交通事故で脳震盪を負った場合の損害賠償|相場額請求は弁護士に相談
交通事故により頭に衝撃が加わると、脳震盪を起こすことがあります。
脳震盪の症状自体は早期に回復することが多いのですが、後遺症が残ることもあり注意が必要です。
また、脳震盪となった場合には治療費は慰謝料などさまざまな損害について請求が可能となるので、どのような損害をいくら請求できるのかを知っておきましょう。
本記事では、交通事故により脳震盪となった場合において知っておくべき法的な知識を紹介しているので、加害者への請求を予定している方は是非ご覧ください。
目次
脳震盪とは
脳震盪とは、頭部に強い衝撃が加わったことで脳が揺さぶられ、一時的に脳の機能が害される状態です。
脳震盪の症状
脳震盪の症状は、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、意識障害、記憶障害、耳鳴りなどです。
これらの症状は一時的なものであり、時間を置くことで回復します。
ただし、脳震盪後に頭痛、睡眠障害、疲労、集中力の低下などの症状が数週間から数カ月にわたり継続する脳震盪後症候群が発症する可能性があるので注意が必要です。
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脳震盪の治療方法
脳震盪の治療方法は、基本的には安静と対症療法です。頭痛や吐き気には、鎮痛剤や吐き気止めを服用します。
脳震盪によって脳震盪後症候群が発症すると、後遺症が残ることがあります。
そのため、脳震盪の症状が現れた場合は、早めに脳神経外科や脳神経内科などを受診するべきでしょう。
交通事故で脳震盪を負った場合の損害賠償額
交通事故で脳震盪を負った場合、加害者に対して損害賠償を請求することができます。損害賠償額は、脳震盪の程度や、交通事故の影響で被った損害によって異なります。
請求できる損害賠償の主な費目は以下の通りです。
- 治療関係費
- 入通院慰謝料
- 休業損害
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
(1)治療関係費
治療関係費とは、交通事故によって生じた治療のために必要となった費用です。
具体的には、以下のような費用が対象となります。
- 治療のために必要であった投薬代・手術代・入院費用(治療費用)
- 入通院のために生じた交通費
- 入通院に付添が必要であった場合は付き添い費用
治療関係費の内、治療費用については、加害者側の任意保険会社が立て替えてくれることが多いでしょう。
加害者側の立て替えがなされない場合には、いったん被害者が負担する必要がありますが、健康保険を利用することで負担を軽減することが可能です。
(2)入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、治療のために入院や通院を行ったことで生じる精神的苦痛に対する賠償金です。
入通院慰謝料の金額は、入通院の期間に応じて決定され、具体的には以下の表を利用することとなります。
(3)休業損害
休業損害とは、交通事故によって仕事を休んだことによる収入の損失の賠償金です。休業損害の金額は、休業期間や休業前の収入見込みなどによって異なります。
具体的には、以下のような計算式で金額が算出されるでしょう。
休業損害の計算方法
交通事故前3カ月間の平均給与の日額×休業日数
計算方法は仕事内容や給与体系で変わってくることがあります。
(4)後遺障害慰謝料
後遺障害等級の認定を受ける必要がある
交通事故による脳震盪によって脳震盪後症候群が生じると、症状が完治せずに後遺症が残ることがあります。
後遺症の症状が後遺障害に該当すると認定されると、後遺障害慰謝料の請求が可能となるのです。
後遺障害等級の認定申請を行うには、医師が作成する後遺障害診断書や意見書などの必要書類を揃えて、自賠責保険会社の調査機構に申請を行う必要があります。
専門知識が必要となってくる手続きであるため、弁護士に相談しつつ行うべきでしょう。
後遺障害等級認定について詳しく知りたい方は『交通事故の後遺障害等級が認定されなかった理由と防止法|結果は変えられる?』の記事をご覧ください。
脳震盪により認められる後遺障害等級と慰謝料額
脳震盪後症候群による後遺症の症状から認められる可能性がある後遺障害等級は、以下の通りです。
等級 | 症状 |
---|---|
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し 服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
後遺障害等級ごとに請求できる後遺障害慰謝料の金額は、以下の通りとなります。
等級 | 慰謝料額 |
---|---|
9級 | 690万円 |
12級 | 290万円 |
14級 | 110万円 |
また、脳震盪が生じるような頭部への衝撃があったために、脳外傷が生じた結果、高次脳機能障害が引き起こされる可能性があります。
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・交通事故での高次脳機能障害|後遺障害認定基準と慰謝料相場を解説
(5)後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、交通事故により後遺障害が生じたことによる将来の収入の減収に対する補償をいいます。
脳震盪によって生じた後遺障害により労働能力が喪失した場合、後遺障害逸失利益を請求することが可能です。
