労働局とは?相談できることと利用するメリット・注意点を解説
「労働問題を労働局に相談したい」
「労働トラブルで悩んでいるが、労働局ではどのようなことを相談できるのか」
労働問題でお悩みの方の中には、労働局への相談を検討している人も多いのではないでしょうか。
労働局(都道府県労働局)とは、労働基準監督署の上部組織にあたる、厚生労働省所管の機関です。
相談に対しての情報提供や、労働トラブルが発生した際には助言や指導、あっせん(話し合いの仲介)を無料でおこなってくれます。
一般的に、相談は平日の午前8時30分から午後5時15分まで受け付けているところが多いです。
今回は、労働局が労働者に対しておこなう業務や、労働局で相談する際のメリット・注意点について解説します。
目次
労働局がしてくれること
トラブルを抱える労働者に対して労働局がおこなう業務として、大きく以下の3つが挙げられます。
労働者に対する労働局の業務
- 総合労働相談コーナーでの情報提供や相談
- 都道府県労働局長による助言や指導
- 紛争調整委員会によるあっせん
(1)総合労働相談コーナーでの情報提供や相談
労働局では、総合労働相談コーナーを通して、法令の知識や判例といった情報を提供したり、さまざまな労働問題について相談を受け付けたりといった業務をおこなっています。
労働問題に関する情報提供から個別相談までの流れを、ワンストップでおこなっているところが特徴です。
(2)都道府県労働局長による助言や指導
労働局の大きな業務の一つとして、労働トラブルに悩む労働者に対して、広い範囲で助言や指導をおこなっているということが挙げられます。
労働者が抱えている労働トラブルについて企業側の問題点を指摘し、自主的に問題を解決するよう促してくれます。
労働基準監督署が労働に関係する法令と縁の深い労働トラブルにのみ対応しているのに対し、労働局では以下のようなトラブルについて助言や指導をおこなってくれるところが特徴です。
労働局が対応している労働トラブル
- 解雇や雇止めといった、労働条件に関するトラブル
- いじめやパワハラといった、職場環境に関するトラブル
- 営業車の破損など、会社の所有物についての損害賠償に関するトラブル
- 同業他社への就業禁止などといった労働契約に関するトラブル
- 配置転換や出向、募集や採用に関するトラブル など
(3)紛争調整委員会によるあっせん
当事者間での問題解決が困難な場合には、労働局内に設置されている紛争調整委員会によってあっせんや調停をおこなうことも、労働局の業務の一つです。
トラブルに悩む労働者と企業の間に、中立な第三者として労働問題の専門家が入ります。そして、当事者双方の主張の要点を確かめ、調整をおこなって話し合いを促進することで、トラブルの解決を図ってくれます。
労働局にあっせんを依頼するメリット
労働局に相談してあっせんを依頼すれば、以下のようなメリットを期待できます。
労働局にあっせんを依頼するメリット
- 迅速な解決が期待できる
- 非公開のためプライバシーが守られる
- 無料で利用できる
- 合意内容には法的拘束力が生じる
迅速な解決が期待できる
労働問題を裁判で争う際、解決まで長期間を要する場合があります。
これに対し、あっせんは申請が受理された場合、約80%が2か月以内に処理されており、裁判よりも迅速なトラブルの解決が期待できます。
非公開のためプライバシーが守られる
あっせんは公開を原則としている裁判とは異なり、非公開で実施されることになっています。
和解の成立の成否に関わらず非公開でおこなわれるため、労働者側も企業側もプライバシーが保護されます。
無料で利用できる
職場とのトラブルを抱えており、金銭的に余裕がないという場合であっても、あっせんは国が運用する制度であることから無料で利用できます。
合意内容には法的拘束力が生じる
あっせんを実施したことで労働トラブルの解決に合意があった場合には、民法上の和解契約となります。
合意内容に法的拘束力が生じることになるため、あっせん後のトラブル解決に期待できます。
必ず問題が解決するとは限らない点に注意
労働局であっせんを依頼しても、参加を強制する力はないため、企業側があっせんの出席を無視したり、合意が得られなかったりする可能性はあります。
そのため、あっせんによって必ず労働トラブルが解決するとは限らない点に注意が必要です。
労働局以外の労働トラブルの相談先
労働局以外の主な労働問題の相談先として、「労働基準監督署」と「弁護士」が挙げられます。
労働基準監督署
労働基準監督署では、以下のような労働基準法などの労働法令に関するトラブルの相談を受け付けています。
労働基準監督署で相談できること
- 残業代未払い
- 労災保険に関する内容
- 36協定違反
- 解雇予告手当の不支給 など
労働基準法に関する問題でお悩みの場合は、労働基準監督署に相談することをおすすめします。
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弁護士
弁護士であれば、労働トラブルの種類に関わらず相談できるほか、損害賠償や残業代の請求といった、法的手続きを依頼できます。
また、相手が逆に損害賠償請求を起こしてきた場合など、法的トラブルに発展した際にもスムーズに対応することができるのもポイントです。
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まとめ
労働局では、労働条件や職場環境についてのトラブルなどを相談でき、当事者間での問題解決が難しい場合にはあっせんを依頼することで労働トラブルの解決が期待できます。
労働局に相談してもトラブルが解決しなかったという場合には、弁護士への相談をおすすめします。
無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了