手根管症候群の後遺症|交通事故で手のしびれが残ったケース
手根管(しゅこんかん)症候群は正中神経麻痺の一種であり、正中神経が圧迫されることでしびれや痛みなどの症状がみられます。
手根管症候群を負った際には薬物治療や副木固定などの保存的治療、症状によっては手術も行って治療をすることになります。
また、手根管症候群によって神経症状などの後遺症が残った際には、後遺障害認定を受ければ後遺障害慰謝料を請求することができます。
弁護士に依頼すれば後遺障害認定の申請、示談交渉を一任するなど、法的なサポートを受けられます。
今回は、手根管症候群の後遺症や症状、認定等級や慰謝料の相場、相場価格を受け取るポイントについて解説していきます。
目次
手根管症候群の症状、治療
手根管症候群とは?
手根管(しゅこんかん)症候群は、手首の手根管という狭いトンネルの中で正中神経が圧迫されて起こる、正中神経麻痺の一種です。
手の親指、人差し指、中指、薬指にまでしびれや痛みなどの症状がみられることがあります。
こうしたしびれや痛みは就寝後や明け方にあらわれる傾向にあり、しだいに細々とした作業ができなくなっていくのです。
正中神経麻痺の一種であり、同じように猿の手のような形に変形してしまいます。
手根管症候群の原因
交通事故での手根管症候群の原因となる代表的なケガは以下の通りです。
- 橈骨遠位端骨折
- コーレス骨折
- 月状骨脱臼
- フォルクマン拘縮
手根管症候群の治療
消炎鎮痛剤やビタミンB12などの薬物治療によって、炎症やしびれを軽減させます。
また、安静にするためシーネ(副木)固定を行うなど保存的療法も行われます。
親指の付け根の手のひら側のふくらみの筋肉である母指球筋がやせるといった症状がみられる場合、手術を行うこともあります。
具体的には、内視鏡を用いた鏡視下手根管開放術、手掌を切開する直視下手根管開放術などで正中神経の除圧をします。
交通事故後の手根管症候群の後遺症と認定等級
手根管症候群の後遺症
手根管症候群の後遺症は、痛みや不快感、しびれ、眩暈、吐き気が残る神経症状です。
後遺症が残った場合、後遺障害認定を受けられる可能性があります。
後遺障害認定を受ければ、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することができます。
手根管症候群の後遺障害等級
手根管症候群による手のしびれといった神経症状は、後遺障害12級13号または14級9号の認定を受けられる可能性があります。
手のしびれの後遺障害慰謝料の相場は110万円〜290万円です。
神経症状の後遺障害等級
等級 | 内容 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
神経症状の後遺障害慰謝料
後遺障害 | 慰謝料 |
---|---|
12級13号 | 290万円 |
14級9号 | 110万円 |
神経症状の場合、認定されるとしても12級13号・14級9号のいずれかに認定されるか、認定等級の違いが問題になることも少なくありません。
12級13号と14級9号の違いは、神経症状が画像検査で明らかかどうかです。
本来、自分しか知覚できない痛みやしびれが、神経学的検査や画像検査の結果などでも客観的に明らかであるほど重症でなければ、12級には認定されません。
神経学検査や画像検査の結果で証明できない場合、交通事故の態様や規模、事故直後からこれまでの治療の経過、神経症状の一貫性などの事情から、14級9号の認定を受けられる可能性はあります。
交通事故での手根管症候群の慰謝料
手根管症候群に対する入通院慰謝料の相場
交通事故で負った手根管症候群を治療した際には、入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料は、慰謝料算定表を用いて治療期間や入院の有無といった事情を考慮して金額を決定します。
慰謝料算定表には重傷用と軽傷用の2種類があり、ケガの程度に応じて使い分けて慰謝料を算定することになります。
横列の入院月数、縦列の通院月数に自分の入通院月数を照らし合わせれば慰謝料相場を知ることができます。
たとえば、ケガの程度が軽傷であり、治療に入院1ヶ月、通院6ヶ月を要した場合は、入通院慰謝料の相場は113万円です。
一方で、軽傷用と比べて重傷用の算定表の方が同じ治療期間でも慰謝料額は高額になります。
また、どちらの算定表でも治療期間が長ければ慰謝料額は増額されます。
さらに、入院していないケースよりも入院もして治療したケースの方が慰謝料額は高額になります。
適切な金額での示談金を受け取るためには
適切な金額での示談金を受け取るために、弁護士に示談交渉を依頼してみましょう。
上記の算定表の金額は、過去の判例をもとにした相場の金額であり、任意保険会社から実際に支払われる金額というわけではありません。
任意保険会社が提示してくる示談金額は、弁護士や裁判所が用いる弁護士基準(裁判基準)による金額と比べて低く、適切な相場価格とはいえません。
適切な相場価格で慰謝料を支払ってもらうためには、相手側の保険会社の提示を鵜呑みにせず、増額交渉をしていくことになります。
ここでの交渉を弁護士に依頼すれば、相手側の保険会社が示談金を増額してくれる可能性を高めることができます。
法律の専門家である弁護士であれば法的な根拠をもって適切な主張をすることができます。
また、保険会社にとっては「増額しなければ弁護士を通じて裁判を起こされるかもしれない」と感じることから、増額交渉に応じてくれることもあります。
自分ひとりでケガの治療もしながら保険会社と交渉をするのは容易なことではありません。
しかし、弁護士に依頼すれば、交渉を任せて自分は治療や職場復帰に専念することができます。
交通事故で手根管症候群を負ったら弁護士に相談
弁護士によるサポート内容
交通事故で手根管症候群を負ったら、弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼すれば、相手側との連絡や後遺障害認定の手続き、増額交渉など、適切な金額で示談金を受け取るために必要なあらゆることを任せることができます。
弁護士事務所によっては、交通事故の被害者に向けた無料法律相談を実施している場合があります。
相手側から提示された金額が相場金額といえるか、いくら請求できそうか、一度相談すると良いでしょう。
弁護士依頼の一歩は無料相談から
アトム法律事務所では、無料法律相談を実施しています。弁護士に依頼したいけど費用が気になるという場合、まずは無料の法律相談からはじめてみましょう。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了