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残業は1分単位で計算しなければならない|残業代の計算方法も解説

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

残業代の計算は1分単位!計算方法も解説

「残業は15分単位で計算するから、毎日15分未満は切り捨てる」といった規則を設けている会社があります。

法律上、残業は1分単位で計算することが原則であり、この規則は違法となる可能性が非常に高いです。

肉体的・精神的に大きな負担となる残業。
たとえ数分の残業であったとしてもその分の賃金が支払われないのは納得いかないですよね。

違法な残業代未払いを防ぐため、残業に関するルールを正確に知りたい方に向け、この記事では

  • 残業代を1分単位で計算すべき理由
  • 残業代の計算方法
  • 未払いへの対処法

について解説します。

残業を1分単位で計算しなければならない理由

まず、残業の計算における法律の決まりを解説します。

1分単位で計算することが原則ですが、そのことが法律に明記されているわけではないため、確認してください。

そもそも残業とは?|残業の種類

一般的に「残業」というと、定時以外の労働、つまり「始業時刻前や終業時刻後に働くこと」を指しています。

法律に基づき、正確に説明すると、残業は大きく分けて、以下の2種類に分類されます。

2種類の残業

  1. 所定外労働
  2. 時間外労働

1つ目の所定外労働とは所定労働時間を超えた労働を指します。

所定労働時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間のことをいいます。

2つ目の時間外労働とは法定労働時間を超えた労働を指します。

法定労働時間とは、法律で定められた1日及び1週間に働かせることのできる時間の上限であり、1日8時間・1週40時間と決められています。(労働基準法32条

つまり、1日8時間・1週40時間を超えて働いた場合、その超えた分が時間外労働に当たるというわけです。

このように、残業時間には「所定外労働時間」「時間外労働時間」の2種類があるという点を押さえることが、まずは重要です。

なお、この記事では、所定外労働と時間外労働の両方をあわせて残業と呼ぶことにします。

会社には正確に残業を計算する義務がある

残業時間の計算がおろそかになると、長時間労働による健康被害や後にみる残業代の未払いなどの問題につながります。

そこで、法律上、会社には「労働者1人1人の実労働時間の把握」が義務付けられています(労働安全衛生法66条の8の3)。

把握の方法も、「タイムカードによる記録・パソコンの使用時間の記録等の客観的な方法その他適切な方法」と定められています(労働安全衛生規則52条の7の3)。

実労働時間はもちろん所定外労働や時間外労働も含まれるため、会社は従業員の残業時間を適正に把握しなければならないことになります。

この作業が、一般的には残業の計算などと呼ばれているものです。

残業を1分単位で計算しなければ違法となる可能性が高い

以上のように、実労働時間の把握が義務付けられてはいますが、厳密に言えば、1分単位で計算しなければならないとは書かれていません。

しかし、使用者が労働者を働かせられる時間数には上限が定められており、この上限を1分でも超えれば、会社に罰則が与えられます。労働時間の上限は以下の通りです。

労働時間の上限

  • 単月の時間外労働・休日労働時間数100時間未満
  • 2〜6か月のいずれの時間外労働・休日労働時間数も平均80時間以内

36協定の締結の有無、締結した36協定の内容などによっては、これよりも短い時間の上限が定められている場合もあります。

これら上限を超えて労働者を働かせた場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が設けられています。(労働基準法119条1号

また概ね月間80時間を超えた残業がある場合は、会社はその従業員に対して医師による面接指導を受けさせなければなりません。(労働安全衛生法66条の8第1項など)

このように定められた残業時間の上限を超えているか判断するためには、従業員の労働時間の正確な把握は必須であり、会社が1分単位で残業時間を計算しなければ、違法となる可能性が高いと言えるでしょう。

1分単位の残業計算と残業代との関係

このように、残業を1分単位で計算することは法律上の要求です。

実務の面から言うと、残業の計算は残業代との関係で多く問題となるので、残業代の計算方法についても解説します。

なお残業代の計算方法についてはくわしく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
残業代の正しい計算方法とは?基本から応用的な計算まで徹底解説!

残業代は日々の残業をベースに計算する

普段支払われている賃金は、所定労働時間通りに働いたことに対して支払われています。

そのため、所定労働時間を超えて働いた分には追加の賃金が支払われなければなりません。この追加の賃金のことを一般的に「残業代」と呼んでいます。

また、時間外労働には割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条1項)。先程のように、時間外労働も残業ですから、割増賃金も残業代の中に含まれます。

