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残業代請求をしたらその後どうなる?|支払いや報復は?

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

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残業代請求をした後の流れは?」
「会社からの報復はない?」

残業が未払いとなっている場合、一刻も早く請求をして問題を解決すべきです。

一方、「請求をしても支払われないのでは」「会社からの報復が怖い」と請求をためらってしまう気持ちもよく分かります。

そもそも残業代を支払っていない会社には不信感を抱いていると思いますので、不安になるのは当然ですよね。

みなさんが残業代請求後の事情を把握し、安心して請求に臨めるように、この記事では

  • 残業代請求後の流れ
  • 請求後の報復はあるのか
  • 適切な請求方法

について解説します。

残業代請求をしたその後支払いを受けるまで

残業代を請求する手段として、以下の3つが考えられます。

残業代請求の手段

  1. 裁判で請求
  2. 労働審判で請求
  3. 会社に直接請求

これらの手段で残業代請求をした場合の、実際に支払われるまでのそれぞれの流れについて説明します。

裁判で残業代請求をするとその後は強制執行が行える

残業代請求が裁判で認められれば、会社に対して残業代の支払いを命じる判決が出されます。

もちろん会社は判決に従わなければなりません。

ただ、経営状態が思わしくない等の理由から、会社が支払わないという事態もゼロではありません。

そのような場合、出された判決を使って「強制執行」を申し立てることができます。

強制執行というのは、国の権力をもって判決で認められた権利を強制的に実現する手続です。

未払い残業代のように金銭の支払いを求める場合には、会社の財産を差し押さえた上、その財産を強制的に売却する等の方法で支払いを受けることになります。

強制執行の手順

これを国(裁判所)が権力的に行うわけなので、まずは裁判所に必要書類を提出し、強制執行を申し立てなければなりません。

この申立てには「自身が強制執行できる権利を持っている公的な証明(債務名義)」が必要であり、請求を認める内容の判決もこれに該当します。

また、差し押さえる会社の財産も指定する必要があります。例えば、会社の取引先に対する債権(取引先から商品の代金を支払ってもらう権利など)などを指定します。

そして、適法な申立てであれば、裁判所は差押命令を出します。

これにより、会社は、差し押さえられた財産を売ったり失くしたりすることができなくなります。

以後の流れは差し押さえた財産によって変わり、不動産の場合はその不動産を競売にかけ現金化します。

債権であれば自身に直接支払ってもらうようにします。例えば、取引先が会社に支払うはずだった商品代金を代わりに受け取るといった具合です。

以上のように、残業代請求を裁判で行った場合には、強制的に支払いを受けられる手続が整備されており、大きく心配する必要はないといえるでしょう。

労働審判で残業代請求をした場合のその後の流れ

労働審判で残業代請求をした場合、残業代の支払いを命じる結論に会社側から異議が出されると、通常の裁判に移行してしまいます。

一方、労働審判の中で話がまとまった場合には、もし会社が支払いを拒絶した場合、強制執行することが可能となります。

会社と直接交渉した場合のその後の流れ

一方、会社との直接交渉により未払い残業代の支払いを受けることとなった場合、それだけでは強制執行ができません。

会社と交渉した結果は「和解契約書」として書面に残すことが通常です。これによって、会社が残業代の支払いを約束したことを後で証明することができます。

しかし、単なる和解契約書では、強制執行を利用することはできません。

「支払わなかった場合には強制執行を受け入れる」旨の執行認諾文言を盛り込み、かつ、公証役場に赴いて公証人にその旨を記した公正証書を作ってもらう必要があります。

残業代を支払うことで会社と交渉がまとまったとしても、ここまでの合意ができるとは限りません。

仮に公正証書を作れなかったとすれば、強制執行はできないということになります。

もっとも、会社は自ら支払いを受け入れていますので、多くの場合、強制執行に至らずにお金は支払われることでしょう。

残業代請求をするとその後報復される?

次に、残業代請求をすると報復されるのではないかという懸念について解説します。
結論からいうと、残業代請求を行ったことによる報復の可能性は低いです。

以下で詳しく説明しますので、ご確認ください。

残業代請求に関連して考えられる報復

会社が従業員からの残業代請求をうとましく思い、報復を行うとすれば、次のようなものが考えられます。

在職中の報復

  • 異動や転勤
  • 懲戒処分
  • 解雇
  • 嫌がらせ
  • 減給、ボーナスの減額

退職後の報復

  • 就職先等への圧力
  • 根拠のない反論

これらのほとんどは法律上違法となるため、過度に心配する必要はありません。

以下で詳しく解説していきます。

残業代請求に対する報復として行う人事措置や懲戒は違法

まず、在職中の場合からみていきます。

残業代請求を受けたことへの報復として、異動や転勤、懲戒処分を行うことは違法です

判例に基づくと、異動や転勤については、業務上の必要性がなければ違法であり、無効となると考えられています(労働契約法3条5項)。

残業代請求に対する報復のみが異動や転勤の理由だとすれば、業務上の必要性が認められません。したがって、そのような異動や転勤は違法・無効ということです。

また、業務上の必要性がある場合でも、不当な動機や目的で行われれば違法となります。

例えば、人員が不足している支店に転勤させる場合、業務上の必要性は認められます。それでも、目的が残業代請求に対する報復にあるならば、違法・無効な転勤命令と判断されます。

