残業代請求の勝率はどのくらい?残業代を回収できるケースとポイントを解説

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残業代請求の勝率

「未払い残業代の請求をしたいがどれくらいの勝率なのかわからない」
「弁護士事務所の残業代請求に関する勝率を知りたい」

弁護士に残業代請求を依頼するかどうか悩んでいる方の中には、勝率を気にする人も多いと思います。

せっかく依頼したにもかからわず、残業代を受け取ることができないなら、依頼をためらってしまいますよね。

一般的には、残業代請求は有効的な証拠が得やすいことから、労働者側が負けてしまうケースは少ないといわれています。

そこで今回は、残業代を請求する上での勝率の考え方や、残業代を回収できるケースとポイントについて解説していきます。

残業代請求の勝率は気にする必要はない

残業代請求の勝率を気にする方も多いとは思いますが、実際にはあまり気にする必要はないといえます。

残業代請求の勝率を気にしなくていい理由について、大きく以下の2つが挙げられます。

  • 残業代を回収できるかどうかはケースバイケースであるため
  • 個人によって勝ち負けの程度が異なるため

残業代を回収できるかどうかはケースバイケースであるため

未払い残業代の請求については、タイムカードや雇用契約の内容といった有効的な証拠を集めやすく、労働者側の要求が認められることが多いです。

もちろん、証拠が揃っているかどうかや雇用形態によっては、負けてしまうおそれも十分考えられます。

したがって、残業代を回収できるかは時と場合によってまちまちであるため、勝率を考える重要性は小さいと考えられます。

個人によって勝ち負けの程度が異なるため

たとえば、残業代請求に必要な証拠があまり揃っていない状態で、残業代が一部でも回収できた場合、「勝った」と感じる人もいるでしょう。

逆に、残業代を満額回収できたとしても、費用や時間をかけすぎてかえって効率が悪くなったという場合には、「負けた」と感じる人がいるかもしれません。

もちろん、残業代が全く回収できなかったという場合は誰もが「負けた」と認識しますが、「勝った」と認識するケースは人それぞれであるといえます。

そのため、勝率を考える重要性は小さいと考えられます。

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未払い残業代を回収しやすいケース

未払い残業代を少しでも回収できれば、「勝った」と考える人は多いでしょう。未払い残業代を回収しやすいケースには、以下のようなケースが挙げられます。

未払い残業代を回収しやすいケース

  • 有効的な証拠を集められた場合
  • みなし残業代の残業時間以上に残業した場合
  • 管理職という理由で残業代が未払いである場合

有効的な証拠を集められた場合

残業代を請求する上で有効的な証拠を集められた場合には、残業代の未払いが認められる可能性は高いと考えられます。有効的な証拠には、以下のようなものがあります。

未払い残業代請求に有効的な証拠

  • タイムカード等の勤怠記録
  • 就業規則
  • 雇用契約書
  • 業務用PCの使用時間の記録 など

証拠を集めるときには、なるべく長期間様々な種類の証拠を集めておくことがポイントです。

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みなし残業代の残業時間以上に残業した場合

みなし残業(固定残業)は、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度のことです(労働基準法38条)。

決められた時間以上残業している場合は、その分の残業代を請求することができます。

また、みなし残業代については、通常の賃金部分と割増賃金部分が書面ではっきりと区別されていることや、固定手当が割増賃金の対価として支払われていることが必要となります。

みなし残業の制度が正しく運用されていない場合は、みなし残業代自体を否定することも可能です。

管理職という理由で残業代が未払いである場合

管理監督者に該当する職務の人には、残業代を支払わなくてもよいとされています(労働基準法41条2項)。管理監督者に該当する人には、以下のような条件があります。

管理監督者に該当する人

  • 経営や人事に関わるなど経営者と一体的立場にある
  • 労働時間による管理を受けていない
  • 基本給や手当などにおいて、その地位にふさわしい処遇を受けている

管理監督者の条件を満たしていないにもかかわらず、ただ「管理職だから」という理由で残業代が未払いである場合には、残業代を回収できる可能性が高いといえます。

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残業代を回収するうえでのポイント

残業代請求は弁護士に依頼する

残業代請求は個人でおこなうこともできますが、法的トラブルに発展した際に対応が難しくなってしまうということが考えられます。

弁護士に依頼することで、法的トラブルに発展した場合でもスムーズに移行できます。

また、未払い残業代の計算や証拠の収集のサポートをしてもらうことができるので、面倒な手間を弁護士に一任できることもメリットです。

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残業代請求の時効が3年であることに注意

残業代を請求するうえで気をつけておきたいポイントは、未払いになっている残業代を請求できる時効が3年であるという点です(労働基準法115条)。

もし、残業代請求の時効をストップさせたいという場合には、内容証明郵便を使用して、請求書を送るなどといった手段が考えられます。

まとめ

残業代請求の勝率は気になるところですが、残業代請求ではどれだけ有効的な証拠を集めることができるかがポイントです。

残業代請求には時効もあったり、法的トラブルに発展したりするおそれもあることから、残業代請求をお考えの場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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