胸椎破裂骨折の後遺症|等級認定される後遺障害とは?
圧迫骨折と違って、神経にも影響する破裂骨折では、症状として痛みや腫れ、変形のほか、まひやしびれなどの神経症状が生じることがあります。
胸椎破裂骨折の後遺症は、神経症状、変形障害、運動障害です。
これらの後遺症が残った場合、後遺障害認定を受けることで後遺障害慰謝料を請求できます。
胸椎破裂骨折の後遺障害慰謝料の相場は、110万円〜1,180万円です。
今回は、胸椎破裂骨折の後遺症を中心に症状、治療、等級の認定基準、示談金で請求できる費用や損害について解説していきます。
目次
胸椎破裂骨折とは?
胸椎破裂骨折の症状
胸椎破裂骨折とは、腹部側だけでなく背中側の椎体にも及んで割れる骨折です。
骨折の分類上、胸椎破裂骨折は背骨骨折である脊椎骨折のひとつです。
背骨(脊椎)は、頸椎・胸椎・腰椎の3つの部分で構成されており、胸椎は頸椎と腰椎の間にある、背中に通る骨です。
胸椎は、12個の椎体が連なることでつくられており、この椎体部分がおなか側だけでなく背中側、神経に接する壁側にも骨折が及んでいるのが破裂骨折です。
おなか側の椎体のみの骨折である圧迫骨折と違って、神経にも影響する破裂骨折では、症状として痛みや腫れ、変形のほか、まひやしびれなどの神経症状が生じることがあります。
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胸椎破裂骨折の原因
胸椎破裂骨折は、交通事故で後方から追突され、強い衝撃が胸椎に加えられることで発生してしまう可能性があります。
胸椎破裂骨折の治療
胸椎破裂骨折の治療として、コルセットやギブスなどの保存的治療によってできるだけ安静にする方法が検討されます。
既に神経症状が出ているような胸椎破裂骨折の場合、椎体除圧固定術といった手術が行われることもあります。
椎体除圧固定術は骨折した骨に金属製のスクリューを埋め込む手術です。
骨折した椎体の上下の椎体をスクリューとロッドで固定することで、破裂骨折部の癒合を助けて、骨への圧力も軽減することで神経への圧迫もおさえます。
胸椎破裂骨折の後遺症
胸椎破裂骨折による後遺症とは?
胸椎破裂骨折の後遺症として、神経症状、変形障害、運動障害を負うことが考えられます。
特に胸椎破裂骨折は、神経にも影響する骨折であるため、痛みやまひなどの神経症状が残るおそれがあります。
後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けることで後遺障害慰謝料を請求できます。
ただし、後遺症があるからといって必ず後遺障害が認定されるわけではなく、審査を通過して認定を受ける必要があります。
弁護士であれば後遺障害認定を受けるために必要な資料や手続きについてアドバイスできるため、ご不安な方はぜひ一度相談してみましょう。
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胸椎破裂骨折の後遺症(1)神経症状
胸椎破裂骨折の後遺症として神経症状が残った場合、12級13号または14級9号に認定される可能性があります。
胸椎破裂骨折による神経症状の後遺障害慰謝料の相場は、110万円〜290万円です。
神経障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの 110万円 |
後遺障害12級13号の認定基準
後遺障害12級13号と14級9号の違いは、「頑固な」神経症状といえるか、具体的には、後遺症の存在が医学的に証明できるかどうかという点です。
12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」は、レントゲン写真やMRI画像に異常が写っているなど後遺症の存在が医学的に証明される場合に認定されます。
後遺障害14級9号の認定基準
画像診断では他覚的な後遺症の存在はない場合は、14級9号に該当しないか検討されます。
14級9号は、受傷の状況、症状、治療の経過、各種神経学的検査の結果などから、後遺症が発生していると説明できれば認定されます。
胸椎破裂骨折の後遺症(2)変形障害
胸椎破裂骨折の後遺症として変形障害が残った場合、後遺障害6級5号、8級相当、11級7号に認定される可能性があります。
胸椎破裂骨折による変形障害の後遺障害慰謝料は、420万円〜1,180万円です。
変形障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの 1,180万円 |
8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの 830万円 |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの 420万円 |
後遺障害6級5号の認定基準
胸椎破裂骨折によって骨折した胸椎が変形してしまい、見た目の変化が現れることがあります。
後遺障害6級5号の「脊柱に著しい変形を残すもの」とは、エックス線写真等により、せき椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかにあてはまる場合を指します。
- せき椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方の椎体の高さが著しく減少し、後彎(こうわん)が生じているもの
- せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方の椎体の高さが減少し、後彎が生ずるとともに、コブ法による側彎(そくわん)度が50度以上となっているもの
後弯(こうわん)は胸椎が後ろに曲がってしまっている状態、側弯(そくわん)は本来、正面からみてまっすぐの胸椎が左右に曲がってしまっている状態を指します。
また、側弯はエックス線写真を用いたコブ法によって計測することになります。
後遺障害8級相当の認定基準
後遺障害8級相当の「脊柱に中程度の変形を残すもの」とは、エックス線写真等により、せき椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかにあてはまる場合を指します。
