離職票がもらえない!理由と対処法について解説

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離職票がもらえない

退職した会社から離職票がもらえず、失業手当の手続きが進まないとお困りになってはいないでしょうか。

会社が離職票の交付を拒否することは違法です。会社から離職票を交付してもらえない場合にはハローワークで確認の請求を行い、離職票を発行してもらうことも可能です。

この記事では、離職票が必要となる理由と会社から離職票がもらえない場合の対処法について詳しく解説します。

離職票とは?交付されるまでの流れ

離職票は、会社とハローワーク間で書類のやりとりを行い発行されます。

離職票が交付されるまでの流れを知っておくことで、手続きがどこまで進んでいるのかといった状況を把握しやすくなるでしょう。

離職票とは?

離職票は、正しくは「雇用保険被保険者離職票」と呼ばれます。

離職票は、ハローワークへ失業手当(基本手当)を申請する際に必要な書類であり、離職票がなければ、失業手当の給付を受けることができません。

また、離職票が手元に届くのが遅くなるほど、失業手当の給付期間が短くなってしまうことがあります。

離職票交付の流れは?

離職票交付の流れは以下の通りです。会社とハローワークでやり取りが行われたのち、退職者に送付されるものであるため、基本的に労働者が何かを行う必要はありません。

離職票が届くまでの期間は、通常であれば退職してから10日〜2週間ほどです。

  1. 会社から離職票が必要かを確認される
  2. 会社が離職証明証・雇用保険被保険者資格喪失届を作成
  3. 離職証明証の内容を確認する
  4. 会社が離職証明証・雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出
  5. ハローワークが離職票を会社に発行
  6. 会社から離職票が送付される

ただし、退職してから2週間がたっても離職票が届かない場合は、会社に問い合わせてみてもいいでしょう。

離職票がもらえる人の条件

離職票は、「雇用保険に加入している」「会社に離職票を請求をしている」といった条件を満たしていれば、必ずもらうことができます。

雇用保険に加入していない方は、離職票の交付がありません。

離職票がもらえる人の条件について、詳しく解説します。

雇用保険に加入している人

離職票は、雇用保険に加入していた従業員が退職した際に交付される書類です。

以下の条件に当てはまる方は、雇用保険に加入する必要があるため、退職後に離職票がもらえます。

離職票がもらえる条件

  • 契約期間が31日間以上である
  • 1週間の労働時間が20時間以上である

条件に満たない方は、会社は雇用保険へ加入させる義務がないため、離職票の交付がありません。

退職の際に離職票を請求した人

離職票は、退職者全員に発行する場合と、希望者にのみ発行するケースがあり、会社によって対応が異なります。

労働基準法22条1項の規定では、退職時の証明証を労働者が請求した場合、会社はその交付を行わなければならないとされています。

言い換えると、退職者が離職票の申請をしなければ、会社は離職票を発行する義務がないということなので、注意してください。

トラブルの元とならないよう、退職する際には、あらかじめ会社へ離職票が必要であるという意思表示をしておくようにしましょう。

59歳以上の退職者

退職者が59歳以上の場合は、本人の希望の有無にかかわらず、離職票の交付が義務付けられています。

これは、「高齢者雇用継続給付」と呼ばれる給付金の金額を決める際に、離職票が必要となるためです。

59歳以上の退職者で離職票がもらえない場合には、必ず会社に請求しましょう。

会社が離職票を交付しないことは違法

退職者が離職票を請求して、それを会社が拒否することは違法とされています。理由なく拒否した場合は、罰則が与えられることになります。

会社は離職票の交付を拒否できない

退職を防ぐための脅し文句や嫌がらせで「離職票を渡さない」と会社から告げられることがあります。

会社が離職票の交付を拒否することは違法です。

会社が離職票の発行を希望する退職者に対して離職票を交付しないことは、雇用保険法第76条3項および労働基準法第22条に規定された義務に反する行為となります。

また、雇用保険法施行規則7条・雇用保険法7条の規定により、会社は労働者が退職した翌日から10日以内に離職証明書の届出をしなければなりません。

労働者は、会社から離職票をもらえる権利が法によって守られています。

交付を拒否した場合には罰則がある

退職者からの離職票の請求を理由なく拒否した会社は、雇用保険法第83条4号の規定により、「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が科せられます。

離職票を請求しても会社が不当な対応をする場合、会社の違法行為が疑われることになり、罰則を受ける対象となります。

離職票がもらえないときの対処法

予定された期日を超えても離職票がもらえない場合、ハローワークへ相談をしましょう。

それでも会社が手続きに応じないようであれば、確認請求を行うことでハローワークから離職票が発行されます。

会社へ問い合わせる

離職票がもらえない場合、まずは会社へ問い合わせましょう。

よくある理由として、離職票の作成に時間がかかっていることが挙げられます。

手続きをする担当者が他の業務と兼任をしている場合、交付が遅れるといったケースもあるでしょう。

ハローワークへ相談する

会社へ問い合わせても離職票の手続きがされない場合は、管轄のハローワークへ相談しましょう。

ハローワーク側から会社へ、手続きを進めてくださいという催促を行ってくれるため、非常に効果的です。

確認請求を行う

ハローワークからの催促にも応じず、会社が手続きを行わない場合は、確認請求を行うことができます。

確認請求とは、雇用保険の被保険者でなくなったことを管轄のハローワークで確認してもらうことです。

離職の事実を示す書面または口頭で確認の請求を行い、被保険者であったことが認められれば、ハローワークより離職票を発行してもらうことができます。

お困りの方はハローワークに相談した後、確認請求を行ってもいいでしょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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