頸椎圧迫骨折の後遺症とは?頚椎破裂骨折や歯突起骨折も解説

頸椎圧迫骨折による後遺症として、変形障害、運動障害、荷重機能障害、神経症状が残った場合、後遺障害等級の認定を受けることができます。
後遺障害認定を受けた場合、頸椎圧迫骨折の後遺障害慰謝料は、110万円〜1,180万円です。
骨折の部位や程度によっては頚椎破裂骨折や歯突起骨折を負うこともあり、後遺症が残った場合には、圧迫骨折と同様に後遺障害の申請をすることができます。
今回は、頚椎圧迫骨折や頚椎破裂骨折、歯突起骨折について、症状や治療、認定基準や慰謝料の相場を解説いたします。
目次
頸椎圧迫骨折とは?
頸椎圧迫骨折とは?症状も解説

頸椎圧迫骨折は、首の骨にあたる頸椎がつぶれるように折れた骨折のことです。
背骨の骨である脊椎は上から頸椎、胸椎、腰椎の3つの部分から構成されており、頸椎は首部分にあたる骨です。
頸椎は7つの椎体で構成され、この椎体のおなか側の部分が割れて骨折している状態が椎体圧迫骨折です。
椎体圧迫骨折の症状として痛み、腫れ、変形などが生じることがあります。
頸椎圧迫骨折の治療
圧迫骨折の治療として、コルセットなどで患部を固定し安静にする保存的治療が検討されます。
保存的治療を続けても痛みが続いたり症状が重いような場合は手術が行われることがあります。手術では、骨セメントや人工の骨であるカルシウムペーストを注入して、椎体を元の形に復元します。
頸椎圧迫骨折の後遺症
頸椎圧迫骨折による後遺症とは?
頸椎圧迫骨折による後遺症として、変形障害、運動障害、荷重機能障害、神経症状が残った場合、後遺障害等級の認定を受けることができます。
後遺障害が認定されれば、後遺障害慰謝料を請求できるため、慰謝料を増額させることができます。
頸椎圧迫骨折の後遺症(1)変形障害
変形障害とは、圧迫骨折によって脊柱の変形が起こり、そのまま症状固定となってしまった状態のことです。
頸椎圧迫骨折の後遺症として変形障害が残った場合、後遺障害6級5号、8級相当、11級7号に認定される可能性があります。
頸椎圧迫骨折による変形障害の後遺障害慰謝料は、420万円〜1,180万円です。
変形障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの 1,180万円 |
8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの 830万円 |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの 420万円 |
6級5号の認定基準
6級5号の著しい変形とは、レントゲン・CT・MRI画像で脊椎圧迫骨折等を確認できる、次のいずれかを満たすものです。
- 2つ以上の前方の椎体の高さが著しく減少し、後弯(こうわん・脊椎の背中側が曲がること)が発生しているもの
- 1つ以上の椎体の前方の椎体の高さが減少し、コブ法による側弯(そくわん・腰椎が左右に曲がってしまっている状態)度が50度以上となっているもの
コブ法は、レントゲン撮影で脊柱の湾曲を測る方法のひとつです。
8級相当の認定基準
8級相当の中程度の変形はレントゲンなどで脊椎圧迫骨折等を確認できて、いずれかに該当するものです。
- 1つ以上の前方椎体高が著しく減少し、後弯が発生しているもの
- コブ法による側弯度が50度以上であるもの
- 環椎(第一頚椎)または軸椎(第二頚椎)の変形・固定によって次のいずれかに該当するもの。
- 60度以上の回旋位となっているもの
- 50度以上の屈曲位または60度以上の伸展位となっているもの
- 側屈位となっており、レントゲンなどによって、矯正位の頭蓋底部両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上斜位となっているもの
11級7号の認定基準
11級7号に認定されるためには、以下のいずれかの条件に該当している必要があります。
- せき椎圧迫骨折等を残しており、そのことがエックス線写真等により確認できるもの
- せき椎固定術が行われたもの(ただし、移植した骨がいずれかの脊椎に吸収された場合は認定されない)
- 3個以上のせき椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの
頸椎圧迫骨折の後遺症(2)運動障害
運動障害とは、脊椎の圧迫骨折が原因で首や背中が曲がりにくくなり、そのまま症状固定となってしまった状態のことです。
頸椎圧迫骨折によって運動障害が残った場合、後遺障害6級5号、8級2号に認定される可能性があります。
頸椎圧迫骨折による運動障害の後遺障害慰謝料は、830万円〜1,180万円です。
運動障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの 1,180万円 |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの 830万円 |
後遺障害6級5号の認定基準
後遺障害6級5号「脊柱に著しい運動障害」を残すものとは、以下のいずれかに該当し、強直(脊椎が固くなり、可動域制限が起こること)しているケースを指します。
- 頚椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等などが生じており、レントゲンで確認できるもの
- 頚椎および胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術がおこなわれたもの
- 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
後遺障害8級2号の認定基準
後遺障害8級2号「脊柱に運動障害」を残すものとは、以下のいずれかに該当するケースを指します。
- 以下のいずれかにより頚椎または胸腰椎の可動域が、参考可動域角度(可動域の正常値)の2分の1以下に制限されたもの
- 頚椎または胸腰椎のどちらかに脊椎圧迫骨折等が生じており、レントゲンで確認できるもの
- 頚椎または胸腰椎に脊椎固定術がおこなわれたもの
- 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
- 頭蓋と上位頚椎(第一頚椎と第二頚椎)の間に著しい異常可動性が生じたもの
頸椎圧迫骨折の後遺症(3)荷重機能障害
荷重機能障害とは、圧迫骨折が原因で脊椎の頭や腰を支える機能が削がれ、硬性補装具が必要になった状態のことです。
頸椎圧迫骨折の後遺症として荷重機能障害が残った場合、後遺障害6級相当、8級相当に認定される可能性があります。
頸椎圧迫骨折による荷重機能障害の後遺障害慰謝料は、830万円〜1,180万円です。
荷重機能障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級相当 | 荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合に、頸部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの 1,180万円 |
8級相当 | 荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合に、頸部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの 830万円 |
等級認定の前提となる「荷重機能の障害の原因が明らかに認められる」状態とは、せき椎圧迫骨折・脱臼、せき柱を支える筋肉の麻痺又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化が存し、それらがエックス線写真等により確認できる場合を指します。
頸椎圧迫骨折の後遺症(4)神経症状
神経症状とは、交通事故によって痛みやしびれなどが残った状態を指します。
頸椎圧迫骨折の後遺症として神経症状を負った場合、後遺障害12級13号、14級9号に認定される可能性があります。
頸椎圧迫骨折による神経症状の後遺障害慰謝料は、110万円〜290万円です。
特に頚椎破裂骨折の場合は、骨折により神経を圧迫していることから手に痛みやしびれといった神経症状が発生することが多いです。
神経症状による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの 110万円 |
後遺障害12級13号の認定基準
後遺障害12級13号は、CTやMRIなどの画像診断でむちうち症の後遺症の存在が医学的に証明できる場合に「局部に頑固な神経症状を残すもの」にあたるとして認定されます。
後遺障害14級9号の認定基準
後遺障害14級9号は、画像検査で神経症状の存在が明らかにならなかったとしても、神経学検査の結果から痛みやしびれがあるといえる場合に認定されます。
頚椎破裂骨折とは?圧迫骨折との違い
頚椎破裂骨折は神経まで損傷する骨折
頸椎圧迫骨折と同じ首の骨折で、頚椎破裂骨折というものもあります。
どちらも首の骨(椎体)の骨折という点では同じですが、頚椎破裂骨折では椎体のおなか側だけでなく背中側にも骨折が及び、折れた骨が神経を圧迫してしまいます。

