肩腱板損傷(断裂)の後遺障害等級や示談金相場と認定のポイントを徹底解説

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

交通事故の後遺障害

交通事故で肩腱板損傷を負い、後遺障害や示談金の相場などについて知りたい方向けの記事です。

交通事故で肩に強い衝撃が加わると、肩腱板損傷(肩腱板断裂)になることがあります。場合によっては肩の可動域制限や神経症状が後遺障害として残ることもあるでしょう。

本記事では、交通事故により肩腱板損傷となった場合の示談金や、後遺障害が残った場合の後遺障害等級、等級認定のポイントなどを解説します。

目次

交通事故による肩腱板損傷(肩腱板断裂)とは?

肩腱板の構造と損傷箇所を示す解剖図

肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)とは、肩関節を支える4つの腱(小円筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋)のうちの1本または複数本が断裂または損傷することです。

肩腱板断裂も肩腱板損傷とほぼ同義ととらえて問題ありません。肩腱板分裂には、腱板が切り離される「完全断裂」と、腱板の一部が切れる「腱板部分断裂(不全断裂)」があります。

交通事故の場合、肩腱板損傷は、肩を強くぶつけたり、手をついて転倒した際に肩をひねったりすると起こります。例えば以下のような場合に、肩腱板損傷が発生する可能性があるでしょう。

  • 車同士の衝突時にハンドルを強く握っていて、肩への衝撃が大きかった
  • バイクや自転車で転倒し、手や肘をついて受け身を取った
  • 追突の衝撃で腕が不自然にねじれた

肩腱板損傷の症状は、肩の痛みや腫れ、肩の動きの制限、脱臼しやすくなるといったものです。

肩腱板損傷の診断は、医師による問診と身体検査によって行われます。
また、必要に応じてレントゲン検査、エコー検査、MRI検査などが行われるでしょう。

肩腱板損傷の治療方法

肩腱板損傷の治療は、損傷の程度によって異なります。

  • 軽度な損傷の場合
    安静、アイシング、湿布、電気療法などの保存療法で治療する
  • 重度な損傷の場合
    重度の損傷の場合は、手術が必要となる

肩腱板損傷の手術は、損傷した腱を修復する手術です。手術方法にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは腱の縫合手術になります。

肩腱板損傷の手術後、リハビリテーションを行います。
リハビリテーションでは、肩の可動域を徐々に回復させ、筋肉を鍛えます。リハビリテーションの期間は、個人差がありますが、一般的に数か月から半年程度となるでしょう。

肩腱板損傷は、早期に治療することが大切です。早期に治療することで、痛みや機能障害を軽減することができます。

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肩腱板損傷(肩腱板断裂)の後遺障害と等級・認定基準

肩腱板損傷(肩腱板断裂)では、肩の可動域制限や神経症状が後遺障害として残ることがあります。

こうした症状に対して後遺障害等級が認定されれば、等級に応じた後遺障害慰謝料・逸失利益の請求が可能になります。

具体的な症状と、認定されうる後遺障害等級についてみていきましょう。

肩の可動域制限(10級・12級)

肩の可動域制限とは、肩の動く範囲が狭くなってしまうことです。

後遺障害の残っていないほうの肩と比べ、可動域が2分の1以下になっていれば10級10号、4分の3以下になっていれば12級6号に認定されます。

等級症状
10級10号肩関節の可動域が怪我をしていない方と比べて2分の1以下
12級6号肩関節の可動域が怪我をしていない方と比べて4分の3以下

肩の可動域を評価する際には、主に次の3つの動きを確認します。
どの方向にどれくらい動かせるかを測定し、制限の有無や程度を判断します。

  • 屈曲・伸展(前後の動き)
    腕を体の横につけた状態から、前方や後方にどの程度まで上げられるかを確認します。
  • 外転・内転(横方向の動き)
    腕を前後それぞれどの程度ねじれるかを確認します。
  • 外旋・内旋(ひねりの動き)
    腕を前方に出した姿勢から、外側・内側へどの程度まで回せるかを測ります。

