契約社員でも退職代行は使える?退職代行を利用するときの注意点を解説!
「契約社員で働いている会社が合わない」
「契約社員だけど退職代行を使って辞めたい」
契約社員として入社した会社の社風や業務内容が合わずに、契約期間満了前に退職したいとお考えの方は多いのではないでしょうか。
契約社員は正社員と異なり、有期雇用契約が結ばれているため、退職に関して厳しい制限が設けられています。
しかし、契約社員でも退職代行を利用できるケースがあります。
この記事では、契約社員でも退職代行を利用できるケースの具体例、退職代行を利用するときの注意点を詳しく解説していきます。
目次
契約社員でも条件をクリアすれば退職代行を利用できる
契約社員は、正社員と異なり、退職代行の利用に制限があります。
契約社員は有期雇用契約である以上、退職を自ら申し出ることが基本的にできないからです。
しかし、以下のいずれかに該当する場合は、契約期間満了前に退職代行を利用して退職できます。
契約社員でも退職代行を利用できるケース
- やむを得ない事情がある場合
- 契約開始から1年以上経過している
- 会社との間で両者の合意がある
それぞれ詳しく解説します。
やむを得ない事由がある場合
やむを得ない事由がある場合には、契約期間の満了前でも退職代行を使って退職可能です。
民法628条では、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」とあります。
やむを得な事由は、以下のようなものが挙げられます。
やむを得ない事由の例
- パワハラやセクハラを受けている
- 身内の介護が必要となった
- ケガや病気などで仕事に支障をきたした
契約開始から1年以上経過している
契約開始から1年以上経過している契約社員は、退職代行を利用できます。
期間の定めのある労働契約を締結した労働者は、契約の初日から1年が経過すれば、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職できます(労働基準法137条)。
正社員の場合は、退職の意思を告げてから2週間後に退職が可能ですが(民法627条)、1年以上経過している契約社員の場合は、退職代行を利用して即日退職も可能です。
もっとも、業務の引き継ぎを行わずに即日退職すると、会社から損害賠償されるおそれもあるので、退職時には注意が必要です。
会社と労働者との間で両者の合意がある
契約期間中であっても、会社と労働者との間で両者の合意があれば退職できます。
たとえ契約から1年が経過していない・やむを得ない事由がない場合でも、会社が退職を認めれば退職できるということです。
退職代行を利用する場合には、退職代行業者から会社に合意を求めるように働きかけてもらう必要があります。
なお、退職代行業者に依頼しても、必ずしも合意を得られるわけではありません。合意が得られなければ退職できない可能性もあるので、注意しましょう。
契約社員が退職代行を利用するときの注意点
上記のいずれかに該当した場合でも、退職代行を利用するときには注意が必要です。
契約社員も利用できる退職代行事業者を選ぶ
そもそも退職代行事業者によっては、契約社員からの依頼を受け付けていないこともあります。
退職代行を利用する際には、自身が契約社員であることを告げ、契約社員も利用できる退職代行事業者を選ぶようにしましょう。
契約社員が利用できるかどうかは、ホームページや口コミなどで確認してください。もし記載がなければ、退職代行事業者に事前に相談するといいでしょう。
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非弁行為のリスクがない弁護士に依頼する
退職代行を行う事業者は、「一般の退職代行業者」「労働組合」「弁護士」の3種類に区別できます。
どの事業者に依頼するか迷ったときには、弁護士に依頼することがおすすめです。
一般の退職代行業者が代行できるのはあくまで「退職の意思を告げること」だけです。
そのため、それ以上に何らかの法的な交渉をおこなうと、非弁行為(弁護士資格をもたない者が、報酬を目的に弁護士業務をおこなう違法行為)に該当するリスクが大きくなります。
契約社員が退職代行を利用した場合は、会社に合意を得るといった会社との交渉が必要になることが多いです。契約社員の方はとくに労働組合や弁護士に依頼すべきと言えます。
また、弁護士であれば会社との交渉ができるうえ、未払い残業代や給与、退職金の請求も可能です。
さらに、労働組合が訴訟といった法的な手続きに発展すると対処が難しくなるデメリットがある一方、弁護士は法的な手続きにもスムーズに移行できるメリットがあります。
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・退職代行を弁護士に依頼するメリットは?費用・代行業者との違いまで完全解説!
料金やサービス内容も確認しておく
利用する退職代行サービスによって、かかる費用は異なります。
依頼費用や追加料金の発生の有無、万が一退職が失敗してしまった場合の返金保証が付いているかなどは確認しておくべきでしょう。
退職代行サービスを依頼するからには、当然失敗は避けたいものです。返金保証が付いていないサービスは、お金を払って損することも考えられるので、選ぶときには注意が必要です。
また、退職は成功したものの、追加料金が発生し、想像以上の費用がかかってしまうこともあります。
相場よりも極端に費用が低い退職代行サービスは、追加料金を設定している可能性もあります。相談する際には、追加料金の条件などを確認しておきましょう。
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・退職代行サービスの金額相場はいくら?3つの相談先と対応の違いを解説
まとめ
この記事では、契約社員が退職代行が利用可能かどうかについて詳しく解説しました。
契約社員であっても、条件をクリアすれば退職代行を利用して退職可能です。
退職代行の利用を検討している方は、トラブルを防いで安心して退職するためにも、退職代行事業者の違いや退職代行の流れをしっかりと理解したうえで利用するようにしましょう。
また、失業保険や国民健康保険の切り替え手続きなど、具体的に退職代行をした後にやるべきことを把握しておけば、安心して退職代行を利用できると思います。
退職代行の流れや退職代行利用後の手続きに関して詳しく知りたい方は、『退職代行の流れは?手順を弁護士が徹底解説』の記事もご覧ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了