退職金未払いの無料相談窓口は?退職金が支払われないときの対処法
「退職金が支払われない」
「未払い退職金の請求方法は?」
退職金は、老後の生活費や転職活動資金として当てにしている人も多いでしょう。退職金が支払われないと今後の生活が不安になりますよね。
長年働いたにも関わらず、最後の最後で退職金が未払いであることに不満を覚える気持ちもよくわかります。
貰えるはずだった退職金が支払われていない場合、会社に対して退職金の請求ができます。
今回の記事では、退職金の未払いでお困りの方に向けて、退職金の無料相談窓口や退職金の請求方法を詳しく解説します。
目次
退職金未払いの無料相談窓口は?
退職金未払いの無料相談窓口は以下の窓口があります。
退職金未払いの相談窓口3選
- 弁護士
- 労働基準監督署
- 労働組合
弁護士
退職金の未払いにお困りの方はまずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士なら依頼者の希望に沿ってさまざまな対応をしてくれます。法律面での相談から会社との交渉、ADRや訴訟の対応など、安心して任せることができます。
また、請求開始から問題解決まで、継続して対応してもらえるのは弁護士だけです。
無料相談を実施している事務所もあるので探してみるといいでしょう。
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労働基準監督署
労働基準監督署は、労働に関する法律を会社が遵守しているのかをチェックし、指導票や是正勧告書の交付によって、働く人の権利を守る行政機関です。
労働基準監督署は予約不要で、無料で相談することができます。
相談内容は、退職金の支給条件や額、会社への請求方法など、幅広く対応してもらえます。
ただし、労働基準監督署は、あくまでも行政機関であるため、強制力はありません。会社が退職金を支払わない場合は、裁判などの法的手段を検討する必要があります。
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・労働基準監督署に相談できる内容とは?メリット・デメリットから徹底解説
労働組合
退職金未払いは、労働組合に相談することも可能です。
労働組合に相談することのメリットとして、会社に対して団体交渉をしてくれるという点が挙げられます。会社は正当な理由なく、この団体交渉を拒否することができません。
また、使用者が団体交渉に応じたとしても、不誠実に応じることは不当労働行為として禁止されています(労働組合法第7条2号)。
そのため、団体交渉で会社側と対等に話をした結果、退職金が支払われる可能性もあります。
無料相談を受け付けている労働組合もあるでしょう。
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そもそも退職金が支払われないのは違法?
会社の退職金支払い義務があるのかどうかについて見ていきましょう。法律上の義務がある場合には、退職金が支払われないのは違法です。
会社に退職金を支払う義務はない
労働基準法や関係法令には、会社の退職金支払い義務についての記載がないため、本来、会社に退職金を支払う義務はありません。
従業員の福利厚生などを目的に、多くの会社には退職金規定がありますが、会社が義務で設けたものではなく任意に決めただけです。
ただし、退職金には「賃金後払い的性格」と「功労報償的性格」の2種類があります。功労報償的性格とは長年勤務した者への慰労金という意味です。
退職金が「賃金後払い的性格」を有するものならば、労働基準法の「賃金」に該当するため支払い義務が発生します。
就業規則に書いてあれば退職金支払いは義務となる?
退職金が「賃金後払い的性格」を有していると判断されるのは主に次の2つのケースです。
退職金が賃金後払い的性格を有する場合
- 就業規則や退職金規定に退職金の支払いが明記されている
- 退職金を支払うという労使慣行が存在する
就業規則に退職金の支払いが明記されているケース
就業規則に退職金の支払いが記載されていれば、支給要件を満たす退職者に会社は退職金を支払う義務があります。
就業規則は賃金や労働時間などの労働条件を定めたもので、会社も従業員も就業規則を遵守する義務があるからです。
また、就業規則に記載することで、退職金の「賃金後払い的性格」が強くなります。
退職金を支払うという労使慣行が存在すると認められるケース
就業規則に記載がない場合でも、退職金を支払うという労使慣行が存在すると認められれば、会社に退職金支払い義務が生じます。労使慣行が存在すると認められるには、次の要件が必要です。
労使慣行が存在すると認められる要件
- 期間にわたって退職金の支払いが反復継続している
- これまで、退職金の支払いに対し会社も従業員も異議を唱えていない
- 会社も従業員も、退職金の支払いを一定のルールとして認識している
就業規則に記載がなく、退職金の有無を社長がその都度判断しているようなケースでは、労使慣行が存在するとは言えないでしょう。
解雇されたら退職金は支払われない?