これらの測定は、角度計(ゴニオメーター)を用いて医師や理学療法士が正確に計測する必要があります。
自分で目安を確認することも可能ですが、後遺障害等級の判断に用いられる可動域角度は、専門的な測定結果に基づくものが原則です。
正確な診断のためには、必ず医療機関で測定を受けましょう。

可動域制限の後遺障害認定について詳しくは、『交通事故で肩・手首・膝・足首などの可動域制限があるときの後遺障害慰謝料は?』をお読みください。

神経症状(12級・14級)

肩腱板損傷(肩腱板断裂)では、痛みが後遺障害として残るケースもあります。

こうした痛みは神経症状と呼ばれ、該当しうる後遺障害等級は12級13号または14級9号です。

等級症状
12級13号痛みが残っていることを画像などから客観的に証明できる
14級9号医学的に痛みが残っていることを説明することができる

MRIで腱や周囲組織の損傷が確認できれば12級13号が認定される可能性があります。

一方、画像所見が乏しくても、患部に衝撃を与えた時の反応を見る神経学的検査などで、症状が残っていると判断できる場合は、14級9号が認められる可能性があるのです。

肩腱板損傷で後遺障害認定されるためのポイント

肩腱板損傷で肩の可動域制限や神経症状が残っても、必ずしも適切な後遺障害等級が認定されるとは限りません。

後遺障害等級は審査を経て認定されるものであり、適切な認定を受けるには対策が必要なのです。

具体的な対策と、実例を見ていきましょう。

(1)事故との因果関係の証明|早期の受診と一貫した通院記録が重要

肩腱板損傷(肩腱板断裂)で後遺障害認定を受けるには、まず交通事故との因果関係の証明が必要です。

肩腱板損傷はスポーツでのケガや加齢などによっても発生することがあるからです。

肩腱板損傷と交通事故との因果関係を証明するためには、早期の受診と一貫した通院記録がポイントとなります。

  • 早期の受診が重要な理由
    交通事故から時間がたって初めて受診をすると、「肩腱板損傷は事故後に別の要因で発症したものかもしれない」と疑われやすいため。
  • 一貫した通院記録が重要な理由
    途中で通院が長期間途切れていたり、症状が変化していたりすると、「事故による肩腱板損傷は途中で完治しているのでは?」と疑われやすいため。

なお、交通事故による肩腱板損傷で受診する際は、早く病院に出向くだけでなく、初期段階からMRI検査を受けることもポイントです。

腱のような組織の損傷を確かめるには、レントゲンではなくMRI検査が必要です。事故直後に腱に損傷があることを証拠として残しておけば、交通事故との因果関係を証明しやすくなります。

