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webマガジン「B-plus」のビジネスコラムに掲載-5  10月号

10月



webマガジン「B-plus」2009年10月号ビジネスコラムに
身近な犯罪「交通事故」~刑事弁護士が教える対処法~
という内容で掲載されました。



身近な犯罪「交通事故」~刑事弁護士が教える対処法~


―― 「そんなつもりじゃなかったのに・・・」交通事故は車を運転する人なら誰でも起こしうる身近な犯罪です。だからこそ、万が一の際の対応を予習しておきましょう。



1 交通事故(人身事故)は犯罪です。
 近年、飲酒運転や重過失による痛ましい交通死亡事故が多発、自動車事故に関しては年々法改正や量刑を通して厳罰化がなされています。そんな大袈裟な話は自分とは無関係だと思いたいところですが、平凡に暮らしている人が突然起こしてしまう犯罪、それが交通事故なのです。わき見運転やスピード違反、飲酒運転など、「自分だけは大丈夫」という甘えや、過労や睡眠不足等による過失など、ちょっとした気の弛みが、普段はまじめに生きているごくごく普通の人をある日突然に犯罪者へと変えてしまうのです。


2.人生を狂わせる人身事故
 さて、交通事故を起こしてしまった場合、いったいどんな罪に問われてしまうのでしょう?

《物損事故》
通常の物損事故の場合は、過失建造物損壊罪が適用されるケースを除いては、罪に問われることはありません。問題は人身事故です。
《人身事故》
人身事故については、度重なる法改正の中、自動車運転過失致死傷罪が新設され、通常の事故でも7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科せられます。
《危険運転致死傷罪》
さらに酒酔いやスピード違反など危険を知った上での事故であると見なされた場合は、危険運転致死傷罪として、怪我を負わせた場合で最高15年、死亡させた場合は最高で20年の懲役に処せられてしまいます。
《ひき逃げ》
また、ひき逃げ(救護措置義務違反)も厳罰化されており、最高で10年の懲役に処せられます。


3.刑事弁護人が教える正しい対処法

<事故直後>
 突然の事故。普段どんなに冷静な人でもパニックに陥ってしまうものです。その結果、気が動転し過ぎたあまりにその場から逃走してしまう人が稀にいます。しかし、逃走すると救護措置義務違反・事故報告義務違反等の罪に問われてしまいます。事故直後は、深呼吸をして気を取り直し、以下に掲げる6つのことを必ず行うようにしてください。

(1)怪我人の救護
 まず怪我人がいる場合、安全な場所に運び、救急車を呼んで、怪我の応急処置をします。この一連の救護作業は事故を起こした者(以下加害者)の義務になります。救護義務を怠ると、道路交通法違反だけに留まらず、保護責任者遺棄(致死)罪に問われてしまう可能性があります。
(2)二次被害の防止
 また交通量の多い道路での事故の場合、さらなる事故に繋がらないよう、非常停止板の設置、発炎筒をたく、場合によっては自動車を道路脇に寄せる等、道路上の安全も確保してください。ただし事故の現場は警察官が来るまでそのままにしておくことが原則です。自動車を移動した場合は、後で争いにならないよう停止位置を確認しておきましょう。
(3)警察へ報告
 次に加害者は警察へ事故の発生を報告しなければなりません。これも加害者の義務です。報告する内容は、交通事故の発生日時、場所、死傷者の数と負傷者の程度、損壊した物、損壊の程度、事故後に行った措置などです。無届の場合、交通事故証明書が発行されないため、保険金の請求ができないばかりか、道路交通法違反の罪に問われる可能性があります。
(4)実況見分
 警察官が到着したら、実況見分と呼ばれる捜査(ひき逃げ等悪質な場合は検証と呼ばれる強制捜査となります)が開始されます。この捜査で得られた事実関係が、その後の処分や裁判の判決を左右します。よって立会いの際は必ず冷静に事故の状況を説明しましょう。その際、必ずしも自分にとって不利な情報を正直に全て伝える必要はありません。話したくない部分は黙秘してかまわないのです。義務のことばかりお話してきましたが、黙秘は加害者の権利なのです。
(5)被害者の連絡先を聞く
 また、速やかに謝罪と賠償が行えるよう、被害者の名前と住所、電話番号、運転免許の記載事項、保険会社を聞いておきましょう。
(6)事故の目撃者に連絡先を聞く
 事故の目撃者がいる場合は、必ず名前と連絡先を聞いておきましょう。示談で済まず裁判になった場合、証人となってもらう必要が出てくるかもしれないからです。

<事故後日>
 次に、事故後日にすべき対応についてです。
被害者への謝罪と賠償
 被害者がいる犯罪においては、被害者へのケアが加害者にとっても重要な役割を果たしてきます。謝罪と賠償を尽くしなるべく早期の段階に示談を締結することで、その後の刑事処分が変わってくる為です。仮に対人無制限の保険に入っていたとしても、保険会社に任せきりにせず、必ず自らが何度も被害者の元に謝罪に赴き、許しを請いましょう。
弁護士に依頼する
 さらに可能であれば、刑事事件に強い弁護士を選任しましょう。弁護士を付けることで、相手方との示談交渉がスムーズに進行し、適正かつ合理的な額での被害弁償が可能となります。また、刑事事件に手慣れた弁護士であれば、示談の際に、被害者から嘆願書などの書面を取り付け、これを意見書に添付して、検察官との交渉も行ってくれるはずです。


4.初心に戻ろう!
 対処法をいろいろあげましたが、なにより一番は事故を起こさないことです。悪質なケースばかりでなく、ちょっとした過失から誰もが引き起こしうるような自動車事故でさえもどんどん厳罰化されています。自動車の運転はビジネスマンにとって身近な業務の1つです。しかし、それゆえにこそ、ドライバーは今後、より一層気を引き締めてハンドルを握らなければなりません。運転免許証は必ず携帯する、飲酒時や過労時には決して車を運転しない、軽微な交通違反も犯さない等、初心に戻って常に安全運転を心がけるようにしましょう。



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