交通事故による腓骨神経麻痺で認められる後遺障害等級や認定のポイント

交通事故で腓骨(ひこつ)神経麻痺が残った場合、症状に応じて7級~14級の後遺障害等級に認定される可能性があります。
どの等級に認定されるかは後遺障害慰謝料や逸失利益も金額に影響してきます。
そのため、どのような症状が何級に該当するのか、適切な等級認定を受けるために何をすべきかということを知っておくことが重要です。
本記事では、腓骨神経麻痺で認定されるる後遺障害等級の認定基準や認定を受けるために知っておくべきことを紹介しています。
目次
腓骨神経麻痺と認定されうる後遺障害等級
腓骨神経麻痺の症状や治療法
腓骨(ひこつ)神経麻痺とは、外くるぶしを通る腓骨神経が圧迫されたり、損傷したりすることで起こる病気です。
腓骨神経は、足首と足指の運動、すねの外側から足の甲の感覚を支配する神経をいい、膝下外側から足の前側へ向かい、深腓骨神経と浅腓骨神経に分かれます。
腓骨神経麻痺になると、その神経が支配する筋肉が動かしにくくなるのです。
その結果、足首や足指の動きが悪くなったり、痛みやしびれが生じたりするでしょう。
交通事故において以下のようなケガを負った場合には、腓骨神経麻痺となるおそれがあります。
- 膝関節の前・後十字靭帯損傷
- 脛腓骨骨折、脛骨高原骨折
- 足関節の内外果骨折等
- 下腿骨の遠位端骨折
関連記事
腓骨神経麻痺の治療方法
腓骨神経麻痺が起きた場合、投薬、患部への冷却といった保存療法により治療が行われることが多いでしょう。
腓骨神経は自然に回復し、徐々に下へ向けて改善する場合があります。
リハビリでは、関節の動く範囲維持と少しずつの自力運動が行われます。
保存療法による効果が見込めない、または、骨折に伴って症状が生じている場合においては、手術が必要になることもあります。
腓骨神経麻痺の後遺障害等級
腓骨神経麻痺が完治しない場合、以下のような症状が認められると後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。
- 足関節の機能障害
足関節が以前よりも動かなくなった - 足指の機能障害
足指の一部を失った、または、以前より動かなくなった - 神経症状
腓骨神経麻痺による痛みが引かない
具体的には、以下のような7級から14級のいずれかに該当する可能性があるでしょう。
足関節の機能障害による後遺障害等級
等級 | 症状 |
---|---|
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
- 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
足関節の一つが全く動かない、または、関節の可動域が10分の1以下になった場合をいいます - 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
足関節の可動域が2分の1以下になった場合をいいます - 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
足関節の可動域が4分の3以下になった場合をいいます
足指の機能障害による後遺障害等級
等級 | 症状 |
---|---|
7級11号 | 両足の足指の全部の用を廃したもの |
9級15号 | 1足の足指の全部の用を廃したもの |
11級9号 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの |
12級12号 | 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの |
13級10号 | 第2の足指の用を廃したもの 第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの 第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
14級8号 | 1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの |
「用を廃したもの」とは、以下のような状態をいいます。
- 第1の足指(親指)の末節骨の長さの2分の1以上を失った
- 第1以外の足指の中節骨もしくは基節骨を切断
- 第1以外の足指の遠位指節間関節もしくは近位指節間関節を離断
- 中足指節関節又は近位指節間関節の可動域が2分の1以下となった
神経症状による後遺障害等級
等級 | 症状 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
腓骨神経麻痺による痛みが残っていることについて、画像検査や神経伝導検査などにより証明できる場合には12級13号に該当します。
腓骨神経麻痺による痛みについて検査結果による証明が困難ではあるが、事故の態様・症状の経過などから神経症状の存在が推認される場合には、14級9号に該当する可能性があるでしょう
