退職代行を使っても退職金はもらえる?弁護士が解説
「退職代行事業者の選び方は?」
「退職代行を使うと退職金がもらえない?」
退職代行を使うと、退職金がもらえなくなることを心配している方は多いのではないでしょうか。
会社に退職金制度がある場合には、退職代行を利用しても退職金を受け取ることができます。
しかし、会社によっては退職金規定が設けられていたり、依頼する退職代行業者によっては退職金を請求できずにトラブルに発展したりすることもあります。
この記事では、退職代行で退職金を受け取る際の注意点や、トラブルを防ぐ退職代行事業者の選び方を詳しく解説します。
目次
退職代行を使っても退職金はもらえる
退職代行サービスを利用した場合でも、会社に退職金制度がある場合には、退職金を受け取ることができます。
退職代行を利用したことと退職金の支払いは、一切関係ないからです。
しかし、会社によっては就業規則に退職金の規定を設けていなかったり、一方的に退職代行を利用したことを理由として退職金の支払いを拒否したりすることがあります。
退職代行で退職金を受け取るときの注意点
退職代行で退職金を受け取る際の注意点として、以下の2点があげられます。
退職代行で退職金を受け取る際の注意点
- 会社に退職金制度があるか確認する
- 退職金を請求できる退職代行に依頼する
会社に退職金の制度があるか確認する
勤務先の会社にそもそも退職金制度があるかどうか確認しましょう。
退職金は法律で定められている制度ではないため、従業員数が少ない会社では、退職金制度自体がない可能性もあります。
また、退職金制度がある場合でも、勤続年数や退職理由によって退職金が減額されたり・受け取れなかったりする場合もあります。
退職代行を利用する前に、会社の就業規則や退職金規程を確認しましょう。会社によっては、総務・人事部に問い合わせる必要がある場合もあります。
「会社に就業規則がない」「就業規則がないような気がする…」とお考えの方は『就業規則を見たことがない!就業規則のない会社は違法?』の記事もご覧ください。
退職金を請求できる退職代行に依頼する
退職代行事業者によっては、退職代行で退職金を請求できない場合があります。
そのため、「無事退職できたが退職金が受け取れなかった」という事態が発生してしまうおそれもあるのです。
退職金を請求できる退職代行に依頼するようにしましょう。
退職代行の種類|退職金請求ができるのは弁護士だけ
退職代行をおこなう事業者は、大きく以下の3種類に分けられます。
退職代行事業者の種類
- 一般の退職代行業者
- 退職代行ユニオン
- 弁護士
(1)一般の退職代行業者
弁護士などの国家資格をもたない、株式会社や個人事業主による代行業者です。
会社に退職する意思を伝えることはできますが、会社と法的な交渉をおこなうことは非弁行為(弁護士資格をもたない者が、報酬を目的に弁護士業務をおこなう違法行為)にあたるため、退職金請求といったアクションを起こすことはできません(弁護士法第72条)。
(2)退職代行ユニオン
退職代行ユニオンとは、退職代行サービスをおこなっている合同労働組合のことです。
合同労働組合とは、社内に労働組合がない企業の労働者などが加入できる団体のことで、正社員や派遣社員、パートなどといった雇用形態に関係なく加入できるという特徴があります。
労働組合には団体交渉権が認められている(日本国憲法第28条)ため、会社と交渉や話し合いをすることや、退職と同時に退職金を請求することはできます。
しかし、実際にユニオンが労働委員会の承認を受けているかどうかや、運営実態が明らかにされているかといった、確認するべき点があるところに注意が必要です。
また、退職代行ユニオンには訴訟など法律問題に発展した場合、対処が難しくなるというデメリットがあります。
(3)弁護士
弁護士であれば、勤務先に退職する意思を伝えてもらえるだけでなく、以下のような交渉を同時におこなってもらえます。
弁護士に退職代行を依頼するとできること
- 退職金の請求
- 未払いになっている残業代や給与の支払い交渉
- 離職票などといった退職書類の請求
- 勤務先からの損害賠償請求に対する交渉
退職金はもちろん、サービス残業をしていた場合には、未払い残業代も請求できます。
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弁護士に退職代行を依頼することのメリット
退職金も同時に請求してもらえる
弁護士に退職代行を依頼することの大きなメリットとして、退職金を退職代行と同時に請求できるということが挙げられます。
退職代行の利用を検討されている方は、ご自身では退職はもちろん、退職金の支払いについても上司に告げることが難しい方が多いと思います。
弁護士に依頼すれば、退職代行と同時に退職金も請求してもらえるので、退職金を受け取れる可能性が高くなります。
非弁行為のリスクがない
一般の退職代行業者が代行できるのはあくまで「退職の意思を告げること」だけです。そのため、それ以上に何らかの法的な交渉をおこなうと、非弁行為に該当するリスクが大きくなります。
一方、弁護士であれば非弁行為に該当するリスクはなく、退職金の請求ができるうえ、支払いを拒否されたとしても代理で会社と交渉できます。
退職に失敗するおそれが小さい
一般の退職代行業者では、退職する意思を告げたときに勤務先側から反論を受けたり、退職を認められなかったりした場合、法的な対応をとることができないというリスクが考えられます。
場合によっては、勤務先から損害賠償を請求されてしまうこともあるかもしれません。
弁護士に依頼すれば、勤務先側と法的な交渉をおこなうことができるため、そういったリスクを考えることなくスムーズにトラブルに対処できます。
弁護士に退職代行を依頼することのデメリット
弁護士に退職代行を依頼するメリットは多いですが、弁護士に退職代行を依頼することのデメリットは、他の事業者と比べると費用が高くなってしまうことが挙げられます。
弁護士に退職代行を依頼する際には、最初に相談をするときに必要な法律相談料、退職代行を依頼するための手数料、事務的な作業について生じる実費などが必要となります。
ただし、相談料は無料の弁護士事務所もあるため、費用が心配な方は無料の法律相談をうまく活用するといいでしょう。
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・退職代行サービスの金額相場はいくら?3つの相談先と対応の違いを解説
退職金を受け取れない場合は弁護士に相談
退職代行を利用して退職金をしっかりと受け取りたいとお考えの方は、弁護士に依頼しましょう。
弁護士であれば、会社側が退職代行を利用したことを理由に退職金の支払いを拒否してきても、労働者の代理人として会社との交渉や法的手続きに対応することができます。
就業規則や退職金の規定を持参して、弁護士に事前に相談すれば、退職金制度として退職金が受け取れるかどうかも教えてもらえるでしょう。
まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了