胸郭出口症候群の後遺障害等級と認定ポイント|慰謝料相場も解説

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岡野武志弁護士

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

胸郭出口症候群

交通事故で胸郭出口症候群を負い、後遺症が残った場合、後遺障害12級または14級に認定される可能性があります。

これらの等級に認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになり、示談金は大幅にアップするでしょう。

ただし、胸郭出口症候群での後遺障害認定は難しいと言われています。

この記事では、胸郭出口症候群の症状や後遺症、後遺障害認定を受けるためのポイントについて解説していきます。

交通事故による胸郭出口症候群とは?

胸郭出口症候群とは、肩周りの神経などが圧迫されて、痺れや痛みなどを感じる傷病です。

交通事故で胸郭出口症候群が起きる原因や具体的な症状、治療法などを見ていきましょう。

胸郭出口症候群の原因と症状

胸郭出口症候群の症状

胸郭出口とは、鎖骨や第一肋骨、第一胸椎によって構成される部位で、大まかにいうと首の付け根から肩あたりを指します。

この部位において腕神経叢(神経繊維のまとまり)や鎖骨下動脈が圧迫され、しびれや痛みといった症状を感じることを胸郭出口症候群(TOS)といいます。

交通事故の場合、胸郭出口症候群はむちうちをきっかけとして発症することが多く、具体的な症状例は次のとおりです。

胸郭出口症候群の症状

  • 肩こり
  • 腕のしびれ、腕の痛み
  • 手指の筋力低下、温度低下
  • 手指のしびれ、麻痺、痛み
  • 手指の脱力感、こわばり
  • 手指の動きが鈍い、握力の低下握力

胸郭出口は首の付け根から肩あたりの部位を指しますが、胸郭出口症候群では指先につながる神経が圧迫される場合もあるため、腕や指先にも症状が出ることがあります。

また、こうした症状は完治せず、後遺症として残存することがあります。

交通事故後、肩まわりから腕や手指にかけての症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。

胸郭出口症候群の治療方法

胸郭出口症候群は、多くの場合保存的療法とリハビリによって治療されます。

  • 保存的療法
    症状を悪化させる動作や姿勢を避け、安静にして症状の改善を待つ治療法。鎮痛剤を使うこともある。
  • リハビリ
    僧帽筋や肩甲挙筋を鍛える。

保存的療法やリハビリでは症状が改善しない場合には、手術を行うこともあります。

手術では、頚肋と呼ばれる首の骨から伸びる突起のような骨など、圧迫の原因となっている部分を切除します。

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胸郭出口症候群の後遺障害等級と慰謝料相場

胸郭出口症候群で後遺症が残った場合、後遺障害等級に応じた慰謝料を請求できます。

胸郭出口症候群では後遺障害何級に認定される可能性があり、慰謝料相場はどれくらいになるのか解説します。

胸郭出口症候群で認定されうる後遺障害等級

胸郭出口症候群でしびれや痛みといった症状が後遺症として残ると、「神経症状」として後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

後遺障害等級と認定基準

等級基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

後遺障害12級13号の認定基準である「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、「医学的・客観的に見て神経症状が残っていると判断できるもの」という意味です。

各種検査結果などから、医学的に明らかに症状が残っていると判断されれば、12級13号に認定される可能性があります。

一方、14級9号の認定基準である「局部に神経症状を残すもの」とは、「医学的・客観的に見て神経症状が残っていると推定されるもの」という意味です。

各種検査結果から「明らかに症状が残っている」とは判断できないものの、「症状が残っていると判断するのが妥当だ」と思われる場合には、14級9号に認定される可能性があります。

胸郭出口症候群の後遺障害慰謝料の相場

胸郭出口症候群で後遺障害認定されると、後遺障害慰謝料を請求できます。

後遺障害慰謝料の相場は、12級で290万円、14級で110万円です。

加えて、後遺障害認定されると、逸失利益も請求できます。逸失利益は、後遺障害により労働能力が低下し、生涯収入が減ってしまうことに対する補償です。

後遺障害12級なら14%、14級なら5%労働能力が低下するものとして、逸失利益が計算されます。

胸郭出口症候群の賠償金

  • 後遺障害慰謝料
    12級なら290万円、14級なら110万円
  • 逸失利益
    12級なら14%、14級なら5%労働能力が低下するものとして、事故前の年収や年齢などから算定

ただし、示談交渉の際、加害者側は上記よりも低い金額を提示してくる可能性が高いです。提示された金額を鵜呑みにせず、増額を交渉することが重要です。

胸郭出口症候群で後遺障害認定を受けるのは難しい

先述の通り、胸郭出口症候群で後遺障害認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。

しかし、胸郭出口症候群での後遺障害認定は難しいと言われています。

その理由としてまず挙げられるのが、「胸郭出口症候群は交通事故以外の要因で発症することも多い」ということです。

胸郭出口症候群は、スポーツや力仕事などで発症することもあるほか、普段の姿勢を要因とするストレートネック、なで肩のような身体的特徴が影響して発症することもあります。

