交通事故によるストレートネックと変形性頚椎症|後遺障害認定と治療法

交通事故でむちうちになり病院へ行くと、「ストレートネック」や「変形性頚椎症」と診断されることがあります。
ただしこれらは日常生活でも発症するため、「事故が原因ではない」と判断されて、適切な補償が受けられないことが多いのです。
たとえば、交通事故によるストレートネックは後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。
しかし、デスクワークやスマートフォンの長時間使用による発症も多いため、事故との因果関係の証明が難しく、認定のハードルも極めて高いのが現状です。
交通事故によるストレートネック・変形性頚椎症の、症状や治療法、後遺障害認定のポイント、もらえる損害賠償金について解説します。
交通事故によるストレートネック
ストレートネックの症状と原因
ストレートネックは、首の骨(頚椎)が本来の正常なカーブを失い、まっすぐになってしまうことをいいます。交通事故で首が強く振られ、首の筋肉や関節が損傷することで発症します。
ストレートネックになると、以下のような症状が現れます。
ストレートネックの症状例
- 首や肩の症状
- 首の痛み
- 首のこわばり
- 肩こり
- 神経症状
- 手足のしびれ
- 手の感覚異常
- 指先の動きにくさ
- 自律神経症状
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 疲れやすさ
また、ストレートネックは日常生活でも発症することがあります。スマートフォンやパソコンの長時間使用で前かがみの姿勢が続き、首の筋肉が固まることが原因となるため「スマホ首」と言われることも多いです。
交通事故によるストレートネックは、むちうちを負って病院で診察を受けた際に、レントゲン検査で判明することが多いです。
ストレートネックの治療方法
ストレートネックの治療は、主に保存療法で行われます。保存療法とは、手術以外の方法で症状の改善を図る治療の総称です。一般的には以下のような治療を行います。
装具による治療
首の安定を図るため、頸椎カラー(首用コルセット)を使用します。これにより首を正しい位置に保持し、症状の悪化を防ぎます。
薬物療法
痛みが強い場合には、非ステロイド性消炎鎮痛剤などの薬物治療を行うことがあります。痛みを和らげ日常生活への影響を抑えることを目指します。
物理療法
痛みが落ち着いてきた段階で、マッサージやストレッチなどを行い、筋肉の緊張緩和や首の可動域改善を目指します。
ただし、「もんだりほぐしたりすれば症状が改善する」と考えて自己判断で処置をしてしまうと、かえって症状が悪化してしまうこともあります。
マッサージやストレッチは必ず医師の指導のもとで行いましょう。
ストレートネックの後遺障害認定について
ストレートネックの後遺障害認定について解説します。
なお、後遺症と後遺障害は異なる意味ですので、はじめに確認しておきましょう。
後遺症は、治療を続けても改善が見込めない症状のことです。対して後遺障害は、治療後も精神的・肉体的な疾病があり、かつ事故と症状に因果関係が認められた後遺症のことです。
後遺症 | 後遺障害 | |
---|---|---|
意味 | 治療を続けても改善が見込めない症状 | 一定の基準を満たした後遺症 |
補償 | 判断されるだけでは補償の対象とならない | 認定されれば追加で賠償金が請求できる |
医師にストレートネックの後遺症が残ったと判断されたら、後遺障害に認定してもらうための申請を行います。
後遺障害認定されると請求できる賠償金については、本記事内後半の「後遺障害慰謝料と逸失利益の相場」で詳しく解説しています。
ストレートネックの後遺症の症状は?
交通事故によるストレートネックでは、適切な治療を受けても以下のような後遺症が残ることがあります。
- 首の痛みと動きの制限
- 首の痛みが継続的に残る
- 首を長時間同じ方向に向けていられない
- 首を大きく動かすことが困難
- 手足のしびれと感覚の異常
- 手足のしびれが慢性的に続く
- 手先の感覚が鈍い
- 手先の細かい作業がしづらい
これらの後遺症は一例で、頭痛やめまいなど、吐き気などのさまざまな症状が長期にわたって残る可能性があります。
ストレートネックの後遺症は、日常生活にも多くの影響を及ぼします。
後遺症が日常生活に及ぼす影響
- 長時間のデスクワークが困難
- スマートフォンの操作や読書などの細かい作業に支障
- 運転時の後方確認がしづらい
- 寝返りがうちづらく、睡眠の質が低下
ストレートネックが後遺障害認定される基準
ストレートネックの後遺症は、症状の程度によって後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。
後遺障害等級は数字が小さいほど症状が重く、もらえる賠償金も多くなります。そのためストレートネックでは、14級9号の方が比較的認定されやすいといえます。
まず12級13号の認定基準は「局部に頑固な神経症状を残すもの」です。MRI検査や医師の視診など、客観的な検査や診察で障害を医学的に証明する必要があります。そのため、自覚症状だけでは認定は難しいとされています。
一方、14級9号の認定基準は「局部に神経症状を残すもの」です。12級とは異なり客観的な検査結果は必須ではありませんが、医師による治療経過や症状の診断は必要です。
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まれに高い後遺障害等級に認定されることもある
ストレートネック以外にも交通事故による後遺症が残った場合は、労働能力が大きく制限されるとして、7級4号や9級10号といった後遺障害等級が認定される可能性があります。
等級 | 認定基準 |
---|---|
7級4号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
ストレートネックが後遺障害認定されるためのポイント
ストレートネックは日常生活でも発症し得るため、交通事故が原因だと証明することが難しく、後遺障害認定されにくい現状にあります。
ストレートネックと交通事故の因果関係を証明するためには、以下のポイントを意識しましょう。
因果関係を証明するポイント
- 事故の規模を適切に立証する
- 医学的な根拠を収集する
- 交通事故に強い弁護士に相談する
1.事故の規模を適切に立証する
事故の衝撃が大きければ後遺障害として認定されやすい傾向にありますが、単にそれを主張するだけでは不十分です。
医師の意見書や事故直後の状況を示す資料などで、事故の規模とストレートネックの発症に明確な関連があることを示す必要があります。
2.医学的な根拠を収集する
レントゲン検査での所見に加え、事故直後からの診断内容や治療経過など、医師による継続的な記録が重要になります。
特に、事故前は発症していなかったことを示すため、事故前の状態と事故後の症状の違いを明確にできる記録が必要です。
3.交通事故に強い弁護士に相談する
そもそも後遺障害全体の認定率が5%と非常に低いため、その中でも難易度が高いストレートネックの認定申請を、ご本人が行うこと自体に無理があるとも考えられます。
交通事故に強い弁護士であれば、過去の認定事例から、必要な証拠書類を適切にそろえることができるため、認定の確率を最大限高めることができるでしょう。
ストレートネックは交通事故の後遺症の中では軽微な方なので、「弁護士依頼なんて大げさ」とお考えになるかもしれませんが、後遺障害認定されるかどうかで損害賠償金が大きく変わるため、なんとなくで依頼をやめるのは非常にもったいないことです。
まずは一度、「自分の場合は後遺障害認定される可能性がどのくらいあるのか」、「もし認定されたらいくらもらえるのか」弁護士への無料相談で確認してみましょう。

