交通事故で手を骨折!手首や手のひらに後遺症は残る?後遺障害認定と慰謝料

交通事故で手首や手のひらを骨折した方へ、後遺症の種類や後遺障害認定、慰謝料などの損害賠償金について解説します。
交通事故で手首や手のひらを骨折した場合、後遺症が残ることがあるでしょう。
後遺症の症状として骨折部に痛みやしびれが残る「神経症状」、手首の関節が事故前よりも動かなくなる「機能障害」、骨折部分が変形したり偽関節が残る「変形障害」、骨折部分を切断したことによる「欠損損害」などが考えられます。
後遺症が残ったならば後遺障害認定を受けないと、適正な賠償を受け取ることができません。
この記事では、手首や手のひらの骨折で懸念される後遺症から後遺障害を受けるためのポイント、慰謝料相場まで解説していきます。
目次
交通事故で手を折った!手首骨折・手の骨折で残る後遺症
手首や手のひらの骨折により、痛みやしびれが残ったり、手首が事故前より動かなくなるといった後遺症が生じる可能性があります。
どのような症状が生じるのかは骨折の箇所により異なるため、手首や手のひらにどのような骨があり、骨折によりどのような後遺症が生じるのかを確認していきましょう。
手首や手のひらの骨の基本情報
手は様々な骨から構成されています。ここではおおまかに「手首の骨」と「手のひらの骨」をわけていきます。
手首の骨
手首は、橈骨(とうこつ)、尺骨(しゃっこつ)、舟状骨(しゅうじょうこつ)、月状骨(げつじょうこつ)、三角骨(さんかくこつ)、小指の付け根にある有鉤骨(ゆうこうこつ)で構成されています。交通事故の衝撃で手を突いた際、手首に力が加わって折れてしまう場合があります。
橈骨と尺骨は「長管骨」ともいわれる長い骨で、肘から手首にかけて並行する2本の前腕骨のことです。
手のひらの骨
手のひらの骨のことを中手骨といい、交通事故の衝撃で手を突いたり、物にはさまれたりして折れてしまう恐れがあります。中手骨のさきには手指の骨につながっています。
橈骨遠位端骨折の後遺症(手首の骨折)

橈骨とは肘関節から手首まで続いている長い骨です。橈骨遠位端骨折は、手首の骨の1つである橈骨の遠位端(手首側の端)が折れた状態をいいます。
交通事故でも起こりやすい骨折のひとつです。
手首の動かしづらさや不完全な癒合による偽関節、変形した状態でくっつくことによる変形障害、痛みやしびれが残る神経障害などが後遺症として残る場合があります。
舟状骨骨折の後遺症(手首の骨折)
舟状骨骨折は、手首の骨の1つである舟状骨が折れた状態をいいます。親指の付け根付近を押して痛い場合には、舟状骨骨折が疑わしい可能性があるでしょう。
舟状骨骨折では、痛みやしびれといった何らかの神経障害が後遺症として残る可能性があります。
有鉤骨骨折の後遺症(手首の骨折)
有鉤骨骨折は、手首の骨の1つである有鉤骨が折れた状態をさします。
有鉤骨骨折によって神経障害が残ってしまう可能性があるばかりか、手関節の可動域制限につながる可能性もあります。いわゆる機能障害とよばれる後遺症です。
有鉤骨骨折は、一般的に痛みを感じにくく気づきにくい傾向にあります。
交通事故発生時から時間が経ってから骨折に気付いても、事故との因果関係を疑われ、治療費や慰謝料を支払ってもらえない恐れがあるのです。
交通事故で手を突いた時には、ひとまず病院で検査を受けるようにしてください。
中手骨骨折の後遺症(手のひらの骨折)

中手骨骨折は、手のひらの骨折と考えてください。
中手骨骨折は痛みやしびれなどの神経障害のほか、指の可動域を制限にもつながりかねません。中手骨骨折によって手指の筋肉を動かすための腱が損傷してしまうと、手指が動かしづらいという後遺症が残ることもあるからです。
手根管症候群も後遺症|手首の靭帯による神経の圧迫
手根管症候群は、正中神経が手首(手関節)部で圧迫されるために発生します。原因としては、交通事故による橈骨遠位端骨折、月状骨の脱臼、フォルクマン拘縮などで発症する可能性があるものです。
手根管症候群の症状は、指がしびれたり痛んだりする、手のこわばりを感じる、親指と人差し指できれいな丸が作れなくなるなどです。
手根管症候群では手首の動かしづらさや、手指が動かないなどの後遺症が残る場合があります。
手首の痛みの関連記事
手首骨折・手のひらの骨折の後遺症で認定される後遺障害等級
手首や手のひらを骨折した場合の後遺症として、痛みやしびれなどの神経障害、動かしづらさが残る機能障害、癒合不全や欠損による変形障害、切断による欠損障害があげられます。
