2025.10.03

親族が所有していた“訳あり物件”を相続したとき──管理・売却・リスク回避までの整理ガイド

突然、親族の死去とともに舞い込んでくる「家の相続」。思いがけない資産のようでいて、実際には大きな悩みのタネになることも少なくありません。

特に、家が老朽化していたり、事故物件として扱われたり、権利関係が複雑だった場合は「訳あり物件」として扱いが難しくなります。こうした物件を相続した人からは、

  • 「税金や維持費だけがかかる」
  • 「売ろうとしても買い手がつかない」

 といった声が多く聞かれます。

この記事では、訳あり物件を相続した際に直面しやすい課題や、トラブルを避けるための基本的な対応策を中立的な立場から整理。さらに、実際に売却できた事例も紹介しながら、「放置しないためのヒント」をご紹介します。

「訳あり物件」とは?──相続でよく相談されるトラブルの種

まずは、実際にどんなトラブルが起こり得るのかをご紹介します。

心理的要因による“売りにくさ”

孤独死や事故死があった物件は「心理的瑕疵物件」と呼ばれます。法律上は売却可能ですが、購入希望者が敬遠するため、市場価値が大きく下がる傾向です。

売却を検討している場合は、注意しなければなりません。

法的な制約を抱える土地・建物

以下のような制約を抱える土地には、特に注意が必要です。

  • 再建築不可物件
  • 違法建築物件

再建築不可物件は、接道義務を満たさない土地は建物を建て替えられません。違法建築物件は、建築基準法を満たさない増改築が行われている場合は是正が必要で、売却困難になることもあります。

相続ならではの権利関係トラブル

以下のような、相続ならではのトラブルも少なくありません。

  • 共有名義の土地で意見が合わず処分できない
  • 境界線が曖昧で隣地所有者と揉める

特に、処分したいのに親族と意見が合わなかったり、隣地所有者と揉めたりするケースは多くあります。

近隣に迷惑をかけるケース

長期間放置された空き家やゴミ屋敷は、景観悪化や害虫発生の原因になり、近隣トラブルの火種になります。

そのままにしておくと、大きな事故にもつながりかねません。

訳あり物件を相続したときの主なリスクと悩み

続いて、訳あり物件を相続した場合のリスクをご紹介します。

維持費の継続的な負担

利用しなくても、固定資産税や都市計画税 が毎年発生します。さらに、火災保険料や最低限の管理コストも必要です。

短期間であれば少ない負担でも、長期に渡ると大きな負担になります。

放置によるリスク拡大

訳あり物件の売却に困り、放置した場合は老朽化など以下のようなリスクがあります。

  • 倒壊や火災の危険性
  • 不法侵入や放火など犯罪の温床化
  • 行政からの指導・勧告を受ける

後に大きなトラブルに発展するケースもあり、早めの対処が必要です。

親族間でのトラブル

「売りたい派」と「残したい派」で意見が割れると、膠着状態になることもあるでしょう。最終的に誰も責任を負わず、管理不全に陥るリスクがあります。

このようなリスクを避けるためにも、早急な話し合いや対応が必要です。

トラブルに発展する前に確認したい3つの初期対応

トラブルに発展する前に、以下で紹介する3つの初期対応を行いましょう。

現況・法的制限・権利関係を洗い出す

まずは、以下を参考に情報を洗い出します。

  • 建物の老朽度合い
  • 土地の登記簿・固定資産評価
  • 再建築の可否や都市計画の制限

これらを整理するだけでも、次に取るべき行動が見えやすくなります。

相続人間の合意形成

複数の相続人がいる場合は、早い段階で話し合いを行い、方針を共有しておくことが肝心です。議事録のような形で残しておくと、後々の争いを防ぎやすくなります。

相続放棄や限定承認の検討

借金やトラブルを抱えた不動産の場合、「相続放棄」「限定承認」といった法的手続きも選択肢に入ります。

家庭裁判所への申述は、原則3か月以内と期限があるため注意が必要です。

売却できない?訳あり物件の処分に役立つ専門業者とは

訳あり物件の売却を検討している場合は、専門業者に頼るのも1つの手です。以下で詳しい内容を見ていきましょう。

通常の不動産会社では断られることも

事故物件や再建築不可物件は、一般の不動産会社では「扱えません」と断られることが珍しくありません。

そのため、売却をしたい場合は専門家に頼るなどの対処が必要です。

専門業者に依頼するメリット

専門業者を頼るメリットは、以下の通りです。

  • 事故物件や再建築不可でも対応可
  • 共有持分・ゴミ屋敷状態の家屋も買取可能
  • 直接買取のためスピード感がある(現金化までが早い)

実際、訳あり物件であっても売却に成功した事例は多く存在します。たとえば、訳あり物件買取プロの買取では、再建築不可・事故物件・共有名義物件など、具体的なケースが多数掲載されています。

自分の状況と近い事例を確認することで「売却の道がある」と知ることができ、大きな安心につながるでしょう。

まとめ:訳あり物件は“見て見ぬふり”がいちばん危険

相続は突然訪れるものですが、所有した瞬間から管理責任と税負担は発生します。「売れないかもしれない」と思い込み放置してしまうのが、最もリスクの大きい選択肢です。

  • まずは現状を正確に把握する
  • 相続人間で方向性を共有する
  • 必要に応じて専門業者に相談する

この3ステップを意識することで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な整理へとつながります。