
近年、法律業界においても「働き方改革」の波が広がっています。長時間労働の是正やハラスメント防止など、弁護士の就労環境に対する意識も変化してきました。
本記事では、弁護士が自身のキャリア形成を考えるうえで押さえておきたい職場選びのポイントを解説します。転職という選択肢を含め、多様な働き方について考えるヒントとしてご覧ください。
法律業界における働き方改革の現状とは

まずは、法律業界における働き方改革の現状をご紹介します。
弁護士を取り巻く就労環境の変化
かつて「激務」とされていた法律業界にも、少しずつ変化の兆しが見え始めています。若手弁護士の離職率上昇や、就職先選びの価値観多様化を背景に、労働環境の改善に取り組む法律事務所が増えつつある傾向です。
特に、週休二日制やフレックスタイム制の導入、残業時間の管理など、具体的な改革を進める動きが目立っています。
人材流動化が進む背景
司法試験合格者の増加とともに、弁護士人口も増加。結果として、従来の「一括採用→終身勤務」型のキャリアパスから、多様な職場・働き方を模索する流動型へと変わってきました。
キャリアの選択肢が広がる一方で、「どの職場が自分に合っているのか」という課題も顕在化しています。
弁護士が感じやすい職場の課題

弁護士は仕事をしていく中、業務量や人間関係に課題を抱えるケースが多くあります。ここでは、具体的な課題を見ていきましょう。
業務量や労働時間の負担
繁忙期には深夜までの業務が続くこともある法律業界。とりわけ訴訟案件や海外案件を多く扱う事務所では対応件数が多く、書面作成や期日対応に追われるケースも見られます。
十分な休息が取れず、体調不良に繋がるケースもあります。
人間関係・上下関係の悩み
法律事務所は組織が比較的小規模なため、上司や同僚との関係が職場環境に大きく影響します。中には、パワハラやセクハラといった不適切な行為が残っている事務所もあり、ストレスを抱える若手弁護士も少なくありません。
報酬や評価制度への不満
「努力しても給与に反映されない」「どのような基準で評価されているかわからない」といった声は、法律事務所に限らず多くの専門職に共通する悩みです。
とりわけインセンティブ型の報酬制度を導入している事務所では、案件の偏りによって収入格差が生じることもあります。
メンタルヘルスへの影響
過重労働や人間関係の悩みが積み重なると、メンタルヘルスにも影響を及ぼします。
実際に、弁護士の中には休職や業務継続困難に陥るケースも報告されています。心身の健康はキャリアを長く続けるうえで欠かせない要素です。
法律事務所の「良い職場環境」とは

では、どのような環境が良いとされているのでしょうか。
働きやすさの基準
制度の整備だけでなく、「風通しの良さ」「相談しやすい雰囲気」「適切な業務分担」など、日常的な働きやすさも重要な要素です。
上司や同僚との信頼関係が築ける環境では、ミスを恐れず業務に集中しやすくなります。
ワークライフバランスの重要性
子育てや介護といったライフイベントに対する理解や、柔軟な勤務形態の導入は、現代の職場には不可欠です。
近年では、時短勤務やテレワーク制度を整備する法律事務所も増えてきました。長期的にキャリアを築くには、業務と私生活のバランスが重要です。
教育体制・スキルアップ支援
若手弁護士にとって、研修制度や指導体制の充実は大きな魅力となります。新人のうちは、実務経験を積みながら知識と技術を伸ばせる環境が理想的です。
継続的なスキルアップ支援がある事務所は、将来の選択肢を広げるうえでも有益です。
自分に合った職場を選ぶためのチェックポイント

自分に合った職場を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。以下で、詳しい内容を解説するので、あわせて参考にしてください。
キャリアの方向性を整理する
まず大切なのは、「自分がどのような分野で活躍したいのか」「将来どうなりたいのか」といったキャリアの方向性を明確にすることです。
企業法務・一般民事・刑事事件・労働問題など、分野によって求められるスキルや働き方が大きく異なります。
面接・説明会で確認すべきこと
面接や説明会では、給与や勤務条件だけでなく、実際の業務の進め方、指導体制、残業の有無、在籍弁護士のキャリアパスなどを具体的に確認しましょう。
可能であれば、現場の弁護士の声を聞く機会を持つことも有効です。
転職を検討するタイミング
「今の職場に限界を感じる」「スキルアップが望めない」と感じたときが転職のタイミングかもしれません。すぐに決断せず、複数の選択肢を比較しながら、慎重に次のステップを考えることが重要です。
弁護士専門転職支援サービスの活用例

弁護士専門の転職情報をまとめて提供しているサービスの一例として、弁護士転職.jpがあります。
キャリア形成の参考情報として活用してみてください。
※本記事は特定の転職サイトを推奨するものではなく、情報提供を目的としています。
まとめ
働き方改革の影響は法律業界にも及んでおり、弁護士としてのキャリアも多様な選択肢を持てる時代となりました。職場環境の改善や自分自身のキャリアビジョンに沿った職場探し、さらには転職という道を視野に入れることで、より納得感のある働き方を実現できます。
日々の業務に追われる中でも、自分にとって本当に働きやすい環境とは何かを見つめ直すことが、将来の安定したキャリア形成につながるはずです。自身の成長と健康を大切にしながら、主体的に選択肢を広げていきましょう。