半月板損傷の後遺症とは?交通事故での半月板損傷の慰謝料相場

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

交通事故で半月板損傷

半月板損傷の後遺症は、膝関節の痛みや、可動域制限による機能障害です。

後遺障害等級は、可動域制限の程度に応じて8級7号、10級11号、12級7号のいずれかに認定される可能性があります。

また、神経症状が残った場合は12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

半月板損傷の後遺障害慰謝料の相場は、可動域制限では290万円〜830万円、神経症状では110万円〜290万円です。

今回は、半月板損傷の症状と後遺症、後遺障害等級、慰謝料、そして弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。

半月板損傷の症状と後遺症

半月板とは

半月板(はんげつばん)は、膝関節の中にある軟骨の組織であり、関節の動きを滑らかにし、クッションの役目を果たしています。

交通事故では横から衝撃が加わったとき、膝をひねったときなどに骨と骨の間に挟まれて半月板が損傷・断裂することがあります。

また、交通事故においては半月板損傷だけでなく、前十字靭帯など他の部位を損傷することが一般的です。半月板損傷時の症状と後遺症について説明します。

半月板損傷の症状

半月板損傷の症状:痛みや腫れ。関節の可動域制限や引っかかり感など。

半月板損傷による主な症状は、膝の痛み、腫れ、可動域の制限です。

断裂の程度がひどい場合には、激痛と可動域制限により歩くことができなくなります。

半月板損傷の治療

症状の程度にあわせて、保存的治療と手術による治療が選ばれます。

比較的症状が軽い場合には、保存的治療としてリハビリテーションやヒアルロン酸の関節内注射が行われます。

痛みがひどく足を動かすことが困難であるなら、縫合術や切断術といった手術が行われます。各方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。

縫合術は半月板の機能が温存できるというメリットがある一方、再断裂の可能性が残ります。

また、切断術ではスポーツへの早期復帰が可能である一方、術後に関節の変形が進む可能性があります。

半月板損傷の後遺症

半月板損傷は膝関節の痛みや、可動域制限による機能障害といった後遺症が残る可能性が考えられます。

他の交通事故によって生ずる膝の痛みに関する症状については、関連記事をご覧ください

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前十字靭帯損傷・断裂の後遺症の解説

半月板損傷の後遺障害等級

半月板損傷を原因とする後遺障害の症状と、症状に応じた後遺障害等級について解説します。

半月板損傷によって生じる可能性のある後遺症は、膝関節の可動域の制限、神経症状です。

半月板損傷の後遺症①膝の可動域制限

半月板損傷により関節が強直して動かなくなるなど、膝関節の可動域が制限されるという運動障害が生じることがあります。

半月板損傷の後遺症として膝の可動域制限が残った場合、後遺障害8級7号、10級11号、12級7号のいずれかに認定される可能性があります。

半月板損傷の可動域制限の慰謝料相場は、290万円〜830万円です。

等級認定基準
慰謝料額
8級7号足関節が強直(全く動かない)、完全弛緩性麻痺(自動運動で関節の可動域がケガをしていない足と比べて可動域が10%程度以下となったものを含む)または、ケガをしていない足と比べて10%以下しか動かない、人工関節・人工骨頭を挿入置換してケガをしていない足と比べて可動域が2分の1以下に制限されている
830万円
10級11号ケガをしていない足と比べて可動域が2分の1以下に制限されている、または、人工関節・人工骨頭を挿入置換したもの
550万円
12級7号ケガをしていない足と比べて可動域が4分の3以下に制限されている
290万円

可動域制限の程度は、制限が生じていない方の関節と比較して測ります。

強直し全く動かない、関節の完全弛緩性麻痺やそれに近い状態にある場合には後遺障害8級7号に認定される可能性があります。

可動域が2分の1以下の場合、制限の程度に応じて後遺障害10級11号、12級7号のいずれかが認定される可能性があります。

また、人工関節・人工骨頭を挿入した場合はその事実をもって後遺障害10級11号、可動域制限があれば後遺障害8級7号に認定される可能性があります。

半月板損傷の後遺症②神経症状

半月板損傷により膝に痛みが残るといった神経症状が生じることがあります。

半月板損傷の後遺症として神経症状が残った場合、後遺障害12級13号または14級9号のいずれかに認定される可能性があります。

半月板損傷の後遺症である神経症状の慰謝料相場は、110万円〜290万円です。

等級認定基準
慰謝料額
12級13号痛みが残っていることが医学的に証明できる
290万円
14級9号痛みが残っていることが医学的に説明できる
110万円

12級13号と14級9号の違いは、後遺症の存在が医学的に証明できるかどうかという点です。

具体的には、レントゲン写真やMRI画像に異常が写っている場合には障害の存在が他覚的にわかるとして後遺障害12級13号に認定されます。

たとえ、後遺障害12級に認定されなくても事故状況・治療の経過・神経学的検査の結果などから考えて、痛みやしびれが残存しているといえる場合、後遺障害14級9号に認定されます。

