むちうちで後遺障害14級9号は可能?適切な治療でも後遺症が残ることはある
交通事故でむちうちになった場合、早めに病院へ行き、適切な治療を受けましょう。むちうちの治療には整形外科がおすすめです。
むちうちの治療は継続することが症状の軽減につながるだけでなく、後遺障害認定の申請時にも有利に作用する可能性が高いといえます。
むちうちで後遺障害14級9号認定を目指す方は、最後までお読みください。
目次
交通事故でむちうちになったら早めに病院へ行く
交通事故後は早めに病院へ行くことが重要です。むちうちは、首や腰などの筋肉や靭帯の損傷を伴うケガで、重いものでは後遺障害が残ることもあります。早期の検査と治療は、症状の悪化を防ぐことにつながるでしょう。
主なむちうちの症状は、以下のようなものです。
- 首や腰の痛み
- 肩こり
- しびれ
- めまい
- 耳鳴り
- 吐き気
これらの症状が現れた場合は、早めに病院へ行きましょう。
交通事故でむちうちになった場合は、まず整形外科を受診してください。整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査によってむちうちの程度を診断します。また、痛みやしびれといった神経症状を和らげるための治療にも取り組むべきです。
なお、交通事故とむちうちの因果関係を示すためにも、日を空けての受診はおすすめしません。
さらに、事故直後は何も異変を感じずとも、あとから痛みが出てくることも十分あります。これは身体が興奮状態にあるためです。交通事故にあったならまずは病院へかかってください。
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むちうちの治療には整形外科がおすすめ
むちうちの治療は、医学的には整形外科の分野です。整形外科は、骨や筋肉、関節などのケガ・疾患を専門に診療する科です。
整形外科ではむちうちの程度に合わせて、痛みやしびれを和らげるための治療を行います。むちうちの治療には、以下のような方法があります。
- 薬物療法:痛みや炎症を抑える薬を服用する
- 理学療法:運動や電気治療によって筋肉や関節の機能回復を図る
- 手術療法:むちうちの程度がひどいときには手術をおこなう
受傷後、当面の通院先としては整形外科を選択してください。ただし、日常生活との両立の観点から、より通いやすい整骨院の利用を考える人もいるでしょう。
整骨院の利用にあたっては、主治医からの許可を得ること、相手の任意保険会社に連絡することなどの注意点があります。正しい手順を踏めば、整骨院の費用も「治療費」として認めてもらえるのです。
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むちうちの治療は継続することが重要
むちうちの治療は、継続することが重要です。症状が改善したように感じても、治療を中止すると症状が再発することがあります。むちうちの治療は、症状が完全に改善するまで一貫して続けることが大切です。
また、むちうちの治療を続けることは、後遺障害認定を受ける際にも有利なポイントになりえます。
治療を続けても何らかの神経症状が残った場合、後遺障害認定を受けたいと考えるようになるでしょう。後遺障害の認定を受けられれば、後遺症に対する補償も追加で請求できるためです。
しかし後遺障害認定を受けるほどの神経症状は相当にひどいものなので、途中で治療を止めたり、通院頻度が極端に少なかったりすると、そうした神経症状と認識してもらえません。むしろ「すでに治っている」とされたり、「さほどひどくはないだろう」と判断されたりと、後遺障害認定を受けにくくなる可能性があります。
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むちうちでも後遺障害14級9号に該当する?
