不当な人事異動を受けた!不当とされるケースや相談先を解説

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不当な人事異動

「急に転勤命令を下された」
「不当な人事異動を受けたので相談したい」

会社から突然転勤を命じられてしまうと、「この先どうすればいいか」「どこに相談すればいいか」など、不安になる方も多いと思います。

原則として、従業員は人事異動の命令を拒否できませんが、場合によっては人事異動が不当であり、無効となる可能性もあります。

今回は、不当な人事異動に関するケースや、不当な人事異動を受けたときの相談先について解説します。

不当な人事異動に該当するケース

原則として、従業員は人事異動の命令を拒否できず、拒否すれば懲戒処分の対象とされることになります。

しかし、以下のようなケースでは人事異動が不当であり、無効となる可能性もあります。

業務上の必要性がない

人事異動を命じる業務上の必要性がないにもかかわらず、人事異動がおこなわれた場合は、人事権の濫用にあたるとして無効になる可能性があります。

業務上の必要性には、「ある部署で欠員が出たため、補充として異動を命じた」「定期的なローテーション異動の一環だった」といったことが想定されます。

いわゆる報復人事に該当する

人事異動の動機や目的が不当な場合は、人事権の濫用にあたるとして無効になる可能性があります。

たとえば、「内部告発をしたところ異動を命じられた」「性格が合わないといわれ転勤させられた」といった、いわゆる「報復人事」に該当するケースです。

こういったケースでは、不当な人事異動であるばかりか、パワハラに該当するとして損害賠償を請求できる可能性があります。

労働者が大きな不利益を被る

労働者に以下のようなやむを得ない事情があり、大きな不利益を被ってしまうという場合は、異動命令が無効になることがあります。

やむを得ない事情
  • 持病があり、特定の病院に通う必要がある
  • 要介護認定の家族がいて、その労働者以外に介護できる人がいない など

「単身赴任したくない」「通勤時間が長くなってしまう」といった場合では、異動命令が無効になる可能性は低いです。

異動によって賃金が減少する

異動によって賃金が減少する場合は、異動命令を拒否することができます。

合意なく賃金を引き下げられてしまったという場合は、労働契約法違反のため、会社に対して差額分の賃金を請求することができます(労働契約法8・9条

採用時に職種や勤務地が限定されている

雇用契約書や労働条件通知書で、職種や勤務地が限定されている場合は、異動命令が無効になることがあります。

採用時に職種や勤務地が限定されていたにもかかわらず転勤を命じられたという場合は、「エリア限定社員」「転勤なし」などの記載がないかどうか、雇用契約書や労働条件通知書を確認してみましょう。

不当な人事異動を受けるおそれがあるケース

内部告発や内部通報をおこなった

企業に対して内部告発や内部通報をおこなった場合、企業から「裏切り行為」とみなされ、見せしめとして不当な人事異動を命じられることがあります。

上司に意見したり、反論したりした

上司に意見したり反論したりした場合、「上司に労働環境の改善を訴えたところ降格させられた」といった不当な人事異動を命じられることもあります。

上司に「そりが合わないから部署を異動させた」「退職勧奨を無視したから配置転換した」などと発言された場合は、不当な人事異動である可能性が高いです。

育休や有休を取得した

「繁忙期に有休を取得したところ異動を命じられた」といったケースもあります。

しかし、育児休暇や有給休暇といった法定休暇を取得することは、労働者の権利として認められています。

「休暇を取得したことで異動を命じられた」といった人事は「報復人事」に該当し、不当な人事異動である可能性が高いです。

不当な人事異動についての判例

退職勧奨の拒否を理由に、肉体労働への配転命令を受けた元・管理職の男性が、配転命令の無効や慰謝料などを求めて会社を提訴した事件です(『フジシール事件』大阪地判平12.8.28)。

50代のXさんは、もともと技術開発部門の管理職としてY社に勤務していました。

あるとき、XさんはY社から退職勧奨を受けましたが、これを断りました。

その後、Y社から「管理職としての業績不振の成績をとってもらう」として、配置転換先が決まるまで自宅待機を命じられました。

自宅待機が命じられた後、会社から配置命令が出されましたが、その命令は「工場での肉体労働」や「ゴミ回収」といったものであり、今までの管理職の業務とはまったく異なるものでした。

これについてXさんは、「いずれの配転命令も無効である」として、慰謝料の支払いと降格処分の無効、賃金減額相当額の支払いを求めて提訴しました。

結果として、慰謝料の支払いは認められませんでしたが、配転命令は無効であり、降格処分の無効と賃金減額相当額の支払いが認められました。

配置される部署の労働内容や、もともと管理職として労働していたXさんの職歴を鑑みて、人事異動を命じる業務上の必要性がないと判断されたことになります。

不当な人事異動の相談先

「不当な人事異動を受けて悩んでいる」という方は、外部の相談窓口に相談してみることをおすすめします。

労働局

労働局(都道府県労働局)とは、労働基準監督署の上部組織にあたる、厚生労働省所管の機関です。

相談に対しての情報提供や、労働トラブルが発生した際には助言や指導、あっせん(話し合いの仲介)を無料でおこなってくれます。

一般的に、相談は平日の午前8時30分から午後5時15分まで受け付けているところが多いです。

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総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーとは、あらゆる労働問題について相談できる、厚生労働省所管の窓口です。

予約や料金はいっさい不要で、専門相談員が電話で対応してくれます。また、相談や助言で解決しない場合は、あっせん制度も利用できます。

さらに労働基準法違反の疑いがある場合は、担当部署に引き継ぎ、行政指導もしてくれる場合もあります。

弁護士

弁護士であれば、受けた人事異動が不当であるかどうか、法的な観点で判断してもらえるほか、損害賠償請求などの法的手続きを一任できます。

また、相手が逆に損害賠償請求を起こしてきた場合など、法的トラブルに発展した際にもスムーズに対応することができるのもポイントです。

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まとめ

原則として、従業員は人事異動の命令を拒否できませんが、「業務上の必要性がないのに異動を命じられた」「報復人事を受けた」などの場合には、不当な人事異動であるとして命令が無効になる可能性があります。

場合によっては、不当な人事異動であるばかりか、パワハラに該当するとして損害賠償を請求できる可能性があります。

不当な人事異動でお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば、受けた人事異動が不当かどうか法的に判断してもらえるほか、損害賠償請求といった法的手続きを一任できます。

無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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