もし初診の時点でMRI画像を撮ってもらえそうにないと感じたら、今後必要になる可能性があるため撮影してほしいと申し出るとよいでしょう。

(2)症状の存在・程度の証明|各種検査結果や医師の意見書が重要

同じ肩腱板損傷でも、具体的な症状や程度によって、後遺障害等級は変わります。そのため、「どのような症状が残っているのか」を客観的・医学的に証明することも必要です。

たとえば以下のようなものが証拠となりえます。

  • MRI検査の結果
  • 神経学的検査の結果
  • 医師の意見書や事故状況報告書

それぞれについて解説します。

MRI検査の結果

先述の通り、肩腱板損傷においては、レントゲン写真では証拠として不十分とされる場合があります。

レントゲンは骨の状態を確認するのには適していますが、筋肉や靭帯、神経といった周辺組織の状態を確認するには不十分な傾向にあるからです。

よって、特に肩腱板損傷(肩腱板断裂)ではMRI検査の結果を用意することがポイントです。

治療の経過や結果的に後遺障害として残っていることを示すため、受傷直後だけでなくその後も定期的にMRI検査を受けるようにしましょう。

神経学的検査の結果

神経学的検査とは、患部をたたくなどして刺激を与え、それに対する反応を確認する検査です。

症状の存在や程度を示す証拠としては、MRIのような画像所見よりも弱いとされがちです。しかし、症状の存在・程度を補足的に裏付けるものとして役に立つ場合があります。

特に、痛みやしびれといった神経症状はMRI画像では証明できないことも多いので、そうした場合に神経学的検査の結果が重要になってきます。

医師の意見書や事故発生状況報告書

今後の回復の見込みや交通事故との関連性について、医師に意見書を書いてもらうのも一つの手です。

受傷部位や程度などから今回の交通事故と因果関係があると考えられることや、今後完治は見込めないことなどを明記してもらいましょう。

また、事故発生状況報告書をもとに、事故状況と受傷部位・受傷内容を照らし合わせ、交通事故と後遺障害との因果関係が検討されることもあります。

(3)十分な審査対策|被害者請求での後遺障害申請が重要

後遺障害認定における審査対策とは、主に「書類対策」を指します。後遺障害認定は基本的に、書類審査だからです。

ここで重要になるのが、「事前認定」と「被害者請求」のどちらで申請をするかということです。

  • 事前認定
    加害者側の任意保険会社を仲介して、必要書類を審査機関に提出する方法
  • 被害者請求
    加害者側の自賠責保険を仲介して、必要書類を審査機関に提出する方法

事前認定では十分な書類審査ができるとは言えません。
必要書類のほとんどを加害者側の任意保険会社に用意してもらうため、最低限の質・種類の書類になりやすいことが理由です。

一方、被害者請求では必要書類をすべて被害者側で用意します。

そのため、提出書類のブラッシュアップや、細かい検査結果や医師の意見書などの追加書類の添付がしやすいのです。

脚の切断や人工関節の挿入など、後遺障害の存在・程度がわかりやすいものであれば、事前認定でも適切な認定を受けられる可能性があります。

しかし、肩腱板損傷は交通事故との因果関係が疑われやすかったり、神経症状などでMRIのような客観的・医学所見では症状を証明しきれず、補足的な証拠が必要になったりすることがあります。

そのため、被害者請求でしっかりと書類対策をすることが重要です。

どのように書類をブラッシュアップすればよいのかわからない、どの書類を追加で添付すべきかわからないといった場合は、弁護士にご相談ください。専門的な知見から、後遺障害申請をサポートします。

【裁判例】肩腱板損傷(肩腱板断裂)で後遺障害認定された実例

ここからは、肩腱板損傷の後遺障害が認められ、実際に高額賠償を獲得した裁判例を2件ご紹介します。

どのような点が考慮され後遺障害認定されたのかも整理して掲載しているので、参考にしてみてください。

裁判例(1)

【事案】

原告(獣医師・45歳・男性)が、自動車運転中に、交差点で青矢印信号に従い右折しようとしたところ、被告自動車が赤信号無視で直進してきて、衝突。事故により右肩を負傷し後遺障害が残ったとして、被告に対し民法709条に基づく損害賠償を請求した裁判(横浜地裁令和2年5月28日判決/平成30年(ワ)1284号)。

【裁判所の結論】

被告は、原告に対し、2,680万1,833円及び、遅延損害金を支払え。

【裁判所の判断】

  • 事故と腱板損傷の因果関係

裁判所は、以下のような理由から、事故によって腱板損傷になったこと(事故と症状との因果関係)を認めました。

  • 強い衝撃
    原告車両が全面が「原型をとどめないほどに損傷」。修理費は約946万円。原告車は左ハンドル車で右折中、エアバッグが作動するほどの衝撃を、運転席で受けた。右手でハンドルを握った状態で、右肩に大きな力が加わったと推認できる。
  • 初期診断の妥当性
    事故直後の診察で、医師が視診・触診し、腱板損傷を診断。
  • 一貫した症状と通院
    事故後、痛みを訴え続けた。約5ケ月間、通院を中断したが、合理的な理由(任意保険会社の対応打ち切り、自由診療で1回3万円以上の高額負担)があり、その後、自費で通院を再開。
  • 画像所見の裏付け
    事故から2年後のMRI等で腱板損傷が確認された。
  • 後遺障害慰謝料

自賠責では等級非該当だった腱板損傷について、裁判所が12級相当にあたると認定し、後遺障害慰謝料290万円の賠償が認められました。

  • 後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益については、1,057万3,635円(基礎収入)×14%(労働能力喪失率)×ライプニッツ係数12.4622(労働能力喪失期間20年)=1,844万7,906円と認定されました。