半月板損傷の慰謝料|後遺障害慰謝料

半月板損傷の後遺症として可動域制限や神経症状が残った場合の慰謝料相場は、110万円〜830万円です。

ただし、これら各等級の金額は、弁護士や裁判所が用いる弁護士基準に基づいて算定された金額であり、保険会社が実際に提示してくる金額は相場よりも低い傾向にあります。

保険会社が弁護士基準ではなく任意保険基準に基づいて慰謝料を計算しているために、算定額に差が生じます。

慰謝料算定の3基準

  • 自賠責基準
    加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料の算定基準。自賠責保険会社は最低限の補償をするので、最低限の金額となる
  • 任意保険基準
    加害者側の任意保険会社が用いる慰謝料の算定基準。自賠責基準に少し上乗せした程度であることが多い。
  • 弁護士基準(裁判基準)
    弁護士や裁判所が用いる慰謝料の算定基準。過去の判例にもとづいた法的正当性の高い基準。
慰謝料金額相場の3基準比較

保険会社の提示通りに示談に応じてしまうと、相場よりも低い、任意保険基準で算定した慰謝料額しかもらえません。

そこで、増額交渉をすることによって、弁護士基準の算定額と任意保険基準の算定額の差額の範囲で、慰謝料を増額させることができます。

ひとりで保険会社を相手に交渉を進めるのはなかなか容易ではありませんが、弁護士をつければ判例や法的根拠に基づいた、説得力のある主張で、交渉を有利に進めることができます。

正式に依頼するかどうかは、まだ決めかねているとしても、保険会社の提示額から慰謝料を増額できるか、見込みだけでも弁護士に聞くことはできます。

半月板損傷の後遺症が残った際の逸失利益

交通事故により生じた後遺症が後遺障害に該当すると認定された場合は、後遺障害慰謝料だけでなく、後遺障害逸失利益を請求することも可能となります。

後遺障害逸失利益は、ケガによって失われた将来の収入を補償するための金銭です。

後遺障害逸失利益の金額は、後遺障害等級、年齢、職業、年収などによって異なります。

後遺障害逸失利益の計算方法:1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

逸失利益は将来にわたっての利益という性質から高額になるケースも少なくなく、その分、保険会社側の負担も増えるため、保険会社はあらゆる理由で逸失利益を低く見積もります。

基礎年収額や労働能力喪失率、喪失期間を低く見積もったり、後遺症があっても将来的な収入は減っていないと主張することもあります。

弁護士であれば、逸失利益を増額するために、保険会社の主張に対して適切な反論をしてくれます。

交通事故慰謝料
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交通事故の半月板損傷で後遺症が生じた場合の損害賠償

交通事故での半月板損傷の入通院慰謝料

交通事故で負った半月板損傷を入院・通院を通じて治療した場合、後遺障害認定の有無に関係なく、入通院慰謝料を請求できます。

入通院慰謝料とは、入院・通院を余儀なくされるほどの交通事故によるケガで負った精神的苦痛に対する賠償金のことを指します。

入通院慰謝料は、軽傷用・重傷用の算定表を使い分けて算定します。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

たとえば、重症を負って1ヶ月入院、5ヶ月通院した場合、入通院慰謝料の相場は入院1ヶ月の縦の列と通院5ヶ月の横の行が交差する141万円です。

ただし、この算定表に基づく金額は、あくまで弁護士や裁判所が用いる弁護士基準に照らし合わせた際の金額です。

実際に相手側の保険会社から提示される金額は算定表での金額よりも低いため、適正な金額を得るために、提示額と算定額との差額分の範囲で増額交渉をしていくことになります。

交通事故での半月板損傷の示談金(損害賠償)の内訳

交通事故での半月板損傷で請求できるのは、慰謝料だけではありません。

慰謝料以外で、請求できる費用・損害は、以下の通りです。

  • 治療費:治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用など
  • 休業損害:治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償
  • その他:治療のために必要であった交通費、付添費用など
  • 物的損害:自動車や自転車の修理代、代車費用など
交通事故示談金の内訳

これらの損害をまとめて示談金として請求することになります。

示談金については、最初に相手側の保険会社から送られてくる、支払い予定の金額と内訳について記載した示談書(免責証書)という形で提示されます。

この提示にすぐには応じず、各損害の金額や算定根拠を確認して、提示額が相場より低ければ、増額するよう交渉していくことになります。

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交通事故による半月板損傷は弁護士に相談

半月板損傷の後遺症を弁護士に相談するメリット

交通事故で半月板損傷の後遺症が残った場合、弁護士に相談すると以下のメリットがあります。

  • 加害者側の保険会社との連絡を一任できるので、治療や職場復帰に専念できる
  • 後遺障害等級の認定に向けて必要な資料の収集や申請手続き、十分な対策を立ててもらえる
  • 法的な根拠に基づく説得力のある主張ができるので、慰謝料・示談金の交渉を有利に進めてもらえる

法律事務所によっては無料相談を受け付けているので、そのときにどのようなサービスが受けられるか、確認してみた方がいいでしょう。

アトム法律事務所では、交通事故の被害者向けに電話・LINEでの無料相談を受け付けております。

無料相談・セカンドオピニオンだけでの利用でも構いません。

ご相談では、適正な相場金額や増額の見込み、弁護士費用についてもご確認いただけます。

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弁護士費用特約で費用の負担を抑えられる

弁護士に相談・依頼する場合には、弁護士に支払う費用を気にする方が多いでしょう。

しかし、ご自身の保険に付帯している弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用を支払わずに弁護士に依頼・相談できます。

弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や費用について、保険会社が代わりに負担してくれるという特約です。

負担額には上限が設定されていますが、多くのケースで生じる相談料や費用は上限の範囲内に収まるため、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約の有無にかかわらず、弁護士費用についても無料相談の段階でご確認いただけるので、費用倒れにならないか、弁護士に依頼するメリットがあるかご検討いただけます。

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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