不当解雇を相談・依頼するときの弁護士費用相場は?対処法も解説
「不当解雇を弁護に依頼する費用は?」
「不当解雇に納得がいかないから弁護士に相談したい」
今回の記事では、不当解雇を相談・依頼するときの弁護士費用相場や不当解雇された場合の対処法について解説します。
不当解雇の弁護士費用相場は、着手金が30万〜50万円、成功報酬が請求額の10~15%前後です。
ただし、弁護士費用は事務所や解決手段によっても異なります。
弁護士費用を抑える方法についても解説しているので、不当解雇で弁護士に相談・依頼するかお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
不当解雇における弁護士費用の相場は?
相談料:初回相談は無料の場合も多い
相談料は一般的にタイムチャージ制になっており、不当解雇の相談費用の相場としては、1時間あたり1万円前後となっています。
相談料とは、弁護士に法律相談をした場合にかかる費用です。
なお、初回相談は無料に設定している弁護士事務所も多いです。
着手金:30万〜50万円
不当解雇の弁護士費用として、着手金の相場は30万〜50万円です。
着手金とは、弁護士に事件を依頼するときにかかる費用のことです。事件の結果にかかわらず、費用が発生します。
事務所によっては、請求金額(会社に支払いを請求したい金額)の数%を着手金として設定している場合もあります。
また、完全成功報酬型を採用している弁護士事務所もあります。
完全成功報酬型は、着手金を一切とらずに和解や裁判で勝訴して得られた慰謝料などの解決金から成功報酬をとるものです。
完全成功報酬型を採用している弁護士事務所を選べば、まとまった着手金を支払う必要がないことに加え、費用倒れのリスクを心配せずに弁護士への依頼ができます。
依頼した弁護士が会社との交渉や法的な手続きを行った結果、不当解雇と判断されずに金銭を回収できなかったとしても、労働者の負担はないということです。
ただし、事件が解決したときの成功報酬の割合や金額が高めに設定されていたり、手数料などの別の名目で金銭が請求されたりする可能性もあるので注意しましょう。
成功報酬:請求額の10~15%前後
不当解雇を弁護士に依頼した際の成功報酬の相場は、請求額の10~15%前後です。
成功報酬とは、弁護活動結果、依頼人が経済的な利益や納得のいく結果を得られた場合に、弁護士に報酬として支払う費用のことです。報酬金や弁護士報酬と呼ばれることもあります。
成功報酬は、弁護活動の結果に対して支払う費用です。
たとえば、不当解雇を撤回するように弁護士に依頼したところ、弁護士の活動によって会社が解雇を撤回した場合は成功報酬が発生します。
一方、弁護士が尽力したものの、会社が解雇を撤回せず、何の利益も得られなかった場合は、依頼人にとって満足できる結果ではないので、成功報酬は発生しません。
その他費用
着手金や成功報酬以外にも、日当や実費、書面作成費などがかかることがあります。
その他費用
- 日当:1回につき1〜3万円前後
- 書面作成費:5万円前後
- 実費:解決手段などによって異なる
日当とは、弁護士が出張したときに必要となる費用のことを指します。会社との交渉や裁判所へ出向く際などに発生します。1回につき1〜3万円前後が相場です。
書面作成費は、会社と交渉するための書面(内容証明など)を弁護士に依頼した場合にかかる費用です。5万円前後が相場です。
実費は、手続きを進める上で必要となる、切手代や印紙代といった費用のことを指します。事務所や解決手段によっても費用が異なります。
もっとも、日当や実費は、不当解雇の解決までの期間が長くなるにつれて高額になります。
不当解雇は裁判などに発展すると、解決までに1年以上かかることもあります。そのため、不当解雇を弁護士に依頼する際には、想定される費用を事前に確認しておくといいでしょう。
不当解雇の弁護士費用を抑えるためには
不当解雇の弁護士費用を抑えるためには、以下のような方法が挙げられます。
不当解雇の弁護士費用を抑える方法
- 無料相談をしている弁護士事務所に相談する
- 成功報酬が低い弁護士事務所を選ぶ
無料相談をしている弁護士事務所に相談する
無料相談をしている弁護士事務所に相談すれば、弁護士費用を抑えることができます。
依頼する弁護士を決める際には、複数の事務所に相談し、見積もりを取ることが重要です。
有料相談を実施している事務所に複数相談すれば、その分費用がかかってしまいますが、無料相談をしている弁護士事務所であれば費用の心配なく相談できるでしょう。
成功報酬が低い弁護士事務所を選ぶ
成功報酬が低い弁護士事務所を選ぶことも選択肢の一つです。
成功報酬が低い事務所を選べば、結果的に弁護士費用を抑えることができます。
成功報酬の割合は、解決方法などによっても変動することが多いので、直接相談した際に確認すべきです。
ただし、直接相談する前の事務所選びの段階では、事務所のHPに記載されている金額を参考にするといいでしょう。
不当解雇の事例と弁護士に相談するメリット
弁護士に相談すべき不当解雇の事例