事例(2)

【事案】

ゴルフ場のクラブハウス前テラスで、立っていた原告が、ゴルフ場の従業員が運転するゴルフカートに衝突され転倒・負傷した事故について、被害者側がゴルフ場側に賠償請求をした裁判(神戸地裁令和元年10月31日判決/平成29年(ワ)617号)。

【裁判所の結論】

被告は、原告に対して、2,086万0,080円及び、遅延損害金を支払え。

【裁判所の判断】

  • 事故と腱板損傷の因果関係
    本裁判例では、以下のような理由から、事故と腱板損傷との因果関係を認めました。
  • 受傷機転
    プレーの場ではない場所でゴルフカートと接触するのは通常想定し難く、そのような場所で後方から衝突されれば、防御の体制をとることは困難で、衝突の程度が軽微とはいえない
  • 腱板損傷の診断
    事故当日に「腱板損傷の疑い」が指摘されていた
  • MRI画像
    事故直後のMRIに損傷を示す所見(高信号域)があった
  • 症状の一貫性
    痛みが長期間継続し、打撲とは考えにくい旨の医師の意見書がある。
  • 後遺障害慰謝料
    後遺障害等級を併合12級(12級13号および14級9号)と認定し、慰謝料280万円が相当と判断されました。
  • 腱板損傷は、他覚的所見として認められ、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)に該当
  • 右側頭部から頚部の痛み、右腰の疼痛、右大腿部全体のしびれ・痛み、右ひざの疼痛の症状については、他覚的所見はないものの、治療状況や症状推移などから、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)に該当
  • 後遺障害逸失利益
    労働能力喪失率を14%、就労可能年数18年(ライプニッツ係数11.690)として、基礎収入を530万円と認定し、後遺障害逸失利益を867万3,980円と算出

肩腱板損傷(肩腱板断裂)で請求できる示談金の内容や相場額

交通事故の被害者となった場合には、加害者側と示談交渉を行い、交渉により決まった示談金を支払ってもらうことが多いでしょう。

交通事故により肩腱板損傷となった場合には、以下のような損害を示談金として請求することが可能です。

交通事故示談金の内訳
  • 治療のために必要となった費用(治療関係費)
  • 治療のため仕事ができなかったことで生じる減収(休業損害)
  • 入院や通院期間に応じて請求できる慰謝料(入通院慰謝料)
  • 後遺障害等級が認定された際に請求できる慰謝料(後遺障害慰謝料)
  • 後遺障害により将来発生する減収分(後遺障害逸失利益)
  • 自動車の修理代や代車費用などの物的損害

実際にどの費目が請求可能であるのかは、事故や怪我の内容により異なります。

ここからは、それぞれの費目についての相場額をみていきます。

なお、通勤・業務中の事故であれば、労災保険から休業補償などを受け取れることもあります。心当たりがある場合は弁護士に確認を取るべきでしょう。

治療に関する費用

交通事故の被害者は治療のために必要となった費用について請求することが可能です。

具体的には、以下のような費用を請求できるでしょう。

  • 治療費用(投薬代・手術代・入院代など)
  • 入院や通院時に生じた交通費
  • 入院中における雑費
  • 入通院において付添いが必要となった場合には付添費用

治療費用は実費を、交通費については基本的に公共交通機関の利用費用が請求可能です。

入院中の雑費は、1日1500円として計算されるでしょう。

入院中の付添費用は1日6500円、通院の付添費用は1日3300円となります。
職業付添人による場合は、実際に生じた費用となるでしょう。

治療したことで請求できる慰謝料(入通院慰謝料)

交通事故によるケガの治療のために入院や通院を余儀なくなされたことで生じる精神的苦痛に対して、入通院慰謝料を請求することが可能です。

入通院慰謝料の金額は、入通院の期間によって相場額が決まります。
具体的には、以下の表から算出されるでしょう。

重傷の慰謝料算定表

仕事を休んだことで生じる損害(休業損害)

