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未払賃金立替制度を解説|振込の条件や時期、手続きの流れとは?

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

未払賃金立替制度|振込条件、もらえる時期、手続きの流れ

「未払賃金立替払制度とは?」
「もらえる金額は?」
「利用のための手続きは?」

新型コロナウイルスの影響もあり、会社の業績が振るわず、「給料がちゃんと支払われるのか」と不安になることもありますよね。

給料未払いによって生活費もままならなくなることを心配する気持ちもよく分かります。

会社の倒産による給料未払いを懸念される方に是非知っておいてほしいのが未払賃金立替払制度
この制度を利用することで、会社が倒産した場合でも、受け取れるはずだった賃金の一部を回収することが出来ます。

未払賃金立替払制度について詳しく知りたい方に向け、この記事では

  • 未払賃金立替払制度の概要
  • 利用のための要件
  • 受け取れる金額
  • 確定申告との関係

について解説していきます。

そもそも未払賃金立替制度とは?

まず、未払賃金立替払制度の内容について解説します。

制度を利用するための手続きも、この内容を踏まえて設計されているため、確認してください。

未払賃金立替払制度とは?

未払賃金立替払制度は、以下のように定義されます。

未払賃金立替払制度

会社が倒産したことによって賃金が支払われないまま退職せざるを得なくなった労働者に対し、支払われていない賃金の一部を国が会社に代わって労働者に支払う制度

つまり、未払賃金立替払制度とは、会社の倒産という非常事態に遭った労働者を保護するための制度です。

そのため、立替払いという形で国が直接労働者に支払う仕組みとなっているのです。

未払賃金立替払制度の対象となる賃金の種類|退職金も対象

未払賃金立替払制度の対象となる賃金は、

  1. 定期賃金(毎月決まって支払われている賃金)
  2. 退職金

の2種類とされています(賃金の支払の確保等に関する法律7条賃金の支払の確保等に関する法律施行令4条2項)。

つまり、退職金は対象となりますが、ボーナスは対象外ということです。

他にも、結婚祝い金などの、臨時に支給される賃金も対象とはなりません。

未払賃金立替払制度で立て替えてもらえる期間と割合

上で述べた定期賃金・退職金に該当する賃金であっても、未払分全てが支払われるわけではありません。

まず、未払賃金立替払制度で「退職日の6か月前から立替払の請求日の前日まで」に支払われるはずだった賃金に限定されています。

また、実際に支払われる額は、未払総額の80%とされており、未払総額には退職時の年齢別に以下のように上限額が設定されています

未払総額の上限

  • 30歳未満 110万円(立替払上限額88万円)
  • 30歳〜45歳未満 220万円(立替払上限額176万円)
  • 45歳以上 370万円(立替払上限額296万円)

なお、立替払の対象となる最低金額は2万円以上と決められています。

未払賃金立替制度の受給の条件は?

利用の条件①|法律上、もしくは事実上会社が倒産したこと

未払賃金立替払制度を利用するためには、会社が「倒産」していなければなりません。

この倒産には、「法律上の倒産」「事実上の倒産」の2種類があります。

法律上の倒産

法律上の倒産は、以下の4パターンに分類されます。

法律上の倒産

  • 破産手続の開始
  • 特別清算の開始
  • 民事再生手続の開始
  • 会社更生手続の開始

これら4つは、いずれも法律に基づいて行われるものであり、法律上の倒産は、裁判所が関与しつつ法律に定められた要件・手続に則って行われるものを指しています。

事実上の倒産

事実上の倒産についても法的に定義が決まっています。

事実上の倒産

中小企業に対し、「事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ賃金支払能力がない」と労働基準監督署長が認定すること。

事実上の倒産と認定してもらうためには、労働者自身で認定の申請を行わなければなりません。
参考:労働基準監督署の所在地一覧

なお、中小企業の定義は下記の通りです。

業種定義
卸売業資本金額1億円以下または常時雇用の従業員数100人以下
サービス業資本金額5000万円以下または常時雇用の従業員数100人以下
小売業資本金額5000万円以下または常時雇用の従業員数50人以下
上記以外の業種資本金額3億円以下または常時雇用の従業員数300人以下
中小企業の定義

