てんかんが交通事故で発症したら|外傷性てんかんの後遺障害の解説
てんかんは、脳の神経細胞の異常な電気活動により、突然意識を失ったり、身体が勝手に動くなどの発作が繰り返し起こる慢性的な脳疾患です。
症状には、体の一部の硬直、手足のしびれや震え、耳鳴り、動悸、吐き気、失神、言語障害などがあります。
後遺障害等級は5級2号から12級13号まであり、後遺障害慰謝料の相場は290万円〜1,400万円です。
今回では、交通事故でのてんかんの症状、治療法、後遺障害認定基準、後遺障害慰謝料の相場について詳しく解説します。
目次
てんかんの症状・治療
てんかんの症状
てんかんとは、脳の神経細胞の異常な電気活動により、突然意識を失ったり、身体が勝手に動くなどの症状(発作)が繰り返し起きる、慢性的な脳の病気です。
てんかんによって、以下のような症状が生じることがあります。
- 体の一部が固くなる
- 手足のしびれや震え
- 耳鳴り
- 動悸
- 吐き気
- 失神
- 言葉が出にくくなる
てんかんによる発作は、ほとんどの場合は数秒〜数分間で終わりますが、ときには数時間以上続くてんかん重積状態も起こります。
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てんかんの原因
交通事故におけるてんかん(外傷性てんかん)の原因として、頭部外傷や脳卒中など脳に損傷を負ったことが考えられます。
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てんかんの治療
抗てんかん薬による治療が中心となります。
抗てんかん薬自体はてんかんの原因を取り除くことはできませんが、発作を起こしにくくする効果があります。
発作の種類や患者の年齢・性別、薬の副作用などにより、使用する抗てんかん薬は異なります。
抗てんかん薬を内服することで、大部分の人は発作が抑制され、さらに一部の方では数年後には薬をやめることができるようになります。
抗てんかん薬を内服しても発作が充分に抑えられない場合には、脳外科手術による治療も検討されます。
また、食事療法、胸から首にかけて刺激装置を埋め込む迷走神経刺激術といった他の治療により発作が軽減する人もいます。
外傷性てんかんの後遺障害
外傷性てんかんの後遺障害等級の認定基準
てんかんが交通事故後も残った場合、後遺障害等級の認定を受けることで後遺障害慰謝料を請求できるため、慰謝料を増額させることができます。
後遺障害については、各等級の認定基準を満たすことで、症状に応じた等級が認定されます。
外傷性てんかんは、後遺障害5級2号、7級4号、9級10号、12級13号に認定される可能性があります。
等級 | 認定基準 慰謝料額 |
---|---|
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1,400万円 |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1,000万円 |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 690万円 |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 |
後遺障害5級2号の認定基準
てんかんによる後遺障害5級2号の認定基準は、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」です。
具体的には、1ヶ月に1回以上、意識障害の有無を問わず転倒する発作や意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作(まとめて「転倒する発作等」とよばれる症状)がある場合に認定されます。
外傷性てんかんで後遺障害5級2号に認定された際の後遺障害慰謝料の相場は、1,400万円です。
後遺障害7級4号の認定基準
てんかんによる後遺障害7級4号の認定基準は、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」です。
具体的には、転倒する発作等が数ヶ月に1回以上ある場合、または転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上ある場合に認定されます。
外傷性てんかんで後遺障害7級4号に認定された際の後遺障害慰謝料の相場は、1,000万円です。
後遺障害9級10号の認定基準
てんかんによる後遺障害9級10号の認定基準は、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」です。
具体的には、数ヵ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作である場合、または服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されている場合に認定されます。
外傷性てんかんで後遺障害9級10号に認定された際の後遺障害慰謝料の相場は、690万円です。
後遺障害12級13号の認定基準
てんかんによる後遺障害12級13号の認定基準は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」です。
具体的には、発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波が認められる場合に認定されます。
外傷性てんかんで後遺障害12級13号に認定された際の後遺障害慰謝料の相場は、290万円です。
外傷性てんかんの後遺障害慰謝料
後遺障害認定を受けた場合、てんかんの慰謝料の相場は、290万円〜1,400万円です。
しかし、各等級の後遺障害慰謝料の相場はあくまで弁護士や裁判所が用いる弁護士基準によって算定した金額であり、実際に相手側の保険会社から提示される金額とは異なります。
慰謝料算定の3基準
- 自賠責基準