次に、懲戒処分は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には無効となります(労働契約法15条)。

残業代請求を理由とする懲戒処分には合理的な理由がありませんし、社会通念上相当とも言えず、違法・無効となります。

さらに、解雇も、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は無効となるため(労働契約法16条)、やはり認められません。

残業代請求を理由とする減給や嫌がらせも違法

残業代請求に対する報復として行う減給やボーナスの減額も違法です。

残業代請求は成績や能力とは無関係ですので、基本的に賃金やボーナスの査定に影響させることはできません。

また、残業代請求に対する嫌がらせは、パワハラに該当する可能性が高く、違法となります。

パワハラは、法的には以下のように定義されます。

パワハラ

  1. 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
  3. 労働者の就業環境が害されるもの
    労働施策総合推進法30条の2第1項

残業代請求を行ったことへの非難や、不必要な叱責をするといった言動には業務上の必要性がなく、パワハラに該当するでしょう。

しかも、パワハラの定義は決して狭くないため、先の不公正な査定も含め、様々な行為が該当する可能性があります。

パワハラはもちろん違法な行為であり、慰謝料等の損害賠償請求が可能です。

退職後の残業代請求に対する報復は合理的ではない

退職後の場合ですが、会社との雇用関係はすでになくなっているため、報復されるパターンはかなり限られてきます。

考えられる報復のパターンとしては以下のものが考えられます。

  • 新しい就職先に対して「労働トラブルを起こした面倒な従業員だ」などと通知し圧力をかける
  • 「残業代請求をされたせいで本業に支障が出ている」と主張して、一向に残業代を支払わない

前者に関しては、新しい就職先を会社が知らなければそもそも行えません。就職先が正確にわかることはほとんどなく、このような報復が行われる可能性は低いと言えるでしょう。

また、仮にそういった圧力があったとしても、新しい会社が残業代を適正に支払っているのであれば、圧力をかける会社側が不当であると正しく判断してくれるでしょう。

後者の、「残業代請求によって会社の運営に支障が出ている」と主張し、残業代の支払いを拒絶する行為は、他の行為に比べれば可能性の高い対応といえます。

しかし、裁判になれば法律的な根拠のない反論は意味をなさないため、最終的には残業代請求が認められることになります。

このように、退職後に行われる報復は合理的でなく、このような報復を受ける可能性は低いでしょう。

残業代請求に対する報復は心配する必要はない

以上のように、在職中でも退職後でも、残業代請求に対する報復は違法となったり認められる余地がなかったりと、合理的とはいえません。

会社は事業を行う組織ですから、明らかに不合理な行動を取ることはあまり考えられません。

残業代請求後の報復について過度に心配する必要はないでしょう。

一方で、合理的な解決を放棄し私怨だけで報復を行う会社もないわけではありません。仮に報復を受けてしまった場合の対処法については次の章で解説します。

その後の対応まで適切に行うための残業代請求方法

ここまでのように、残業代請求について抱く不安は、ほとんど杞憂といえます。

ただ、その後の対応まで見据えて残業代請求を行うことが重要ではあります。

最後に、その後の対応まで適切に行う為の残業代の請求方法について解説します。

その後の強制執行まで見据えて残業代請求をすべき

先の通り、残業代は、強制執行に至らずとも、会社から支払いを受けられる場合が多いといえます。

もっとも、それには、強制執行の存在が一役かっています。

つまり、会社には、「残業代の支払いを拒絶しても、最終的に強制執行によって支払わなければならなくなる」という圧力がかかっているのです。

結局支払うことになるのであれば、わざわざトラブルを長引かせるメリットは会社にもありません。

つまり、強制執行まで見据えて残業代請求を行うことで、会社のすみやかな支払いを促すことができるというわけです。

強制執行まで視野にいれた残業代請求をするためには?

強制執行まで見据えた残業代請求を行うためには、弁護士に依頼することが最適だといえるでしょう。

法律の専門家である弁護士ならば、強制執行の手続きまで熟知しており、安心して請求を依頼することが可能です。

また、弁護士に依頼することで、「残業代請求を法律的に解決しようとしている」姿勢を会社に示すこともできます。

そうすれば、会社としても法律的に無意味な反論は行いにくくなり、早期解決が見込めるというメリットもあります。

残業代請求に対する報復への対処も弁護士に任せられる

また、実際に報復される例はほとんどないとはいえ、事前に備えておくにこしたことはありません。

例えば、和解契約書に、「この事件の経緯や和解の内容について第三者に口外しない」という旨を記載した口外禁止条項を盛り込むなどです。

口外禁止条項によって、会社が就職先に圧力をかけたり他の従業員に広める可能性をさらに低くすることができます。

加えて、万が一実際に報復された場合にも、残業代請求時の事情を知っている弁護士に依頼することで、適切に対処することができます。

受けた報復の内容によって、異動や転勤の無効を請求するのか、損害賠償を請求するのかなど対応も変わるため、残業代請求後の対応も視野に入れるならば、弁護士に依頼することのメリットはいっそう大きいといえるでしょう。

その際、会社からの仕返しについて心配していることもしっかりと伝え、有効なアクションを検討してもらうようにしましょう。

弁護士への相談にあたって、費用相場や流れ、メリットなどを知りたい方は「残業代請求は弁護士に依頼!費用相場、流れ、メリットなどを解説」の記事をご覧ください。

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岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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