頚椎破裂骨折で折れた骨が神経を圧迫してしまうと、麻痺やしびれなどの神経症状が生じることがあります。
頚椎破裂骨折で生じうる後遺症
頚椎破裂骨折では、変形障害、運動障害、麻痺、神経障害といった後遺障害が残る可能性があります。
それぞれに対して認定されうる後遺障害等級と、後遺障害慰謝料の相場を解説します。
変形障害
変形障害とは、頚椎破裂骨折によって脊柱(頚椎を含む背骨)が変形してしまう症状です。
この場合に認定されうる後遺障害等級と慰謝料相場は、以下のとおりです。
変形障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの 1,180万円 |
8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの 830万円 |
11級7号 | 脊柱に変形を残すもの 420万円 |
運動障害
運動障害とは、頚椎破裂骨折により骨がうまく癒合しなかったことで、背骨を動かしにくくなる症状をいいます。
この場合に認定されうる後遺障害等級と慰謝料相場は、以下のとおりです。
運動障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
6級5号 | 脊柱に著しい運動障害を残すもの 1,180万円 |
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの 830万円 |
麻痺
頚椎破裂骨折では神経が圧迫されるため、麻痺が後遺障害として残ることがあります。
この場合の後遺障害等級と慰謝料相場は、以下のとおりです。
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
別表第1 1級1号 | 高度の四肢麻痺 中程度の四肢麻痺で常時介護を要するもの 高度の対麻痺 中程度の対麻痺で常時介護を要するもの 2,800万円 |
別表第1 2級1号 | 中程度の四肢麻痺 軽度の四肢麻痺で随時介護を要するもの 中程度の対麻痺で随時介護を要するもの 2,370万円 |
3級3号 | 軽度の四肢麻痺 中程度の対麻痺 1,990万円 |
5級2号 | 軽度の対麻痺 1下肢の高度の単麻痺 1,400万円 |
7級4号 | 1下肢の中程度の単麻痺 1,000万円 |
9級10号 | 1下肢の軽度の単麻痺 690万円 |
12級13号 | 運動性・支持性・巧綴性・速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺 運動障害は認められないものの広範囲にわたる感覚障害が認められるもの 290万円 |
麻痺の高度・中程度・軽度の基準は以下のとおりです。
- 高度
歩く、立つ、物を持って動かすなど、基本的動作ができない程度の麻痺 - 中程度
基本動作が全くできないわけではないが、かなりの制限があったり、装具がなければできなかったりする程度の麻痺 - 軽度
基本動作はできるが、巧緻性や速度が相当に低下している程度の麻痺
神経症状
神経症状とは、頚椎破裂骨折により神経が圧迫されることで、手などに痛みやしびれを感じる症状です。
この場合に認定されうる後遺障害等級と慰謝料相場は次のとおりです。
神経症状による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの 110万円 |
歯突起骨折とは?圧迫骨折との違い
歯突起骨折は頸椎の繋ぎ目の骨折
歯突起(しとっき)骨折は、交通事故によって強い力が外部からかかることによって歯突起が骨折することをいいます。
歯突起(しとっき)とは、軸椎(第2頸椎)から上に伸びだした突起部分を指します。
第2頸椎は上から2番目の椎体であり、歯突起は環椎(第1椎体)の歯突起窩(しとっきか)と呼ばれる部分に連結しています。
そうした突起部分が折れてしまうのが、歯突起骨折なのです。
歯突起骨折で生じうる後遺症
歯突起が骨折した場合、首の変形障害や運動障害が残り、可動域が制限されることがあります。
それぞれに対して認定されうる後遺障害等級と、後遺障害慰謝料の相場を解説します。
変形障害
変形障害とは、頚椎破裂骨折によって脊柱(頚椎を含む背骨)が変形してしまう症状です。
歯突起骨折による変形障害で認定されうる後遺障害等級と慰謝料相場は、以下のとおりです。
変形障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
8級相当 | 脊柱に中程度の変形を残すもの 830万円 |
運動障害
運動障害とは、頚椎破裂骨折により骨がうまく癒合しなかったことで、背骨を動かしにくくなる症状をいいます。
歯突起骨折による変形障害で認定されうる後遺障害等級と慰謝料相場は、以下のとおりです。
運動障害による後遺障害等級の認定基準
等級 | 後遺障害 慰謝料額 |
---|---|
8級2号 | 脊柱に運動障害を残すもの 830万円 |
頸椎圧迫骨折や頚椎破裂骨折で後遺障害認定を受けるには
頸椎圧迫骨折の後遺症が残った際に後遺障害認定を受けるには、必要な書類を保険会社に提出して後遺障害申請を行い、審査機関による審査を通過する必要があります。
等級認定を受けるような後遺症か、審査のためにどのような書類を集めて提出すべきか、申請手続きはどのように進めればいいのか、認定を受けるために確認するべき点は多いです。
弁護士にご相談いただければ、後遺障害申請手続きを有利に進めるにはどうしたらよいのか、適切なアドバイスを受けられます。
特に交通事故の相談を多く経験した弁護士であれば、認定基準に合わせて審査の対策を十分に行ったうえで申請手続きを代わりに進めてもらえます。