後遺障害逸失利益の金額は、年齢、職業、賃金、将来の収入見込み、後遺障害の程度などによって異なります。
具体的な計算式は以下の通りです。
後遺障害逸失利益の計算
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間の年数に対応するライプニッツ係数
基礎収入:交通事故前年の収入から判断されます。
労働能力喪失率:後遺障害等級に応じて決められた割合となります。
労働能力喪失期間:基本的に症状固定の年から67歳になるまでの年数となります。
ライプニッツ係数:将来得られるはずの利益がすぐに得られることから、中間利息を控除するために必要となります。労働能力喪失期間に応じて決められた数値が適用される。
交通事故で脳震盪を負った場合の弁護士に相談するメリット
交通事故で脳震盪を負った場合に弁護士に相談することで、以下のようなメリットを受けることが可能です。
- 加害者側との示談交渉をしてもらえる
- 相場の損害賠償金を請求できる
- 適切な後遺障害等級の認定を受けられる
加害者側との示談交渉をしてもらえる
交通事故で脳震盪を負った場合、加害者側と示談交渉を行う必要があります。
示談交渉は、被害者本人が直接行うこともできますが、弁護士に依頼することで弁護士から示談交渉をしてもらうことが可能です。
弁護士は示談交渉になれているので、円滑に交渉を進めることができます。
また、依頼者としては示談交渉のために加害者側と連絡を取る必要がなくなり、治療や仕事の復帰に専念できるというメリットもあるのです。
相場の損害賠償金額の請求
加害者側は簡単に相場の金額を支払わない
交通事故で脳震盪を負った場合、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
損害賠償金の内、慰謝料については複数の計算基準があり、具体的には以下の3つです。
慰謝料の計算基準
- 自賠責基準
自賠責保険が慰謝料の金額を算定する際に用いる計算基準 - 任意保険基準
任意保険会社が慰謝料の金額を算定する際に用いる計算基準 - 裁判基準
裁判において裁判所が慰謝料の金額を算定する際に用いる計算基準
弁護士が慰謝料の金額を算定する際にも用いるので弁護士基準ともいわれる
この3つの基準の内、裁判基準により算出される金額が最も高額となり、相場といえる金額となります。
そのため、裁判基準で算出された金額を請求することになるでしょう。
しかし、加害者側は、少しでも支払う金額を減らすため、自賠責保険や任意保険基準で算出された金額の支払いを提案してくるので、増額の交渉が必要となります。
加害者側が任意保険に加入している場合、保険会社が示談交渉を担当することになります。
保険会社は、できるだけ支払い金額を抑えようとし、示談交渉になれているので、被害者本人による示談交渉では、十分な増額ができない可能性が高いのです。
相場の金額を請求するなら弁護士に任せるべき
弁護士に相談・依頼を行うと、保険会社に対して相場の損害賠償金額に増額するよう請求をしてもらえます。
弁護士は、交通事故の損害賠償に関する専門知識を有しており、保険会社との交渉経験も豊富です。
そのため、被害者側が不利な条件で示談を結ぶことを防ぎ、相場の金額で示談するよう交渉してもらえます。
保険会社も、専門家からの根拠のある主張であることや、示談交渉が決裂すると裁判となり、裁判基準で算出された金額の支払いが生じる恐れがあることから、増額交渉に応じやすくなるのです。
適切な後遺障害等級の認定
弁護士に相談することで、後遺障害の認定を申請する手続きを行ってもらい、後遺障害等級の取得を図ることができます。
弁護士は、交通事故の後遺障害に関する専門知識を有しており、適切な後遺障害等級の認定を受ける方法を知っているのです。
そのため、被害者側が適切な後遺障害等級を取得するための必要な資料を収集し、申請の手伝いを行ってくれるでしょう。
後遺障害等級が認定されることで請求できる後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は高額になることが多いので、適切な等級の認定を受けることが非常に大切なります。
そのため、弁護士に相談するべきでしょう。
弁護士に相談するなら無料の法律相談がおすすめ
弁護士に相談するとなると、金銭面に不安を覚える方もいるでしょう。
そのため、まずは無料の法律相談を受けることをおすすめします。
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象とした無料の法律相談を行っています。
交通事故に力を入れているため、交通事故案件の経験が豊富な弁護士に相談することが可能です。
相談後に依頼ということになっても、原則として依頼の時点では費用はいただきません。
加害者から損害賠償金を回収後に、費用の清算を行うので、手元のお金が不安な方でもご依頼が可能です。
無料相談
弁護士費用特約を利用すれば、そもそも費用を支払わずに済むかも
弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士に支払う相談料や弁護士費用を代わりに負担してくれるという特約です。
相談料や弁護士費用が特約の上限額内に収まることは珍しくないなので、弁護士費用特約を利用すると、多くのケースで相談料や弁護士費用を負担することなく、弁護士への依頼が可能となります。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了