会社から解雇された場合、退職金は支払われないのでしょうか。
解雇の種類によって、退職金の有無は異なります。解雇は大きく「整理解雇」「普通解雇」「懲戒解雇」の3つに分類されます。
解雇の種類
- 整理解雇
会社の経営不振などを理由に解雇せざるを得ない場合、人員削減のために行う解雇 - 普通解雇
病気やけがによる長期の欠勤など、従業員の個人的な状況を理由とする解雇 - 懲戒解雇
会社の規律や秩序に反した従業員に対して懲戒として行なわれる解雇
解雇されても退職金が支払われるケース
整理解雇や普通解雇の場合、退職金は支払われます。
整理解雇は従業員には責任のない会社都合によるものなので、退職金の不払いは認められません。逆に、会社都合のため、退職金が割増されるケースがあるくらいです。
また、普通解雇は従業員の個人的な状況が原因ですが、やむを得ない事情があるのが一般的で、退職金を不払いにするほどの懲罰的な措置は妥当とは言えません。
懲戒解雇されると退職金は支払われない?
懲戒解雇の場合は、退職金が支払われないケースもあります。
懲戒処分には「戒告」「譴責(けんせき)」「減給」「出勤停止」「降格」「諭旨解雇」「懲戒解雇」などがあり、最も重い処分が懲戒解雇です。
ただし、労働基準法第89条では、「制裁の定めをする場合はその種類及び程度に関する事項」を就業規則に記載することを義務付けています。
就業規則に「懲戒解雇の場合は退職金を支払わない」旨の記載がない場合、会社は懲戒解雇した社員に退職金を支払わなければなりません。
未払い退職金の請求方法は?
未払い退職金の請求には証拠が必要
未払い退職金を請求するときに重要なのが、退職金が未払いであることを証明する証拠です。主な証拠は次の4つです。
退職金請求に有効な証拠
- 就業規則、退職金規定
- 労働契約書、労働条件通知書
- 離職票(解雇の場合は解雇通知書・解雇理由証明書)
- 給与明細、出勤簿
退職金規定のない会社で「退職金を支払うという労使慣行が存在する」ことを理由に会社の退職金支払い義務を追求するには、既に退職した人のほとんどが退職金をもらっていたという事実を明らかにしなければなりません。
退職者の協力を得るか、弁護士を通じて会社に情報開示を求める方法などが考えられます。
請求方法①内容証明郵便を送る
請求方法の1つ目は、内容証明郵便を使って会社に未払い退職金の請求をすることです。
内容証明郵便には、請求内容と会社に請求したという事実を証明したり、時効を止めることができたりするメリットがあります。
裁判等で争うことになれば、内容証明郵便は請求の事実を証明する証拠となります。さらに、退職金の時効(5年)が近い場合は、時効を6か月間止める効果もあります。
また、内容証明郵便を受け取った会社が、退職者が訴訟を起こすリスクを想定して、真摯に対応するケースもあります。
請求方法②裁判外紛争解決手続(ADR)を利用する
請求方法の2つ目は、裁判外紛争解決手続(ADR)を利用することです。
ADRとは、時間と費用のかかる訴訟手続を避け、民事上の紛争を解決するために公正な第三者が関与して解決を図る手続きです。
裁判所が行うADRには民事調停や労働審判などがあります。
民事調停とは、裁判官と調停委員2名の調停委員会が仲介し当事者間の話し合いにより解決を図る手続きです。
また、弁護士会が運営する紛争解決センターなど、民間のADRもあります。
ADRは訴訟と比較して手続きが簡単で費用や時間がかからないというメリットがある一方、調停で合意が得られなかったり審判に不服申立てなどがあれば、退職金は支払われないままとなるデメリットもあります。
まとめ
未払い退職金の請求は、未払いを明らかにする証拠集めがポイントです。
就業規則に記載があれば会社に退職金支払い義務があることを証明できます。
会社と直接交渉しても退職金が支払われないときは、弁護士や労働基準監督署など、ご紹介した相談窓口に相談してみましょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了