雇い止めの無料相談窓口3選!拒否できるケースと対処法
「契約更新を急に拒否された」
「派遣社員として長年働いていたのに契約を打ち切られた」
不合理とも思える雇い止めにお悩みの方はいませんか?長年働いていたのに急に契約を打ち切られると、今後どうすればいいのか不安になる方も多いと思います。
雇い止めにあった場合は、専門家に相談することが重要です。
この記事では、おすすめの無料相談窓口や拒否できる可能性がある雇い止めのケース、雇い止めの対処法を解説しています。
目次
雇い止めにあったら行くべき無料相談窓口3選
雇い止めを拒否しても聞き入れてもらえなかった場合は、労働問題の相談窓口へ行くといいでしょう。おすすめの相談窓口として、以下の3つが挙げられます。
雇い止めにあったら行くべき相談窓口
- 総合労働相談コーナー
- 労働基準監督署
- 弁護士
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーとは、雇い止めや解雇といったあらゆる分野の労働問題の相談や、解決のための情報提供をワンストップでおこなっている厚生労働省の相談窓口です。
予約不要かつ無料で利用できるほか、プライバシーの保護に配慮した相談対応をおこなっているところが特徴です(厚生労働省|総合労働相談コーナー)。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働基準法に反する疑いがある場合、行政指導ができる部署に取り次いでくれます。個人情報保護にも厚いので安心して利用しやすい相談先といえるでしょう。
ただ、行政指導を超えて深く関与してもらうことは難しく、雇い止め拒否の交渉まで頼むことはできません。
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弁護士
雇い止めを弁護士に相談するメリットは、裁判を視野に入れた専門的な回答を得られる点です。雇い止めについて、経験にもとづいた法律相談を受けることができます。
弁護士のメリットは、なんと言っても、訴訟・裁判の代理権があることです。雇い止めの不当を争い、将来的に職場復帰したい場合には、弁護士に相談して、民事裁判を起こすという対応も考えられます。
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雇い止めが無効となるケースを紹介
雇い止めが無効となるケース
雇い止めとは、派遣社員のように有期労働契約を結んでいる従業員について、契約期間が満了した際に契約更新をすることなく労働契約を終了させることをいいます。
雇い止めがなされても、雇い止めが不当な解雇と同視できるとして、無効であるとみなされる場合があります。
無効とみなされるケースには以下の2つが考えられるでしょう。
無効となり得る雇い止めのケース
- 雇用が長期間に及んでいるなど、契約がほぼ無期雇用者と変わらない場合
- これまでに何度も契約が更新されているなど、契約更新について合理的な期待が生じている場合
有期労働契約を結んでいる場合であっても、上記のケースのように雇用が継続していくことについて労働者の期待を保護する必要があるような場合には、雇い止めが無効となり、従前と同様の労働条件で契約の更新がなされたとみなされます。
これを「雇い止め法理」といいます(労働契約法第19条)。
雇い止めが無効となるかどうかの考慮要素
厚生労働省は、労働基準法14条2項に基づいて「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定しています。
参考:厚生労働省|有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について
この基準は雇い止めが無効かどうかの判断においても考慮される事項となります。
有期労働契約と雇い止めに関する基準
- 契約締結時に更新の有無や判断基準の明示があるか
- 30日前までに更新しない旨の予告があるのか
- 雇い止めの理由を十分に明示しているのか
- 契約期間についての労働者の希望に応じた配慮があるのか
基準を満たさずに契約していたり、雇い止めをおこなったりした場合には、雇い止めが無効と判断されやすくなるでしょう。
それぞれの基準を詳しく解説していきます。
契約締結時に更新の有無や判断基準の明示があるか
労働者と契約をするうえで、使用者は契約の更新の有無や、判断基準を明示することが義務付けられています(労働基準法第15条)。
たとえば、そもそも契約の更新があるのか、契約更新がなされるとして更新は自動でおこなわれるのかといった基準が書かれている必要があります。
2024年4月1日からは、「更新上限の有無やその内容」「無期転換後の労働条件」といった、新たな労働条件を明示する義務が使用者側に生じます。
30日前までに更新しない旨の予告があるのか
有期労働契約の更新が3回以上おこなわれているか、1年を超えて雇用されている労働者については、有期労働契約を更新しない場合には、少なくとも契約期間が満了する日の30日前までに、その旨を予告する必要があります(労働基準法第20条)。
雇い止めの理由を十分に明示しているのか
使用者は、雇い止めの予告をした後に、労働者から雇い止め理由の証明書を請求された場合には、事情が許す限りできるだけ早く交付する必要があります。
雇い止めの理由は、契約期間の満了とは別の理由としなければなりません。
契約期間についての労働者の希望に応じた配慮があるのか
使用者は、契約を1回以上更新し、かつ1年を超えて雇用している有期労働契約者との契約を更新しようとする場合には、契約の実情や労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努める必要があります。
雇い止めされた場合の対処法3選
無効となる雇い止めのケースをご紹介しましたが、会社から無理やり雇い止めをされることもあります。その場合、泣き寝入りするのではなく、きちんと対処することが重要です。
対処のポイントとして、以下の3つが挙げられます。
雇い止め対策のポイント
- 会社都合退職の証明書で失業保険を受け取る
- 損害賠償や慰謝料請求で和解金を得る
- 違法・不当な雇い止めを認めさせて復職する
会社都合退職の証明書で失業保険を受け取る
雇い止めで失業保険を多く受け取るには、離職票に書かれた離職理由が重要です。
会社の倒産等によって雇い止めにされた場合は「特定受給資格者」として、契約期間満了時の更新を希望したが拒否された場合は「特定理由離職者」として給付金(基本手当)の給付日数が多めに設定されています。
事実に反して自己都合退職として扱われた場合、2か月間の給付制限期間には失業手当を受け取れなくなってしまうので注意が必要です。
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損害賠償や慰謝料請求で和解金を得る
明らかに法令に違反する悪質な雇い止めが行われた場合は、慰謝料を含む解決金として、その従業員の年収程度の金額が認められることもあります。
雇い止めの損害賠償・慰謝料・解決金の金額は、月額の基本給を基準に、入社日からの在籍期間や雇い止めの悪質性などを総合的に検討して決められます。
不当な雇い止めを受け、職場復帰が気まずくて実質的に困難な場合は、早期退職手当を解決金に含めて、金銭的に解決されるケースもあります。
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違法・不当な雇い止めを認めさせて復職する
違法な雇い止めが行われた場合は、雇い止めの無効を主張して、復職を求めることができます。
復職の方法としては、無期雇用転換を前提とした復職を求めたり、引き続きの有期雇用契約継続を前提とした復職を求めたりすることが挙げられます。
また、契約期間が1回以上更新され、通算5年を超えて会社に在職している場合は、労働者の申し込みによって、無期労働契約に転換することが可能です(厚生労働省|有期契約労働者の無期転換ポータルサイト)。
雇い止めの無効を主張したい場合は、契約期間満了の前に会社に対して更新の意思を伝えるか、契約期間満了の直後に遅滞なく会社に対して新雇用契約の申し込みを行う必要があります。
いずれの場合も、後日の水掛け論を防止する観点から、内容証明郵便で書面で通知するのが好ましいです。
まとめ
雇い止めが不当である考えられる場合には、専門家に相談することをおすすめします。
とくに弁護士に相談すれば、裁判を視野に入れた専門的な回答を得られます。
無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、お悩みの方は相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了