このような後遺症の症状が後遺障害等級に該当すると認定を受けることで、請求できる損害賠償金が増額するのです。
症状の内容や程度により、認定される後遺障害等級が異なるため、どのような症状がどのような等級に認定されるのかを紹介します。
神経障害|痛み・しびれ
手首や手のひらを骨折することで、骨折部位の周辺にある神経が損傷する場合があります。このとき痛みやしびれといった症状となってあらわれるでしょう。
神経障害は、後遺障害12級13号または後遺障害14級9号に認定される可能性があります。
等級 | 認定基準 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
手首骨折の後遺症としてしびれや痛みが残った場合、その症状が画像検査で医学的に証明できれば12級13号認定の可能性があります。
ただし、神経障害は「目に見えない後遺症」なので、画像検査で必ずしも明らかになるわけではありません。そういった場合には神経学的検査や事故の程度、治療の経過などから症状の存在を示すことで14級9号認定を目指すことになるでしょう。
そもそも後遺障害認定を受けることが難しい側面もあるので、神経症状でお悩みの方は早めに弁護士に相談してみてください。
機能障害|手が動きにくい
手首の骨折により、手首が曲がらなくなる機能障害が残る場合があります。後遺障害等級は手首がどの程度曲がらなくなったのかで判断されるものです。
等級 | 認定基準 |
---|---|
8級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの |
POINT
「用を廃する」とは、障害の残った手関節が、健康な手関節の可動域の10%以下になった場合、または手首に人工関節を入れても可動域が半分以下に制限されている場合をいいます。
「著しい障害」とは、障害の残った手関節が、健康な手関節の可動域の半分以下になった場合、または手首に人工関節を入れても可動域が半分を超える場合をいいます。
「機能に障害を残す」とは、障害の残った手関節が、健康な手関節の可動域の4分の3以下に制限されていることをいいます。
可動域制限の後遺障害認定について詳しくは、『交通事故の可動域制限とは?後遺障害認定の要件と慰謝料相場』をお読みください。
変形障害|手首の骨が変形して治らない
手首の骨折では、橈骨または尺骨の端が不完全にくっついて偽関節となった場合に7級9号又は8級8号、骨の端の大部分を欠損したときに、変形障害として12級8号認定される可能性があります。
等級 | 認定基準 |
---|---|
7級9号 | 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの |
8級8号 | 1上肢に偽関節を残すもの |
12級8号 | 長管骨に変形を残すもの |
後遺障害7級9号と8級8号の違いとしては、偽関節となったことで常に硬性補装具が必要になるかどうかです。常に硬性補装具が必要であれば7級9号に認定される可能性があります。
欠損障害|手首周辺を失った
手首部分の骨折箇所の損傷が激しいときには、生命を優先するために手首周辺の切断という選択がなされることもあります。
両方を手関節以上で切断したときには2級3号、片方の場合は5級4号に認定される見込みです。
等級 | 認知基準 |
---|---|
2級3号 | 両上肢を手関節以上で失ったもの |
5級4号 | 1上肢を手関節以上で失ったもの |
なお、手関節以上とは橈骨・尺骨と手根骨を離断したものをさします。
後遺障害等級認定を受ける方法
後遺障害等級認定を受けることで、後遺症に関する賠償金を受け取ることができます。
いいかえればどんなにつらい後遺症が残っても「後遺障害」と認められなければ、後遺症に関する賠償金の獲得が困難となるのです。
後遺障害等級認定を受けるための流れは以下のようになります。
- 医師に後遺障害診断書を書いてもらう
- 後遺障害認定の申請書類を用意する
- 相手方の保険会社を通して審査機関に審査に必要な書類を提出する
- 審査がなされ、後遺障害等級認定の判断通知を受け取る
後遺障害認定を受けるには適切な通院が重要です。通院と後遺障害の関係については、関連記事『交通事故の通院と後遺障害の関係|認定されるには適切な通院が必要』をご確認ください。
