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パワハラ内部通報を受けたときの通報者や加害者への対応方法|内部通報制度の運用ポイントを解説

2022.11.24

上司による部下への暴言・暴行などのパワハラ行為が内部通報窓口に通報された場合、企業はどのように対応すればよいのでしょうか?

  • 加害者に注意や指導をすると、嫌がらせがエスカレートするかもしれない
  • 法律に違反しないように対応するにはどうすればいいのか

こうした疑問を抱えている内部通報窓口の担当者の方々も多いかもしれません。

2022年6月には、公益通報者保護法の改正法が施行され、企業に内部通報制度の導入義務が課せられ、情報漏洩に関する罰則規定も追加されています。

パワハラが内部通報された場合の適切な対応方法を弁護士が解説します。

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パワハラが内部通報された後の流れ

所定の要件を満たす内部通報を受けた場合、窓口担当者は通報内容の調査と是正措置を行う必要があります。

所定の要件とは、通報内容が刑事罰や過料(行政罰)が科せられ得る行為や事実に該当していることです。この事実は、通報対象事実と呼ばれます。

パワハラは、暴言や暴行などを伴うハラスメントです。侮辱罪や暴行罪が成立するケースが多いので、通報対象事実に該当する可能性が高い社内不正です。

パワハラの内部通報が事実か調査

パワハラが内部通報された場合、まずは通報内容が事実なのかを調査しなければなりません。

調査の方法は、通報者や加害者、また別の従業員への事実確認などで十分です。

また調査を行う際には、内部通報者に対して調査を行う旨の通知をする必要があります。

もしこの通知をしないまま20日間が経過すると、通報者は行政やマスコミなどの外部機関に通報することが可能になってしまいます。

通報を受け付けてから調査の開始までは、迅速な対応が求められます

内部通報の調査ができたらパワハラ是正措置を行う

調査の結果、通報内容が事実だと判明した場合、企業は是正措置をとらなければなりません。

具体的な措置としては、全社に対する注意勧告や、部署ごとの役職者への通知、行為者本人への指導などが挙げられます。

また、是正措置をとった後には、適切に措置が機能しているのかを確認するのが理想です。

確認方法としては、次の二つが消費者庁によって例示されています。

  • 是正措置から一定期間経過後に能動的に改善状況に関する調査を行う
  • 特定の個人が被害を受けている事案においては、問題があれば再度申し出るよう公益通報者に伝える
公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号)

調査や是正措置の結果を内部通報者に通知する

通報者への結果通知は、法律で定められた義務ではありませんが、消費者庁の指針では、調査や是正措置の結果を通知することが求められています。

調査の結果、該当する通報対象事実がなければその旨を、該当する事実があればどのような対応、対策を行ったのかを通知することが理想です。

通知の際には、通報者を含む関係者のプライバシー保護などに留意する必要があります。

「上司に叱られた」程度のパワハラ通報も、調査と是正措置が必要?

通報対象事実に該当しない「軽度な嫌がらせ」や「業務上の叱責」のような事実が内部通報された場合には、公益通報者保護法上の調査や是正措置の義務はありません。

しかし、パワハラに関しては、いわゆるパワハラ防止法(正式名称「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)により、労働者はより強く保護されています。

この法律により、全ての企業に対して「パワハラ相談を受けた場合に適切に対応するために必要な体制の整備」「雇用管理上必要な措置」の二つの義務が課せられています。

そのため、パワハラ通報が公益通報者保護法の保護対象外の通報だとしても、放置せずに対応するべきです。

なお、パワハラ防止法における「パワハラ」の定義は以下の通りです。

  • 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業環境が害される

匿名でパワハラが内部通報された場合はどうするのか

労働者が内部通報を行う際に、匿名性を気にするのは当然です。

もし自分の名前がパワハラ上司に知られたら、嫌がらせや報復などがエスカレートする可能性が高いでしょう。

匿名でパワハラが通報された場合に、企業がどう対応すべきなのか以下で解説していきます。

匿名のパワハラ通報でも、調査は企業の義務

パワハラが匿名で内部通報された場合でも、企業は事実確認などの調査を行わなければなりません。

匿名の内部通報も公益通報者保護法における保護対象であるため、通報者が分からず事実確認が困難な場合だとしても、調査は企業の義務となります。

匿名の通報であることだけでは、調査を実施しない正当な理由には該当しないのです。

「匿名だから調査できない」が認められるのは、事実確認が困難である実態が認められるなど、例外的な場合に限られます。

匿名のパワハラ通報でも、調査と是正の義務が原則課せられていると覚えておいてください。

匿名での内部通報は調査が難しい

完全に匿名の内部通報であれば、本人への聞き取り調査はできません。

しかし、通報者が分からないからといって、被通報者であるパワハラ加害者に聞き取りを行ってしまうと、誰が通報したのか加害者に判明してしまう恐れがあります。

例えば、次のような通報を想定してみます。

【内部通報の内容】

匿名で通報したいです。
9月1日に、上司のBさんから暴言を言われました。
具体的には、「クズ」「まだ学生の方が仕事できるぞ」などです。

このようなパワハラの内部通報があった場合には、「部下に対してクズなどと言いましたか?」と、上司Bに事実確認を直接取るのは適切ではありません。

このような聞き取り調査では、通報者の名前を伏せていたとしても、部下が通報したのだと上司が思い込んでしまう恐れがあるからです。

その結果、上司から部下へのパワハラがより強くなったり、新たな嫌がらせが生じたりするリスクが残ってしまいます。

調査実施の際には、通報者の利益が害されないよう配慮することが何より重要です。 

匿名通報を受けた後の具体的な調査・是正方法は?