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交通事故による変形性頚椎症
変形性頚椎症の症状と原因
変形性頚椎症とは、首の骨と骨の間にある椎間板が変形したり、つぶれたりすることで、脊髄や神経根を圧迫してしまう症状です。
一般的には加齢によって徐々に椎間板が変形して発症することが多いですが、交通事故の衝撃をきっかけに症状が出ることもあります。
なお、変形性頚椎症は「頚椎症性脊髄症(けいついしょうせい せきずいしょう)」と「頚椎症性神経根症(けいついしょうせい しんけいこんしょう)」に分けられます。2つ同時に発症することもあります。
頚椎症性脊髄症
椎間板が変形することで、脊髄本幹を圧迫してしまう症状です。
頚椎症性脊髄症では以下のような症状が現れます。
- 首の後ろの痛み
- 手足のしびれや感覚異常
- 手先が細かく動かせない
- 歩きにくい
- 排泄障害
頚椎症性神経根症
椎間板が変形することで、神経根を圧迫してしまう症状です。
頚椎症性神経根症では以下のような症状が現れます。
- 腕や指、肩甲骨周囲のしびれや痛み
- 手をあげている姿勢が楽
- 手を下げたり首を動かしたりするとしびれや痛みが出る
- 頭痛やめまい
変形性頚椎症の症状は、交通事故から数日以内に現れる場合もあれば、数週間から数か月後に現れる場合もあります。
箸を使って小さなものを掴むことが難しい、字が書きづらい、ペットボトルが開けられない、階段の上り下りが困難など、日常生活に支障が出ることも多いです。
変形性頚椎症の治療
変形性頚椎症はほとんどのケースで保存療法がおこなわれ、薬物療法による痛みの緩和、牽引や温熱療法などで、患部の状態改善を図ります。
しかし、頚椎症性脊髄症の場合には、外科手術を行うこともあります。
一般的には前方除圧固定術と呼ばれる手術ですが、3か所以上の脊髄の圧迫が起こっている場合や脊柱管が狭くなっている場合には、椎弓形成術が実施されることもあるようです。
変形性頚椎症は交通事故との因果関係証明が難しい
変形性頚椎症は年齢とともに自然に起こる症状でもあるため、加害者側の任意保険会社は「事故が原因ではなく、年齢による変性が原因である」と主張することが多くあります。
そのため、加害者側の任意保険会社はこの主張をもとに、賠償金の支払いを減額したり、場合によっては支払いを拒否したりすることもあるのです。
また、変形性頚椎症の後遺障害認定についても、不利にはたらくおそれがあります。
ただし、以下のような場合には「交通事故によって変形性頚椎症が発症した」と証明しやすいため、損害に対する適切な補償が受け取れる可能性が高いです。
- 事故前は具体的な症状がなかった
- 普通に日常生活を送れていた
- 類似する症状の通院歴がない
もともと症状があった場合は損害賠償金が減額
事故前から年齢相応を超えた「疾患」レベルの変形があった場合、体質的な問題として扱われ、事故がなくても症状が出やすい状態だったとして、賠償金が減額(素因減額)される可能性があります。
変形性頚椎症の症状すべてが交通事故に由来するものではないのなら、事故の加害者が症状に対するすべての損害を補償する必要はない、と考えられるためです。
知っておきたい減額の要因
ストレートネック・変形性頚椎症の損害賠償金
交通事故でストレートネック・変形性頚椎症を発症したときにもらえる損害賠償金を解説します。
損害賠償金の費目一覧
交通事故でストレートネック・変形性頚椎症を発症したときに、加害者側に請求できる費目は以下のとおりです。