加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料の算定基準。自賠責保険会社は最低限の補償をするので、最低限の金額となる。 - 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が用いる慰謝料の算定基準。自賠責基準に少し上乗せした程度であることが多い。 - 弁護士基準(裁判基準)
弁護士や裁判所が用いる慰謝料の算定基準。過去の判例にもとづいた法的正当性の高い基準。
相手側の保険会社は任意保険基準で算定するので、示談書(免責証書)に記載されている提示額は相場の金額よりも低い傾向にあります。
しかし、法的根拠に基づいて算定される弁護士基準での金額は、被害者が受け取るべき適正な金額といえます。
提示額を鵜呑みにはせず、相手側の保険会社と交渉をすれば、弁護士基準の算定額と提示額の差額の範囲で慰謝料を増額させることができます。
後遺障害認定や後遺障害慰謝料の増額にお悩みであれば、弁護士に相談してみましょう。
法律の専門家である弁護士に依頼すれば、認定に向けた書類の収集や後遺障害申請手続き、認定後の後遺障害慰謝料の増額交渉まで一任することができます。
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てんかんを交通事故で負った際に請求できる示談金
てんかんを交通事故で負った場合の入通院慰謝料
てんかんを交通事故で負って入院・通院をした場合、後遺障害認定の有無にかかわらず、入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料とは、入院・通院をしなければならないほどの交通事故でのケガで負った精神的損害に対する賠償金です。
入通院慰謝料は、重傷用・軽症用の2つの算定表を使い分けて計算します。
たとえば、交通事故で負った重傷のケガを1ヶ月の入院と5ヶ月の通院を経て治療した場合、重傷用の表での入院1ヶ月の縦の列と通院5ヶ月の横の列が交差する141万円が入通院慰謝料の相場です。
交通事故で外傷性てんかんを負った場合の示談金の内訳
交通事故で外傷性てんかんを負った場合、慰謝料以外にも示談金として請求できる費用や損害があります。
交通事故の被害者が請求できる示談金の内訳は、以下のような費用・損害となっています。
- 治療費:治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用など
- 休業損害:治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償
- その他:治療のために必要であった交通費、付添費用など
- 逸失利益:後遺障害により減収することとなる将来の収入に対する補償
- 物的損害:自動車や自転車の修理代、代車費用など
交通事故後、しばらくすると相手側の保険会社から支払い予定の示談金額が記載されている示談書(免責証書)が届きます。
示談書には、示談金の総額の他、各損害と損害額が内訳として記載されています。
記載されている損害額は、弁護士が算定した相場額よりも低い傾向にあります。
適正な示談金額を受け取るためには、保険会社との間で増額交渉をしていくことになります。
弁護士に示談書を見せれば、算定根拠に照らし合わせて相場の金額を算定し、提示額との差額を埋められるよう、保険会社と交渉してくれます。
法律の専門家である弁護士であれば、保険会社相手でも、法的根拠に基づいて合理的な主張ができるので、増額の可能性をあげられます。
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てんかんが交通事故後も残ったら弁護士に相談
外傷性てんかんの後遺障害を弁護士に相談
交通事故でてんかんを負った際には、弁護士に相談してみましょう。
てんかんは治療が長期間に及ぶこともある、重大な疾患であり、症状によっては慰謝料額が高額となります。
慰謝料が高額になるほど、相手側の保険会社は支払いの負担を減らそうと提示額を低く見積もってくるので、相場と提示額との差額はどんどん大きくなります。
高額な慰謝料が見込まれる重大な疾患だからこそ、弁護士を介入させて増額交渉を進めるべき必要性は高いです。
弁護士に依頼をすることのメリットは、以下の通りです。
- 加害者側の保険会社との連絡を一任できるので、治療や職場復帰に専念できる
- 後遺障害等級の認定に向けて必要な資料の収集や申請手続き、十分な対策を立ててもらえる
- 法的な根拠に基づく説得力のある主張ができるので、慰謝料・示談金の交渉を有利に進めてもらえる
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方向けにLINE・電話での無料相談を受け付けております。
相場額がいくらか、どのくらい増額できる余地はあるか、今後の手続きの進め方などについて弁護士にご相談いただけます。
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てんかんが生じた交通事故を無料で相談・依頼する方法
交通事故でてんかんを負った際に、弁護士費用特約を利用すれば無料で弁護士に依頼することもできます。
弁護士費用特約とは?
弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や費用について、保険会社が代わりに負担してくれるという特約です。
負担額には上限が設定されていますが、多くのケースで生じる相談料や費用は上限の範囲内に収まるため、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。
ご自身の自動車保険や火災保険、医療保険などの付帯していることもあるので、弁護士費用特約が利用できないか、確認してみましょう。
また、ご自身だけでなく、家族名義の弁護士費用特約が利用できることもあります。
弁護士費用特約の有無をご確認いただければ、無料相談の段階で特約の有無や事故の状況に沿った弁護士費用についてもご案内いたしますので、正式に依頼するかご検討いただけます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了