交通事故の急性硬膜下血腫|適切な治療で後遺症を予防

交通事故で急性硬膜下血腫となった場合には、手術による治療が必要となり、多くのケースで後遺症が残ることとなるでしょう。
そのため、異常を感じたのであれば、早期に対応し、後遺症に対する適切なリハビリが必要です。
本記事では、急性硬膜下血腫の症状や治療方法、後遺症が残った場合の対処法などについて、法的視点も含めて解説を行っています。
目次
急性硬膜下血腫とは
急性硬膜下血腫とは、頭部外傷によって脳の表面の血管が損傷し、硬膜と脳の間に血液が溜まることで起こる病気です。
急性硬膜下血腫は早期発見・早期治療が重要です。適切な治療を受けることで、後遺症を予防することができます。
急性硬膜下血腫の症状
急性硬膜下血腫を発症すると、意識障害、頭痛、嘔吐などの症状が現れます。
受傷直後から意識障害が発生することが多く、短時間で意識を失ってしまうこともあるのです。
頭痛は、頭部外傷の直後に現れる場合と、数時間後に現れる場合があります。嘔吐は、頭痛や意識障害に伴って現れることがあります。
血種による圧迫が進行すると、死に至る危険性もあるため、早期の治療が必要です。
急性硬膜下血腫の原因
急性硬膜下血腫の主な原因は、頭部外傷です。頭部外傷により脳が傷つき、そこからの出血によって引き起こされます。
頭部外傷の原因としては、交通事故の他に転落、転倒、スポーツ中の事故などが考えられるでしょう。
急性硬膜下血腫の治療
手術による血腫の除去
急性硬膜下血腫の治療は、手術による血腫の除去が中心となります。
手術では、全身麻酔をかけたうえで頭蓋骨に穴を開け、血腫を取り除きます。このような手術を、開頭血種除去術といいます。手術は、早期に行うことが重要です。
リハビリテーションによる後遺症の予防
急性硬膜下血腫を発症すると、多くのケースで後遺症が残ります。
後遺症を予防するために、リハビリテーションが重要です。リハビリテーションでは、後遺症の症状に合わせて運動療法や言語療法などが行われます。
急性硬膜下血腫の後遺症 とリハビリ
急性硬膜下血腫となった場合には、以下のような後遺症が残る恐れがあります。
- 認知機能障害
- 運動障害
- 言語障害
それぞれ、どのような後遺症の症状が発生し、どのようなリハビリを行うことになるのかを紹介します。
認知機能障害
急性硬膜下血腫を発症すると、認知機能障害が起こることがあります。
認知機能障害の症状には、記憶障害、判断力低下、集中力低下、注意力散漫などがあり、高次脳機能障害とも言わています。
リハビリの方法として、障害よって日常生活においてどのような問題が起きているのかをチェックし、その改善のために様々な対処を行っていくという流れとなるでしょう。
記憶力の低下がみられる場合には、定期的にメモを取るようにできるよう訓練を行う、感情のコントロールがうまくできなくなっている場合には、心理療法を受けるといったものです。
運動障害
急性硬膜下血腫を発症すると、運動障害が起こることがあります。
運動障害により、麻痺、歩行障害、手足の動きが鈍くなるなどの症状が生じるでしょう。
運動障害に対しては、ストレッチや理学療法によるリハビリを行うこととなります。
言語障害
急性硬膜下血腫を発症すると、言語障害が起こることがあります。
言語障害には、発語障害、構音障害、理解障害などの症状があります。
言語障害に対しては、発声練習や文章の説明を行ってもらうといった言語療法によりリハビリを行っていくこととなるでしょう。
交通事故による急性硬膜下血腫の被害者へのアドバイス
交通事故により急性硬膜下血種となった場合には、早期の治療やリハビリを受けるだけでなく、以下のような行動をとりましょう。
- 後遺症が残った場合に後遺障害等級認定を受ける
- 慰謝料などの損害賠償金の金額を計算する
- 加害者との示談交渉を行う
後遺障害等級認定を受ける
また、交通事故の被害者には、後遺障害等級認定制度があります。
交通事故によって生じた後遺症の症状が後遺障害に該当すると認定されると、認定された等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能です。
後遺障害等級認定の申請手続きを適切に行うには、専門的な知識が必要となってきます。
そのため、弁護士に相談することをお勧めします。
慰謝料などの損害賠償金の計算
交通事故によりくも膜下出血となった場合には、以下のような費目について損害賠償請求が可能です。
- 治療費
治療にかかった費用 - 入通院慰謝料
治療期間に応じた慰謝料 - 後遺障害慰謝料
認定された後遺障害等級に応じた慰謝料 - 休業損害
治療のために休業したことで生じた給与の減少分 - 逸失利益
後遺障害が生じたことで生じる将来の減収分
具体的にどのような費目をいくら請求できるのかについては、専門家である弁護士に相談して確認すべきでしょう。
加害者との示談交渉
請求できる費目や金額が確定したのであれば、加害者との示談交渉を行い、実際に支払われる金額を決めていきます。
しかし、多くの場合に示談交渉の相手となる加害者が加入している任意保険会社の担当者は、相場の金額より低い金額で示談するよう交渉してくるでしょう。
相場の金額で示談するよう交渉することは簡単ではありません。
そのため、専門家である弁護士に依頼して、代わりに示談交渉を行ってもらうことが、相場の金額で示談するためには最も効果的です。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了