セクハラを弁護士に相談する|費用・準備するもの・注意点を確認!

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セクハラと弁護士

「職場でセクハラの被害を受けていて相談したい」
「相談窓口が多いけど、どこが適切かわからない」

セクハラの相談先に迷った場合は、法律のプロである弁護士への相談を考えてみませんか?

弁護士であれば、セクハラ加害者や会社に対し直接交渉が可能です。

しかし、弁護士への相談はしたことがない方がほとんどでしょう。「弁護士に相談する」ことに抵抗がある方も少なくないと思います。

この記事では、セクハラを弁護士に相談する場合の費用や、弁護士に相談するにあたって準備しておくべきこと、注意点などを確認し、セクハラを「弁護士に相談する」ことへの不安を取り除いていきます。

セクハラ被害に対して弁護士が会社や加害者に主張する内容

セクハラには法律上の定義がある|対価型と環境型

セクハラには法律上の定義があり、自身が不快に思った性的な言動が必ずしも法律上のセクハラに該当するとは限りません。

そのため、セクハラ被害を法的に主張するためには、法律で定められている定義に沿う必要があります。

法律上のセクハラの定義は対価型環境型に分かれます。いずれの場合も、職場における労働者の意に反した性的な言動を指します。

対価型のセクハラは、性的な言動への抵抗や拒否などを理由として、降格、減給、契約更新拒否、不利な異動といった、客観的な不利益が生じた場合を指します。

たとえば「性的な関係を拒否したことを理由に解雇された」「会社内において日頃から自身の性的な事柄を聞かれており、抗議したら降格処分になった」などが挙げられます。

一方、環境型のセクハラは、性的な言動により働く環境が不快になり、就労に支障が出ることを意味します。

対価型は直接的な不利益ですが、環境型は「性的な言動によって苦痛を感じ、仕事どころではなくなる」というイメージです。

これらセクハラの定義は、男女雇用機会均等法11条第1項に定められています。

弁護士はまず法的なセクハラに該当するかを検討する

「自身の受けた被害が法的にセクハラの定義に当てはまるかどうか」を判断することは非常に難しいでしょう。

セクハラ被害を弁護士に相談した場合、弁護士は聞き取った事情を整理し、法的なセクハラに該当するかどうかを検討します。

この判断を弁護士が適切に行うためには、相談時に自身が体験したセクハラ被害の実態をできる限り詳細に伝えることが重要です。

あまり人に話したくない内容だとは思いますが、たとえば、同性の弁護士を選ぶ(複数の弁護士が在籍している事務所であれば同性の弁護士にしてもらう)など、できるだけ話しやすい環境を作ることが大切です。

なお、弁護士は法律上守秘義務を負っています(弁護士法23条)。

話した内容が関係者以外に漏れることはないため、その点では安心して相談ができるでしょう。

法的にもセクハラと評価できるものであれば、会社に対して実効性のあるアクションができるため、その判断を行えるという点は弁護士に相談するメリットの1つです。

メリットを活かすためにも、相談前に事実を整理しておくことが効果的です。

セクハラ被害に対して弁護士が取る解決手段

事案を整理し、法律的にもセクハラに該当すると判断すれば、弁護士は解決に向けた法的な主張を検討します。

主なものとしては、以下の2種類があります。

弁護士によるセクハラの解決手段の一例

①不利益な取り扱いの撤回(対価型の場合)
②会社・加害者への慰謝料などの損害賠償請求

たとえば、上司からのデートの誘いを断ったことで解雇されたような場合、これは対価型のセクハラにあたります。

このとき、解雇の無効を求めるのが①です。解雇が無効となれば、職場に復帰することができます。

また、①を主張するときには②も同時に主張することが一般的です。セクハラ行為で受けた精神的なダメージに対する金銭的な補償も併せて求めるのです。

もっとも、セクハラを受けた職場に不快感があり、復職はしたくないという方もいることでしょう。

そのような場合には、セクハラに該当する不当な解雇であることを前提としつつ、職場復帰は求めず、損害賠償のみを請求することになります。

このとき、損害賠償の内訳としては慰謝料だけでなく「不当な解雇によって働けなくなった」ことを理由として、解雇されずに働いていれば得られていたであろう給料相当額の賠償も求めます。

実務上、賠償額はトラブル解決までの期間分の給料月額をベースに計算します。

この賠償は解雇の場合だけでなく、「セクハラが原因で自ら退職せざるを得なくなった」ケースでも認められています。

このように、弁護士は、セクハラ被害者が置かれた状況をもとに本人の要望を考慮した上で、解決手段を選択します。相談の際に自身の要望を伝えることが重要といえるでしょう。