むちうちで最も多い等級は後遺障害14級9号です。
後遺障害認定申請を行うためには、相手の任意保険会社か自賠責保険会社に申請書類一式を提出する必要があります。どちらに提出しても、後遺障害等級認定の審査をする機関は損害保険料率算出機構です。
具体的な書類としては、主治医に作成してもらった後遺障害診断書のほか、印鑑証明書、病院の診断書・診療報酬明細書などがあげられます。相手の自賠責保険会社ごとに指定書式があるので、申請書類一式を手配してもらいましょう。
約2ヶ月で認定結果が出るので、その内容に納得できれば、相手の任意保険会社と示談交渉を始めることになります。一方で結果に不服があれば異議申し立てを行って再審査を受けることが可能です。
後遺障害等級認定の申請は慣れていないと手間取る部分も多いです。必要な書類を漏らしていて再提出が必要になればそれだけ時間もかかりますし、きちんと後遺障害等級認定の審査を受けられない場合もあります。交通事故の取り扱いに長けた弁護士に相談・依頼すると良いでしょう。
むちうちで後遺障害14級9号の認定を目指すときの要点3つ
後遺障害14級9号認定は簡単ではない
後遺障害等級には14段階あり、14級9号は最も軽い後遺障害等級といえます。しかし、それでも後遺障害等級認定を受けることは簡単なことではありません。特に、むちうちによる後遺障害等級認定は難しいのです。
後遺障害14級に認定されず非該当となった場合は、異議申し立てを行う、裁判を起こすなどの対応を考えましょう。
- 自賠責保険会社に異議申し立てをして再審査を受ける
- 裁判を通して後遺障害認定を受ける
異議申し立てを行う場合は、「後遺障害異議申立書」を提出します。この際には、最初に非該当となった理由を十分検討して、適切な対策をとりましょう。弁護士にアドバイスをもらうことをおすすめします。
なお、異議申し立てには回数制限がありません。しかし、症状固定日から3年間という時効の範囲に限られるので、非該当という結果を放置し続けてもいけません。また、何度も異議申し立てをしたところで、同じ内容を提出しなおすだけでは意味がありません。
つづいて、裁判を通して後遺障害認定を受ける場合です。損害保険料率算出機構の審査を経ていなくても、裁判で後遺障害14級9号と認められれば相応の賠償金が認められます。
14級9号と12級13号には明確な違いがある
後遺障害14級9号と12級13号は、両方ともむちうちの神経症状が残った場合に該当しうる後遺障害等級です。しかし、14級9号と12級13号を比べると12級13号の方が認定基準が厳しいです。
14級9号 | 12級13号 | |
---|---|---|
基準 | 局部に神経症状を残すもの | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
治療期間 | 原則6ヶ月以上 | 原則6ヶ月以上 |
神経学的検査 | 異常なしも可 | 異常あり |
画像検査 | 異常なしも可 | 異常あり |
慰謝料の相場 | 110万円 | 290万円 |
※慰謝料の相場は裁判や弁護士による交渉の基準額
後遺障害14級9号の示談金相場は110万円以上
裁判所や弁護士が考える後遺障害14級9号の示談金相場は110万円です。さらに、後遺障害慰謝料のほかに逸失利益も請求できるので、示談金相場は実質110万円以上と考えておきましょう。
一方、むちうちの示談金相場は75万円と聞いたことがある人もいるかもしれません。「75万円」という金額は自賠責保険会社から支払われる賠償金です。75万円は後遺障害慰謝料と逸失利益を合算したものなので、裁判所や弁護士が考える金額には到底及びません。
後遺障害14級9号認定をせっかく受けられても、法的に不十分な金額で終わらせては本末転倒です。弁護士に依頼して示談交渉を任せ、適正な金額を受け取りましょう。
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後遺障害14級9号の認定は弁護士に相談!
後遺障害14級に認定されない!そんなときこそ、弁護士相談
後遺障害14級9号は、確かに最も軽い後遺障害等級といえますが、後遺障害等級認定を受けることは簡単なことではありません。
痛みやしびれなどの神経症状は外見からは認識しづらく、むちうちによる後遺障害等級認定は特に難しくなります。
自分だけでは後遺障害認定に必要な書類や手続きを把握しきれない、あるいは既に後遺障害申請したもののなかなか認定してもらえないという方は、弁護士に相談してみるのもひとつの手段です。
弁護士に依頼することで、必要な書類の収集や後遺障害申請手続き、後遺障害認定に向けた対策や助言など、様々な法的サービスを受けることができます。
申請段階から認定後の後遺障害慰謝料の増額交渉まで、すべての手続きを一任することができます。
アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方向けに電話・LINEでの無料相談を実施しています。
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弁護士費用を抑えて後遺障害14級9号の認定をめざす
たとえ後遺障害が認定されて慰謝料を増額できても、弁護士費用が高額になってしまい、費用倒れになってしまっては元も子もありません。
しかし、弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用のご負担を抑えて弁護士に相談・依頼することができます。
弁護士費用特約とは?
弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や費用について、保険会社が代わりに負担してくれるという特約です。
負担額には上限が設定されていますが、多くのケースで生じる相談料や費用は上限の範囲内に収まるため、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。
契約されている自動車保険の他、火災保険や医療保険に付帯している場合もあります。
また、自分名義の弁護士費用特約でなくてもご家族の弁護士費用特約を利用することができる場合もあります。
保険の約款などを見ていただき弁護士費用特約がご利用可能かご確認いただければ、特約の有無に沿った弁護士費用のご案内をさせていただきます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了