
年収やポジションの向上を目指して転職を考えるハイクラス層にとって、「条件が良いから」といった理由だけで話を進めるのは危険です。特に年収アップをうたう転職には、見えにくい契約上のリスクが潜んでいるケースも多く、入社後に「話が違った」と感じるトラブルも後を絶ちません。
本記事では、実際のトラブル事例やチェックすべき契約ポイントを紹介しながら、安心してキャリアアップを図るための注意点を解説します。
年収アップ転職は“メリットだけ”ではない?

実は、年収アップ転職はメリットだけではありません。ここでは、年収アップ転職におけるリスクや注意点を見ていきましょう。
ハイクラス転職に伴う期待とリスク
管理職や専門職など、いわゆるハイクラス層に向けた転職市場は拡大しています。好条件のオファーを受けやすくなっている一方で、雇用契約の内容が複雑化している傾向です。
たとえば、「裁量労働制」や「業務委託契約」など、一般的な正社員契約とは異なる雇用形態が増えており、条件交渉の段階で不明瞭な点があるまま進行してしまうと、入社後のギャップにつながりやすくなります。
入社前に聞いていた話と違うことも
転職後には、「業務内容が事前説明と異なる」「勤務地やリモート条件が違う」「インセンティブが聞いていたものと違う」といった声が少なくありません。
これらのトラブルは、契約時に確認すべき内容が曖昧だったり、書面と実務の乖離があったりすることで発生します。
よくあるハイクラス転職時のトラブル事例

続いて、よくある事例を3つ紹介します。
事例① 年収提示が「業績連動型」だった
「年収1,000万円」と聞いていたにもかかわらず、実際には基本給が500万円で、残りは成果に応じたインセンティブというケースがあります。
数字だけを鵜呑みにせず、報酬の内訳を確認することが重要です。
事例② 雇用形態が正社員ではなかった
「最初は契約社員だけど、すぐに正社員登用される」と説明されたものの、書面にはその旨の記載がなく、結果として更新されずに終了した例もあります。
契約形態は、必ず書面で確認しましょう。
事例③ 競業避止義務が想定より重かった
退職後の転職先に影響が出るほど、強い競業避止条項が盛り込まれていた事例もあります。
「契約書に何となく書かれていた」という認識では済まされないため、事前の精査が求められます。
契約前にチェックすべき“3つのポイント”

契約を交わす前には、以下3つのポイントを必ず押さえましょう。
① 労働条件通知書・雇用契約書の整合性
面談時に聞いた内容が書面に正しく反映されているか、曖昧な表現がないかを必ずチェックしましょう。口頭での約束は証明が難しく、トラブル時に不利になることもあります。
書面を自分の目で確認し、問題がある場合は早めに担当者へ連絡してください。
② 報酬体系と評価基準の開示
固定報酬と変動報酬の割合、インセンティブの算定基準、試用期間中の給与など、収入に関わる情報が明確に提示されているかを確認してください。
少しでも曖昧なところがあったり、分かりにくいところがあったりする場合は、契約を交わす前に納得できるまで質問するのがおすすめです。
③ 契約解除・競業避止義務などの規定
退職後の転職先に影響を与える可能性があるため、特に競業避止義務や秘密保持義務の条項は慎重に確認する必要があります。
あいまいな言い回しには、十分な注意が必要です。
トラブル回避のための転職エージェント活用法

トラブル回避のためには、転職エージェントを活用するのもおすすめです。以下で詳しい活用方法を紹介します。
信頼できる支援者がいることの安心感
契約内容の確認や企業との交渉において、プロのエージェントがサポートしてくれるのは大きな安心材料です。
特にハイクラス向けの案件では、提示条件の背景や実態に関する情報を得られることもあります。
ハイクラス専門の転職支援サービスの活用

たとえば、リメディ株式会社のように、ハイクラス層の転職に特化したエージェントでは、業務内容や待遇条件を明確化したうえでマッチングを行っており、条件交渉や契約書のチェックにも対応しているケースがあります。
このような支援サービスを一例として参考にするのも有効です。
トラブルが起きたときの相談先と対処法

実際にトラブルが起きたとき、相談先を知っておくと焦らず対応できます。以下を参考に、冷静な対処を行いましょう。
企業との交渉が難しい場合は?
契約上の問題が発生した場合、自分一人で解決するのは難しいこともあります。
そうした場合は、労働基準監督署や労働局、場合によっては弁護士といった外部機関への相談が有効です。
法的トラブルに発展する前の対応が鍵
万が一に備えて、入社前のメールやメモ、会話の記録などはしっかり残しておくと、トラブル時の有力な証拠になります。
問題が起きそうな兆しが見えた時点で、早めに相談することが重要です。
転職の成功は“契約リテラシー”で決まる

転職市場が活性化する中、特にハイクラス層の人材には数多くのオファーが届くようになっています。しかし、提示された条件をそのまま受け入れてしまうのではなく、契約内容の本質を理解したうえで判断する力が求められています。
「好条件」に惑わされず、必要な確認を怠らず、信頼できる支援者とともに納得のいくキャリアを築いていくことが、転職成功の第一歩となるでしょう。