交通事故のびまん性軸索損傷とは?後遺障害認定や慰謝料も解説

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

交通事故の被害者が

交通事故でびまん性軸索損傷を負った場合、後遺障害として認定される可能性があります。

びまん性軸索損傷の後遺障害には、遷延性意識障害、高次脳機能障害などがあり、これらの後遺障害が生じると、慰謝料など被害者が受け取ることができる損害賠償金(示談金)は高額になるでしょう。

そのため、慰謝料を含めた損害賠償金について、適切な金額を得ることが大切となってくるのです。

びまん性軸索損傷により後遺障害が生じた場合の損害賠償請求については、弁護士に相談することをおすすめします。

びまん性軸索損傷とは

びまん性軸索損傷とは?症状や後遺症は?

びまん性軸索損傷(びまんせいじくさくそんしょう)とは、脳の神経細胞(ニューロン)から伸びる突起(軸索)が切れたり伸びたりして損傷する傷病です。

「びまん」は「一面に広がる」という意味なので、びまん性軸索損傷は局部的ではなく、広い範囲で脳細胞の軸索が損傷している状態を指します。

軸索は脳の神経細胞間で信号を伝えるために必要なもので、びまん性軸索損傷が生じると6時間以上の意識障害が生じます。重症のケースでは昏睡状態が24時間以上続くこともあるでしょう。

びまん性軸索損傷の後遺症としては、遷延性意識障害(植物状態)や、高次脳機能障害による記憶障害・失認症・言語障害などが挙げられます。
これらの後遺症が後遺障害として認められれば、後遺障害慰謝料・逸失利益の請求が可能です。

それぞれの後遺症について、詳しく解説します。

遷延性意識障害

遷延性意識障害とはいわゆる植物状態のことで、3ヶ月以上、特定の要件に該当する強い意識障害が続きます。

交通事故で遷延性意識障害となった場合には、損害賠償請求を含め家族がさまざまなことを行う必要があります。

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高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、脳の記憶や思考、判断などの機能に障害が出る状態です。

具体的な症状としては、物忘れが激しくなったり妄想や嘘が多くなったりする記憶障害、物事を認識する能力が低下する失認症、言葉が出なくなったり聞いた言葉を理解できなくなったりする言語障害などが挙げられます。

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びまん性軸索損傷の原因

びまん性軸索損傷の原因は、頭部外傷です。
たとえば交通事故で頭を強く打ち付けるなどすると、脳に回転性の圧力が加わります。その結果脳が激しく振れ、軸索が伸びて損傷してしまうのです。

頭部を直接的に強打していなくても、頭が揺さぶられることでびまん性軸索損傷が生じることもあります。

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びまん性軸索損傷の治療法

現代の医学において、びまん性軸索損傷に対する直接的で有効な治療法はありません。

その他の頭部外傷で行われる治療と同じように、呼吸や循環の安定、頭蓋内圧をコントロールするなどの全身管理を行い、脳の回復を待つことになるでしょう。

びまん性軸索損傷で後遺症が残った時にすべきこと

後遺障害認定を受ける|慰謝料請求のために必要

びまん性軸索損傷となり、完治せずに後遺症が残った場合には、後遺障害認定を受けましょう。

後遺障害認定により「後遺障害等級」を獲得すると、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できるようになります。

  • 後遺障害慰謝料
    交通事故により後遺障害が残ったことで生じる、精神的苦痛への補償
  • 逸失利益
    後遺障害による影響で減ってしまう、生涯収入への補償

認定申請のためには、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、必要書類とともに調査機関である自賠責保険会社への書類の提出が必要となります。

びまん性軸索損傷で後遺障害認定されるためのポイント

びまん性軸索損傷で後遺障害認定を受けるには、精度の高い画像検査を受けること受傷初期から定期的に画像検査を受けることが重要です。

後遺障害認定では、後遺障害の存在・程度を客観的・医学的に証明する必要があります。

しかし、びまん性軸索は、画像検査では明確な異常が見つかりにくい傾向にあります。よって、CT検査ではなく精度の高いMRI検査で異常が写っている部分はないか探してみましょう。

また、受傷後3ヶ月程度で見られることが多い脳萎縮の証明も、後遺障害認定のポイントとなってきます。

受傷直後と脳萎縮が始まってからの画像とで変化を証明できるよう、受傷初期から定期的に画像検査を受けるようにしましょう。

ただし、こうした対策をしても適切な後遺障害認定を受けられるとは限りません。後遺障害認定にあたっては、過去の事例や専門知識に精通した弁護士に相談することをおすすめします。

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びまん性軸索損傷の慰謝料相場は?

