雇い止めは弁護士に相談!弁護士に相談するメリットと対処法を解説
雇い止めとは、有期雇用契約について更新せず、期間満了で契約を終了することを言います。
期間があらかじめ定められている契約の場合は、期間満了で契約を終了することは問題ありません。
しかし、雇い止めに関して裁判になっているケースは多くあり、雇い止めが無効になるケースも存在します。
そこで、この記事では、雇い止めを弁護士に相談するメリット、雇い止めに遭ったときの対処法を解説します。
目次
雇い止めを弁護士に相談するメリット
雇い止め問題を弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。
雇い止めを弁護士に相談するメリット
- 雇い止めが無効になるケースか判断してもらえる
- 交渉の手間とストレスを低減できる
- 労働審判や訴訟も依頼できる
雇い止めが無効になるケースか判断してもらえる
弁護士に相談するメリットとして、雇い止めが無効になるケースかどうか判断してもらえることがあげられます。
雇い止めは通常の解雇以上に要件が複雑で、必ずしも無効になるわけではありません。
弁護士であれば、雇い止めを受けた状況や過去の判例などから無効として争えるのか判断することができます。
また、雇い止めとして争えると判断した場合には、争うために何が必要か、どのような手順を踏めばいいのか適切なアドバイスをもらうことができるでしょう。
交渉の手間とストレスを低減できる
雇い止めが無効になるケースでも、会社がすんなり認めるとは限りません。通常は交渉が必要になります。
しかし、契約社員が会社と直接交渉を行っても、立場が低いことから会社も真剣に取り扱ってくれない可能性があります。
そのため、不利な状況に追い込まれて、そのまま泣き寝入りして退職を余儀なくされるケースも多いです。
一方、弁護士に交渉を任せれば、会社も真摯に対応してくれる可能性が高まります。
また、弁護士が法的な知識を基に交渉を行うので、有利に交渉を進めやすくなります。
さらに、精神的にも負担がかかる会社との交渉は、弁護士に一任できるので、精神的な負担の軽減ができることも大きなメリットでしょう。
労働審判や訴訟も依頼できる
無効な雇い止めをされた場合、交渉で解決すればいいですが、必ずしも交渉で解決するとは限りません。
交渉が決裂したら、労働審判や訴訟の手続きを検討していくことになります。
こうした手続きは適切な証拠の収集や主張などが求められるため、専門家によるサポートが必要不可欠です。
弁護士であれば、労働審判や訴訟に移行した場合でも問題なく対応できます。万一企業側との交渉が決裂しても、弁護士に任せていれば安心感があるでしょう。
なお、弁護士以外の相談先としては労働基準監督署や総合労働相談コーナーがあります。
弁護士以外の相談窓口について知りたい方は『雇い止めの無料相談窓口3選!拒否できるケースと対処法』の記事をご覧ください。
雇い止めが無効になるのはどんなとき?