したがって、残業代の中には、通常の賃金と同様に支払われる部分と、割増賃金として支払われる部分があるということです。

ただし、どちらも「追加で働いた時間(残業時間)に対して支払われる」ことは共通しています。

つまり、日々の残業時間をもとに残業代は計算されるということです。

1日の残業を1分単位で計算しなければ残業代が正しく計算できない

このことをもう少し詳しくみていきます。

所定外労働時間・時間外労働時間の計算は、「何時間働いたか(総労働時間)」を単純にカウントするだけでは行えません。

なぜなら、総労働時間のうち、「所定労働時間を超えて働いた部分」「法定労働時間を超えて働いた部分」を区別して、特定しなければならないからです。

例えば、以下の場合を考えてみましょう。

  • 始業9時
  • 終業18時
  • 休憩12時〜13時

この例だと、所定労働時間は8時間ですが、19時まで働けば、法定労働時間である1日8時間を超えて1時間働いていることになるので、時間外労働が1時間ということになります。

別の例で、以下の場合を考えてみましょう。

  • 始業9時
  • 終業17時
  • 休憩12時〜13時

この例だと、所定労働時間は7時間ですが、18時まで働いた場合、1日8時間を超えないため、時間外労働とはなりませんが、所定労働時間を超えているため、1時間の所定外労働となります。

このように、残業時間の計算は「日々何時から何時まで働いたか」の記録をベースに、その記録を、それぞれの所定労働時間や法定労働時間に当てはめて行われます。

そして、1か月に1回給料日がある一般的なパターンの場合、この毎日の残業時間を1か月分合計して残業代を計算します。

したがって、毎日の実労働時間の記録が1分単位で正確に記録されていなければ、残業代の計算も間違ったものとなるのです。

1分単位で残業を計算しなければ残業代の未払いが起こる

残業と残業代はこのような関係にあるため、例えば、「1日の残業時間は15分単位で記録し、それ未満は切り捨てる」というルールでは、最大14分分の残業代が支払われない可能性が生じます。

労働基準法は、給料は全額支払わなければならないと定めており(労働基準法24条1項)、支払われた残業代に不足があればこの規定に違反することになります。

したがって、毎日の残業時間は例え1分でも切り捨てることはできません。言い換えれば、日々の残業は1分単位で残業代計算に反映させなければならないということです。

もっとも、日々の残業時間をまとめた1か月の残業時間については、「30分以上を1時間に切り上げ、30分未満を切り捨てる」という扱いが認められています。

あくまで1か月についてですので、1日の残業について同様の扱いはできません。1日分は1分単位で残業時間を計算する必要があります。

なお、残業時間を切り捨てるのではなく、切り上げることはできます。先程の例とは逆に、たとえ1分の残業だったとしても15分として扱うといったような場合です。

このような扱いは残業代の未払いを生じさせないからです。

具体的な残業代の計算方法

残業代の具体的な求め方について詳しくは以下の記事をご覧ください。
残業代の正しい計算方法とは?基本から応用的な計算まで徹底解説!

また、時間外労働を行った際には割増率についても確認しなくてはなりません。割増率について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
時間外労働の割増率とは?残業代の計算方法・請求方法を解説!

残業が1分単位で計算されていない場合の対処法

以上みてきたように、残業は1分単位で計算しなければ、様々な法律に違反する可能性があります。

ただ、実際にはそうなっていないことも多いため、最後に残業代の支払いに不備がある場合の対処法を解説します。

企業の人事担当に残業の扱いについて確認する

残業代が正確に計算されていないと思ったら、企業の人事担当に直接確認してみましょう。

残業の計算が実際にどのように行われているのか、日々勤務するだけではわかりにくい場合があります。

タイムカードなど勤怠を記録している資料を確認しても、毎日の出退勤時間がわかるだけで、残業時間が切り捨てられているかどうかといったことまではわかりません。

もっとも、給与明細には1か月分の残業時間が記載されていることが一般的なので、タイムカード等の記録をもとに自分で1か月分の残業時間を計算して照合することはできます。

それによりある程度残業の計算方法がわかるかもしれませんが、給与計算を行なっている部門に確認する方が手間もかからず正確です。

人事担当であれば基本的には知っていると思いますので、確認できる場合は尋ねてみましょう。

残業代の未払いは弁護士に相談を!

残業の細かな計算方法を尋ねることには、「印象が悪くなる」とためらうこともあると思います。

あるいは、「人事に相談しても難しいことを言われて丸め込まれてしまう」という不安もあるかもしれません。

社内で確認できないときには、弁護士への相談を検討しましょう。

法律の専門家である弁護士ならば、自分の残業代を正確に計算することができ、未払いがないか適切に判断してくれます。

また、弁護士の場合、残業代の未払いがあった際に会社への請求を依頼することが可能です。

まずは無料相談などを利用して、会社との関係を含め、今後のアクションについてアドバイスをもらうことをおすすめします。

弁護士への相談にあたって、費用相場や流れ、メリットなどを知りたい方は「残業代請求は弁護士に依頼!費用相場、流れ、メリットなどを解説」の記事をご覧ください。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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