残業時間の上限規制を解説|上限時間を超えた時の罰則とは? | 残業代請求弁護士ナビ

24時間365日無料問合せ受付中

フリーダイヤル
0120-215-911

残業時間の上限規制を解説|上限時間を超えた時の罰則とは?

更新日:

岡野武志

監修者

アトム法律事務所 代表弁護士法律監修

岡野武志

残業時間の上限規制|上限を超えた時の罰則

「会社は残業の法律を守っている?」
残業時間の上限は?」
「法律に違反した場合の罰則は?」

法改正により、上限規制の実施や罰則が設けられるなど、残業時間のルールは、大きく変わりました。

法改正が行われたものの、今までと残業時間が変わらないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
自分の労働環境が適法なのかというのも気になるところだと思います。

残業に関するルールを詳しく知りたい方に向けて、この記事では

  • 残業の考え方や36協定の意味
  • 上限規制を超えたときの罰則
  • 残業トラブルの対処法

についてみていきましょう。

残業時間の上限規制とは?36協定とは?

残業時間といっても、1日に何時間働いたら「残業時間」としてカウントされるのでしょうか。

本章では、残業をするためにはどのような手続きがいるのかもあわせて、残業時間の基礎知識36協定について説明します。

法定労働時間とは?

残業(時間外労働)とは「法定労働時間として定められている枠を超えて働いた時間」を指します。

法定労働時間労働基準法32条で以下のように決められています。

法定労働時間

  • 1日8時間
  • 週40時間

この法定労働時間を超えて働かせることは禁止されており、残業は原則認められていません。      

36協定を締結していれば法定外残業が可能

残業は原則禁止として前述しましたが、従業員に残業をさせなければ業務が滞り支障をきたすという会社もあるでしょう。

この問題を解消するために労働基準法は、「36協定の締結をすれば、例外的に残業を認める」としています。

36協定とは、「時間外労働・休日労働に関する協定届」と呼ばれる、会社と従業員との間で交わされる書面による協定です。この協定を結び、労働基準監督署へ提出すれば、会社は法定労働時間を超えて従業員に残業を命じることができます。

ただし、36協定は提出日に効力を発揮するため、労働基準監督署に届ける前に残業をさせてはいけません。また36協定は周知義務があり、従業員が36協定の書面をいつでも見られるよう、会社に備え付けることが労働基準法106条で定められています。

36協定について詳しく知りたい方は「36(サブロク)協定について解説|残業時間の上限とは?」の記事もご覧ください。

法定外残業時間の上限規制とは?

36協定を結んだとしても、残業時間には上限が以下のように定められています。

残業時間の上限

1か月で45時間、1年360時間

臨時的な特別の事情がない限り「1か月45時間、1年360時間」を超えて残業をさせることはできません。

月45時間以上の残業が認められるケースとは?

特別条項付きの36協定を締結している場合には、月45時間1年360時間以上の残業を超える残業が可能となります。

特別条項付きの36協定における上限時間は、下記の通りに定められています。

特別条項がある場合の残業時間の制限

以下をすべて遵守

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
  • 時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内
  • 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度

残業時間の年間上限は法定休日労働を除き、720時間となります。

ひと月あたりの上限は、法定時間外労働と法定休日労働を合わせた時間が100時間です。

また、月の時間外労働と休日労働の合計がどの2~6か月の平均をとっても1か月あたり80時間以内でなければなりません。

残業時間の上限規制を破ったときの罰則とは?

かつては、残業時間の上限を超えても法改正前は罰則がなく、いくらでも従業員に残業をさせられる状況だったため、過労死や過労自殺が大きな社会問題となっていました。

近年の働き方改革に伴う法改正で残業について見直され、残業時間の上限を超えた際の罰則が新たに設けられています。罰則について、以下で確認していきましょう。

上限規制の罰則

上限時間のルールに違反すると、労働基準法32条違反となり、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されるおそれがあります。

警察に相談したら経営者を逮捕してくれる?

警察が労働基準法に違反した経営者を逮捕することは、残念ながら難しいでしょう。

警察には「民事不介入の原則」というルールがあります。民事不介入とは、「民事上の問題に対して行政権を持っている警察が介入するべきではない」という考え方のことです。

日本では民事上のトラブルを解決するのは司法(裁判所)の役目であり、民事の問題には警察が入るべきではないとされています。会社と従業員のトラブルは民事上のものにあたるため、警察は原則として解決に向けて介入することが難しいのです。

参考記事:「給料未払いを警察に相談する意味はある?逮捕の可能性も解説

残業上限規制の旧制度と新制度の違いとは?

残業時間の上限は働き方改革に伴う法改正により現在のルールになりました。

しかし、法改正前は残業について罰則付きのルールがありませんでした。ここでは法改正前の労働基準法について確認していきます。

残業規制の旧制度と現行制度の違いは?

旧制度と現行制度の大きな違いは以下の2点です。

旧制度と現行制度の2つの違い

  1. 上限を超えた場合の罰則の有無
  2. 時間外労働の上限に関する法律の有無

法改正前にも残業時間の上限は設けられていました。しかし旧制度では上限を超えても「罰則」の適用はなく、法改正によって初めて、上限を超えた場合の具体的な罰則が設定されました。

1ヶ月45時間・1年360時間という残業時間の上限についても、あくまで「厚生労働大臣の告示による基準」という位置づけでした。

法改正後、正式に法律に残業時間の上限について明記された条文が追加されたのです。

そのため、旧制度時代は36協定があれば無制限に残業をさせられる状態でした。

法改正の適用される時期とは?例外はある?