ただし、後遺障害等級認定の申請をするための準備は、なかなか慣れていないと難しいでしょう。交通事故の解決実績が豊富な弁護士に依頼してサポートを受けることをおすすめします。
手首や手のひらの骨折で請求できる慰謝料
手首や手のひらの骨折で後遺症が残った場合の慰謝料
交通事故により手首やてのひらが骨折し、後遺症が残った場合には、以下のような慰謝料を請求することが可能です。
- 入通院慰謝料
手首や手のひらの骨折を治療するために入院・通院したことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料 - 後遺障害慰謝料
手首や手のひらの骨折により後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料
入通院慰謝料の相場|骨折治療にかかった期間で計算
交通事故の入通院慰謝料額は治療期間がベースになります。たとえば、手首の骨折による慰謝料は、通院4ヶ月かかったなら90万円、通院6ヶ月かかったなら116万円です。
下表に通院期間ごとの慰謝料相場を示します。
通院慰謝料の相場
通院月数 | 慰謝料の金額 |
---|---|
2ヶ月 | 52万円 |
3ヶ月 | 73万円 |
4ヶ月 | 90万円 |
5ヶ月 | 105万円 |
6ヶ月 | 116万円 |
なお、ここでは例として入院なしを想定していますが、入院していた場合には表よりも慰謝料は高くなる見込みです。
後遺障害慰謝料の相場|後遺障害等級しだいで金額が決まる
後遺障害慰謝料は、後遺症の症状が後遺障害に該当するという認定を受けることで請求することが可能となります。
後遺障害慰謝料の相場額は認定される後遺障害等級に応じて異なり、具体的な金額は以下の通りです。
後遺障害慰謝料の相場
等級 | 相場額 |
---|---|
2級 | 2,370万円 |
5級 | 1,400万円 |
7級 | 1,000万円 |
8級 | 830万円 |
10級 | 550万円 |
12級 | 290万円 |
14級 | 110万円 |
ただし、この表に記載してある金額は、裁判で認められている相場です。相手の保険会社が提案してくる金額はもっと低く、法的には増額の余地がある金額にとどまっています。
たとえば、相手の任意保険会社から「後遺障害8級に認定されているので、慰謝料として600万円をお支払いします」と聞くと、なかには高額に感じる人もいるかもしれません。しかし、本来は830万円が金額相場なので、安易に示談に応じないようにしましょう。
他にも通院日数が短すぎる、過失割合が高く見積もられているなどの原因から、本来もらえる金額よりも慰謝料が減額されることがあります。
慰謝料が減額されるケースについては、『交通事故の慰謝料が減額されそう…減額される状況とポイントを紹介』の記事が参考になります。あわせてご覧ください。
慰謝料以外にも請求できる損害がある
交通事故により手首や手のひらを骨折し、後遺症が残った場合には、慰謝料以外にも以下のような損害に対して損害賠償請求が可能です。
- 治療関係費
投薬代、手術費用、入院代など治療のために必要な費用 - 休業損害
治療のために仕事を休んだことで生じる損害に対する補償 - 逸失利益
後遺障害が生じたことで生じる将来の減収に対する補償 - 物的損害
自動車の修理代や代車費用など
どのような損害を請求できるのか、請求金額をどのように計算するのかといった点については、専門家である弁護士に相談すると良いでしょう。
交通事故により手首を骨折したのであれば弁護士に相談を
弁護士に相談するメリット
交通事故により手首や手のひらを骨折し、後遺症が残った場合に弁護士に相談すると、以下のようなメリットを得られるでしょう。
- 適切な後遺障害等級の認定を受けられるようサポートしてもらえる
- 相手方との連絡を弁護士が行ってくれる
- 相場の慰謝料や損害賠償金を得られる可能性が高まる
慰謝料や損害賠償金の金額は、相手の保険会社の金額から増額できる余地が多数あります。しかし、その増額は弁護士でないと難しいのが現実です。

保険会社は弁護士が出てくることで、「相手が裁判も考えているのかもしれない」と身構えます。そのため裁判の手前の段階である示談でも、裁判所が認める金額を受け入れやすいのです。
また、弁護士に示談交渉を任せると弁護士が連絡の窓口となり、相手と関わらなくてもよくなるため、治療に専念することかできます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了