- 治療費:病院の診察費用、薬代、通院交通費など、治療に必要なすべての費用
- 休業損害:治療のために仕事を休んだことによる減収分への補償
- 入通院慰謝料:治療のために通院や入院を余儀なくされたことへの精神的苦痛に対する補償
- 逸失利益:後遺障害がなければ将来稼げたであろう収入への補償
- 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償
逸失利益と後遺障害認定については、ストレートネック・変形性頚椎症が後遺障害認定された場合のみ請求が可能です。
交通事故の損害賠償の基礎知識
入通院慰謝料の相場表
入通院慰謝料は、ストレートネック・変形性頚椎症で入院または通院した方であれば、だれでも請求できる慰謝料です。
入通院慰謝料の相場表は、軽傷用と重傷用でわかれています。ストレートネックの場合は軽傷用の使用がほとんどですが、変形性頚椎症の場合は症状によって重傷用を使うこともあります。
入通院慰謝料の相場(軽傷用)

入通院慰謝料の相場(重傷用)

入院の縦軸と通院の横軸が交わるどころが入通院慰謝料の相場になります。たとえば、ストレートネック(軽傷)で【入院なし・3か月通院】した場合の入通院慰謝料は53万円です。
なお、特に変形性頚椎症については素因減額で、慰謝料相場よりも低い金額を提示される可能性が高いです。
加害者側の任意保険会社から提示された金額に納得がいかない場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

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後遺障害慰謝料と逸失利益の相場
ストレートネック・変形性頚椎症が後遺障害認定された場合は、後遺障害慰謝料と逸失利益が請求できるようになります。
ストレートネック・変形性頚椎症の後遺障害慰謝料
ストレートネック・変形性頚椎症が認定される可能性のある後遺障害等級と慰謝料相場は以下のとおりです。
後遺障害慰謝料の相場(弁護士基準)
等級 | 後遺障害慰謝料の相場 |
---|---|
7級4号 | 1,000万円 |
9級10号 | 690万円 |
12級13号 | 290万円 |
14級9号 | 110万円 |
ストレートネック・変形性頚椎症の逸失利益
逸失利益については、被害者の収入や年齢によって金額が異なるため、一概に相場が〇〇円とはいえません。
そのため、モデルケースで逸失利益の金額イメージを紹介します。
等級 | 被害者 | 逸失利益の目安額 |
---|---|---|
12級 | 25歳(年収:300万~400万円) | 1,188万円 |
12級 | 50歳(年収:700万~800万円) | 1,504万円 |
14級 | 25歳(年収:300万~400万円) | 80万円 |
14級 | 50歳(年収:700万~800万円) | 172万円 |
逸失利益は、専業主婦(主夫)や、まだ働いていない子どもでも請求できます。
また、逸失利益がもらえるのは原則67歳までです。
ストレートネック・変形性頚椎症の後遺症は弁護士に相談
弁護士に相談するメリット
交通事故によりストレートネック・変形性頚椎症の後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定の申請が必要となります。
後遺障害認定されると請求できる損害賠償額も高額になりやすいため、専門知識を有する弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼するメリットは以下の通りです。
- 適切な後遺障害等級の認定を受けられる
- 保険会社との交渉を一任できる
- 交渉に必要な証拠の収集を手伝ってもらえる
- 示談金を相場に近い金額まで増額できる可能性が高まる
弁護士に相談・依頼することで、自身の負担を減らしつつ、相場に近い損害賠償金を得られる可能性が高まるでしょう。
弁護士費用を抑えて依頼する方法
弁護士に相談の上、依頼するとなると、弁護士に支払う費用の負担が気になる方は多いでしょう。
弁護士費用が気になる方は「弁護士費用特約」の有無をご確認ください。
弁護士費用特約とは、ご自身で加入している任意保険に付帯されている特約のことです。
具体的な補償額は約款しだいですが、よくある内容としては、弁護士費用を300万円まで、法律相談料を10万円まで補償してくれるため、弁護士費用の負担を大きく軽減できるでしょう。
また、ケガをした本人名義でなくても、一定の範囲の親族名義であれば補償の対象になれる可能性もあります。
以下のように、弁護士費用特約の補償対象者は、同居している配偶者や子ども、両親、別居している未婚の子までが対象となる可能性があるため、約款を確認してみてください。

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ストレートネックや変形性頚椎症は後遺障害認定が難しいため、はじめから有料の相談・依頼をするのは抵抗があるという方も多いでしょう。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了