そのため、交通事故によって生じた胸郭出口症候群であると証明することが難しいケースがあるのです。

また、患部に異常があることが画像検査などではわかりにくく、症状の医学的・客観的な証明がしにくい点も、胸郭出口症候群で後遺障害認定が難しいと言われる理由の1つです。

胸郭出口症候群で後遺障害認定されるためのポイント

交通事故で胸郭出口症候群を負った場合、後遺障害の等級は、次の要因によって決まります。

  • 神経症状の程度
  • 筋力低下の程度
  • 労働に支障があるかどうか

これらを証明し、胸郭出口症候群で後遺障害認定を受けるためにはどうしたら良いのか、ポイントを解説します。

誘発テストや画像検査で症状の存在・程度を証明する

胸郭出口症候群で後遺障害認定を受けるには、各種検査で医学的に症状の存在や程度を示すことが重要です。

そのために効果的な検査を紹介します。

誘発テスト

誘発テストとは、症状を誘発するような刺激や動作によって、実際にどのような反応が得られるのかを確認し、症状の存在や程度を確かめるテストです。

胸郭出口症候群の場合は、以下のような誘発テストが効果的です。

  • モーレイテスト
    鎖骨上のくぼんだ部分を指で押し、痛みがあるかを確認するテスト。
  • アドソンテスト
    頭を後ろに倒した状態で首を症状のある腕の方に向け、深呼吸をし、脈拍が小さくなったり消失したりするかを確認するテスト。
  • エデンテスト
    胸を張った状態で腕を下にひっぱり、脈拍がどう変化するかを見るテスト。
  • ライトテスト
    脈拍を図りながら腕を外側から上にあげ、脈拍がどう変化するかを見るテスト。
  • ルーステスト
    腕を肩の高さで真横に広げ、手を挙げるような形で肘を直角に曲げる。その状態で手を握ったり開いたりする運動を3分間行い、疲労感や痛みなどを見るテスト。

一口に胸郭出口症候群と言っても、圧迫されている部位によって症状は変わります。上記のテストを実施すると、どこが圧迫されているのかがわかるという仕組みです。

ただし、これらのテストはあくまでも刺激による反応を見る程度のものであり、テスト結果が必ずしも「医学的・客観的なもの」として決め手になるとは限りません。

画像検査

画像検査とは、レントゲン検査やMRI検査のことです。
これらの画像検査から、患部の神経が圧迫されていることが確認されれば、しびれや痛みといった症状の存在が認められやすくなります。

後遺障害診断書をブラッシュアップする

後遺障害診断書とは、後遺障害の状態や今後の見通しなどを記載した診断書です。

後遺障害認定では、後遺障害診断書の内容が重視されます。医師に後遺障害診断書を作成してもらったら、以下の点を確認してみましょう。

  • 胸郭出口症候群という診断結果が明記されているか
  • 肩こり、腕のしびれ、腕の痛み、手指の筋力低下などの症状が明確に記載されているか
  • 今後の見通しについて、「症状固定」や「完治せず」などと書かれているか

後遺障害診断書に胸郭出口症候群であることやその症状が明記されていなかったり、今後の見通しについて「予後不明」「緩解」などまだ治る可能性があるような記載がされていたりすると、後遺障害認定されにくくなります。

これらの点をしっかりチェックし、もし修正すべき点があれば、医師に自身の症状について改めて説明し、修正をお願いしましょう。

弁護士による専門的なサポートを受ける

胸郭出口症候群で後遺障害認定を受けるには、弁護士のサポートを受けることも重要です。

先述の通り、胸郭出口症候群で後遺障害認定を受けるのは簡単ではありません。
後遺障害認定に向けて入念な対策を練る必要がありますが、そのためには実際の症状に合わせた対策を考えたり、過去の判例を参考にしたりする必要があります。

後遺障害認定のサポートをしている弁護士なら、こうした点について専門的な知識を生かしながら対応できます。

後遺障害認定で提出する書類の内容チェックやブラッシュアップも可能です。

後遺障害認定されれば後遺障害慰謝料と逸失利益が請求できるようになり、胸郭出口症候群の場合、示談金が100万円以上アップします。(弁護士基準の場合)

弁護士への依頼費用の負担は任意保険の「弁護士費用特約」を使うことで大幅に減らせるため、弁護士への依頼もご検討ください。

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弁護士費用特約とは

交通事故の弁護士費用特約とは、保険会社が約款に基づいて被害者の弁護士費用を支払ってくれるという特約です。多くの約款では相談料10万円まで、弁護士費用を300万円まで補償してくれます。

弁護士費用特約とは

ほとんどの交通事故の弁護士費用は特約補償内でおさまるため、被害者は自己負担ゼロで弁護士を立てることができます。またご本人名義でなくても、一定の範囲の家族名義の特約が適用されたり、自動車保険以外にクレジットカードや火災保険に付帯されていたりするので確認してみてください。

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代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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