交通事故の首の痛みはむちうち・ストレートネック・変形性頚椎症?後遺症は残る?

交通事故で首の痛みを感じたらすぐに病院へいき、その原因を突き止めてもらいましょう。首の痛みが初期症状に過ぎず、なんらかの大きなケガを負っている場合もあります。
この記事ではむちうち、ストレートネック、変形性頚椎症といった、首の痛みを引き起こすケガについて解説していきます。
目次
交通事故による首の痛みの原因(1)むちうち
むちうちとは、交通事故による外部からの衝撃によって首が前後に急激に振られることで、首の筋肉や骨、神経が損傷している状態をいいます。
交通事故による首の痛みはむちうちの可能性があるので、疑わしい場合は整形外科へかかりましょう。
むちうちの症状
首の筋肉や骨、神経が損傷すると、痛みやしびれ、こわばりなどの症状があらわれてくるでしょう。その他にも、吐き気やめまいなどの症状を引き起こすこともあります。
交通事故の直後にはこうした症状はなくても、時間が経って後から首の痛みがあらわれたり、頭痛がしてくることもあるでしょう。
むちうちの治療
むちうち症の治療方法は、症状の程度によって様々です。
保存療法
むちうちの程度が軽度であれば、安静にしたり、湿布の貼付、鎮痛剤の服用などの保存療法で治療していきます。以下は保存療法の一例です。
- 安静や固定
- 冷却
- 温熱
- 鎮痛剤
医師は、むちうちの状態に合わせて最適な治療方法を選択しています。医師の判断に従い、まずは症状の緩和に努めましょう。
リハビリテーション
むちうちによって動かしづらさやこわばりが残っていると、日常生活への復帰の妨げになります。リハビリテーションは、医師や理学療法士の指導のもと、日常生活に支障をきたしている症状を改善するためにおこなうものです。
交通事故による首の痛みの原因(2)ストレートネック
首の骨(頚椎)が本来の正常なカーブを失い、まっすぐになってしまう病気です。交通事故で首が強く降られることで、首の筋肉や関節が損傷することで起こってしまいます。
ストレートネックかどうかの診断を受けるには、整形外科にかかってください。
ストレートネックの症状
ストレートネックの主な症状は、首の痛み、吐き気、頭痛、手のしびれです。症状はむちうちと似ていますが、むちうちよりも自覚症状がない傾向にあります。
症状自体はむちうちと似ていますが、レントゲン写真を見れば、ストレートネックと診断できます。
ストレートネックの治療
ストレートネックの治療は、主に保存療法となっています。具体的には、装具で首を固定することで安定させ、症状を悪化させないようにする治療方法です。痛みが強い場合には、鎮痛剤を用いられることもあります。
保存療法の経過が好調であれば、首を動かしやすくするために、マッサージやストレッチ、体操などをおこなってストレートネックの改善を図っていくことになるでしょう。
交通事故による首の痛みの原因(3)変形性頚椎症
変形性頚椎症は、首にある頚椎という骨の上下をつなぐ関節の軟骨や椎間板がすり減ってしまうものです。交通事故による衝撃のほか、加齢によっても変性が生じやすいと考えられています。
変形性頚椎症かどうかの診断は、整形外科にかかってください。
変形性頚椎症の症状
交通事故による変形性頚椎症の症状には、以下のものがあります。
- 首の痛み
- 肩こりや動かしづらさ
- 手足のしびれや筋力低下
- 歩行障害
これらの症状は、交通事故の衝撃で首の骨や神経が損傷することで起こります。症状は、交通事故から数日以内に現れる場合もあれば、数週間から数か月後に現れる場合もあります。
箸を使って小さなものを掴むことが難しい、字が書きづらい、ペットボトルが開けられない、階段の上り下りが困難など、日常生活に支障が出ることがあるでしょう。
変形性頚椎症の治療
変形性頚椎症はほとんどのケースで保存療法がおこなわれ、薬物療法による痛みの緩和、牽引や温熱療法などで、患部の状態改善を図ります。
首を無理に動かすと余計に悪化してしまう可能性があるので、首の痛みは放置せず、整形外科などの専門家に診てもらって対処しましょう。
交通事故による首の痛みに関する疑問を解決しよう
交通事故後の首の痛みの通院先や今後の流れが気になる方に向けて、情報を整理していきます。
首の痛みでは何科にいけばいい?
首の痛みを放置していると痛みが慢性化してしまう可能性があるので、早急に病院を受診しましょう。
頭を打っていないときは、いったん整形外科にかかることをおすすめします。ただし頭を打った覚えがある場合や全身に相当強い衝撃を受けている場合は、脳神経外科や神経内科の受診も検討しましょう。
首の痛みで整骨院に行ってもいい?
交通事故後の整骨院利用は、必要な手順を踏んでおこないましょう。まず事故直後の受診先は病院とすること、医師から許可をもらって病院と整骨院の併用とすること、事前に相手の任意保険会社に利用を伝えることが必要になってきます。
こうした手順を踏まないと、整骨院の費用を支払ってもらえなかったり、治療期間に加えてもらえず慰謝料が少なくなるといったリスクがあります。
交通事故の首の痛みで後遺障害認定の可能性はある?
交通事故後の首の痛みは、後遺障害12級13号や14級9号の認定を受けられる場合があります。いずれも神経症状に関する後遺障害等級です。
もっとも首の痛みは自覚症状であるため、医学的に証明できるか、あるいは症状の存在が説明可能かといった点は後遺障害認定を受けるうえでのハードルになるでしょう。
どれだけ一生懸命に治療をつづけても、残念ながら後遺症が残ってしまうこともあります。もし後遺症が残ったときには相応の補償を受けられるように、後遺障害申請も検討してください。
交通事故の首の痛みで弁護士を立てる必要はある?
首の痛みを軽視せず、交通事故の取扱実績を多く持つ弁護士に相談し、依頼も検討していきましょう。弁護士を立てることには、次のようなメリットがあります。
- 相手の保険会社との連絡窓口を弁護士に一括できるので、被害者は治療やリハビリに専念しやすい
- 後遺症が残った場合の後遺障害申請のサポートが受けられる
- 示談での増額交渉を任せることが出来る
こうしたメリットがあるので、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。交通事故の被害者であれば、一定の範囲で無料相談を受け付けている法律事務所もあります。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了