ケガの治療のために仕事を休んだために収入が減少した場合には、減収分について休業損害を請求することが可能です。

休業損害とは

休業損害については、以下の計算式により算出されます。

休業損害の計算式

事故前の収入の日額×休業日数

事故前の収入については、基本的に事故前3カ月間の収入から判断されます。
休業日数とは、治療のために仕事を休まざるを得なかった日数です。

後遺障害が認められた場合に請求できる損害

交通事故により生じた後遺症の症状が後遺障害に該当するという認定を受けた場合には、「後遺障害慰謝料」「後遺障害逸失利益」を請求できる可能性があります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が生じたことによる精神的苦痛に対する金銭による補償をいいます。後遺障害の等級認定を受けることで請求が可能となります。

後遺障害慰謝料の金額は認定等級に応じて決まり、等級ごとの相場額は以下の通りです。

等級 慰謝料額
10級550万円
12級290万円
14級110万円

公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2025(令和7年)』P.218より抜粋

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が生じたことで事故以前のように仕事ができなくなるために生じる将来の減収に対する補償をいいます。

後遺障害逸失利益の計算式は、以下の通りです。

後遺障害逸失利益の計算式

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

基礎収入は、事故が生じた年度の年収が基本となります。

労働能力喪失率は認定された等級に応じて、ライプニッツ係数は基本的に症状固定から67歳までの期間に応じて数値が決まるでしょう。

物的損害

物的損害については、実際に生じた修理費用や、代車費用を請求することとなります。

ただし、修理費用については交通事故時点における自動車の価格を超えることができず、代車費用は代車の必要性を証明しなくてはならない点などに注意してください。

肩腱板損傷(肩腱板断裂)の示談金増額なら弁護士に相談しよう

弁護士に相談・依頼することで示談金の増額が可能

弁護士に相談・依頼すると、相場の金額に近い金額まで増額したうえで示談となる可能性が高まります。

交通事故で肩腱板損傷を負った場合、加害者側と示談交渉を行いますが、加害者側は相場の金額より低い金額で示談するよう交渉してくるでしょう。

そのため、示談交渉においては示談金の増額交渉が欠かせません。

しかし、示談金の増額交渉は簡単に行えないでしょう。
特に、加害者が任意保険に加入している場合には、示談交渉の相手が経験豊富な任意保険の担当者となるため、非常に困難となることが多いです。

増額交渉(弁護士なし)

示談金を相場額まで増額するには弁護士への相談が効果的です。
弁護士は、交通事故の損害賠償に関する知識と経験が豊富のため、根拠のある増額の交渉を行ってくれるでしょう。

また、加害者側も、弁護士が付いたことで示談交渉がもつれると訴訟に発展する恐れがあることを警戒し、示談金額を増額しても示談で終わらせようとすることが多くなります。

増額交渉(弁護士あり)

そのため、示談金を相場額に近づくよう増額したいのであれば、弁護士への相談や依頼を行いましょう。

示談金の増額以外にもメリットあり

弁護士に相談・依頼を行うことで、示談金の増額以外にも以下のようなメリットが生じます。

  • 示談交渉を含めた加害者側とのやり取りを弁護士に行ってもらえる
  • 後遺障害等級認定を適切に行えるようサポートしてもらえる
  • 示談交渉や後遺障害等級認定に必要な証拠の収集を手伝ってもらえる

弁護士に依頼すれば、加害者側との連絡や示談交渉を弁護士が行ってくれるため、被害者自身は加害者側と連絡を取る必要がなくなります。

加害者側と連絡を取ることで生じるストレスから解放され、治療や仕事の復帰に専念することができるのです。

また、相場の示談金を獲得するためには、適切な後遺障害等級認定を受けることが欠かせません。

後遺障害等級認定の申請には専門知識が必要となってくることからも、弁護士によるサポートを受けるべきでしょう。

肩腱板損傷(肩腱板断裂)の示談金の増額事例

こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った肩腱板損傷の事案について、プライバシーに配慮したかたちでご紹介します。

肩腱板断裂の示談金(1)166万円増額

こちらの事例は、ご相談の段階で後遺障害等級が既に認定済でしたが、慰謝料などの金額に増額の余地があり、弁護士による示談交渉で、賠償額が695万円に増額した事例です。