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頸椎圧迫骨折や頚椎破裂骨折の慰謝料
入通院慰謝料|入通院期間に応じて金額が決まる
頸椎圧迫骨折などの治療をした場合、後遺障害認定の有無に関係なく、入通院慰謝料を請求することができます。
入通院慰謝料は、入院・通院を余儀なくされるほどのケガで受けた精神的損害に対する賠償金のことです。
入通院慰謝料は、算定表に基づき、入院・通院の期間に応じて金額が決定します。

ただし、この算定表はあくまで裁判で用いられる弁護士基準に基づいて作成されたものであり、保険会社が実際に支払う金額は、算定表での金額よりも低くなります。
弁護士基準での適正な相場額を受け取るためには、保険会社との増額交渉が必要となります。
交渉を有利に進めるためにも、専門家である弁護士への依頼は検討してみましょう。

無料相談
治療費・休業損害など|慰謝料以外に請求できる金銭
慰謝料の他にも治療費や休業損害などの費用・損害を請求できます。

また、後遺障害認定を受けたケースでは、逸失利益を請求できます。
逸失利益とは、交通事故がなければ後遺症を負うことなく働いて得ることができたはずの利益のことです。
後遺障害の程度によっては、かなりの高額になるので、相手側の保険会社と支払金額について争うケースも少なくありません。

各金額が相場価格か、増額の余地はないか、そしてどのように増額交渉していけばいいのかという点については、多くの交通事故相談を受けてきた弁護士だからこそアドバイスできます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了