
  • 心に余裕が生まれる
  • 将来設計を深く考えられる

生活費に困らない

1つ目の理由は、生活費に困らないことです。

企業に所属していた場合、企業の健康保険組合から傷病手当金を受給することができます。

とくに大企業に勤めていれば、会社独自の健康保険組合があることが多く、通常の傷病手当金の申請よりも手続きが楽です。

具体的には「傷病手当金のフォーマットが会社独自であること」「傷病手当金の申請書類を会社に書いてもらう必要がないこと」が挙げられます。

心に余裕が生まれる

2つ目は心に余裕が生まれることです。

退職してしまうと、会社要因とは別の不安が生じることで、うつ病を悪化させてしまう危険性があります。

具体的には、失職したことに対する不安や罪悪感、景気悪化による再就職の不安などがあります。

リーマンショックやコロナ禍のように、療養中に好景気から不景気になることもあり、療養後に再就職先が見つからないことのストレスは想像以上に大きいです。

うつ病の治療に、心に余裕を持つことはとても大切ですので、回復した時に働ける安心材料として休職するのもいいでしょう。

将来設計を深く考えられる

うつ病は、良くも悪くも自分を深く見つめなおすことができます。このことを有効活用して自分の将来設計を深く考えることも大切です。

うつ病を患うほど追い詰められていた方は、仕事熱心で真面目に働いていた方がほとんどだと思います。

心に余裕がないと、どうしても視野が狭くなってしまうのが人間です。

そのため休職せずに退職し、金銭面や周囲からのプレッシャーなどから急いで再就職をすることで、うつ病を悪化させてしまう危険性もあります。

まずは、休職でしっかり療養をとり心に余裕を持たせることが大切です。

うつ病で退職するまでの流れ

休職制度は、労働基準法では定められていないため、各企業ごとに定められているものです。そのため、勤めている企業によっては、休職制度がない場合もあります。

ここでは、うつ病で休職せずに退職するまでの流れについて解説します。

うつ病で退職するまでの流れは、以下のようになります。

退職するまでの流れ

  1. 退職の申し入れ
  2. 業務の引き継ぎと有給休暇の消化
  3. 退職に関する書類の受け取り

退職の申し入れ

まず、会社に退職の申し入れを行います。

会社の就業規則に定められている退職のルールに従い、退職の申し入れをすることが一般的です。

会社にもよりますが、「退職の1か月前までに退職を申し出ること」と定めている企業が多いです。

しかし、民法627条では「労働契約の当事者は雇用の期間を定めなかった場合には、各当事者はいつでも解約の申出を行うことができ、この場合、申込から2週間を経過することで労働契約が終了する。」とあります。

つまり、期間の定めのない雇用契約では、法律上、退職日の2週間前に退職を申し入れれば退職可能です。

うつ病で体調が悪化しており、退職の意思を告げてから1か月働くことが難しい場合でも、2週間経てば退職できます。

会社の就業規則を無視して退職することに不安を抱えている方は、『【弁護士解説】就業規則を無視して退職できるのか』の記事をご覧ください。

業務の引き継ぎと有給の消化

業務の引き継ぎが必要な場合には、引き継ぎ資料の作成や後任の指導などの引き継ぎを行いましょう。

うつ病の場合、体調面から引き継ぎが難しいことも考えられます。できる限りの引き継ぎは求められますが、会社と自身の体調を相談しながら引き継ぎを行いましょう。

また、有給休暇が残っている場合には、すべて消化してから退職できます。

退職する前に有給をまとめて使うこと心配する方もいると思いますが、会社が有給休暇の取得を拒否することはできません(労働基準法39条)。

通常の場合であれば、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社には有給休暇を別の日に変更にさせる権利、時季変更権があります(労働基準法39条5項)。

しかし、退職を前提とした有給休暇の消化の場合、変更する日が退職日以降となるため、退職前の有給休暇の消化に対して時季変更権は利用できません。

つまり、溜まっていた有給は退職日までにすべて消化できるということです。

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退職に関する書類の受け取り

退職後に失業手当の手続きを行うために、離職票を受け取る必要があります。

離職票は通常、退職から2週間ほどで会社から自宅に郵送されます。

念のため離職票はいつ送られてくるのか、離職票の他に受け取る書面はあるのかなどを確認しておくと、退職してからも安心して過ごすことができます。

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うつ病で退職したらもらえるお金

最後にうつ病で退職したらもらえるお金と必要な手続きについて解説します。

雇用保険の基本手当(失業手当)

失業手当は、退職後一定の条件を満たすと受給できる保険給付です。うつ病で退職した場合でも条件を満たせば受け取ることができます。

失業手当とは会社を退職した後に、次の仕事が見つかるまでの間の生活費を保障する制度です。失業手当で受け取れる金額は、おおよそ退職前の5~8割と考えておけば間違いないでしょう。

ただし、失業手当を受け取ることのできる日数は自己都合・会社都合退職によって異なります。

受給条件について詳しく知りたい方は『失業保険(雇用保険)とは?受給条件・申請期間・無料相談窓口も!』の記事をご覧ください。

傷病手当金

傷病手当金とは、病気やけがで4日間以上働けなかった場合に、給料の一定額が健康保険から支給される制度です。

うつ病で休業中した場合はもちろん、傷病手当の受給期間である「発症から1年半」の間であれば、退職後でも、継続して受給することが出来ます。

傷病手当金では通常の給料の3分の2に相当する金額を、最大1年6か月間にわたって受給できます。

なお、失業手当と傷病手当金は同時に受給できないので注意してください。

まとめ

この記事では、うつ病で退職を検討している方に向けて、退職前にすべきこと5選と退職後の流れを解説しました。

可能であれば休職をおすすめしますが、休職中でも療養の状況や体調の確認のために上司との面談が行われる場合もあります。

うつ病で会社とのやり取りが難しい場合には、まず療養が第一優先であるため、退職も選択肢の一つです。

失業手当や傷病手当金を受け取ったうえで生活の不安を解消し、療養につとめましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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