後遺障害14級認定に必要な通院日数は?後遺障害12級ならどのくらい?

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

後遺障害14級の認定

後遺障害14級が認定される通院日数の目安は、通院期間でいうと6ヶ月です。

後遺障害12級認定の場合も同様に6ヶ月であり、等級にかかわらずほとんどの後遺障害の認定には適切な通院日数を要します。

しかし、14級・12級認定が問題となるむちうちは3ヶ月程度で治療を打ち切られるおそれもあるため、通院治療を継続するなどの措置が必要となることもあります。

今回は、後遺障害14級の通院日数について、12級と比較しながら各等級の目安、等級内容、慰謝料の相場を解説いたします。

後遺障害14級・12級認定に必要な通院日数

後遺障害14級の通院日数の目安は6ヶ月以上

後遺障害14級9号の認定に必要な通院日数は合計60日以上、通院期間でいうと6ヶ月以上が目安です。

ただし、通院日数が60日以上だからといって、無条件に後遺障害14級が認定されるという意味ではありません。通院日数の目安は後遺障害14級に認定されるための最低ラインの話です。60日以下なら認定される可能性がさらに低くなると考えましょう。

たとえば、通院頻度が低すぎると、「被害者が治療に消極的だったために後遺症が残った」と判断され、後遺障害に認定されなくなります。

一方で、通院頻度は高ければよいものでもありません。過剰通院を疑われ、慰謝料を減額されるといった別の問題も生じるからです。

後遺障害に認定されるためには、適切な頻度で6ヶ月以上通院することが重要になります。

交通事故の通院頻度は、3日に1度を目安にし、医師と話し合って決めるようにしてください。

なお、整骨院と併用して通院している場合は60日を上回る80日程度の通院日数を見込むべきでしょう。

後遺障害12級の通院日数の目安は6ヶ月以上

後遺障害12級13号の認定に必要な通院日数は合計70日以上、通院期間でいうと6ヶ月以上が目安です。後遺障害12級13号の場合も、通院日数が70日以上なら自動的に等級認定されるわけではないので注意してください。

等級の違いに限らず、6ヶ月未満の治療期間で症状固定になった場合、後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料がもらえない可能性が高いです。

脚の切断など、治療期間にかかわらず明らかに後遺障害が残っていると判断できる場合を除き、基本的に治療期間が6ヶ月未満だと後遺障害等級の認定はむずかしいと思った方がいいでしょう。

しかし、むちうちの平均的な治療期間は3ヶ月なので、6ヶ月に満たないことが多いです。

むちうちの後遺症は外からは見えず、自覚症状がメインです。このような状態で、6ヶ月未満の治療期間だと、後遺障害等級の認定を受けるのは非常に厳しいでしょう。

治療期間が6ヶ月未満でまだ症状が残っている場合は、通院治療を継続してみましょう。通院6ヶ月後も治らない場合は、主治医の見解をたずねてみてください。

後遺障害14級・12級の認定基準

後遺障害14級とは?

後遺障害14級とは、後遺障害等級の中でもっとも低い等級です。

14級に限らず、後遺障害等級が認定された場合、交通事故により生じた後遺障害についての精神的損害に対する賠償金である「後遺障害慰謝料」を請求することができます。

後遺障害14級の後遺障害慰謝料の相場は、110万円です。

14級と12級は、むちうちなどによる神経症状が生じた際にどちらの等級で認定されるのかが問題になりやすい関係にあります。

後遺障害14級の症状

等級内容
14級1.一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2.三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3.一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6.一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
7.一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
8.一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9.局部に神経症状を残すもの

後遺障害12級とは?

後遺障害12級とは、後遺障害等級の中で3番目に低い等級であり、14級等級の2つ上の等級にあたります。

後遺障害12級の後遺障害慰謝料の相場は、290万円です。

14級同様、むちうちなどの神経症状で14級あるいは12級のどちらの等級で認定されるかが問題になりやすい等級でもあります。

後遺障害12級の症状

等級内容
12級1.一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6.一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7.一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8.長管骨に変形を残すもの
9.一手のこ指を失つたもの
10.一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11.一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
12.一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13.局部に頑固な神経症状を残すもの
14.外貌に醜状を残すもの

後遺障害14級・12級認定で問題になりやすいむちうちとは?

むちうちとは?