通報者に聞き取りができない場合に、加害者に聞き取り調査を行うのは大きなリスクがあります。そのため、調査方法としては会社全体への調査、部署全体への調査、管理職者に対する調査など、聞き取り範囲を広げることが効果的でしょう。

その上で、パワハラに該当する事実が実際に見つかった場合には、是正措置が求められます。

加害者への指導はもちろん、社内への注意喚起や再度の研修実施など、状況に合わせた適切な対応が必要です。

調査・是正の際には、通報者情報の漏洩に注意が必要

公益通報者保護法の改正法が、2022年6月に施行されました。

これにより、内部通報を受け付けた窓口担当者が通報者を特定できる情報を故意に漏洩させた場合、刑事罰が科されます

通報者を特定できる情報とは、氏名情報だけではありません。

部署や役職、性別、通報内容などからも、通報者が特定できる場合があります。通報者を特定し得る情報の取り扱いには、くれぐれも注意してください。

ですが、漏洩を恐れて社内で対応しないままだと、調査・是正の義務を果たすことができません。通報内容の調査や是正に必要な範囲内においては、通報内容の共有などを行うことに問題はありませんので、適切に対応してください。

パワハラ通報に対応する窓口は全ての企業に必須

パワハラ防止法の全面施行に伴い、全ての企業に対して、労働者からのパワハラ相談に対応する窓口の設置や、パワハラ防止に努める義務が課されました。

しかし、法律に則ってパワハラ相談に対応する窓口や担当者は決めているものの、社員からの相談やパワハラ通報が全く届かない企業も多いことでしょう。

そのような場合には、システムを複数導入したり、通報ツールを入れ替えてみたりすることで、社員の方々が報告しやすくなるかもしれません。

本当に社内でパワハラが発生していないか確認するためにも、現在の体制やシステムを見直してみてはいかがでしょうか。

アトムのコンプラチェッカーで、通報システムを手軽に導入!

パワハラのような不正であれば、被害者本人からの通報もあり得るため、匿名で通報可能な制度を導入しておくと、企業の自浄作用がより強くなります

具体的な制度としては、次の3つが挙げられます。

  • 個人を特定できないアドレスを利用する
  • 外部窓口が通報を受け付けて、事業者に通報者の氏名等を伝えない
  • チャット等の専用システム

外部窓口としては法律事務所やシステム提供会社などがあるでしょう。

特に法律事務所であれば、内部通報に関して弁護士に相談できる場合もあります。

匿名通報が可能な内部通報制度を整備しようとお考えでしたら、一度問い合わせてみることをおすすめします。

アトム法律事務所のコンプラチェッカーとは

コンプラチェッカーとは、社内不正を発見した従業員がアトム法律事務所を経由して、会社代表者に通報するための内部通報ツールです。

「自社のメールやツールでは、通報したことがバレてしまうかも・・・」という不安を解消するため、第三者であるアトム法律事務所が通報内容のみを会社代表者の方へ転送する仕組みとなっています。

これにより、「会社には直接通報しづらい」「社長まで通報が届くのか」という従業員の懸念を取り除くことができます。

コンプラチェッカーの特徴

完全に匿名での通報が可能

従業員が不正を発見した場合、アトム法律事務所が発行する企業専用ページから通報します。

通報の際、メール送信や氏名の記入などは不要ですので、通報者の情報が判明することはありません。

従業員からの通報内容は会社代表者のみが確認

コンプラチェッカーを使って不正内容が送信されると、アトム法律事務所が通報内容を受け取り、会社代表者にそのまま転送します。

そのため、通報が破棄されたり、通報内容が会社代表者以外に知られたりすることはありません。

毎月の内部通報メルマガで社内不正の最新ニュースを送信

アトム法律事務所から毎月月初、前月に報道された最新の社内不正情報や弁護士の解説記事が従業員にメールで通知されます。

社内不正の危険性を従業員にリマインドすることが可能となり、積極的な内部通報を促します。

社内不正の解説記事」で、企業不祥事の弁護士解説をご確認いただけます。

あわせてご覧ください。

コンプラチェッカーよくある質問

Q

誰が内部通報したかわかる?

A

わかりません。

通報を促進するには匿名性が重要となるため、通報者に関する情報はお伝えしていません。

Q

通報内容をアトムの弁護士に相談できる?

A

できます。

コンプラチェッカーの年間プランには弁護士との相談は含まれておりませんが
別途の時間報酬制で相談や各種依頼に対応しています。

Q

コンプラチェッカー導入のメリットは?

A

法律事務所が提供しているツールですので、不正行為に対する強力な抑止力となります。

「何かするとアトムのツールで通報されるかも・・・」と従業員が考え、社内に良い緊張感を生みます。

料金は年間一律9600円!|3か月無料トライアルも実施中

アトム法律事務所の内部通報ツール「コンプラチェッカー」の利用料金は、年間9,600円(税込み)です。企業の規模にかかわらず、一律の料金となっています。

通報手段を用意したり、従業員へのメール配信をしたりする手間をかけることなく、完全匿名の内部通報システムを導入することが可能です。

初回3か月間無料トライアルを実施していますので、ご興味のある経営者の方は、以下の専用サイトよりお問い合わせください。