労働問題を依頼するときの弁護士費用は?トラブル別の費用と相場を解説
「労働問題を弁護士に依頼したいけど、費用の相場がわからない」「労働トラブルを弁護士に依頼したいが、できるだけ安く費用を抑えたい」
弁護士に労働問題を依頼したくても、弁護士費用の相場が分からないとお悩みの方はいませんか?
「トラブルを解決したいけれど、できるだけ費用を安く抑えたい」という気持ちもわかります。
今回は、労働問題を弁護士に依頼する際に必要な弁護士費用や、トラブル別の費用相場、できるだけ費用を抑えるポイントについて解説します。
目次
労働問題の基本的な弁護士費用と相場
労働問題を弁護士に依頼する際には、以下のような費用がかかります。
相談料|30分5000円・無料の事務所も
相談料とは、弁護士に労働問題について相談したときに発生する費用のことを指します。
相場は30分5000円となっていますが、相談料を無料としている弁護士事務所も多く見受けられます。
着手金|20万円~30万円前後
着手金とは、弁護士に労働問題についての示談交渉や訴訟といった手続きを依頼したときに発生する費用のことを指します。
着手金は事件の結果にかかわらず発生し、原則として返還されない点に注意が必要です。
相場としては20万円~30万円前後ですが、なかには着手金を無料として、その分を成功報酬などに上乗せしている弁護士事務所もあります。
報酬金|依頼して得られた金額の10%〜20%前後
報酬金とは、弁護士に依頼した結果、事件が解決したときに発生する費用のことを指します。
多くの場合、事件解決により依頼者に生じた経済的利益の10%~20%前後の金額が報酬金となるでしょう。
報酬金の形態がこのような経済的利益を基準とする場合、企業との交渉に失敗したり、敗訴したりして依頼者の経済的利益(損害賠償金など、弁護士に依頼した結果得られた利益)が得られなかったケースでは、報酬金は発生しません。
事件解決により依頼者に経済的利益が生じない案件である場合は、事前に決められた金額が報酬金となります。
日当や実費
日当とは、弁護士が出張したときに必要となる費用のことを指します。
たとえば、他都道府県など遠方の裁判所に出廷する必要があるときなどに発生します。
実費とは、手続きを進める上で必要となる、切手代や印紙代といった費用のことを指します。
トラブル別の弁護士費用
弁護士費用の相場は、残業代請求やハラスメントの対処といった労働問題の内容によって異なります。
相談料はおおむね一律に設定されていることが多く、着手金や報酬金はおおよそ以下の表のようになります。
着手金 | 報酬金 | |
---|---|---|
残業代請求 | 0円~30万円 | 経済的利益の20~30% |
不当解雇・退職勧奨(勧告) | 0円~30万円 | 経済的利益の15~30% |
労働災害 | 5万円~30万円 | 経済的利益の20~30% |
労働審判 | 30万円 | 経済的利益の15~20% |
パワハラなどのハラスメント | 10万円~30万円 | 経済的利益の15~30% |
※上記は一例です。
残業代請求
残業代請求を依頼する場合、着手金は無料に設定されていることが多いです。
報酬金は経済的利益の20~30%程度に設定されていることが多いですが、「一定料金+回収できた金額の20%」というように、一定の料金と経済的利益を組み合わせている事務所もあります。
不当解雇・退職勧奨(勧告)
不当解雇や退職勧奨(勧告)の場合、着手金は無料のところから30万円程度のところまでさまざまです。
報酬金は経済的利益の15~30%程度に設定されていることが多いですが、「解雇を撤回させて会社に戻ることができた」など、利益が金銭的に換算できない場合は、「月給1~3ヶ月分」などの費用が別途必要になる場合もあります。
労働災害
労働災害で会社に損害賠償請求をおこなう場合、着手金の相場は5万円~30万円程度となっています。また、労災の申請は、別計算で上乗せされることが多いです。
報酬金は、損害賠償金の20~30%に設定されていることが多いですが、労災申請が認められれば、そこに障害補償給付金の一部分や、一定料金が加算されることになります。
労働審判
労働審判を依頼する場合、着手金の相場は30万円程度となっています。
報酬金の金額は解決内容によってまちまちですが、経済的利益の15~20%程度が目安となっています。
「労働審判の結果復職できた」など、利益が金銭的に換算できない場合は、「月給1~3ヶ月分」などの費用が別途必要になる場合もあります。
パワハラなどのハラスメント
パワハラなどのハラスメントの場合、着手金は10万円~30万円程度となっています。
報酬金は、経済的利益の15~30%程度に設定されていることが多いです。
労働問題の弁護士費用を安く抑えるポイント
「労働トラブルを弁護士に依頼したいが費用が高い」と思われる方は多いでしょう。
弁護士費用を安く抑えるポイントとして、以下の5点が挙げられます。
弁護士費用を安く抑えるポイント
- 初回相談料無料の弁護士事務所に相談
- 着手金無料の完全成功報酬制を採用している弁護士を選ぶ
- 報酬金ができるだけ低い弁護士を選ぶ
- 複数の弁護士事務所で見積もりを取る
- 法テラスを利用する
初回相談料無料の弁護士事務所に相談
最近では、初回の相談料を無料に設定している弁護士事務所も多く見受けられます。
弁護士費用を安く抑えるには、初回相談料無料の弁護士事務所に相談することが重要です。
着手金無料の完全成功報酬制を採用している弁護士を選ぶ
弁護士事務所によっては、着手金を無料に設定し、完全成功報酬制(依頼者に経済的利益が生じたときにだけ弁護士費用が発生する)を採用しているところもあります。
万が一経済的利益が得られなかった場合、一切費用を支払わなくてよいところが特徴です。
ただし、着手金が無料の代わりに報酬金が高く設定されていることが多いため注意が必要です。
報酬金ができるだけ低い弁護士を選ぶ
報酬金は経済的利益の15~30%程度に設定されていることが多いですが、この割合が小さい弁護士を選ぶことで、弁護士費用を安く抑えることができます。
複数の弁護士事務所で見積もりをとる
労働トラブルを解決する際に時間的に余裕がある場合は、複数の弁護士事務所から費用の見積もりを取っておくことも重要です。
複数の弁護士事務所の費用を比較することで、結果的に弁護士費用を安く抑えられることがあります。
法テラスを利用する
弁護士に依頼することが難しい場合には、法テラスの利用をおすすめします。
法テラスを利用すれば、一定の要件を満たすことで、弁護士と無料相談をしたり、弁護士費用を立て替えてもらえたりすることができます。
参考:法テラス
まとめ
労働トラブルを依頼するときの弁護士費用は、初回相談料無料の弁護士事務所を選んだり、複数の弁護士事務所で見積もりを取ったりすることで安く抑えられる可能性があります。
ただし、安さだけを理由に弁護士を選ぶことはおすすめしません。労働問題を依頼するなら、労働トラブルに詳しく、労働分野を得意としている弁護士を選ぶべきです。
労働問題を依頼すべき弁護士の選び方を知りたい方は、『労働問題を依頼すべき弁護士とは?選び方や注意点も解説!』の記事もご覧ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了