雇い止めは自由に認められるものではありません。
有期雇用契約の労働者にとって、契約を更新してもらえないと生活にかかわる重大な問題となるからです。
一定のケースにおいては、雇い止めが無効とされて企業と労働者との労働契約が存続する可能性があります。
雇い止めが無効になるケース
雇い止めに関する条文は労働契約法19条に明記されていますが、更新回数や契約期間の数値については具体的に決められていません。
個々の状況によって総合的に無効・有効が判断されることになります。
以下のようなケースでは、雇い止めが無効になる可能性があります。
無効となり得る雇い止めのケース
- 雇用が長期間に及んでいるなど、契約がほぼ無期雇用者と変わらない場合
- これまでに何度も契約が更新されているなど、契約更新について合理的な期待が生じている場合
雇用が継続していくことについて労働者の期待を保護する必要があるような場合には、雇い止めが無効となり得る可能性が高まります。
雇い止めが無効になる具体例
より具体的に雇い止めが無効になる例をみてみましょう。
雇い止めが無効になるケースの具体例
- これまで何度も当然のように労働契約が更新されてきて、社内では正社員と同じ仕事をしているのに、不景気になったら突然雇い止めをされた
- これまで契約の更新時には、特段の手続きをせず当然のように契約が更新されてきたのに今回に限って更新を拒絶された
- 企業から「契約は更新するので会社に貢献してほしい」と説明されており、それを信じてはたらき、実際に結果を出してきたのに契約を更新してもらえなかった
上記のように「契約が今まで何度も更新されてきた」「企業側から更新を前提とした取扱いをされてきた」「正社員と変わらない仕事をしている」などの状況があると、雇い止めが「無効」と認められやすくなります。
雇い止めが無効になった場合のメリット
雇い止めが無効になった場合のメリットを解説します。
職を失わない
雇い止めが無効になると、労働契約が継続するため、労働者としては職を失わずに済みます。
これまで通り出社して業務をこなし、給料を受け取れるので生活が守られるでしょう。
未払い賃金を請求できる
雇い止めによって給料が払われなかった場合、未払い賃金も請求可能です。
雇い止めをされた場合、雇い止め無効を主張し、和解や合意がなされるまでの賃金を請求することになります。
たとえば、雇い止めされた日から半年後に、「実はその雇い止めは無効だった」と合意がなされたとします。
雇い止めが無効となると、雇い止めされたことになっている日から合意の日まで実際は従業員としての地位が継続していたことになり、その期間の給料は未払いということになります。
そのため、雇い止めされてから合意がなされるまでの期間の賃金を請求することができるのです。
慰謝料請求できる可能性もある
セクハラを拒絶したら報復措置で雇い止めに遭った場合など、違法性の強いケースでは企業側へ慰謝料を請求できる可能性もあります。
慰謝料の請求にあたっては法律的な主張・立証の知識が必要となり、特に弁護士をつける必要性が高い解決方法です。
違法な雇い止めに遭ったとき、泣き寝入りする必要はありません。困ったときには弁護士に相談しましょう。
雇い止めに遭ったときの対処法
有期契約の労働者は、不景気や収益悪化などの事情が発生したときに雇い止めに遭う可能性が高いです。
雇い止めをされて困ったときには、以下のように対応しましょう。
すぐに契約を更新したいなどと申し入れる
雇い止めの不当性を主張する際には、要件として「契約更新の申し入れをしている」という事実が必要です。
内容証明郵便を利用することで、契約更新申し入れた事実を証拠として残すことができます。
その後、なぜ雇い止めをするという決断に至ったのか、上司や人事の担当者に確認してください。
雇い止めの理由を知ることができれば、雇い止めが無効になるケースかどうかの判断材料になります。
証拠を集める
雇い止めの理由を確認したら、雇い止めに関する証拠を集めましょう。
雇い止めが無効と判断されるには、「これまで反復継続して契約が更新されてきた」「会社から契約更新に期待を持たせる言動があった」「正社員と同じような仕事をしてきた」などの事情が必要です。
その事情を証明する証拠を集めなければなりません。証拠には以下のようなものが挙げられます。
雇い止めであることを証明するための証拠
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 企業から契約更新に関する説明をされた際にもらい受けた文書やメール
- これまで契約が更新された際に作成された契約書などの文書
会社に契約の更新を求める
証拠を集めたら、会社に契約の更新を求めましょう。
雇い止めが法的に無効になる可能性を示しつつ、交渉を進めてください。自分で話をするのが難しい場合は、この段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
なお、交渉で解決できない場合には、労働審判や訴訟の手続きに移行することになります。
雇い止めで困ったら弁護士に相談!
雇い止めでお困りの方は、弁護士に相談することが重要です。
労働契約を更新してもらえなかったときには、まずは雇い止めが無効になるケースかどうかを弁護士に相談し、その後の対策を練りましょう。
雇い止めで困ったときには、自分1人の力で解決できないケースが多々あります。
1人で抱え込まず、法律の専門家である弁護士の力を頼ってみてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了