解雇の理由が客観的にみて合理的でない場合は不当解雇にあたる可能性が高いため、弁護士に相談すべきです。
具体的には以下のようなケースが考えられます。
不当解雇になる例
- 数回遅刻したら、勤務態度が悪いと言われて解雇された
- 成績が悪い、ノルマをクリアできないから解雇された
- 妊娠、出産を理由に解雇された
- 労働組合に加入したら解雇された
- 労働基準法違反を労働基準監督署に申告したら解雇された
ただ、上記はあくまで一例であり、どのようなことが不当解雇となるかはケースバイケースで非常に難しい判断が求められます。近しい例があった方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
不当解雇を弁護士に依頼するメリット
不当解雇を弁護士に依頼するメリットは、不当解雇にかかわる会社との交渉や対応を弁護士に代理人として一任できる点です。
裁判だけでなく、内容証明郵便など書類の作成や労働審判などの話し合いも代理人として行ってくれます。
労働者自身は不当に解雇された会社との対応をしなくて済むため、心理的な負担も少なく転職活動や休養に専念できるでしょう。
また、弁護士を通して交渉することで、会社側にも本気度が伝わる為、実際は裁判までいかずに解決することも多いです。
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不当解雇された場合の対処法
ここでは、不当解雇された場合の対処法を解説します。
会社から解雇理由証明書をもらう
まず、不当解雇された場合にやるべきことは、会社から解雇理由証明書を発行してもらうことです。
解雇理由証明書を発行してもらうのは、解雇理由を明らかにするためです。
解雇理由証明書は、労働者が請求すれば、会社は発行する義務があります。
解雇理由証明書の記載は、交渉時や裁判時に解雇理由が解雇の要件を満たしているか、合理的であるかを判断する際の証拠として役立ちます。
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・解雇理由証明書を請求する方法は?請求するために知っておくべきことを解説
就業規則をコピーする
就業規則には、必須事項として解雇事由が記載されています。
解雇理由証明書をもらったら、就業規則を確認し解雇事由について記載されている箇所をコピーしてください。
解雇理由が不当かどうか、就業規則と照らし合わせて判断できます。
解雇理由証明書の解雇理由が、就業規則の解雇事由と一致していなければ、不当解雇の可能性が高いと言えるでしょう。
また、解雇に関する上司とのやり取りの音声録音やメモ、メールなどもあれば保存しておくと、証拠として役立つ可能性があります。
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内容証明郵便を送る
不当解雇である証拠を集めたら、内容証明郵便で会社に解雇無効を求めましょう。
内容証明郵便とは、文書の内容と誰から誰に差し出されたかを郵便局が証明してくれる郵便のことです。
さらに、配達証明書つきの内容証明郵便で送れば配達記録も残るので、会社側からそのような郵便は届いてないと言われるのを防ぐことができます。
また、この段階で本来は貰えたはずの解雇後の賃金を請求することもできます。
内容証明郵便は、ご自身で書くことも可能ですが、不安であれば、費用はかかりますがこの段階で弁護士に代筆を依頼することもできます。
労働審判を申し立てる
内容証明郵便を送っても会社側からの反応がなかった場合は、労働審判を申し立てを検討すると良いでしょう。
労働審判は、原則3回以内の期日で終了するため、平均2〜3か月程度で解決できるところが大きなメリットです。
また、調停での決定や審判内容は、裁判上の和解と同じ効力があり会社側が応じない場合は強制執行する事も可能です。
ただし、ここで会社側との話し合いがまとまらずに、出された審判に会社側が納得せず異議を申し立てた場合は訴訟手続きに発展します。
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裁判を起こす
会社との話し合いや労働審判で解決しない場合は、訴訟をして解雇の無効を裁判で争うことになります。
互いの主張が異なっていると裁判が長期化する可能性も高く、労働者には大きな負担となります。
不当解雇で裁判まで発展するようなケースは、とくに法的な知識と経験が求められます。労働問題に強い弁護士に依頼すれば、不当解雇における適切な法的主張や証拠集めなどを任せることができるでしょう。
まとめ
不当解雇を弁護士に依頼する場合、相談料や着手金、成功報酬などの費用が一般に発生します。
しかし、無料相談や完全成功報酬制を採用している事務所に相談・依頼すれば、弁護士費用を抑えることができます。
不当解雇でお悩みの方は、弁護士に相談することが重要です。無料相談をしている弁護士事務所に相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了