また、「法律上の倒産」「事実上の倒産」どちらの場合でも、自分で労働者健康安全機構の窓口に請求書及び必要書類を提出する必要があります。

会社が倒産したからといって自動的に手続きがなされるわけではないため、注意してください。

利用の要件②|会社に労働者として雇用されていたこと

未払賃金立替払制度を利用できるのは、倒産した会社に労働者として雇用されていた人に限られます。

労働者は「会社と雇用関係にあり、労働の対価として賃金の支払いを受けていた人」のことを指します。正社員だけでなく、パートやアルバイトも「労働者」に含まれます。

倒産する前に退職していても未払賃金立替払制度は使える?

このように、未払賃金立替払制度は、倒産した会社に勤めていた労働者を対象とする制度です。ただ、会社の経営が危うくなってきている場合、倒産前に転職等ですでに退職してしまっていることがあります。

このように倒産前に退職した場合でも、未払賃金立替払制度が利用できる場合があります。

倒産前に退職した場合でも、退職日が倒産の日の6か月前から2年後の間にある場合、未払賃金立替払制度を利用できます。

倒産の日とは具体的には以下のように定義されます。

倒産の日

  • 法律上の倒産の場合:破産手続きが申し立てられた日
  • 事実上の倒産の場合:労働者が労基署に認定申請した日

このように、倒産と半年以上離れたタイミングで退職していると対象とはなりませんが、そこまで離れていなければ倒産前に退職していても制度を利用することができます

なお、退職はいわゆる「自己都合」「会社都合」のどちらでも構わないため、退職した理由が転職だとしても、未払金があれば利用できます。

未払賃金立替払制度を利用するといつ支払われる?振込み?確定申告は?

ここまで制度の内容について解説してきました。

最後に、実際の支払いの流れについてご案内します。

未払賃金立替払制度を利用するといつ・どのように支払われる?

未払賃金立替払制度によって支払われるお金は、自身の金融機関口座に振り込まれます。申請書に振込先を記載する欄があるため、受け取りやすい金融機関を指定するようにしましょう。

また、実際に振り込まれる前には「支払通知書」が送付される運用になっており、そこに立替払額や振込日等が記載されています。

請求から振込みまでは1か月程度が多いとされていますが、請求書や添付書類に不備があればその分遅れる可能性があるため、事前に十分確認しましょう。

未払賃金立替払制度で支払われた分の確定申告は必要?

未払賃金立替払制度で支払われた分の確定申告は必要です。

未払賃金立替払制度を利用して支払われるお金は、もともと賃金として支払われるものです。そのため、本来であれば所得税が源泉徴収されるはずです。

この所得税の仕組みは制度を利用しても基本的に変わらず、未払賃金立替払制度で得られる金額は課税の対象となります。

ただ、未払賃金立替払制度の申請書には同時に退職所得の申告ができるよう、記載欄が設けられています。その記載欄に必要事項を記入すれば、基本的には別途確定申告を行う必要はありません。

実際には立替分が課税される可能性は低い

定期賃金・退職金は、ともに税金上は「退職所得」として扱われることになっており、退職所得控除という所得控除を受けることができます。

退職所得控除は、

  • 勤続年数20年以下の場合には40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超の場合には800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

というルールで控除額が計算され、かなり大きな金額となります。

先程のように支払われる額の上限が決められているため、実際には退職所得控除の枠内に収まることがほとんどであり、課税されることは考えにくいでしょう。

ただし、他の退職所得がある場合などは扱いが変わるため、注意が必要です。

未払賃金立替払制度で不明な点があれば弁護士へ!

ここまで、未払賃金立替払制度について解説してきましたが、「自分が制度の対象となるかわからない」、「賃金が未払いで困っている」などの悩みを抱える方も多いと思います。

未払賃金の請求には時効もあり、速やかな行動が求められます。

会社の倒産、賃金未払いにお困りの方は、弁護士に相談することをおすすめします。法律の専門家である弁護士であれば、みなさんが取るべき最適な手段を提示してくれるでしょう。

弁護士への相談にあたって、費用相場や流れ、メリットなどを知りたい方は「未払い給料の請求を弁護士に依頼するメリットと費用|請求手順も解説」の記事をご覧ください。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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