- せき椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方の椎体の高さが減少し、後彎が生じているもの
- コブ法による側彎度が50度以上であるもの
- 環椎(第1頸椎)又は軸椎(第2頸椎)の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む。)により、次のいずれかにあてはまるもの
- 60度以上の回旋位となっているもの
- 50度以上の屈曲位又は60度以上の伸展位となっているもの
- 側屈位となっており、エックス線写真等により、矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの
後遺障害11級7号の認定基準
後遺障害11級7号の「せき柱に変形を残すもの」とは、次のいずれかにあてはまる場合を指します。
- せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
- せき椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかのせき椎に吸収されたものを除く。)
- 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの
胸椎破裂骨折の後遺症(3)運動障害
胸椎破裂骨折が背骨の変形を引き起こすことで、背中が曲がりにくくなるといった運動障害が現れることがあります。
胸椎破裂骨折の後遺症として運動障害が残った場合、後遺障害6級5号、8級2号に認定される可能性があります。
胸椎破裂骨折による運動障害の後遺障害慰謝料は、830万円〜1,180万円です。
運動障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの 1,180万円 |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの 830万円 |
後遺障害6級5号の認定基準
後遺障害6級5号の「脊柱に著しい運動障害を残すもの」とは、次のいずれかにより頸部及び胸腰部が強直(癒着し、動かなくなる)した場合を指します。
- 頸椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎圧迫骨折等が存しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
- 頸椎及び胸腰椎のそれぞれにせき椎固定術が行われたもの
- 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
後遺障害8級2号の認定基準
後遺障害8級2号の「脊柱に運動障害を残すもの」とは、次のいずれかにあてはまる状態を指します。
- 次のいずれかにより、頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の1/2以下に制限されたもの
- 頸椎又は胸腰椎にせき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
- 頸椎又は胸腰椎にせき椎固定術が行われたもの
- 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
- 頭蓋・上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの
胸椎破裂骨折の逸失利益
胸椎破裂骨折の後遺障害認定を受けた場合、後遺障害慰謝料だけでなく逸失利益も請求できます。
逸失利益とは、不法行為である交通事故がなければ得ることができたはずの利益のことです。
具体的には、交通事故によって後遺障害を負わなければ働いて得ることができた収入などの利益を請求できます。
逸失利益は、その性質上、非常に高額になるケースも多いことから、相手側が本来の金額よりも低く見積もりを出して支払額を抑えようとすることもあります。
後遺障害認定の申請手続きとあわせて弁護士に依頼しておけば、適正な金額を見定めたうえで代わりに相手側の保険会社との連絡・交渉を任せることができます。
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胸椎破裂骨折の入通院慰謝料・示談金
胸椎破裂骨折の入通院慰謝料
胸椎破裂骨折を治療した場合、後遺障害等級の認定に関係なく、入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料とは、入院・通院を余儀なくされるほどのケガを負ったことによる精神的苦痛に対する賠償金です。
入通院慰謝料は、入院・通院期間の長さに応じて増額されます。
また、通院のみで治療したケースに比べて入院もして治療したケースの方が高額な入通院慰謝料となります。
治療費・休業損害など|慰謝料以外に請求できる金銭
胸椎破裂骨折を負った場合、後遺障害慰謝料や入通院慰謝料以外に、治療費や休業損害といった費用・損害などを請求できます。
これらの各損害に対する賠償金をまとめて示談金として受け取ることになります。
ご自身のトータルの示談金が本来受け取れる相場の価格よりも低くないか、示談成立前にはしっかり確認する必要があります。
弁護士にご相談いただければ、法的根拠に照らし合わせてどの程度増額することができるのか、示談の交渉材料や見込みに関するアドバイスを受けられます。
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胸椎破裂骨折の後遺症は弁護士に相談
胸椎破裂骨折の後遺症の無料相談受付中
胸椎破裂骨折の後遺症が残って後遺障害の認定を受けたい、慰謝料を増額したいとお考えであれば、弁護士にご相談ください。
相手側の保険会社の提示した示談金額が適正な相場価格かどうか聞くだけでも、今後、弁護士を利用するべき案件か、判断しやすくなることもあります。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了