職場でいじめにあったら?対処法と相談窓口を解説
「職場でのいじめを相談したい」
「会社でのいじめを訴えて慰謝料を請求したい」
会社で上司や同僚からいじめを受けていて、つらい思いをしている方はいらっしゃいませんか?
職場いじめを受けているという場合は、ひとりで抱え込まず、外部の相談窓口や弁護士に相談することをおすすめします。
今回は、職場いじめの典型例や、職場いじめを受けたときの対処法、相談窓口について解説します。
目次
職場いじめで慰謝料を請求できる可能性はある
労働契約法では、使用者が、労働者の生命身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮するという「安全配慮義務」について定めています(労働契約法5条)。
「安全配慮義務」の内容として、職場におけるいじめやハラスメントが生じないように職場環境を整える義務があるとされています。
職場いじめやハラスメントを放置した会社には、安全配慮義務違反として損害賠償を請求できるでしょう。
職場いじめの典型例
職場いじめで慰謝料請求ができる可能性はあるといえますが、どのような行為が職場いじめに該当するのでしょうか。
ここでは、職場いじめの典型例を解説します。
暴力や傷害行為を受ける
「上司や同僚から暴力を振るわれた」「書類を投げつけられた」といった場合は、職場いじめに該当します。
直接的な暴力や傷害行為でケガをしているケースでは、傷害罪が成立する可能性があります。
暴言や嫌味を言われる
人格を否定するような暴言を吐かれたり、理不尽に嫌味を言われたりした場合も、職場いじめに該当する可能性があります。
大勢の前で強く叱責される場合も、職場いじめとなる可能性が高いです。
仲間外れや無視をされる
職場内で集団行動に参加させてもらえなかったり、意図的に無視をされたりといった場合も、職場いじめとみなされる場合があります。
「職場内で必要な共有事項を自分だけ教えてもらえなかった」「社員参加のイベントに自分だけ誘ってもらえなかった」といった場合も、職場いじめとなる可能性があります。
度を越えたノルマや残業を押し付けられる
到底ひとりではこなせないような業務を押し付けられたり、自分だけ過剰な残業を要求されたりといった場合も、職場いじめの典型例といえるでしょう。
「未経験の業務を指導もなく押し付けられた」といったケースも該当します。
理由もなく担当を外される
過剰に業務を命令されるのとは反対に、まったく仕事を与えてもらえなかったり、不当な理由で配置転換を命じられたりといった場合も、職場いじめに該当します。
「企画開発部だったのに、倉庫整理や掃除だけを命じられるようになった」といった場合も職場いじめとみなされることがあります。
手柄を横取りされる
「自分が3日かけてつくった資料を上司がやったことにされた」「自分が勝ち取った契約を同僚に横取りされた」などのケースが該当します。
自分の手柄や成果を奪われてしまったという場合も、職場いじめとみなされることがあります。
プライバシーに干渉してくる
「家族関係や友人関係についてしつこく聞いてくる」「休日に会社に来るようきつく言われる」など、プライベートやプライバシーに干渉してくる場合も職場いじめとみなされることがあります。
早朝や深夜といった時間外労働を執拗に命令することも、職場いじめのひとつです。
職場いじめを受けたときの対処法
職場いじめを受けたときの対処法として、仕返しをしたり我慢を続けたりといったことはおすすめしません。
会社には職場いじめを防止する義務があるとされているため、ひとりで抱え込まず相談窓口に相談するようにしましょう。
証拠を集めておく
職場いじめを受けたときの対処法として、自分が職場いじめを受けていることの証拠を集めておくようにしましょう。
有効的な証拠には、以下のようなものがあります。
職場いじめで有効的な証拠
- 相手の発言の録音
- 医師からの診断書
- 相手からのメールや書面の履歴
- 被害を受けたときの証拠写真や画像ファイル
- 職場いじめを受けた期間と内容が詳細に記録された日記 など
客観的な証拠を残しておくことで、今後の交渉を有利に進めることができます。
また、社内の相談窓口がある場合は、「職場いじめやハラスメントの被害を受けた」ということを報告しておくと、被害を受けている本人が何かアクションを起こしたという証拠にもなります。
社内の相談窓口を利用する