むちうちとは、交通事故など首が強く後屈される力がかかったことによって、多岐の症状が発症している状態のことです。

むちうちの症状として、首の痛みや肩こり、頭痛などのほか、めまいや耳鳴り、難聴、吐き気などの症状が生じることがあります。

むちうちの症状

むちうちは、後遺障害14級あるいは12級のどちらの等級でも、後遺障害認定が問題になりやすい典型的なケガであるといえるでしょう。

多くの場合、むちうちの症状は3ヶ月以内に改善される傾向にありますが、長引くケースもあります。

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むちうちによる後遺症|神経症状とは?

むちうちによる後遺症は、痛みやしびれなどの神経症状です。

神経症状には以下のような症状がみられます。

  • 首、手足などの体の痛みや痺れ
  • めまい
  • 吐き気
  • 関節痛
  • 頭痛
  • 耳鳴り

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交通事故後の吐き気・頭痛・めまいの治療と通院|むちうちによる頭痛も後遺障害?

むちうちの後遺障害等級14級と12級の分かれ目

12級13号と14級9号の認定条件の違いは、画像所見によって神経症状の存在が客観的に明らかかどうかという点です。

「局部に神経症状を残すもの」である後遺障害14級9号と違って、12級13号の症状は「局部に頑固な神経症状を残すもの」であり、具体的にはレントゲン写真やMRI画像に異常が写っている必要があります。

むちうちにおける12級13号と14級9号の違いは、以下の通りです。

14級9号12級13号
基準局部に神経症状を残すもの局部に頑固な神経症状を残すもの
治療期間およそ6ヶ月以上およそ6ヶ月以上
神経学的検査異常なしでも可異常あり
画像検査異常なしでも可異常あり
後遺障害慰謝料110万円290万円
労働能力喪失率5%程度14%程度

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通院日数と入通院慰謝料

入通院慰謝料とは?

後遺障害認定の有無にかかわらず、通院日数に応じて、入通院慰謝料を請求することができます。

入通院慰謝料とは、入通院を要するほどのケガによって負った精神的苦痛に対する賠償金のことです。

入通院慰謝料は、入通院日数の長さに応じて金額が変わります。

入通院慰謝料|後遺障害が認定される6ヶ月の場合

治療日数が後遺障害等級の認定の目安である6ヶ月だった場合、入通院慰謝料の相場はいくらになるか、算定表を参考に説明いたします。

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

たとえば、軽傷で入院1ヶ月、通院5ヶ月で治療した場合の慰謝料の相場は、入院月数の縦列1ヶ月と通院月数の横列5ヶ月が交差する105万円です。

一方で、入院せず6ヶ月の通院のみで治療した場合の慰謝料の相場は、入院月数の縦列0ヶ月と通院月数の横列6ヶ月が交差する89万円です。

このように同じ入通院期間でも、入院したケースの方が通院のみのケースと比べて入通院慰謝料は高額になります。

また、入通院期間が長ければ入通院慰謝料も増額されます。

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後遺障害認定と適切な通院日数は弁護士に相談

弁護士であれば適切な通院日数のアドバイスができる

後遺障害認定を受けやすくするポイントの1つは、適切な頻度と日数で通院することです。

後遺障害14級や12級など、他の等級と比べて比較的低い等級の認定が問題になる場合、ケガの程度によっては早期に治療が打ち切られてしまうことも考えられます。

後遺障害認定を受けて、適正な金額で慰謝料を受け取るためには、症状に合わせて適切な通院日数で治療することが重要です。

弁護士であれば、ご自身の症状や後遺症の内容にあわせてどのくらいの通院日数であれば後遺障害認定を受けやすいかアドバイスすることができます。

後遺障害認定の申請の経験が豊富な弁護士であれば、必要な通院日数や書類など、後遺障害認定を受けやすくする対策を立てられます。

後遺障害14級の通院日数を無料で相談する

アトム法律事務所であれば、後遺障害14級の通院日数について、電話・LINEにて無料でご相談いただけます。

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また、無料相談段階から、実際に依頼した場合の弁護士費用についてもご確認いただけます。

さらに、弁護士費用特約があれば自己負担を大幅におさえて弁護士を立てることができます。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、被害者が支払う弁護士費用を、代わりに保険会社が支払ってくれるという特約です。

約款しだいですがおよそ法律相談料10万円、弁護士費用300万円が補償上限となっており、ほとんどの事故の弁護士費用は補償上限におさまるため、被害者は自己負担ゼロで弁護士依頼ができます。

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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