労働基準法32条の法改正によって時間外労働の上限規制が設けられましたが、企業の規模や業種によっては旧制度が適用されています。

現状でも、上限規制が(一部)適用除外されている業種や適用されるまでに猶予期間が設けられている業種があります。

業種除外の内容
自動車運転2024年4月まで適用除外。
適用後の上限時間は年960時間。
建設事業2024年4月まで適用除外。
適用後の上限時間は一般の規定の通りだが、災害時における復旧・復興の事業については「月100時間未満、連続する2か月から6か月平均で月80時間以内」の要件は適用されない。
医師2021年10月現在、適用の具体的な予定はなし。
ただし2024年4月を目途とした規制の適用について検討中。
鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業2024年4月まで適用除外。
適用後の上限時間は一般の規定の通り。
新技術、新商品等の研究開発の業務対象の明確化、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、適用除外。
上限規制の適用が除外・猶予されている業種

なお、大企業については2019年4月、中小企業は2020年4月より法改正後の上限規制が適用されています。

残業時間の上限に関するトラブルはどこに相談すべき?

会社が残業時間のルールを守っていないと疑われるときは、思い切って第三者に相談をしてみるのも有効な方法です。

労働トラブルの相談先は大きく分けて4つ挙げられます。各相談先についての特徴と、メリット・デメリットについてまとめました。

上司や社内の相談窓口

最も身近な相談先として上司や先輩、社内の相談窓口が考えられます。

メリット

  • 社内の人なので、話を理解してもらいやすい
  • 会社のコンプライアンス窓口であれば匿名での相談が可能

デメリット

  • 上司や先輩など、良好な人間関係ができていないと相談しにくい
  • 相談窓口がない場合、長時間労働をしている原因が上司であれば、解決に結びつかない可能性が高い
  • 労働法の専門家ではないため、労働トラブルに精通していない場合もある

社内の人に相談しても、会社での立場が悪くなるのを避けるため、なかなか早期解決に結びつかないこともあります。

しかし相談窓口があるのなら、まずは匿名で相談をしてみるのがおすすめです。それでも改善が全く見られないのであれば、次に挙げる相談先を検討してみましょう。

労働組合・ユニオン

労働組合(ユニオン)とは、従業員が主体となり、労働条件の改善・経済的な地位向上を目的に結成されています。

団体交渉権や団体行動権を持っているため、従業員たちが団結して会社と交渉をしたりストライキ(争議行為)を行ったりと、労働問題の解決のために行動する組織です。

メリット

  • 会社に団体交渉を申し入れてくれる可能性がある

デメリット

  • 労働組合に加入する必要があり、組合費を払う必要がある
  • 労働組合が力を持っていなければ解決につながりにくい

労働組合であれば、会社に団体交渉を申し込むことができます。会社は原則として、正当な理由がない限り団体交渉の申し入れを拒否することはできません。

近年では労働組合の力が弱まっている傾向にあり、労働組合に加入したからといって解決につながらない可能性もあり得ます。また、一度加入すると労働組合を辞めにくいという声もあるため加入については慎重に検討しましょう。

労働基準監督署

労働基準監督署とは厚生労働省が管轄する労働トラブルを扱う行政機関です。労災や労働基準法などに関する無料相談を受け付けており、全国に設置されています。
労働基準監督署の所在地一覧

メリット

  • 無料で相談できる
  • 専門家としてアドバイスをしてくれる
  • 企業に対し、是正勧告や指導を行える

デメリット

  • 相談を受けてもらえないことがある
  • 会社への強制力がない

労働基準監督署は、無料で労働者へのアドバイス企業への是正勧告を行ってくれます。

一方、労働基準監督署は、証拠が不十分であったり、法令違反か不明瞭である場合、相談が受理されない可能性があります。

また、会社への是正勧告や指導に強制力がないため、問題の解決力も高くありません。

違法性や緊急性が高い事件を優先する傾向が高いので、個人的なトラブルの場合、労働基準監督署に相談や告訴をしても、解決に直結しないかもしれません。

弁護士

弁護士は残業トラブルを解決するにおいて、最もおすすめできる相談相手です。

メリット

  • 最適な解決方法を提示してくれる
  • 複雑な作業を一任できる
  • 法的手続きにスムーズに移行できる

デメリット

  • 費用がかかる

法律のエキスパートである弁護士ならば、状況に応じた最適の解決手段を提案してくれますし、残業代の計算や会社との交渉などの面倒な作業を全て任せられます

また、会社との交渉が決裂しても、すみやかに法的手続きに移行することができ、安心して問題解決に臨めます。

解決したい強い意志を持っている人は、まず弁護士の無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。

弁護士への相談にあたって、費用相場や流れ、メリットなどを知りたい方は「残業代請求は弁護士に依頼!費用相場、流れ、メリットなどを解説」の記事をご覧ください。

この記事をシェアする

岡野武志

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士

岡野武志

詳しく見る

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

関連記事

よく読まれる記事

最新の記事