セクハラの解決を依頼する場合の弁護士費用

弁護士への相談料

弁護士への相談料の相場は、1時間1万円(30分5000円)ですが、初回については無料としている法律事務所も多く存在します。

料金について不安がある場合、初回無料の法律事務所へ相談してみて、見積もりを出してもらうと良いでしょう。

着手金

着手金とは、正式に依頼する(弁護士が事件に着手する)際に発生する費用です。結果にかかわらず、返金されないため、注意してください。

弁護士にセクハラの解決について依頼する場合、着手金はおおよそ10~30万円が相場となります。

しかし、中には、完全「成功報酬」型をとり、着手金は0円にしている法律事務所も存在します。

セクハラ解決に対する成功報酬

成功報酬とは、事件が解決した時に発生する費用のことを指します。報酬金とも呼ばれます。

セクハラが解決した場合、相手から回収できた額(慰謝料・損害賠償金など)のうち、おおよそ20~30%を成功報酬として支払うことになります。

実費

実費は、弁護士がセクハラ解決のために実際にかかった費用のことで、出張が発生した場合の交通費や、書類の送料などが含まれます。

具体的な金額は、事案により変動します。

ただし、「不法行為に基づく損害賠償請求」の場合は、相手方に支払わせることができます。

セクハラの場合、不法行為が成立することが多いため、この例外に該当し、相手側に弁護士費用を支払わせることができる可能性もあります。

なお、支払わせることができる場合、実際にかかった弁護士費用ではなく、認容額(裁判で決定された額)の1割程度である点に注意してください。

ケースバイケースになるため、気になるのであれば、直接弁護士に相談してみましょう。

弁護士に相談するための準備|セクハラについて相談する

弁護士に何を相談したいか明確してから相談しよう

事情を話すことも大事ですが、最終的にどうしたいのか、相談内容を明確にしておきましょう。

「セクハラについて、会社にしかるべき措置を講じてほしい」、「セクハラ行為者に対して、法的責任を追及したい」など、誰に対し何を求めているかを伝えられることがベストです。

セクハラ行為について時系列でまとめる

セクハラ行為について、発端から現在までを時系列にまとめておきましょう。

セクハラ行為がいつ、どこで、どのような状況でなされたか、また、その後のセクハラ行為者や会社の対応まで説明できるとより良いです。

セクハラの証拠や関連する資料を集める

弁護士への相談は時間が決まっているので、効率よく相談する必要があります。

また、弁護士側が事実などを正確に把握するため、証拠・資料は非常に重要です。

メールやLINEのやりとりや、日記やSNSへの記録は、証拠となる可能性があります。加えて、セクハラを受けている録音データがある場合は、非常に有効な証拠となる可能性が高いです。

何が証拠として有効か、自分で判断がつかなくても、用意できるものはすべて持参するようにしてくだい。

また、どういった地位・立場の人間がセクハラをしたかが分かりやすくするために、雇用契約書、就業規則、組織図などの書類も用意できるといいでしょう。

セクハラによってうつ病などの精神疾患にかかった場合、診断書や治療費などの請求書があると、慰謝料請求における根拠となりえますし、慰謝料に加えて、治療費などの実費も請求できる可能性があります。

セクハラを弁護士に相談する際の注意点

弁護士には本人が相談すること

本人がなかなか相談に踏み切れない場合、家族や友人が代理で相談に行くケースもありますが、家族や友人が相談する場合、本人の希望が分からないため、弁護士側は具体的なアドバイスがしにくくなります。

さらに言えば、そもそも本人でない場合、相談を受け付けない法律事務所もあります。

弁護士へ相談する場合は、本人がするようにしましょう。

弁護士の質問には正確に答えること

法律相談では、事実関係を元に法律を適用して、どういった手続きをしたらどのような結果になるかを弁護士が説明します。

そのため、事実関係の把握が非常に重要となってきます。

相談をしている間に、弁護士から色々と質問があると思いますが、それは、弁護士が知りたい事実関係について、不足している情報を補うためであるといえます。

セクハラという内容上、どうしても伝えにくい・恥ずかしい内容のこともあると思いますが、事実をゆがめたり、嘘をついたりすることは避けたほうが良いです。

弁護士は事実関係を正確に把握する必要があります。また、ささいな内容だと思っても、弁護士にとっては重要な内容である場合もあります。

質問の意図がわからなかったり疑問に感じた部分については弁護士にどんどん聞いて、自分の中の不安感を払しょくしましょう。

法的な解決以外の請求は難しい場合があることを理解すること

セクハラ被害解決のために、不利益な取り扱いの無効や損害賠償などを請求できる点については先述しました。

一方で「会社・加害者からの謝罪」「加害者に対する降格や配置転換などの処分」「セクハラを生じさせないための再発防止策」などを求めたいと考えている方もいるかと思います。

しかし、これらはいずれもセクハラ被害者の「法的な権利」ということが難しく、裁判で会社に対して請求することが基本的にはできません。

たとえば、セクハラの事実を会社が認めない場合など、言い分が食い違って争いになったとき、最終的な決着をつけるには裁判を起こすということになります。

弁護士はそのことを踏まえて行動するため、裁判で請求できない内容を解決手段のメインに据えにくいということがあります。

もちろん、裁判ではなく、会社との直接交渉、調停、労働審判などで、これらの実現を話し合いで求めていくことは可能です。

実際、セクハラの事実を会社が認めているケースでは実現されやすくあります。

ただし、これらの手段でも法的な権利を超える部分の請求が実現されるかどうかは、会社が要求を受け入れるかどうかにかかっています。

あくまで会社次第ということに注意しておく必要があります。

まとめ

セクハラを何とかしたいと強く思っていても、「弁護士への相談は敷居が高い」と思われる方もいると思います。

しかし、セクハラの加害者や会社と直接交渉ができることから、弁護士に相談することをおすすめします。

初回無料の法律事務所もあるので、一度相談へ行ってみてはいかがでしょうか。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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