退職トラブルの相談窓口3選!よくある相談事例も紹介

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退職トラブル

「退職の意思を伝えたら拒否された」
「退職したいのに退職できない」

退職に関するトラブルは、退職したくてもできない「在職強要」や、一方的に退職を促される「退職勧奨」などがあります。

今回の記事では、退職トラブルの相談窓口3選とよくある質問をご紹介します。

退職トラブルを抱えている方は、ご紹介する専門家の窓口に相談してみましょう。

退職トラブルの相談窓口3選

退職トラブルが発生した場合は、下記の窓口に相談できます。

退職トラブルの相談窓口

  • 総合労働相談コーナー
  • 法テラス
  • 弁護士事務所

総合労働相談コーナー

労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談コーナー」は、厚生労働省が管轄する窓口で、あらゆる労働問題を相談できます。退職トラブルに関しても相談可能です。

予約も不要で、無料で利用可能です。また、相談や助言で解決しない場合は、あっせん制度も利用できます。

さらに労働基準法違反の疑いがある場合は、担当部署に引継ぎ、行政指導もしてくれる場合もあります。

総合労働相談コーナーは全国各地に設置されています。

料金無料
Webサイト「○○県 総合労働相談コーナー」で検索

参考:総合労働相談コーナー

法テラス

法テラスは、国が設立した法的トラブル解決の総合案内所です。アドバイスを始め、最適な窓口の紹介もしてくれます。

退職に関する相談をすれば、頼れる弁護士を紹介してくれることもありますので、まずは相談をしてみてください。

電話番号0570-078374(法テラス・サポートダイヤル)
受付時間平日 9時~21時、土曜 9時~17時
料金無料

参考:法テラス

弁護士事務所

弁護士は、法律の専門家です。労働問題に関しても幅広く相談することができます。

とくに退職勧奨や雇い止め、退職金未払いに関しては、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談することで、これまでの経験や判例などから違法性があるかどうかの判断と、労働審判・訴訟を視野に入れた今後の対処法を教えてもらえることができます。

弁護士事務所に相談するデメリットは、費用が発生することです。弁護士相談にかかる費用は1時間5,000円~1万円が相場です。

事案にもよりますが、事務所によっては無料相談ができる場合もあります。

料金無料または1時間5,000円~1万円程度
Webサイト「退職 弁護士事務所」などで検索

そもそも退職・解雇は自由にできる?

法律上は退職日の2週間前までに告げれば問題ない

労働者は、期間の定めのない雇用契約については、2週間の予告期間を置くことによって解約することができます(民法627条1・2項)。

ただし、会社の就業規則には「退職日の1か月以上前までに退職願を提出しなければならない」といった規定が置かれている場合も多いです。

この場合、会社の就業規則に従わなければならないと考えがちですが、退職の予告期間を2週間より長期間にする旨の規定は、無効となる可能性があります。

民法より厳しい定めを会社が勝手に設定しているだけであり、法律上は退職日の2週間前までに退職の意思を告げれば問題ないのです。

なお、期間の定めがある有期労働契約の場合は、原則として途中解約できないので、注意する必要があります。

一方的な雇い止めは違法?

雇い止めとは、派遣社員のように有期労働契約を結んでいる従業員について、契約期間が満了した際に契約更新をすることなく労働契約を終了させることをいいます。

一方的な雇い止めは、不当な解雇と同視できるとして、無効であるとみなされる場合があります。

以下のようなケースでは雇い止めが無効になる可能性があります。

無効となり得る雇い止めのケース

  • 雇用が長期間に及んでいるなど、契約がほぼ無期雇用者と変わらない場合
  • これまでに何度も契約が更新されているなど、契約更新について合理的な期待が生じている場合

一方的に雇い止めをされた場合には、専門家に相談しましょう。

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退職したい労働者を会社が引き止めることは違法?

退職したくても、引き継ぎができていないことや後任がいないことを理由に、会社から引き止めにあっている方もいるでしょう。

退職したいと言ってきた労働者に対して会社が引き止めること自体は、違法なことではありません。

ただし、会社の引き止めには、法的な強制力があるわけではありません。考え直してほしいという要望を伝えているだけにすぎないので、引き止めを拒否して退職することもできます。

労働者は期間の定めのない雇用契約については、退職の意思を伝えて2週間が経過していればいつでも退職できます。本来は会社の承認を受ける必要もないのです。

退職トラブルのよくある質問

退職は認めないと言われた

就業規則に定められた退職日に関するルールも守っても、会社側から「退職は認めない」「退職するなら労働契約違反で損害賠償を請求する」などと言われる場合もあります。

これらの文句は単なる脅しなので安心してください。

退職は労働者に認められた権利であり、会社側がこの権利を侵害することはできません。

会社側の圧が強くどうしても辞めるのが難しい場合は、弁護士に相談し、代わりに交渉してもらうのが良いでしょう。

退職金を支払ってもらえない

退職金が支払ってもらえるかどうかは、就業規則に退職金の規定があるかによります。

就業規則に退職金に関する規定はあるか確認してみましょう。

労働基準法上は退職金に関する規定は存在しないため、退職金を支払わない企業があっても問題はありません。実際、退職金制度を設けていない企業は一定数存在します。

退職金の規定がなければ原則として退職金はもらえませんが、退職金の規定があるにもかかわらず支払ってもらえない場合は、専門家に相談しましょう。

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有給休暇の消化を認めないと言われた

有給休暇の消化は、労働基準法によって認められている労働者の権利です(労働基準法39条)。

退職するからといって有給休暇を消化する権利が消滅することはありません。有給休暇をすべて消化したうえで退職できます。

退職を認めず懲戒解雇と言われた

会社が労働者を懲戒解雇するためには、懲戒処分に相当する理由が必要です。

客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない場合は懲戒処分や解雇が無効になる可能性があります(労働契約法15・16条)。

退職するという行為が懲戒処分に相当する理由とはならないので、退職を希望しただけで会社が懲戒解雇した場合は無効となる可能性が高いです。

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まとめ

退職トラブルの相談窓口と退職トラブルのよくある質問をご紹介しました。

退職できないことでお悩みの方も多いと思いますが、法律上は退職日の2週間前までに退職の意思を告げれば問題ありません。会社からの引き止めで心情的に退職しづらい方や、在職強要されている方は、ご紹介した相談窓口に相談してください。

また、退職勧奨や雇い止めに関しては、弁護士に相談することがおすすめです。弁護士であれば違法性があるかどうか判断できるうえ、依頼すれば代理人として会社と交渉することもできます。

費用の心配をされている方は、まずは無料の相談窓口を選んで相談してみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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