びまん性軸索損傷の後遺障害慰謝料の相場

びまん性軸索損傷による後遺障害で認定されうる後遺障害等級と、慰謝料相場は以下のとおりです。

後遺障害慰謝料の相場

等級慰謝料額
1級(要介護)2,800万円
2級(要介護)2,370万円
3級1,990万円
5級1,400万円
7級1,000万円
9級690万円
12級290万円
14級110万円

たとえばびまん性軸索損傷で遷延性意識障害が残り、後遺障害1級に認定された場合は、2,800万円の後遺障害慰謝料が認められるでしょう。

また、びまん性軸索損傷により高次脳機能障害が残り、後遺障害2級に認定された場合は、2,370万円程度の後遺障害慰謝料が認められます。

びまん性軸索の入通院慰謝料の相場

交通事故によりびまん性軸索損傷となった場合には、後遺障害慰謝料とは別に、治療のために入院や通院したことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料についても請求することが可能です。

このような慰謝料を入通院慰謝料といいます。

入通院慰謝料は入院期間や通院期間から決められます。具体的には以下の表のとおりです。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

びまん性軸索損傷で請求できる慰謝料以外の費目

加害者側に対する請求を行う際には、慰謝料以外の損害についても請求を行いましょう。

交通事故において請求できる慰謝料以外の損害は、主に以下のようなものとなります。

交通事故の被害者が請求できる損害

  • 治療関係費
    治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用・通院交通費など
  • 休業損害
    治療のために休業したため生じた減収に対する補償
  • 逸失利益
    後遺障害により生じる将来の減収に対する補償
  • 物的損害
    交通事故により生じた自動車や自転車の修理費用や代車費用など

びまん性軸索損傷で適切な慰謝料額を得るポイント

びまん性軸索損傷で適切な慰謝料額を得るには、加害者側に対してしっかり増額交渉していくことが重要です。

交通事故の慰謝料額は、加害者側との示談交渉で決められます。この際、加害者側はここで紹介した相場よりも低い慰謝料額を提示してきます。

この記事で紹介した慰謝料相場は「過去の判例に沿った基準(弁護士基準)」のものですが、加害者側は「国が定めた最低限の基準(自賠責基準)」や「自社独自の基準(任意保険基準)」で慰謝料を算定するからです。

慰謝料金額相場の3基準比較

被害者が増額交渉をしても加害者側の任意保険会社がすんなり受け入れることは期待できません。

弁護士基準の金額は本来裁判で認められうるものであり、示談交渉時点で専門家ではない被害者が主張しても、説得力がないとされてしまうのです。

しかし、弁護士を立てれば示談交渉段階でも弁護士基準に近い慰謝料額の獲得が期待できます。

先述の通り、びまん性軸索損傷は後遺障害認定の対策も難しい傾向にあるので、認定対策も含めてまとめて弁護士に任せることがおすすめです。

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相場の慰謝料を得るために弁護士に相談しよう

弁護士に相談するメリット

びまん性軸索損傷となった場合に適切な金額の慰謝料を得るためには、弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士に相談・依頼を行うことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 適切な後遺障害等級の認定を得るためのサポート
  • 示談交渉の代理
  • 根拠のある増額交渉

弁護士は、損害賠償請求の手続きをサポートし、適切な慰謝料の獲得を支援します。

弁護士に相談するなら無料の法律相談から

上述したメリットを受けるためにも、まずは弁護士に相談を行いましょう。
相談の際に費用が気になる方は、無料相談を行っている弁護士の相談を受けることをおすすめします。

アトム法律事務所では、交通事故被害者の方に対して無料の法律相談を行っています。

交通事故案件を多く取り扱っているので、交通事故案件の経験が豊富な弁護士に相談することが可能です。

相談のうえで依頼となると費用が気になる方も多いものですが、ご自身や家族の保険に付帯している弁護士費用特約を利用できれば、弁護士費用の負担を軽くすることができます。

弁護士費用特約

保険会社が法律相談料や弁護士費用を代わりに負担してくれる特約。多くの場合は、相談料が10万円、弁護士費用が300万円を限度としている。

実際に生じる費用が限度額以上となることが少ないので、金銭的な負担なく弁護士への依頼ができる可能性が高い。

弁護士費用特約が利用できない場合でも、アトム法律事務所では、原則として依頼の際に費用をいただかず、加害者側から慰謝料などを回収した際に費用の清算を行うという方式をとっています。

そのため、依頼の際に金銭面が不安であっても依頼することが可能です。

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代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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