2025.06.23

インターン中にトラブル!?学生が知るべき“労働”と“契約”

初めてのインターン。

キャリアの第一歩として期待して参加したものの、「話と違う仕事をさせられた」「無給なのにフルタイムで働かされた」「辞めたいのに辞めさせてもらえない」などといったトラブルに巻き込まれるケースは少なくありません。

この記事では、学生が安心してインターンに臨むために知っておきたい、“労働”と“契約”の基礎知識をお伝えします。

インターンってそもそも何?アルバイトとの違いを整理しよう 

「インターン」と聞いて何を思い浮かべますか?

実は日本において、インターンに関する明確な法的定義はありません。しかし、実態が労働と同じであれば“労働契約”とみなされることがあるため、注意が必要です。

特に、「指揮命令のもとで業務をこなす」「報酬の有無にかかわらずフルタイム稼働」といったケースでは、労働基準法や最低賃金法の適用対象となる可能性もあります。

アルバイトとの違いは、報酬の有無や雇用契約の有無にとどまりません。企業が教育的な目的ではなく、労働力として学生を扱う場合、法的リスクも生じます。

インターン、ボランティア、アルバイトの違いは明確にしておきましょう。

トラブル事例から学ぶ|学生が巻き込まれやすい落とし穴とは

続いて、トラブル事例とともに、学生が巻き込まれやすい落とし穴を紹介します。

1. 無給でフル稼働させられた

「無給だから法的に問題ない」という認識は誤りです。それは、“労働”かもしれません。

もし、社員と同様の業務をフルタイムでこなし、上司の指示に従って動いているのであれば、それは「労働」と見なされる可能性が高くなります。最低賃金法違反に該当するケースもあるため、就業前に業務内容と待遇を必ず確認しましょう。

2. 話と違う内容をやらされた

「Webマーケティングを学びたい」と思って応募したのに、実際はデータ入力や雑務ばかり。このようなミスマッチは「名ばかりインターン」と呼ばれ、学生側の不満・不信感の原因になります。

募集要項と実務内容にギャップがないか、受け入れ企業の情報を事前に十分確認することが重要です。

3. セクハラ・パワハラ被害を受けた

立場が弱い学生インターンは、職場内でハラスメントの対象になりやすいという現実があります。

「まだ就活前だから言い出しにくい」「評価に響くのが怖い」と泣き寝入りする学生もいますが、大学のキャリアセンターや法テラスなど、相談できる窓口は複数あります。ひとりで抱え込まず、早めに行動しましょう。

4. 損害賠償を求められた!?

作業中のミスで機材を壊してしまった場合など、「損害賠償請求された」という声もあります。インターン契約書に“損害賠償条項”が記載されているかどうか、事前に確認しておきましょう。

損害賠償は金額が大きくなるケースもあるため、要注意です。

インターン契約の基礎知識|事前に確認しておきたい5つのポイント

インターン契約をする前に、以下5つのポイントをチェックしてください。

  • 契約書または同意書の有無
  • 募集要項の保存
  • 報酬・交通費・保険などの記載と補償内容
  • 就業時間・休日・拘束時間の明記
  • インターン終了時のルールと辞退方法

契約書または同意書は口頭合意ではなく文書で残し、募集要項はスクショやPDFで手元に残してください。これは、後になって「そんな契約はしていない」「そんなことは書いていない」などと言われるのを防ぐためです。

学生の立場でも、契約や合意の重要性は社員と変わりません。内容を理解せずに署名することは避け、わからないことは事前に確認しましょう。

【チェックリスト】トラブルを防ぐために参加前に確認したい10項目

インターンの際、トラブルを未然に防ぐためには、以下10項目を押さえましょう。

  • 契約書や同意書が存在するか
  • 業務時間や拘束時間が明確か
  • 具体的な担当業務と指導担当者の明記
  • 報酬・交通費・保険の扱い
  • ハラスメント対応窓口の有無
  • インターンの目的と評価方法
  • 中途辞退の方法と連絡ルール
  • 大学側の協力体制があるか
  • 企業活動との関係性(営利or非営利)
  • 学業との両立が可能なスケジュールか

これらの項目は、PDFチェックリストとして保存しておくのもおすすめです。迷ったときの指針になります。

インターン選びの第一歩は「情報の比較と信頼性」

インターンにおいては「やってみないと分からない」ではなく、「選ぶ段階でリスクを減らす」という視点が重要です。

募集内容が曖昧だったり、口コミや情報が乏しい案件には特に注意しましょう。自分に合った環境を見つけるには、事前の調査がカギになります。

U-inTernでは、報酬の有無・業務内容・企業情報が明記されたインターン情報が多数掲載されています。参加前の判断材料として、参考になるでしょう。

もしトラブルに巻き込まれたら?|学生でもできる相談・対処方法

万が一、トラブルに巻き込まれた際は一人で抱えず、相談をしましょう。以下の流れに沿って、適切な場所への相談を検討してください。

  1. まずは記録を残す
    (LINE・メール・写真・音声など)
  2. 大学のキャリアセンターや相談室に連絡する
  3. 相談前に「時系列で情報を整理」しておく
  4. 労働基準監督署や法テラスなどの公的機関を活用する

「証拠」と「状況の整理」が、第三者に伝えるうえで非常に重要です。混乱してしまう気持ちも分かりますが、まずは落ち着いて状況を整理しましょう。

キャリアの第一歩こそ“安全に”踏み出すために

インターンは学びと成長の貴重な機会です。しかし、適切な知識と準備がなければ、大きなトラブルにもつながりかねません。

“やりがい”や“熱意”だけに頼らず、条件や契約内容を冷静に見極める視点が大切です。安心してチャレンジできる環境を選ぶことが、キャリア形成の第一歩につながります。

情報を武器に、自分の未来を守りながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。