
初めてのインターン。
キャリアの第一歩として期待して参加したものの、「話と違う仕事をさせられた」「無給なのにフルタイムで働かされた」「辞めたいのに辞めさせてもらえない」などといったトラブルに巻き込まれるケースは少なくありません。
この記事では、学生が安心してインターンに臨むために知っておきたい、“労働”と“契約”の基礎知識をお伝えします。
インターンってそもそも何?アルバイトとの違いを整理しよう

「インターン」と聞いて何を思い浮かべますか?
実は日本において、インターンに関する明確な法的定義はありません。しかし、実態が労働と同じであれば“労働契約”とみなされることがあるため、注意が必要です。
特に、「指揮命令のもとで業務をこなす」「報酬の有無にかかわらずフルタイム稼働」といったケースでは、労働基準法や最低賃金法の適用対象となる可能性もあります。
アルバイトとの違いは、報酬の有無や雇用契約の有無にとどまりません。企業が教育的な目的ではなく、労働力として学生を扱う場合、法的リスクも生じます。
インターン、ボランティア、アルバイトの違いは明確にしておきましょう。
トラブル事例から学ぶ|学生が巻き込まれやすい落とし穴とは

続いて、トラブル事例とともに、学生が巻き込まれやすい落とし穴を紹介します。
1. 無給でフル稼働させられた
「無給だから法的に問題ない」という認識は誤りです。それは、“労働”かもしれません。
もし、社員と同様の業務をフルタイムでこなし、上司の指示に従って動いているのであれば、それは「労働」と見なされる可能性が高くなります。最低賃金法違反に該当するケースもあるため、就業前に業務内容と待遇を必ず確認しましょう。
2. 話と違う内容をやらされた
「Webマーケティングを学びたい」と思って応募したのに、実際はデータ入力や雑務ばかり。このようなミスマッチは「名ばかりインターン」と呼ばれ、学生側の不満・不信感の原因になります。
募集要項と実務内容にギャップがないか、受け入れ企業の情報を事前に十分確認することが重要です。
3. セクハラ・パワハラ被害を受けた
立場が弱い学生インターンは、職場内でハラスメントの対象になりやすいという現実があります。
「まだ就活前だから言い出しにくい」「評価に響くのが怖い」と泣き寝入りする学生もいますが、大学のキャリアセンターや法テラスなど、相談できる窓口は複数あります。ひとりで抱え込まず、早めに行動しましょう。
4. 損害賠償を求められた!?
作業中のミスで機材を壊してしまった場合など、「損害賠償請求された」という声もあります。インターン契約書に“損害賠償条項”が記載されているかどうか、事前に確認しておきましょう。
損害賠償は金額が大きくなるケースもあるため、要注意です。
インターン契約の基礎知識|事前に確認しておきたい5つのポイント

インターン契約をする前に、以下5つのポイントをチェックしてください。
- 契約書または同意書の有無
- 募集要項の保存
- 報酬・交通費・保険などの記載と補償内容
- 就業時間・休日・拘束時間の明記
- インターン終了時のルールと辞退方法
契約書または同意書は口頭合意ではなく文書で残し、募集要項はスクショやPDFで手元に残してください。これは、後になって「そんな契約はしていない」「そんなことは書いていない」などと言われるのを防ぐためです。
学生の立場でも、契約や合意の重要性は社員と変わりません。内容を理解せずに署名することは避け、わからないことは事前に確認しましょう。
【チェックリスト】トラブルを防ぐために参加前に確認したい10項目

インターンの際、トラブルを未然に防ぐためには、以下10項目を押さえましょう。
- 契約書や同意書が存在するか
- 業務時間や拘束時間が明確か
- 具体的な担当業務と指導担当者の明記
- 報酬・交通費・保険の扱い
- ハラスメント対応窓口の有無
- インターンの目的と評価方法
- 中途辞退の方法と連絡ルール
- 大学側の協力体制があるか
- 企業活動との関係性(営利or非営利)
- 学業との両立が可能なスケジュールか
これらの項目は、PDFチェックリストとして保存しておくのもおすすめです。迷ったときの指針になります。
インターン選びの第一歩は「情報の比較と信頼性」

インターンにおいては「やってみないと分からない」ではなく、「選ぶ段階でリスクを減らす」という視点が重要です。
募集内容が曖昧だったり、口コミや情報が乏しい案件には特に注意しましょう。自分に合った環境を見つけるには、事前の調査がカギになります。
U-inTernでは、報酬の有無・業務内容・企業情報が明記されたインターン情報が多数掲載されています。参加前の判断材料として、参考になるでしょう。
もしトラブルに巻き込まれたら?|学生でもできる相談・対処方法

万が一、トラブルに巻き込まれた際は一人で抱えず、相談をしましょう。以下の流れに沿って、適切な場所への相談を検討してください。
- まずは記録を残す
(LINE・メール・写真・音声など) - 大学のキャリアセンターや相談室に連絡する
- 相談前に「時系列で情報を整理」しておく
- 労働基準監督署や法テラスなどの公的機関を活用する
「証拠」と「状況の整理」が、第三者に伝えるうえで非常に重要です。混乱してしまう気持ちも分かりますが、まずは落ち着いて状況を整理しましょう。
キャリアの第一歩こそ“安全に”踏み出すために

インターンは学びと成長の貴重な機会です。しかし、適切な知識と準備がなければ、大きなトラブルにもつながりかねません。
“やりがい”や“熱意”だけに頼らず、条件や契約内容を冷静に見極める視点が大切です。安心してチャレンジできる環境を選ぶことが、キャリア形成の第一歩につながります。
情報を武器に、自分の未来を守りながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。