2025.06.12

結婚前契約書(パートナーシップ契約)で“すれ違い”を防ぐ|話し合いのきっかけにする方法とは?

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結婚を間近に控えたカップルにとって、「これからの生活をどのように築いていくか」は大きな関心事です。

一方で、「なんとなく上手くいくだろう」と曖昧にしたまま結婚に踏み切り、後に価値観の違いや生活スタイルのすれ違いに悩む夫婦も少なくありません。

特に、金銭感覚や家事や育児の役割分担、親との付き合い方などは、結婚前に深く話し合えないことが多いものです。

そうした背景のなか、最近注目されているのが「結婚前契約書(パートナーシップ契約)」です。この記事では、結婚前契約書の意義や作成のポイント、注意点まで詳しく解説します。

結婚前契約書とは?

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結婚前契約書とは、結婚後の生活における考え方やルールをパートナーと事前に話し合い、文書化したものを指します。

例えば、家計の管理方法や家事・育児の分担、居住地の選択や親族との関係など、具体的な生活に関わるテーマを整理しておくことが目的です。

法的な拘束力は原則ありませんが、「すれ違いを予防するための対話ツール」としての役割が大きいとされています。欧米ではPrenup(プレナップ)と呼ばれ、広く浸透しており、日本でも徐々にその価値が認識されつつあります。

こんな不安があるなら、契約書を考えてみても

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たとえば、次のような悩みを抱えている方は、結婚前契約書を検討してみても良いかもしれません。

  • 相手とお金の使い方が違っていて不安
  • 家事や育児の負担が偏らないか心配
  • 転勤や在宅勤務によって生活のバランスが崩れそう
  • 親との距離感や介護の考え方にズレがある

こうしたテーマは、「話しづらい」「切り出しにくい」と思われがちですが、だからこそ事前に話し合っておくことが大切です。

結婚前契約書は“決めごと”を作るためではなく、“対話のきっかけ”として使うという考え方が、より建設的な関係づくりに役立ちます。

契約書に書く内容の一例

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続いて、契約書に書く内容の一例を紹介します。結婚前契約書と聞いてもイメージがわかない方も、ぜひ以下を参考に作成を検討してみてください。

お金に関する取り決め

結婚において、お金に関する取り決めは非常に重要です。例としては、以下のような内容を記載してみましょう。

  • 生活費の分担割合
  • 共通口座の有無や貯金の管理方法
  • 奨学金やカードローンなどの借金の共有

例えば、家賃・光熱費・食費といった生活費は、「どちらが」「どれくらい」支払うのか決めます。折半なのか、収入の多い方が多めに支払うのか明確に決めましょう。

また、貯蓄や借金に関する情報も先に共有すると安心です。

家事・育児

続いて、家事・育児については以下のような内容を記載します。

  • 料理、掃除、洗濯などの役割分担
  • 育児方針
    (保育園・教育方針・習い事など)
  • 夜間の対応や送り迎えのルール

家事の役割分担は曜日ごとで担当を決めるのか、得意な方がやるのか、仕事との兼ね合いなども考えつつ話し合います。お子さんが欲しいと考えているのであれば、育児に関する方針も事前に決めましょう。

仕事・住まい

仕事や住まいについても、事前に話し合った方が良い項目です。

  • 転勤が発生した場合に同行するか
  • テレワーク時の部屋割り・時間帯の調整
  • 将来の転職・独立への理解

遠方への転勤が決まった場合、同行するかどうかは、お子さんの有無によっても対応が変わるので、そのあたりも含めて話し合うのがおすすめです。

その他、テレワークや独立などが考えられる職種の場合は、その点も決めておきます。

親族との関係

親族との関係に関しては、帰省の頻度や優先順位など、親族付き合いに関するルールを決めるのがおすすめです。特に、親の介護は将来に大きく関わるので、必ず事前に話し合ってください。

  • 帰省の頻度や優先順位の合意
  • 親の介護に関する希望
  • 冠婚葬祭や親戚付き合いのルール化

すべてを厳密に決める必要はなく、会話のメモや箇条書き程度でも構いません。まずは「共有する」ということに意味があります。

最初に話すべきは「お金の価値観」

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結婚生活で最もトラブルの種になりやすいのが「お金」に関する価値観の違いです。

節約志向の人と浪費傾向の人がパートナーになると、「なぜそんなものに使うの?」「細かすぎない?」と互いにストレスを感じることも多々あります。

家計管理をどちらが担うのか、共同口座にするのか個別に管理するのかといった点も含めて、早い段階で話し合っておくと安心です。価値観が似ている相手を選ぶことは、交際後のすれ違いを減らし、長く安定した関係を築くための大きなポイントとなります。

事前に「お金のことをどう考えているか」を共有する習慣を身につけておくと、自然と相手との距離も縮まりやすくなるでしょう。

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契約書を作る際の注意点

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結婚前契約書は、一方的に押し付けるのはNGです。相手と対等な立場で話し合いをし、お互いに納得した上で記入しましょう。

話し合ったことは、必ずしも正式な「書面」にする必要はありません。大切なのは、記録に残すことです。

カフェでの会話や散歩中など、自然なタイミングで切り出すと雰囲気が和らぎます。無理に合意を急がず、“考え方をすり合わせる過程”を大切にしましょう。

“書くかどうか”より、“話すこと”が大切

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結婚前契約書は単なる書類ではなく、パートナーと未来を真剣に話し合うための“対話の道具”です。

結婚を機に人生を共に歩む覚悟を持った二人が、互いの価値観を知り、尊重し合う第一歩として、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

何をどこまで書くかよりも、「何をどう話し合うか」に重きを置いて、理想の関係を築いていきましょう。

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