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webマガジン「B-plus」のビジネスコラムに掲載-1

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webマガジン「B-plus」2009年6月号ビジネスコラムに
裁判員制度~みんなが本当に知りたいことPart1~
という内容で掲載されました。


ついにスタート 裁判員制度
 平成21年5月21日、話題の裁判員制度がついに施行されました。そしていよいよ、7月下旬頃には日本初となる裁判員裁判が開かれる予定です。すでに制度の概要をご存知のかたも多いかと思いますが、裁判員制度とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするのかを裁判官と一緒に決める制度です。

どんな人が裁判員に選ばれるの?
 裁判員の選出は20歳以上の有権者の中からくじで無作為になされるため、該当者であれば、特別な事由を有する場合以外は、誰しもが裁判員に選ばれる可能性があります。そして選ばれた場合、原則として個人的な理由を基に拒否することはできません。そうです、法律上、裁判員になることは国民の義務とされているわけです。

裁判員に選ばれる確率は??
 皆さんが裁判員に選ばれる確率はどのくらいでしょうか?昨年度の対象事件数から地域別に概算しますと、全国平均は5593人に1人。対象事件数の最も多い大阪では2921人に1人。逆に最も少ない山形では1万7460人に1人となりました。日本で1年間に何らかの交通事故に巻き込まれるのはおよそ50人に1人。刑務所のお世話になる日本人はおよそ2000人に1人。日本にいる億万長者はおよそ100人に1人です。裁判員になるのは、億万長者になるよりもずっとずっと低い確率なのですから、なんだか全くの他人事のような気がしてきましたね。しかし裁判員裁判はこれからもずっと開かれるのです。一生のうちで1回でも…ということで試算しますと、実に67人に1人が裁判員裁判に参加することとなります。裁判員候補者となって裁判所に呼び出しを受ける可能性ともなれば13人に1人、「ご近所のあの人が…」「同僚のあの人が…」「同級生のあいつが…」という次元となり、もう他人事などと言ってはいられません。

裁判員になるとどんな負担があるの?
 裁判員になると、皆さんは法廷で裁判官と同列に並び、市民を代表して刑事裁判に参加していくことになります。このことは、今まで閉ざされていた刑事司法に市民の生の観点を差し込むという点で、社会的に大きな意味を有します。他方で、裁判員に選ばれると、皆さんは次のような様々な負担を強いられることになります。

<時間的負担>
 裁判員裁判では法廷が連続的に開かれるため、9割の事件が3~5日以内に審理が終了する予定です。1日あたりの拘束時間は事件ごとに異なりますが、法廷で裁判が行われる時間は通常5時間程度。そこに昼食や打合せの時間は含まれませんので、丸1日裁判が行われる場合の事実上の拘束時間はもう少し長くなります。

<経済的負担>
 裁判員やその候補者となって裁判所に出向いた場合、交通費や宿泊費(自宅が遠い場合等の場合のみ)、日当が支払われます。交通費は原則として最も経済的な交通手段を用いた場合の金額が、宿泊費は場所によって8700円もしくは7800円が支払われます。裁判員になると公判が終わるまで帰宅できないという噂がありますが、これは嘘です。1日で裁判が終わらない場合は自宅に戻れますし、休憩時間に外部と連絡を取ることもできます。ですから、宿泊費は自宅が遠く連日通うのが困難である等特別な事情がある場合のみ支払われます。気になる日当は、裁判員で1日当たり上限1万円、候補者は1日当たり上限8千円となっています。「俺の1日の稼ぎはこんなものじゃない!」と不満に思われるかたもいるかもしれませんが、残念ながら、日当について身分や収入が考慮されることはなく、拘束時間に応じた金額が支払われることになります。

<精神的負担>
 裁判員には守秘義務が課せられており、違反すると6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。秘密にしないといけない内容は、評議の場で誰がどのような意見を言ったかということや、その他職務上知り得た被害者等のプライバシーに関する事項などです。なお、公開の法廷で見聞きした情報は話しても構いませんし、守秘義務に反しない形で、裁判員としての経験や感想を述べることは何ら問題ありません。

 義務として国民に裁判員を務めさせるわけですから、この裁判員制度の導入が刑事裁判に良き風をもたらすことを、一刑事弁護人として切に望みます。


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