この事例を詳しく見る

当初の提示額529万円
最終回収額695万円
(166万円増額)
傷病名左肩腱板断裂、上腕二等筋断裂
後遺障害等級12級16号

肩腱板断裂の示談金(2)併合10級認定、2.1倍増額

こちらは、ご相談の段階で、まだ後遺障害等級が認定されていない状態で、529万円の提示がなされていました。受任後、弁護士が後遺障害等級認定のサポートした結果、後遺障害10級が認定され、示談金も1,150万円まで増額しました。

この事例を詳しく見る

当初の提示額529万円
最終回収額1,150万円
(2.1倍増額)
傷病名左肩腱板断裂、上腕二等筋断裂
後遺障害等級12級16号

肩腱板断裂の示談金(3)示談金1000万円(2.9倍)まで増額

こちらは、後遺障害認定後にLINE経由でご相談いただいた事案です。

逸失利益に関して保険会社との間で争いがありましたが、弁護士が妥協せず交渉をつづけた結果、依頼から約2ヶ月間で約650万円の増額に成功しました。肩腱板損傷に関する示談交渉をアトム法律事務所に依頼したことで、最終的に示談金が1000万円になりました。

この事例を詳しく見る

当初の提示額341万円
最終回収額1,000万円
(2.9倍増額)
傷病名右肩腱板損傷
後遺障害等級12級

交通事故の肩腱板損傷(肩腱板断裂)についてよくある質問

最後に、交通事故の肩腱板損傷についてよくある以下の質問にお答えします。

  • 肩腱板損傷で後遺障害認定されにくいケースは?
  • 後遺障害認定の効果的な対策方法は?
  • 休業損害と休業補償は何が違う?

肩腱板損傷で後遺障害認定されにくいケースは?

肩腱板損傷は、交通事故との因果関係や症状の客観的な証拠が不十分な場合に、後遺障害として認定されにくい傾向があります。

特に次のようなケースでは注意が必要です。

  • 受診までに期間があいている
  • MRIなどの画像所見が乏しい
  • 通院が不定期で、症状経過の一貫性がない
  • 加齢性変化(変性)との区別が難しい

事故直後から一貫した症状で定期的に通院し、各種検査で症状の存在・程度を示すことが重要です。

後遺障害認定の効果的な対策方法は?

審査機関への提出書類の質を上げること、必要に応じて追加書類を添付することが、後遺障害認定の対策として重要です。

肩腱板損傷の後遺障害認定は、基本的に書類審査になるためです。

提出書類のブラッシュアップ・追加書類の添付をするには、被害者請求で後遺障害申請する必要があります。

休業損害と休業補償は何が違う?

どちらも交通事故による治療で休業し、生じた減収を補償するものですが、休業損害は損害賠償金として加害者側に、休業補償は労災保険金として労災保険に請求するものです。

また、休業補償は労災事故の場合にのみ請求できます。

金額も異なり、休業損害は基本的に「日割の収入」を日額とするのに対し、休業補償の日額は「基礎給付日額(日割の収入)の60%」です。

なお、休業補償を請求する場合は、「基礎給付日額の20%」を日額とする特別支給金も請求できます。

「休業損害」と「休業補償・特別支給金」は併用できますが、休業損害と休業補償は重複するものとして相殺されます。

肩腱板損傷(肩腱板断裂)の後遺障害、示談金のお悩みは弁護士相談を

肩腱板損傷(肩腱板断裂)は、交通事故との因果関係がないと判断されるケースも多いです。

自賠責の後遺障害認定を受けるためには、交通事故による衝撃が肩に加わり腱板損傷(腱板断裂)が生じてもおかしくない状況にあったこと、事故直後から一貫して肩の痛み等の症状を訴えていたこと、MRI画像や神経学的検査により腱板損傷(腱板断裂)と診断されていること等がポイントになります。

また、保険会社は、自賠責基準ないし任意保険会社独自の基準により、低額の示談金を提示してくるものです。

弁護士基準(裁判基準)による妥当な賠償金を受けとるためには、一度、法律の専門家である弁護士へのご相談をご検討ください。

アトム法律事務所では、交通事故被害者の方を対象とした無料の法律相談を行っています。相談予約をまずはお取りください。

無料相談の特徴

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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