腓骨神経麻痺の後遺障害による慰謝料・逸失利益
腓骨神経麻痺の後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金を受け取ることができます。
腓骨神経麻痺による後遺障害慰謝料の金額
腓骨神経麻痺による後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級が高いほど高額になります。
等級ごとの具体的な慰謝料相場額は、次のとおりです。
等級 | 相場額 |
---|---|
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
腓骨神経麻痺による逸失利益
腓骨神経麻痺により事故以前のような仕事ができないことで生じる、将来の収入の減少については、逸失利益として請求可能です。
逸失利益は、認定された等級、事故前の収入、年齢、職業、将来の収入見込みなどによって決まります。
具体的な金額を算出することが難しいケースもあり、請求金額が高額になりやすいため、適切な金額を知りたい場合には弁護士に相談すると良いでしょう。
腓骨神経麻痺の後遺障害等級認定のポイント
腓骨神経麻痺で後遺障害等級認定を受けるための注意点
腓骨神経麻痺の後遺障害等級認定を受けるためには、「筋電図検査、または、神経伝導速度検査」を受け、検査結果から神経麻痺が生じていることを明らかにすることが必要です。
検査を行っていない場合には、治療を行ってくれた主治医に検査の実施を依頼しましょう。
そのうえで、後遺障害診断書に、筋電図検査や神経伝導速度検査の結果から腓骨神経に麻痺が認められる旨を記載してもらって下さい。
腓骨神経麻痺の後遺障害等級認定結果に不服がある場合
後遺障害等級の認定結果を不服とする場合、異議申立てが可能です。
異議申立ては、事故相手の任意保険会社や自賠責保険会社を通して、異議申立て書を提出することで行います。
異議申立てにより認定結果を変えたい場合には、有利な検査結果の追加や医師の意見書などを用意することが必要となるでしょう。
この他に、訴訟を提起して裁判所に後遺障害等級を判断してもらうという方法も可能です。
関連記事
・交通事故の後遺障害等級が認定されなかった理由と防止法|結果は変えられる?
腓骨神経麻痺で後遺障害が残ったのなら弁護士に相談を
交通事故による腓骨神経麻痺に関して弁護士に相談するメリット
交通事故で腓骨神経麻痺が生じた場合に弁護士に相談・依頼するメリットは、次のとおりです。
- 後遺障害等級の認定に必要な手続きを一任できる
- 適切な金額の賠償金を獲得できるようサポートを依頼できる
- 保険会社との連絡や示談交渉を行ってもらえる
弁護士は、後遺障害等級認定基準や認定を受けるために必要な資料の収集方法などを知っています。
弁護士に依頼することで後遺障害等級の認定を受けやすくなるでしょう。
また、加害者側との直接的なやり取りをせずに済むこと、等級認定を受けるための難しい手続きや加害者側との示談交渉を任せられることから、被害者の精神的な負担を軽減することもできます。
示談交渉においても、適切な金額の慰謝料を獲得することができるよう交渉してもらえます。
腓骨神経麻痺の後遺障害等級申請などを弁護士に相談・依頼する費用
腓骨神経麻痺により後遺障害が残った場合に、後遺障害等級の申請や示談交渉などを弁護士に依頼する際には、費用が掛かります。
一般的には、依頼時における着手金が20万円程度、成功報酬が経済的利益の10%程度です。
ただし、ご自身の保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用は保険会社に負担してもらえます。
弁護士費用特約で負担してもらえる金額には上限がありますが、実際に生じる費用は上限の範囲内に収まることも多いので、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となるでしょう。

また、法律事務所によっては、相談料や着手金を無料としている場合もあります。
手元のお金に不安がある方は、弁護士費用特約を利用したり、相談料や着手金無料の法律事務所に依頼を行いましょう。
腓骨神経麻痺の後遺障害等級に関する無料相談はこちらから
腓骨神経麻痺の後遺障害等級申請は、複雑で難しい手続きです。
弁護士に依頼することで、後遺障害等級の認定がスムーズに進み、より多くの慰謝料等を獲得しやすくなります。
アトム法律事務所では無料電話・LINE相談を実施しています。お気軽にご相談ください。
電話やLINEならご自宅や職場から気軽にご相談いただけます。無料相談の予約受付は24時間いつでも対応中です。
無料相談をご利用いただいても、契約を無理に強いることはありません。気軽にお問い合わせください。

無料相談





高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了