2025.09.05

会社で起こりがちなトラブルとその備え方 — 経営者が知っておきたい法務の基本

経営にトラブルはつきものですが、その多くは「人」「お金」「契約」に起因します。日々の売上を追う中で見過ごされがちですが、就業規則の不備や曖昧な契約書が大きなトラブルに発展するケースも少なくありません。

今回は、そんなトラブルと共に経営者が知っておきたい法務の基本をご紹介します。トラブルが起きてからの「事後処理」ではなく、事前の「予防策」を行うためにも、ぜひ参考にしてください。

会社経営にトラブルはつきもの?まずは現状を知る

トラブルを避けるためには、まず現状を知っておく必要があります。

なぜトラブルは起こるのか?

会社を経営していれば、どれだけ注意を払っていてもトラブルは起こり得ます。その多くは「人」「お金」「契約」に関わる場面で発生します。

たとえば、人事や労務管理のミスから従業員との間にトラブルが起きたり、資金繰りの不安定さが取引先との支払い遅延を招いたりすることもあります。また、契約内容の曖昧さが原因で、顧客との間に誤解や損害賠償問題が生じるケースも少なくありません。

こうしたリスクは、経営活動と切り離せないものである一方で、適切な対応によって被害を最小限に抑えることが可能です。

経営者が見落としやすいポイント

日々の業務に追われていると、経営者はどうしても「今、目の前の売上や案件」に意識が向きがちです。しかし、実際には未然に防げたはずのトラブルが、対処の遅れによって大きな損害へとつながることもあります。

たとえば、就業規則が整備されていなかったために、従業員から不当解雇を訴えられたケースや、契約書が曖昧だったために取引先との認識が食い違い、損害賠償請求を受けた事例もあります。

重要なのは、トラブルが起きてから対応する「事後処理」ではなく、起きる前に防ぐ「予防策」を講じる姿勢です。

よくあるトラブルの例とその影響

続いて、よくあるトラブルの例をご紹介します。

従業員とのトラブル(労務・解雇など)

社員との間で多いのは、解雇・退職をめぐるトラブルです。「能力不足による解雇」を安易に行った結果、不当解雇とみなされて訴訟に発展したり、残業代の未払いを指摘されて多額の支払いを命じられたりすることがあります。

社内のハラスメント問題や雇用契約の内容が曖昧なまま採用を進めることも、後のトラブルにつながりやすいため注意が必要です。

顧客・取引先とのトラブル(契約・債権回収など)

商品やサービスを提供したにもかかわらず代金が支払われない、契約内容に食い違いが生じて損害賠償を請求されるなど、顧客や取引先とのトラブルも非常に多い領域です。

特に中小企業では、口約束や簡易な見積書だけで取引を開始してしまうケースもあり、トラブルが起きた際に証拠が不十分で立場が不利になることもあります。

トラブルが大きくなる前に備えるメリット

いずれのトラブルも、初期段階での対応次第で深刻化を防ぐことができます。逆に、放置や誤った対応をしてしまうと、損害賠償や訴訟、風評被害など大きなリスクにつながります。

リスクを事前に把握し、体制を整えておくことで、経営の安定性と信用力を高めることが可能です。

トラブルを未然に防ぐための基本的な考え方

トラブルを未然に防ぐためには、ルールを整備するなどの対策が必要です。以下で、詳しい内容を見ていきましょう。

ルールを整備する(就業規則・契約書)

労務・取引トラブルを防ぐうえで、社内規程や契約書の整備は不可欠です。たとえば、就業規則を明確にし、雇用契約書と併せて従業員に周知しておくことで、後のトラブルを大幅に軽減できます。

契約書も、単にフォーマットを使用するだけでなく、契約ごとの目的やリスクに応じたカスタマイズが重要です。

相談できる先を持つことの重要性

トラブルの芽に気づいたとき、すぐに相談できる窓口があるかどうかで結果が大きく変わります。社労士や弁護士などの専門家とつながりを持っておくことで、法的リスクを見逃さず、的確な判断を下すことができます。

経営者自身がすべての法務リスクに精通するのは現実的ではないため、信頼できる外部パートナーの存在が鍵となります。

顧問弁護士を活用するという選択肢

近年では、月額顧問契約によって、日常的な法務相談から契約書のチェック、労務問題まで対応してくれる法律事務所が増えています。

企業規模にかかわらず、定期的に顧問弁護士とコミュニケーションを取ることで、法的トラブルの“予兆”を見逃さずに済むようになります。

相談先の一例として参考になる情報

次に、相談先の一例として参考になる情報をご紹介します。

企業法務に強い法律事務所の活用例

会社経営における法的リスクを広くカバーしたい場合には、企業法務に強い法律事務所の存在が頼りになります。

企業法務に強い法律事務所の一例として、弁護士法人咲くやこの花法律事務所の企業法務に強い弁護士への相談サービスも参考になります。契約・労務・債権回収など、経営者が直面しやすい課題に関する情報が多数掲載されており、実務に役立つ知識を得ることができます。

相談先を選ぶときのポイント

法律事務所を選ぶ際は、「どの分野に強みがあるのか」「企業対応の実績があるか」を確認することが重要です。また、対応のスピード感や相談しやすさも継続的な付き合いには欠かせません。

可能であれば、事前に無料相談などを利用し、相性や対応姿勢を見極めると安心です。

まとめ

会社経営には、思わぬトラブルがつきものです。しかし、あらかじめリスクを把握し、予防策を講じておくことで、多くの問題は未然に防ぐことが可能です。

社内のルール整備、外部専門家との連携、そして信頼できる法律相談先を持っておくことは、健全な経営の土台となります。経営者としての安心と、会社の持続的な成長のために、日頃から法務の視点を取り入れていきましょう。