職場いじめに悩んでいるという場合は、まず社内の相談窓口を利用してみましょう。
2020年のパワハラ防止法の施行に伴い、すべての企業内にハラスメント相談窓口を設置することが義務付けられました。
社内にそういった窓口が設置されているはずですので、相談してみることをおすすめします。
もし信頼できる上司や同僚がいる場合は、そういった人に相談してみるのも一つの手でしょう。
外部の相談窓口を利用する
社内の相談窓口が形骸化していたり、相談しても改善されなかったりした場合には、外部の相談窓口への相談をおすすめします。
具体的には「職場いじめの外部の相談窓口」の項でくわしく説明していますので、ぜひご覧ください。
退職・転職する
「職場いじめで精神的に限界だ」という場合には、無理せず退職や転職を検討することをおすすめします。
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職場いじめの外部の相談窓口
職場いじめの外部の相談窓口は以下が挙げられます。
職場いじめの相談窓口
- 総合労働相談コーナー
- ハラスメント悩み相談室
- みんなの人権110番
- 弁護士
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、あらゆる労働問題について相談できる、厚生労働省所管の窓口です。
予約もいらず、無料で専門相談員が電話で対応してくれます。また、相談や助言で解決しない場合は、あっせん制度も利用できます。
さらに労働基準法違反の疑いがある場合は、担当部署に引継ぎ、行政指導もしてくれる場合もあります。
ハラスメント悩み相談室
セクハラに関する労働相談については、厚生労働省が「ハラスメント悩み相談室」を設けています。セクハラだけでなく、パワハラやマタハラも対象になっていますので、まずは連絡をしてみましょう。
電話だけでなく、メールやSNSによる相談にも対応しています。
みんなの人権110番
法務省が運営する「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」も心強い味方です。
先述の通り、職場いじめやパワハラでは、証拠が非常に重要です。録音やメール文面などがあれば、それも相談時に伝えてみてください。
弁護士
「職場いじめについて相談したい」「職場いじめを訴えたい」という方は、弁護士に相談することをおすすめします。
職場いじめを弁護士に相談することのメリットについては、次の項でくわしく解説していますのでぜひご覧ください。
職場いじめは弁護士に相談
「職場いじめが原因で被害を受けた」と客観的に認められるためには、具体的にどのようないじめがあったか・どのような被害を受けたかどうかを確認しておくことが重要です。
そこで、職場いじめで加害者や会社を訴えたいという場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
法的なアドバイスをもらえる
弁護士に相談すれば、「どんな証拠を集めればよいか」「職場いじめにどう対応していけばいいか」といった、具体的なアドバイスをもらうことができます。
もちろん、弁護士に依頼すれば、証拠収集や会社とのやりとりを任せることも可能です。
過去の事例から慰謝料請求ができるか判断してもらえる
弁護士に依頼すれば、過去の事例を調べてもらい、自分の置かれている状況で慰謝料請求は可能か、法的視点から判断してもらえます。
もし慰謝料請求が可能であると判断されたら、会社に対して法的な面から適切な要求や交渉をおこなってくれます。
慰謝料の交渉を任せられる
職場いじめの被害によって精神的に苦痛を受けたり、会社を辞めざるを得なかったりした場合には、企業に対して損害賠償・慰謝料を請求することができます。
弁護士に依頼すれば、損害賠償請求をはじめとして、悪質な職場いじめやハラスメントに対する刑事告訴など法的な対応をスムーズにおこなえます。
まとめ
職場いじめを受けているという場合は、ひとりで抱え込まず、外部の相談窓口や弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、法的なアドバイスをもらえるほか、慰謝料請求や刑事告訴などの法的な対応を一任することができます。
無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了